英語のメールが届いて、さっそく翻訳ボタンをクリック。でも表示されたのは…
「現時点ではメッセージを翻訳できませんでした。後でもう一度お試しください。」
このエラーメッセージ、見たことありませんか?海外とのやり取りが多い方にとって、翻訳機能が使えないのは本当に困りますよね。急ぎのメールの内容を確認したいのに、わざわざ別の翻訳サイトにコピペするのは面倒です。
実は、このエラーの原因はいくつかあります。設定の問題、バージョンの問題、ネットワークの問題など。でも心配しないでください。ほとんどの場合、簡単な操作で解決できるんです。
この記事では、Outlookの翻訳機能が使えなくなった原因と、それぞれの解決方法を詳しく解説します。パソコンに詳しくない方でも安心して操作できるよう、画面ごとに手順を説明していきますね。
さっそく、問題を解決していきましょう!
Outlookの翻訳機能とは

解決方法を見る前に、Outlookの翻訳機能について簡単に説明します。
Outlookには、受信したメールを別の言語に翻訳してくれる便利な機能があります。Microsoft Translatorというオンライン翻訳サービスを使って、メールの内容を日本語や英語など、好きな言語に変換できるんです。
翻訳機能の使い方(通常時)
普通は、こんな風に使えます:
- 外国語のメールを開くと、メッセージの上部に「メッセージを日本語に翻訳する」というボタンが表示されます
- このボタンをクリックすると、メール本文が翻訳されて表示されます
- 「元のメッセージを表示」をクリックすれば、元の言語に戻せます
翻訳機能の便利なポイント
- 翻訳されたテキストは15日間キャッシュされるので、同じメールを開いても再翻訳の必要がありません
- 自動翻訳をオンにすれば、外国語のメールを開くたびに自動で翻訳してくれます
- 選択したテキストだけを翻訳することもできます
でも、この便利な機能が突然使えなくなることがあります。それが今回のテーマです。
エラーが出る主な原因
「現時点ではメッセージを翻訳できませんでした」というエラーが表示される原因は、主に6つあります。
原因1:翻訳しない言語リストに追加されている
知らないうちに、特定の言語を「翻訳しない」設定にしてしまっている可能性があります。
例えば、以前に英語のメールで「英語から翻訳しない」というオプションを選択してしまった場合、それ以降すべての英語メールが翻訳されなくなります。
原因2:Officeのバージョンが古い
2024年1月22日以降、古いバージョンのOutlookでは翻訳機能が動作しなくなりました。
これは「Modern Translator」という新しい翻訳システムへの移行によるもので、特定のバージョン以上にアップデートする必要があります。
原因3:接続エクスペリエンスが無効になっている
Outlookの翻訳機能は、オンラインサービスを利用しています。
「接続エクスペリエンス」(Connected experiences)という設定がオフになっていると、翻訳機能そのものが使えません。翻訳ボタンが表示されない場合も、これが原因です。
原因4:インターネット接続の問題
翻訳サービスはオンラインで動作するため、ネットワーク接続が必要です。
インターネット接続が不安定だったり、社内ネットワークのファイアウォールが翻訳サービスへのアクセスをブロックしている可能性があります。
原因5:アドインの問題
Outlookの翻訳機能は、バージョンによってアドイン(追加機能)として動作します。
このアドインが無効になっていたり、正しくインストールされていないと、翻訳機能が働きません。
原因6:メールフォーマットの問題
特定のメール形式や、非常に長いメール、複雑な構造のメールは翻訳できないことがあります。
画像として埋め込まれたテキストも、翻訳対象にはなりません。
それでは、これらの原因に対する具体的な解決方法を見ていきましょう。
【解決方法1】翻訳しない言語リストを確認する
最も多いのがこのパターンです。設定を確認して、不要な言語を削除しましょう。
Outlook on the web(Webブラウザ版)の場合
ステップ1:設定画面を開く
- Outlook on the web(https://outlook.office.com)にアクセスします
- 画面右上にある歯車マーク(設定)をクリックします
- 表示されたメニューの一番下にある「すべてのOutlook設定を表示」をクリックします
ステップ2:翻訳設定を確認
- 左側のメニューから「メール」を選択します
- 「メッセージの取り扱い」をクリックします
- 画面をスクロールして「翻訳」セクションを探します
ステップ3:言語リストを編集
- 「次の言語を翻訳しない」のリストを確認します
- もし翻訳したい言語(例:英語)が含まれていたら、右側のゴミ箱マークをクリックして削除します
- 設定を保存します(自動保存される場合もあります)
ステップ4:確認
- 設定画面を閉じてメール一覧に戻ります
- 翻訳したいメールを開いて、翻訳ボタンが機能するか確認します
デスクトップ版Outlookの場合
デスクトップ版では、翻訳設定は少し違う場所にあります。
手順:
- Outlookを起動します
- 「ファイル」タブをクリック
- 「オプション」を選択
- 左側のメニューから「言語」をクリック
- 翻訳関連の設定を確認し、必要に応じて変更します
これで、翻訳機能が復活するはずです。
【解決方法2】Officeを最新バージョンに更新する
Officeのバージョンが古いと、翻訳機能が動作しません。更新してみましょう。
必要なバージョン
2024年1月22日以降、以下のバージョン以上が必要です:
現在チャネル(Current Channel)
- バージョン2311、ビルド17029.20108以上
月次エンタープライズチャネル
- バージョン2310、ビルド16924.20150以上
半期エンタープライズチャネル(2023年7月)
- バージョン2302、ビルド16130.20306以上
更新手順
ステップ1:現在のバージョンを確認
- Outlookを起動します
- 「ファイル」タブをクリック
- 「Officeアカウント」を選択
- 右側に表示される「Outlookのバージョン情報」でバージョン番号を確認します
ステップ2:更新を実行
- 同じ画面で「更新オプション」ボタンをクリックします
- 「今すぐ更新」を選択します
- 更新プログラムのダウンロードとインストールが始まります
- インストールが完了するまで待ちます(数分から十数分かかることがあります)
注意:組織で管理されている場合
会社のパソコンなど、組織で管理されている環境では、「更新オプション」に「更新プログラムはシステム管理者によって管理されています」と表示されることがあります。
この場合は、IT部門に連絡して更新を依頼する必要があります。
ステップ3:Outlookを再起動
- 更新が完了したら、Outlookを完全に終了します
- もう一度Outlookを起動します
- 翻訳機能が使えるか確認します
【解決方法3】接続エクスペリエンスを有効にする

翻訳ボタン自体が表示されない場合は、この設定を確認しましょう。
新しいOutlook(Outlook for Windows)の場合
手順:
- Outlookを起動します
- 画面右上の歯車マーク(設定)をクリック
- 「すべてのOutlook設定を表示」を選択
- 「全般」→「プライバシーとデータ」をクリック
- 「プライバシー設定」までスクロールして、「プライバシー設定」ボタンをクリックします
- 「接続エクスペリエンス」セクションを見つけます
- 「コンテンツを分析するエクスペリエンス」のトグルをオンにします
- 設定を保存してOutlookを再起動します
従来のOutlook(クラシック版)の場合
手順:
- Outlookを起動します
- 「ファイル」→「オプション」をクリック
- 左側のメニューから「トラストセンター」を選択
- 「トラストセンターの設定」ボタンをクリック
- 左側のメニューから「プライバシーオプション」を選択
- 「プライバシー設定」ボタンをクリック
- 「接続エクスペリエンス」セクションで、以下にチェックを入れます:
- 「コンテンツを分析する接続エクスペリエンスを有効にする」
- または「オプションの接続エクスペリエンス」
- 「OK」をクリックしてすべてのウィンドウを閉じます
- Outlookを再起動します
この設定を有効にすることで、翻訳機能だけでなく、他の便利な機能も使えるようになります。
【解決方法4】インターネット接続を確認する
翻訳機能はオンラインサービスを利用するため、安定したインターネット接続が必要です。
基本的な確認
確認ポイント:
- 他のウェブサイトが正常に開くか確認します
- インターネットの速度が極端に遅くないか確認します
- Wi-Fiを使っている場合は、接続が安定しているか確認します
会社のネットワークの場合
社内ネットワークでは、ファイアウォールが翻訳サービスへのアクセスをブロックしている可能性があります。
対処方法:
- IT部門に連絡して、Microsoft Translatorサービスへのアクセスがブロックされていないか確認してもらいます
- 必要に応じて、翻訳サービスのURLをファイアウォールの許可リストに追加してもらいます
VPNを使用している場合
VPN(仮想プライベートネットワーク)を使用していると、翻訳サービスへのアクセスに問題が生じることがあります。
試してみること:
- 一時的にVPNを無効にして、翻訳機能が動作するか確認します
- 動作する場合は、VPNの設定を見直すか、IT部門に相談します
【解決方法5】翻訳アドインを確認・再インストールする
アドインに問題がある場合の対処法です。
アドインの状態を確認する
手順:
- Outlookを起動します
- 「ファイル」→「オプション」をクリック
- 左側のメニューから「アドイン」を選択します
- 画面下部の「管理」ドロップダウンメニューで「COMアドイン」を選択
- 「設定」ボタンをクリックします
- 一覧から「Microsoft Translator」または「Translator for Outlook」を探します
アドインが無効になっている場合
対処方法:
- 「Microsoft Translator」のチェックボックスにチェックを入れます
- 「OK」をクリックします
- Outlookを再起動します
アドインが見つからない場合
新しいバージョンのOutlookでは、翻訳機能は組み込みになっており、別途アドインをインストールする必要はありません。
古いバージョンを使っている場合は、Officeの更新(【解決方法2】参照)を行ってください。
アドインを再インストールする
アドインが破損している可能性がある場合:
手順:
- 上記の手順でアドインのチェックを外して無効にします
- Outlookを再起動します
- もう一度アドインを有効にします
- Outlookを再起動して動作を確認します
【解決方法6】Officeを修復する
ここまでの方法で解決しない場合は、Office自体を修復してみましょう。
クイック修復(推奨)
まずは、時間のかからないクイック修復を試します。
Windows 11の場合:
- 「設定」を開きます(Windowsキー + I)
- 「アプリ」→「インストールされているアプリ」を選択
- 一覧から「Microsoft Office」または「Microsoft 365」を探します
- 右側の「…」(その他のオプション)をクリックして「変更」を選択
- 「クイック修復」を選択します
- 「修復」ボタンをクリックします
- 修復が完了するまで待ちます(通常5〜10分程度)
- Outlookを起動して翻訳機能を確認します
Windows 10の場合:
- 「スタート」→「設定」→「アプリ」→「アプリと機能」を開きます
- 「Microsoft Office」を見つけてクリック
- 「変更」をクリック
- 以降はWindows 11と同じ手順です
オンライン修復
クイック修復で解決しない場合は、より徹底的なオンライン修復を試します。
手順:
- 上記と同じ手順で修復画面を開きます
- 今度は「オンライン修復」を選択します
- 「修復」ボタンをクリックします
- この修復には20〜30分程度かかることがあります
- 修復中はOfficeアプリをすべて閉じておきます
- 完了後、パソコンを再起動してからOutlookを開きます
注意点:
- オンライン修復には、インターネット接続が必要です
- 修復中はOfficeアプリを使用できません
- 時間に余裕があるときに実行しましょう
【解決方法7】キャッシュをクリアする
翻訳機能のキャッシュが破損している場合、クリアすることで解決することがあります。
Outlook on the webの場合
手順:
- 使用しているブラウザのキャッシュをクリアします
Microsoft Edgeの場合:
- 画面右上の「…」(設定とその他)をクリック
- 「設定」→「プライバシー、検索、サービス」を選択
- 「閲覧データをクリア」セクションで「クリアするデータの選択」をクリック
- 「キャッシュされた画像とファイル」にチェックを入れます
- 「今すぐクリア」をクリックします
Google Chromeの場合:
- 画面右上の「⋮」(設定)をクリック
- 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「閲覧履歴データの削除」を選択
- 「キャッシュされた画像とファイル」にチェックを入れます
- 「データを削除」をクリックします
デスクトップ版Outlookの場合
デスクトップ版では、Outlookの一時ファイルをクリアします。
手順:
- Outlookを完全に終了します
- Windowsキー + Rを押して「ファイル名を指定して実行」を開きます
- 以下を入力してEnterキーを押します:
%temp%
- 開いたフォルダーで、「Outlook」で始まるファイルやフォルダーを探します
- これらを削除します(重要なデータは含まれていません)
- Outlookを再起動します
特定のメールだけ翻訳できない場合
すべてのメールではなく、特定のメールだけ翻訳できない場合は、そのメール自体に問題がある可能性があります。
考えられる原因
メールサイズが大きすぎる
非常に長いメールや、多数の画像が含まれるメールは翻訳できないことがあります。
複雑なフォーマット
HTMLメールで複雑なレイアウトや特殊なスタイルが使われていると、翻訳機能が正しく動作しないことがあります。
画像化されたテキスト
テキストが画像として埋め込まれている場合、翻訳対象として認識されません。
添付ファイルの内容
添付されたPDFやWord文書の内容は、メール本文の翻訳機能では翻訳できません。
代替方法
特定のメールが翻訳できない場合は:
方法1:テキストをコピーして翻訳
- メール本文のテキストを選択してコピーします(Ctrl + C)
- Google翻訳やDeepLなどの外部翻訳サービスにアクセスします
- コピーしたテキストを貼り付けて翻訳します
方法2:メールを転送して再翻訳
- 問題のメールを自分宛てに転送します
- 転送されたメールで翻訳を試します
- フォーマットが変わることで翻訳できる場合があります
よくある質問
Q1:「翻訳」ボタンが表示されない
接続エクスペリエンスが無効になっている可能性が高いです。【解決方法3】を試してください。また、Officeのバージョンが古い場合も表示されないので、【解決方法2】でアップデートを行いましょう。
Q2:自動翻訳が機能しない
自動翻訳の設定を確認してください。Outlook on the webの場合、「設定」→「メール」→「メッセージの取り扱い」→「翻訳」セクションで「常に翻訳する」がオンになっているか確認します。
Q3:翻訳された内容が正確でない
Outlookの翻訳機能は機械翻訳です。専門的な内容や微妙なニュアンスは正確に翻訳されないことがあります。重要なメールの場合は、DeepLなど精度の高い翻訳サービスを併用することをおすすめします。
Q4:新しいOutlookでは翻訳機能の場所が違う?
はい、新しいOutlook(Outlook for Windows)では、設定の場所や操作方法が従来のOutlookと異なります。メッセージを開いた状態で、「…」(その他の操作)ボタンから「翻訳」を選択します。
Q5:会社のパソコンで設定変更できない
組織で管理されているパソコンでは、一部の設定を変更できないことがあります。特にグループポリシーで制限されている場合は、IT部門に相談する必要があります。
Q6:翻訳されたメールは保存される?
翻訳されたテキストは15日間キャッシュされます。その期間中は同じメールを開いても即座に翻訳が表示され、再翻訳の必要はありません。ただし、元のメールは変更されず、翻訳は表示のみです。
Q7:複数の言語を一度に翻訳できる?
メール本文は1つの言語にしか翻訳できません。ただし、選択したテキストだけを翻訳する機能を使えば、部分的に違う言語に翻訳することは可能です。
まとめ
Outlookの「現時点ではメッセージを翻訳できませんでした」エラーについて、7つの解決方法を紹介しました。
解決方法の要約:
【解決方法1】翻訳しない言語リストを確認
→ 設定で不要な言語を削除する(最も多い原因)
【解決方法2】Officeを最新バージョンに更新
→ バージョン2311以上にアップデート
【解決方法3】接続エクスペリエンスを有効化
→ プライバシー設定で接続機能をオンにする
【解決方法4】インターネット接続を確認
→ ネットワークやファイアウォールの問題を解決
【解決方法5】翻訳アドインを確認・再インストール
→ アドインの有効化や再読み込みを試す
【解決方法6】Officeを修復
→ クイック修復またはオンライン修復を実行
【解決方法7】キャッシュをクリア
→ ブラウザやOutlookの一時ファイルを削除
問題解決のコツ:
- まずは【解決方法1】の翻訳設定の確認から始めましょう(一番多い原因です)
- 次に【解決方法2】でOfficeのバージョンを確認します
- それでも解決しない場合は、順番に他の方法を試していきます
最後に:
Outlookの翻訳機能は、海外とのコミュニケーションに欠かせないツールです。この記事の方法を試せば、ほとんどの翻訳エラーは解決できるはずです。
それでも解決しない場合は、Microsoft サポートに問い合わせるか、一時的に外部の翻訳サービス(Google翻訳、DeepLなど)を使うことも検討してください。
快適なメール環境で、スムーズなコミュニケーションを楽しんでくださいね!

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