「Outlookが起動しなくなった…」
「メールの送受信が異常に遅い」
「同期エラーが頻発する」
Outlookで原因不明の不具合が発生した時、最も効果的な解決方法の一つが「プロファイルの再作成」です。
今回は、Outlookのプロファイル再作成について、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。手順通りに進めれば、誰でも安全にプロファイルを再作成できますよ!
Outlookのプロファイルとは?

プロファイルとは、Outlookがメールを送受信するために必要な「設定情報の集まり」のことです。
プロファイルに含まれる情報:
- メールアカウント情報(メールアドレス、パスワードなど)
- データファイルの保存場所(PST/OSTファイル)
- 閲覧ウィンドウの設定
- 仕分けルール
- 署名
- アドレス帳の設定
- 共有メールボックスの設定
わかりやすく例えると:
プロファイル = Outlookの「配線図」
メール本体 = 実際のデータ(別の場所に保存されている)
プロファイルはあくまで「設定」なので、再作成してもメール本体は消えません。
プロファイル再作成が必要な症状
次のような症状が出たら、プロファイルの再作成を検討してください。
①Outlookが起動しない
症状:
- 「Microsoft Outlookを起動できません」エラー
- 起動画面で固まる
- ロゴが表示された後、何も起こらない
- クリックしても反応しない
②起動に異常に時間がかかる
症状:
- 起動まで5分以上かかる
- 「プロファイルを読み込んでいます」で固まる
- CPU使用率が100%になる
③メールの送受信ができない・遅い
症状:
- 「送受信エラー」が頻繁に出る
- 送信トレイに溜まったまま送信されない
- 受信に異常に時間がかかる
- 同期エラーが頻発
④動作が不安定
症状:
- 頻繁にフリーズする
- 操作中に勝手に落ちる
- 「応答なし」が頻発
- 動きがカクカクする
⑤検索機能が使えない
症状:
- メール検索で何も表示されない
- 検索窓に入力できない
- 「検索結果がありません」と表示される(実際にはメールがあるのに)
⑥特定のエラーメッセージが出る
代表的なエラー:
- 「Outlookデータファイルにアクセスできません」
- 「プロファイルが壊れています」
- 「サーバーとの接続が失われました」
- 「操作を完了できませんでした」
⑦設定変更・アップデート後の不具合
こんな時:
- Windows Updateの後から調子が悪い
- Office更新プログラムの後から起動しない
- アカウント追加後から不安定
- プロバイダ変更後からエラー
再作成前の重要な注意事項
プロファイルを再作成する前に、必ず以下を確認してください。
データは消えない?消える設定は?
✅ 消えないもの(サーバーやデータファイルに保存):
- 送受信したメール本文
- 受信トレイのメール
- 送信済みアイテム
- 連絡先
- 予定表(Exchange/Microsoft 365の場合)
- タスク
❌ 消えるもの(プロファイルに保存):
- メールの署名
- 仕分けルール
- 閲覧ウィンドウの設定
- 手動で追加した共有メールボックス
- ビューのカスタマイズ設定
- クイックアクセスツールバーの設定
- オートコンプリートのキャッシュ(メールアドレス入力時の候補)
- ローカルのPSTファイル(手動で再追加が必要)
事前にバックアップすべきもの
①署名をバックアップ
手順:
- Outlookを開く
- ファイル → オプション → メール
- 「署名」ボタンをクリック
- 各署名の内容をメモ帳などにコピーして保存
または、以下のフォルダから署名ファイルをコピー:
C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Roaming\Microsoft\Signatures
②仕分けルールをバックアップ
手順:
- Outlookを開く
- ファイル → 仕分けルールと通知の管理
- 「オプション」をクリック
- 「仕分けルールのエクスポート」
- ファイル名をつけて保存(.rwz形式)
③オートコンプリートのリストをエクスポート(任意)
メールアドレスを入力する時に表示される候補リストです。
ファイルの場所:
C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Local\Microsoft\Outlook\RoamCache\Stream_Autocomplete_*.dat
このファイルをコピーして保存しておきます。
メールアカウント情報を確認
再作成時に必要になるので、以下の情報を確認しておきましょう。
必要な情報:
- メールアドレス
- パスワード
- 受信メールサーバー(POP3/IMAP)
- 送信メールサーバー(SMTP)
- ポート番号
- SSL/TLS設定
※Microsoft 365やExchangeの場合は、メールアドレスとパスワードだけでOKです。
プロファイル再作成の手順(Windows)
それでは、実際にプロファイルを再作成していきましょう。
【準備】Outlookを完全に終了
プロファイルを操作する前に、Outlookを完全に終了させます。
手順:
- Outlookのウィンドウを閉じる
- タスクマネージャーで確認
- Ctrl + Shift + Esc でタスクマネージャーを開く
- 「プロセス」タブで「Outlook」を探す
- もしあれば、右クリック→「タスクの終了」
重要:
Outlookが起動したままだと、プロファイルの操作ができません。
【方法①】コントロールパネルから再作成(推奨)
最も確実で安全な方法です。
ステップ1:コントロールパネルを開く
Windows 10/11の場合:
- スタートボタンを右クリック
- 「コントロールパネル」を選択
または
- スタートボタンをクリック
- 検索欄に「コントロールパネル」と入力
- 表示された「コントロールパネル」をクリック
ステップ2:メール設定を開く
- コントロールパネルで表示方法を「大きいアイコン」に変更
- 右上の「表示方法」で「大きいアイコン」を選択
- 「Mail (Microsoft Outlook)」をクリック
- 「メール」または「Mail」と表示されています
注意:
Outlookを一度も起動したことがない場合、このアイコンは表示されません。
ステップ3:プロファイルの表示
- 「メール設定 – Outlook」ウィンドウが開く
- 「プロファイルの表示」ボタンをクリック
- 「メール」ウィンドウが開き、現在のプロファイル一覧が表示される
ステップ4:新しいプロファイルを追加
重要:古いプロファイルは先に削除しないでください!
新しいプロファイルが正常に動作することを確認してから削除します。
- 「追加」ボタンをクリック
- 「新しいプロファイル」ウィンドウが開く
- プロファイル名を入力
- わかりやすい名前をつけましょう
- 例:「Outlook_新」「Outlook2024」「OutlookNew」など
- 「OK」をクリック
ステップ5:アカウントを設定
A:Microsoft 365 / Exchange / Outlookの場合:
- 「アカウントの追加」ウィンドウが開く
- メールアドレスを入力
- 「接続」または「次へ」をクリック
- パスワードを入力してサインイン
- 「すべてのアプリにサインインしたままにする」では「いいえ、このアプリのみにサインインします」を選択
- セキュリティ上の理由から推奨
- 「セットアップの完了」画面で「完了」をクリック
B:プロバイダーメール(手動設定)の場合:
- 「アカウントの追加」ウィンドウが開いたら「キャンセル」
- または「自分で電子メールやその他のサービスを使うための設定をする(手動設定)」を選択
- 「サービスの選択」で「電子メール」を選択
- POP3またはIMAPを選択
- アカウント情報を入力:
- 名前
- メールアドレス
- アカウントの種類(POP3/IMAP)
- 受信メールサーバー
- 送信メールサーバー
- ユーザー名
- パスワード
- 「詳細設定」で必要に応じて設定:
- ポート番号
- SSL/TLS設定
- 認証方法
- 「次へ」をクリックしてテスト
- 「完了」をクリック
ステップ6:デフォルトプロファイルに設定
- 「メール」ウィンドウに戻る
- 「常に使用するプロファイル」を選択
- ドロップダウンから作成した新しいプロファイルを選択
- 「適用」をクリック
- 「OK」をクリック
ステップ7:Outlookを起動して確認
- Outlookを起動
- 新しいプロファイルで起動することを確認
- メールの送受信をテスト
- 正常に動作することを確認
ステップ8:古いプロファイルを削除(任意)
新しいプロファイルが正常に動作することを確認できたら、古いプロファイルを削除できます。
手順:
- コントロールパネル → Mail → プロファイルの表示
- 古いプロファイルを選択
- 「削除」をクリック
- 確認メッセージで「はい」をクリック
注意:
削除すると元に戻せません。念のため数日間は残しておくことをおすすめします。
【方法②】Shiftキーを使った起動(簡易版)
この方法でもプロファイル選択画面を開けます。
ステップ1:Shiftキーを押しながらOutlookを起動
- キーボードの「Shift」キーを押す
- Shiftキーを押したまま、Outlookのアイコンをダブルクリック
- Outlookが起動するまでShiftキーを押し続ける
ステップ2:プロファイル選択画面
- 「プロファイルの選択」ウィンドウが表示される
- 「オプション」をクリック
- 「新しいプロファイルを作成」を選択
以降は方法①のステップ4以降と同じです。
【方法③】ファイル名を指定して実行
コマンドラインからプロファイル選択画面を開く方法です。
ステップ1:実行ダイアログを開く
- Windowsキー + R を押す
- 「ファイル名を指定して実行」ウィンドウが開く
ステップ2:コマンドを入力
- 以下のコマンドを入力:
outlook.exe /profiles
- Enterキーを押すまたは「OK」をクリック
ステップ3:プロファイル選択
プロファイル選択画面が表示されるので、方法②と同様に操作します。
再作成後の設定
新しいプロファイルを作成したら、以下の設定を行いましょう。
①署名を再設定
手順:
- ファイル → オプション → メール
- 「署名」ボタンをクリック
- 「新規作成」で署名を追加
- バックアップしておいた署名の内容をコピー
または、バックアップしたSignaturesフォルダを元の場所に戻す。
②仕分けルールをインポート
手順:
- ファイル → 仕分けルールと通知の管理
- 「オプション」をクリック
- 「仕分けルールのインポート」
- 保存しておいた.rwzファイルを選択
- 「開く」をクリック
③閲覧ウィンドウを設定
手順:
- 表示タブをクリック
- 「閲覧ウィンドウ」で好みの位置を選択:
- 右
- 下
- オフ
④共有メールボックスを再追加(該当する場合)
手順:
- ファイル → アカウント設定 → アカウント設定
- 「電子メール」タブで「変更」
- 「詳細設定」→「詳細設定」タブ
- 「追加」で共有メールボックスのアドレスを入力
⑤オートコンプリートを復元(任意)
手順:
- Outlookを終了
- バックアップしたStream_Autocomplete_*.datファイルを元の場所に戻す:
C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Local\Microsoft\Outlook\RoamCache\
- Outlookを起動
⑥ローカルPSTファイルを再追加(使用している場合)
手順:
- ファイル → アカウント設定 → アカウント設定
- 「データファイル」タブ
- 「追加」をクリック
- PSTファイルの場所を指定
- 「OK」をクリック
トラブルシューティング
プロファイル再作成中によくある問題と解決方法です。
問題①:「Mail」アイコンが見つからない
原因:
Outlookを一度も起動したことがない、またはOfficeが正しくインストールされていない。
対処法:
- まずOutlookを一度起動してみる
- Officeを修復インストール
問題②:アカウント設定でエラーが出る
原因:
メールアドレスやパスワードが間違っている、またはサーバー設定が間違っている。
対処法:
- メールアドレスとパスワードを再確認
- プロバイダーのサポートページで正しいサーバー設定を確認
- インターネット接続を確認
問題③:メールが同期されない
原因:
データファイルの作成に時間がかかっている、またはネットワークの問題。
対処法:
- しばらく待つ(大量のメールがある場合、数時間かかることも)
- インターネット接続を確認
- ファイアウォールやウイルス対策ソフトの設定を確認
問題④:古いメールが表示されない
原因:
- POPアカウントでサーバーからメールが削除されている
- 同期期間の設定が限定されている
対処法:
同期期間を延ばす:
- ファイル → アカウント設定 → アカウント設定
- アカウントを選択して「変更」
- 「詳細設定」→「送受信」タブ
- 「メールを残す期間」を「すべて」に変更
問題⑤:プロファイルの削除ができない
原因:
Outlookが起動している、または使用中のプロファイル。
対処法:
- Outlookを完全に終了
- タスクマネージャーでOutlookのプロセスを確認して終了
- 使用中のプロファイルは削除できないので、別のプロファイルをデフォルトに設定してから削除
問題⑥:再作成しても症状が改善しない
原因:
プロファイル以外の問題(Officeの破損、OSの問題、ハードウェアの問題など)。
対処法:
- Officeの修復インストール
- Windows Updateを確認
- ディスクのエラーチェック
- ウイルススキャン
- セーフモードで起動してみる
よくある質問(FAQ)
Q1:プロファイルを再作成するとメールは消えますか?
いいえ、消えません。
理由:
メール本体はサーバーまたはデータファイル(PST/OST)に保存されています。プロファイルはあくまで「設定」なので、再作成してもメール本体には影響しません。
ただし注意:
- 署名
- 仕分けルール
- ビューのカスタマイズ
これらはプロファイルに保存されているため、再設定が必要です。
Q2:複数のプロファイルを作成できますか?
はい、できます。
用途例:
- 仕事用とプライベート用を分ける
- 複数の会社のメールを管理
- テスト用プロファイルを作成
切り替え方法:
Outlookを起動する際に、Shiftキーを押しながら起動すると、プロファイル選択画面が表示されます。
Q3:Officeを再インストールしなくても大丈夫ですか?
はい、プロファイルの再作成だけで改善することが多いです。
Officeの再インストールは、プロファイル再作成でも改善しない場合の最終手段です。
Q4:再作成にかかる時間は?
プロファイル作成自体:5〜10分
メールの再同期:
- メール数が少ない:10分〜30分
- メール数が多い(数千通以上):数時間
同期中もOutlookは使用できますが、完了するまで待つことをおすすめします。
Q5:Macの場合はどうすればいいですか?
Macの場合、プロファイルの概念が異なります。
Mac Outlookのリセット方法:
- Outlookを終了
- Finderで以下のフォルダに移動:
~/Library/Group Containers/UBF8T346G9.Office/Outlook/Outlook 15 Profiles/
- プロファイルフォルダを削除
- Outlookを起動すると新しいプロファイルが作成される
Q6:Exchange/Microsoft 365の場合、再作成は必要ですか?
症状によります。
Exchange/Microsoft 365の場合:
- メールはすべてサーバー上にある
- OSTファイル(ローカルキャッシュ)を削除して再作成する方法もある
OSTファイルの場所:
C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Local\Microsoft\Outlook\
このフォルダの.ostファイルを削除してからOutlookを起動すると、自動的に再作成されます。
Q7:古いプロファイルはいつ削除すればいいですか?
新しいプロファイルで問題なく動作することを確認してから削除してください。
推奨:
最低でも1週間は様子を見る。問題がなければ削除。
Q8:プロファイル再作成でデータが消えた場合は?
万が一の場合、以下を試してください:
①古いプロファイルで起動してみる:
- コントロールパネル → Mail → プロファイルの表示
- 古いプロファイルをデフォルトに設定
- Outlookを起動
②PSTファイルを直接開く:
- ファイル → 開く/エクスポート → Outlookデータファイルを開く
- PSTファイルの場所を指定
③バックアップから復元:
事前にバックアップを取っていれば、そこから復元できます。
Q9:プロファイル再作成は定期的に行うべきですか?
いいえ、必要ありません。
プロファイルの再作成は、不具合が発生した時の対処法です。正常に動作している場合は、再作成の必要はありません。
ただし:
- 年に1回程度、Outlookのキャッシュクリアを行うと動作が軽くなります
- 定期的なバックアップは重要です
Q10:会社のIT部門に相談すべきですか?
企業環境の場合は、IT部門に相談することをおすすめします。
理由:
- 会社独自の設定がある場合がある
- Exchangeサーバーの設定が関係する場合がある
- セキュリティポリシーに関わる可能性がある
Officeの修復インストール(プロファイル再作成でも改善しない場合)
プロファイルを再作成しても症状が改善しない場合は、Office自体の修復を試してください。
クイック修復(推奨)
手順:
- すべてのOfficeアプリケーションを終了
- コントロールパネルを開く
- 「プログラム」→「プログラムと機能」
- 「Microsoft Office」または「Microsoft 365」を選択
- 「変更」をクリック
- 「クイック修復」を選択
- 「修復」をクリック
- 修復完了後、PCを再起動
所要時間:5〜10分
オンライン修復(より徹底的)
クイック修復で改善しない場合:
- 上記と同じ手順で「変更」をクリック
- 「オンライン修復」を選択
- インターネット接続が必要
- 所要時間:20〜30分
まとめ:Outlookプロファイル再作成のステップ
Outlookのプロファイル再作成手順をまとめます。
【事前準備】(所要時間:10分)
- 署名をバックアップ
- 仕分けルールをエクスポート
- メールアカウント情報を確認
- Outlookを完全に終了
【プロファイル再作成】(所要時間:10分)
- コントロールパネル → Mail を開く
- 「プロファイルの表示」をクリック
- 「追加」で新しいプロファイルを作成
- プロファイル名を入力
- メールアカウントを設定
- デフォルトプロファイルに設定
- Outlookを起動して確認
【再設定】(所要時間:10分)
- 署名を再設定
- 仕分けルールをインポート
- 閲覧ウィンドウなどの設定
- 共有メールボックスを再追加(該当する場合)
【確認】(所要時間:数時間)
- メールの送受信をテスト
- 同期が完了するまで待つ
- 数日間様子を見る
- 問題なければ古いプロファイルを削除
【重要なポイント】
- メール本体は消えない(サーバーやデータファイルに保存されている)
- 署名や仕分けルールは再設定が必要
- 古いプロファイルは念のため残しておく
- 同期完了まで時間がかかることがある
Outlookの不具合の多くは、プロファイルの再作成で解決します。この記事を参考に、一つずつ手順を進めてみてください。
それでも改善しない場合は、Officeの修復インストールや、IT部門・Microsoftサポートへの相談を検討しましょう!

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