Outlookを使っていて、ふと気づくと「同期の問題」というフォルダーが表示されていたことはありませんか?
中を見ると「競合」「ローカルの失敗」「サーバーの失敗」といった謎のサブフォルダーがあり、「これって削除していいの?」「何のためにあるの?」と不安になる方も多いでしょう。
この記事では、Outlookの「同期の問題」フォルダーについて、その役割から削除方法、さらには根本的なエラー解決まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説していきます。
「同期の問題」フォルダーとは?

基本的な役割
「同期の問題」フォルダーは、Outlookがメールサーバーと情報を同期する際に発生したエラーや問題を記録するためのシステムフォルダーです。
簡単に言うと
OutlookとExchangeサーバー(またはメールサーバー)の間でデータをやり取りする際に何か問題が起きると、その記録がこのフォルダーに保存されるわけです。
どんなときに表示される?
このフォルダーは、以下のような状況で使用されます:
- Outlookをキャッシュモードで使用している
- Exchange、Office 365、IMAPアカウントを使用している
- インターネット接続が不安定
- オフラインで作業した後にオンラインに戻った
- 複数のデバイスで同じアカウントを使用している
重要なポイント
「同期の問題」フォルダーはローカルのみに存在します。つまり、このフォルダーの内容はサーバーには保存されず、他のコンピューターやスマートフォンからは見えません。
3つのサブフォルダーの意味
「同期の問題」フォルダーを展開すると、通常3つのサブフォルダーが表示されます。それぞれの役割を理解しておきましょう。
1. 競合(Conflicts)
何が保存される?
同じメール、タスク、カレンダーイベントなどが、複数の場所で異なる内容に編集された場合に保存されます。
具体例
- 会社のパソコンでメールを編集
- 同時にスマートフォンでも同じメールを別の内容に編集
- 両方が同期されようとして競合が発生
このフォルダーには、競合した両方のバージョンが保存され、どちらを残すか選択できるようになっています。
2. ローカルの失敗(Local Failures)
何が保存される?
Outlookからメールサーバーへの送信に失敗したアイテムが保存されます。
どんなとき?
- メールの送信に失敗
- タスクの更新がサーバーに送れなかった
- カレンダーの応答がサーバーに届かなかった
- オフライン作業中の変更が同期できなかった
Outlookからサーバーへの「アップロード」に問題があるケースです。
3. サーバーの失敗(Server Failures)
何が保存される?
メールサーバーからOutlookへのダウンロードに失敗したアイテムが保存されます。
特徴
- このフォルダーは比較的空のことが多い
- サーバーからのダウンロードエラーは少ない
- オンライン接続時のみ内容が表示される
「同期の問題」フォルダーを表示する方法
このフォルダーは、デフォルトでは非表示になっています。表示させる方法を見ていきましょう。
表示手順
- Outlookを開きます
- 画面左下のナビゲーションウィンドウの一番下にある「…」(3つの点)をクリック
- 表示されるメニューから「フォルダー」を選択
すると、左側のナビゲーションウィンドウがフォルダー一覧表示に切り替わります。
フォルダーの場所
フォルダー一覧の中で、「すべてのOutlookアイテム」または自分のメールアドレスの下に、「同期の問題」フォルダーが表示されているはずです。
左側の「+」マークをクリックすると、3つのサブフォルダー(競合、ローカルの失敗、サーバーの失敗)が展開されます。
表示されない場合
もし「同期の問題」フォルダーが見つからない場合:
- キャッシュモードを使用していない可能性があります
- POPアカウントを使用している(Exchange/IMAPではない)
- まだ同期エラーが一度も発生していない
「同期の問題」フォルダーの中身を削除する方法
それでは、実際に削除する方法を見ていきましょう。
個別に削除する
手順
- 「同期の問題」フォルダーまたはサブフォルダーを開く
- 削除したいメッセージを選択
- Deleteキーを押す、または右クリックして「削除」を選択
これで、選択したメッセージが削除済みアイテムフォルダーに移動します。
複数のメッセージをまとめて削除
方法1:すべて選択
- フォルダー内の任意のメッセージをクリック
- Ctrl + Aを押してすべてを選択
- Deleteキーを押す
方法2:範囲選択
- 最初のメッセージをクリック
- Shiftキーを押しながら最後のメッセージをクリック
- Deleteキーを押す
方法3:個別選択
- 最初のメッセージをクリック
- Ctrlキーを押しながら、削除したい他のメッセージをクリック
- Deleteキーを押す
フォルダーを空にする
すべてのメッセージを一度に削除したい場合:
- 「同期の問題」フォルダーを右クリック
- 「フォルダーを空にする」を選択(この項目がある場合)
フォルダー自体は削除できるの?
重要な事実
「同期の問題」フォルダー自体は削除できません。
このフォルダーはOutlookのシステムフォルダーであり、プログラムが自動的に作成・管理しているため、削除しようとしても「削除」オプションがグレーアウトしています。
なぜ削除できないの?
- Outlookの動作に必要な機能だから
- 同期エラーを記録するための場所が必要だから
- キャッシュモードを使用している限り必要だから
唯一の例外:Outlook Web App(OWA)を使う
一部の古い報告では、Outlook Web Appからアクセスするとフォルダー自体を削除できたという情報がありますが、これは推奨されません。
理由:
- システムフォルダーを削除すると予期しない動作が起きる可能性がある
- 次回の同期時に再び作成される
- エラーログを確認できなくなる
結論:フォルダー自体の削除は諦めて、中身を定期的に削除する方が安全です。
フォルダーを再び非表示にする方法
中身を削除した後、フォルダー自体を見えなくしたい場合は、表示を元に戻しましょう。
非表示にする手順
- 画面左下のナビゲーションウィンドウで「…」(3つの点)をクリック
- 「メール」を選択
これで、通常のメールフォルダー表示に戻り、「同期の問題」フォルダーは見えなくなります。
同期エラーを根本的に解決する方法
「同期の問題」フォルダーに頻繁にメッセージが溜まる場合は、根本的な原因を解決する必要があります。
解決方法1:オフラインアイテムをクリア
特定のフォルダーに問題がある場合、このフォルダーのオフラインキャッシュをクリアすることで解決できます。
手順
- 問題が発生しているフォルダー(例:受信トレイ、カレンダー)を右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「全般」タブで「オフラインアイテムをクリア」ボタンをクリック
- 「OK」をクリック
- Outlookリボンの「送受信」タブから「フォルダーの更新」をクリック
これで、フォルダーが再同期されます。
解決方法2:OSTファイルの再作成
OSTファイル(オフラインストレージファイル)が破損している場合、新しく作り直すのが効果的です。
重要:この方法はExchange、Office 365、IMAPアカウント専用です
手順
- Outlookを完全に終了します
- Windowsエクスプローラーで以下のフォルダーを開きます:
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\Outlook - 拡張子が
.ostのファイルを探します - このファイルを別の場所に移動するか、名前を変更します
例:メールアドレス.ost→メールアドレス_old.ost - Outlookを起動します
Outlookは自動的に新しいOSTファイルを作成し、サーバーからデータを再ダウンロードします。
注意点
- メールボックスのサイズによっては、再同期に数時間かかることがあります
- 安定したインターネット接続環境で実行してください
- 古いOSTファイルはしばらく保管しておくことをおすすめします
解決方法3:Outlookプロファイルの修復
アカウント設定に問題がある場合は、修復を試してみましょう。
手順
- 「ファイル」→「アカウント設定」→「アカウント設定」をクリック
- 「メール」タブで、問題のあるアカウントを選択
- 「修復」ボタンをクリック
- 画面の指示に従って修復を完了させる
- Outlookを再起動
解決方法4:/resetfoldersスイッチを使う
同期エラーが削除済みアイテムに保存される場合、このスイッチでフォルダー設定を初期化できます。
手順
- Windows + Rキーを押して「ファイル名を指定して実行」を開く
- 以下を入力:
outlook.exe /resetfolders - Enterキーを押してOutlookを起動
これで、フォルダー設定が初期化され、同期ログが正しい場所に保存されるようになります。
自動削除を設定する方法

毎回手動で削除するのは面倒ですよね。自動的に削除する方法を設定しましょう。
自動アーカイブを使う
Outlookの自動アーカイブ機能を使えば、古い同期ログを自動的に削除できます。
設定手順
- 「ファイル」タブをクリック
- 「オプション」を選択
- 「詳細設定」をクリック
- 「自動整理」セクションの「自動整理の設定」ボタンをクリック
- 「自動整理を有効にする」にチェックを入れる
- 整理の頻度を設定(例:14日ごと)
- 「古いアイテムを削除する」を選択
- 期間を設定(例:7日より古いアイテム)
- 「OK」をクリック
特定のフォルダーに対して設定
- 「同期の問題」フォルダーを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「自動整理」タブをクリック
- 「このフォルダーを自動整理で処理する」にチェック
- 「次の期間が経過したアイテムを削除する」を選択
- 期間を設定(例:3日)
- 「OK」をクリック
VBAマクロを使う(上級者向け)
プログラミングの知識がある方は、VBAマクロを使って起動時に自動削除することもできます。
詳しくは、Outlookのマクロ機能に関する専門的なガイドを参照してください。
同期エラーが頻発する主な原因
根本的な解決のために、エラーが起きる原因を理解しておきましょう。
1. インターネット接続の問題
症状
- 接続が不安定
- 速度が遅い
- 頻繁に切断される
対策
- Wi-Fiの電波状況を確認
- 有線接続に切り替える
- ルーターを再起動する
2. サーバー設定の誤り
症状
- 特定のフォルダーだけ同期しない
- 送信はできるが受信ができない
対策
- アカウント設定を確認
- サーバー名、ポート番号、認証設定を再確認
- プロバイダーの公式サイトで正しい設定を確認
3. ファイアウォール・アンチウイルスの干渉
症状
- セキュリティソフトをオフにすると同期する
- 特定のポートがブロックされている
対策
- Outlookをセキュリティソフトの除外リストに追加
- ファイアウォールでOutlookの通信を許可
4. OSTファイルの破損
症状
- 特定のフォルダーが表示されない
- メールの件数が合わない
- 同期が途中で止まる
対策
- OSTファイルを再作成(前述の方法)
- 受信トレイ修復ツールを使用
5. メールボックスの容量不足
症状
- 「メールボックスがいっぱいです」というメッセージ
- 新しいメールが受信できない
対策
- 古いメールをアーカイブ
- 不要なメールを削除
- 添付ファイルを整理
6. 複数デバイスでの同時編集
症状
- 競合フォルダーにアイテムが頻繁に表示される
- 同じメールの異なるバージョンが存在
対策
- 一度に1つのデバイスでのみ編集する
- 変更後、同期が完了してから他のデバイスを使う
「削除済みアイテム」に同期ログが保存される場合
まれに、同期ログが「同期の問題」フォルダーではなく「削除済みアイテム」に保存されることがあります。
原因
Outlookの同期ログ生成の仕組みは以下の通りです:
- 削除済みアイテムフォルダーに一時的にログアイテムを生成
- 同期処理のイベントをそのアイテムに書き込む
- エラーが発生したら「同期の失敗」フォルダーに移動
- エラーがなければ生成したアイテムを破棄
この3番目のステップで何らかの理由で移動できなかった場合、削除済みアイテムに残ってしまいます。
解決方法
前述の「/resetfoldersスイッチ」を使用してフォルダー設定を初期化してください。
よくある質問
「同期の問題」フォルダーを削除しても大丈夫?
フォルダーの中身は削除して問題ありません。これはエラーログなので、削除してもOutlookの動作には影響しません。
ただし、エラーの原因が解消されていない場合、再びメッセージが溜まる可能性があります。
フォルダー自体は本当に削除できないの?
はい、通常の方法では削除できません。Outlookのシステムフォルダーであり、キャッシュモードを使用している限り必要です。
毎日大量の同期ログが溜まるのですが?
それは正常ではありません。根本的な同期エラーが発生している証拠です。以下を試してください:
- OSTファイルの再作成
- Outlookプロファイルの修復
- アカウント設定の確認
- インターネット接続の安定性チェック
削除しても何度も表示されるのはなぜ?
エラーの根本原因が解決されていないからです。同期エラーログの内容を確認して、何が問題なのかを特定しましょう。
サーバーの容量を圧迫している?
いいえ、「同期の問題」フォルダーはローカルのみに存在し、サーバーには同期されません。サーバーの容量には影響しません。
Web版Outlookで見える?
いいえ、このフォルダーはローカル専用なので、Outlook Web AppやOWAでは通常表示されません。
他のパソコンでも同じフォルダーが見える?
いいえ、各コンピューター独自のフォルダーです。パソコンAの「同期の問題」とパソコンBの「同期の問題」は別物です。
まとめ
Outlookの「同期の問題」フォルダーについて、重要なポイントをまとめます。
覚えておきたいこと
- 「同期の問題」フォルダーは同期エラーを記録するシステムフォルダー
- フォルダー自体は削除できないが、中身は自由に削除できる
- 3つのサブフォルダーがあり、それぞれ異なる種類のエラーを記録
- ローカルのみに存在し、サーバーには同期されない
- デフォルトでは非表示になっている
削除方法
- 個別またはまとめて削除可能
- 自動アーカイブで自動削除も設定できる
- 削除してもOutlookの動作には影響しない
頻繁に溜まる場合の対処
- OSTファイルを再作成
- Outlookプロファイルを修復
- オフラインアイテムをクリア
- /resetfoldersスイッチを使用
- 根本的な原因(接続、設定、破損)を特定して解決
予防策
- 安定したインターネット接続を維持
- 定期的にOutlookを更新
- メールボックスのサイズを管理
- 複数デバイスでの同時編集を避ける
「同期の問題」フォルダーは、Outlookが正常に動作していない兆候を教えてくれる便利な機能です。定期的に中身を確認し、必要に応じて根本的な問題を解決することで、快適なOutlook環境を維持できます。
エラーが頻発する場合は、無理に対処せず、IT部門や専門家に相談することも検討してくださいね。

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