Outlookを開こうとしたら、「データファイルが見つかりません」というエラーが表示されて困っていませんか?
このエラーが出ると、メールが見られなくなり、仕事に大きな支障が出てしまいます。でも安心してください。ほとんどの場合、適切な対処をすれば解決できるんです。
この記事では、Outlookのデータファイル(PSTファイル・OSTファイル)が見つからない時の原因と、具体的な解決方法を分かりやすく解説します。
- Outlookのデータファイルとは
- 「データファイルが見つかりません」エラーの症状
- データファイルが見つからない主な原因
- 解決方法1:データファイルの場所を確認する
- 解決方法2:パソコン全体からデータファイルを探す
- 解決方法3:データファイルを正しい場所に戻す
- 解決方法4:Outlookでデータファイルの場所を変更する
- 解決方法5:OneDriveのバックアップ機能をオフにする
- 解決方法6:OneDriveからPSTファイルを移動させる
- 解決方法7:ごみ箱から復元する
- 解決方法8:データファイルを修復する(PSTファイルの場合)
- 解決方法9:OSTファイルを削除して再作成する(Exchangeアカウントの場合)
- 解決方法10:新しいOutlookプロファイルを作成する
- データファイルが見つからない時の予防策
- トラブルシューティング:よくある質問
- 注意すべきポイント
- まとめ
Outlookのデータファイルとは

まず、データファイルについて簡単に説明します。
データファイルの種類
Outlookでは、主に2種類のデータファイルが使われています。
PSTファイル(Personal Storage Table)
- 拡張子:.pst
- 用途:POP3やIMAPアカウントのメール、連絡先、カレンダーを保存
- 保存場所:通常はパソコンのローカルドライブ
- デフォルト保存先:C:\Users\(ユーザー名)\ドキュメント\Outlook ファイル\
OSTファイル(Offline Storage Table)
- 拡張子:.ost
- 用途:Exchangeアカウントのオフラインコピーを保存
- 保存場所:パソコンのローカルドライブ
- デフォルト保存先:C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Local\Microsoft\Outlook\
これらのファイルが見つからないと、Outlookは正常に起動できなくなってしまいます。
「データファイルが見つかりません」エラーの症状
このエラーは、いくつかのパターンで表示されます。
よく見られるエラーメッセージ
- 「Outlookデータファイル C:\Users\ユーザー名\ドキュメント\Outlook ファイル\ファイル名.pstは見つかりません」
- 「ファイル C:\Users….pst が見つかりません。.pst ファイルが削除または移動されました」
- 「指定されたファイルC:\Users…のパスが無効です」
- 「Microsoft Outlook を起動できません。Outlook ウィンドウを開けません」
こうしたエラーが出た場合、正しいデータファイルを指定しないとメールが見られない状態になります。
データファイルが見つからない主な原因
エラーが発生する原因は、主に以下の5つです。
原因1:ファイルの場所の指定ミス
Outlookの設定で指定されているファイルの場所と、実際のファイルの保存場所が一致していないケースです。
データファイルを移動したり、設定を変更したりした時に起こりやすくなります。
原因2:ファイルが削除または移動された
意図せずデータファイルを削除してしまった、または別の場所に移動してしまった場合です。
ファイル整理の際に誤って移動させてしまうことがあります。
原因3:OneDriveの自動バックアップ機能との干渉
Windows 10以降では、OneDriveが自動的にドキュメントフォルダーをバックアップしようとします。
しかし、PSTファイルは正常に同期されず、不完全なコピーが作られてしまい、Outlookがエラーを起こすことがあります。
原因4:ネットワークドライブへのアクセス問題
データファイルをネットワークドライブや外付けHDDに保存している場合、接続が切れるとファイルにアクセスできなくなります。
そもそもMicrosoftは、ネットワークドライブ上でのPSTファイルの使用を推奨していません。
原因5:データファイルの破損
ファイル自体が破損している場合、Outlookが正しく読み込めなくなります。
突然のシャットダウンやウイルス感染などが原因で起こることがあります。
解決方法1:データファイルの場所を確認する
まずは、Outlookが参照しているデータファイルの場所を確認しましょう。
確認手順
ステップ1:コントロールパネルを開く
- Windowsマークをクリック
- 「Windowsシステムツール」→「コントロールパネル」を選択
ステップ2:メール設定を開く
- 「ユーザーアカウント」をクリック
- 「Mail (Microsoft Outlook)」をクリック
- 「データファイル」をクリック
ステップ3:ファイルの場所を確認
- エラーが出るメールアカウントを選択
- 「設定」をクリック
- 表示されたパスをメモする
ステップ4:実際のファイル場所を確認
- エクスプローラーを開く
- メモしたパスに移動
- ファイルが実際に存在するか確認
ファイルが存在しない場合は、次の方法に進みましょう。
解決方法2:パソコン全体からデータファイルを探す
データファイルが別の場所に移動している可能性があります。
検索手順
Windowsの検索機能を使う
- エクスプローラーを開く
- 検索ボックスに「.pst」または「.ost」と入力
- 検索結果から該当するファイルを探す
よくある保存場所
- C:\Users\(ユーザー名)\ドキュメント\Outlook ファイル\
- C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Local\Microsoft\Outlook\
- C:\Users\(ユーザー名)\OneDrive\ドキュメント\Outlook ファイル\
- デスクトップ
- ダウンロードフォルダー
ファイルが見つかったら、次の手順で正しい場所に移動させましょう。
解決方法3:データファイルを正しい場所に戻す
ファイルが見つかった場合、Outlookが参照している場所に戻します。
移動手順
ステップ1:Outlookを終了
タスクマネージャーでOutlookのプロセスが完全に終了していることを確認してください。
ステップ2:ファイルをコピー
- 見つかったPST/OSTファイルを右クリック
- 「コピー」を選択
- Outlookが参照している場所(先ほど確認したパス)に移動
- 「貼り付け」を実行
ステップ3:Outlookを起動
正常に起動すれば成功です。
解決方法4:Outlookでデータファイルの場所を変更する
ファイルを移動させずに、Outlookの設定を変更する方法もあります。
設定変更手順
ステップ1:Outlookを終了
必ず完全に終了させてください。
ステップ2:データファイルの設定を開く
- コントロールパネル→「Mail」→「データファイル」をクリック
- エラーが出るアカウントを選択
- 「設定」をクリック
ステップ3:新しい場所を指定
- 「ファイル名」の横にある「参照」をクリック
- 実際にファイルがある場所を指定
- ファイルを選択して「開く」をクリック
- 「OK」をクリックして設定を保存
ステップ4:Outlookを起動
これで正常に起動するはずです。
解決方法5:OneDriveのバックアップ機能をオフにする
OneDriveが原因の場合、バックアップ機能をオフにします。
オフにする手順
ステップ1:OneDriveを開く
- タスクバー右下のOneDriveアイコン(雲のマーク)をクリック
- 右上の設定(歯車のマーク)をクリック
- 「設定」を選択
ステップ2:バックアップを管理
- 「同期とバックアップ」タブをクリック
- 「バックアップを管理」を選択
- 「ドキュメント」の項目をオフにする
- 「変更を保存」をクリック
注意点
ドキュメントのバックアップをオフにすると、ドキュメントフォルダー内のすべてのファイルが同期されなくなります。
重要なファイルは、自分で定期的にバックアップを取るようにしましょう。
解決方法6:OneDriveからPSTファイルを移動させる

OneDriveにPSTファイルが同期されてしまった場合の対処法です。
移動手順
ステップ1:OneDrive内のファイルを確認
- エクスプローラーで「OneDrive」フォルダーを開く
- 「ドキュメント」→「Outlook ファイル」に移動
- PSTファイルがあるか確認
ステップ2:ローカルに移動
- PSTファイルを右クリック→「切り取り」
- C:\Users\(ユーザー名)\ドキュメント\Outlook ファイル\ に移動
- 「貼り付け」を実行
ステップ3:Outlookで場所を再設定
解決方法4の手順で、新しい場所を指定してください。
解決方法7:ごみ箱から復元する
誤って削除してしまった場合、ごみ箱に残っている可能性があります。
復元手順
ステップ1:ごみ箱を確認
- デスクトップのごみ箱を開く
- 拡張子が「.pst」または「.ost」のファイルを探す
ステップ2:ファイルを復元
- 該当ファイルを右クリック
- 「元に戻す」を選択
ファイルが元の場所に戻ります。
解決方法8:データファイルを修復する(PSTファイルの場合)
ファイルが破損している場合、Outlook付属の修復ツールを使います。
修復手順
ステップ1:Outlookを終了
完全に終了させてください。
ステップ2:受信トレイ修復ツールを起動
- エクスプローラーを開く
- 以下の場所に移動
C:\Program Files (x86)\Microsoft Office\root\Office16
または
C:\Program Files\Microsoft Office\root\Office16
- 「SCANPST.exe」をダブルクリック
ステップ3:修復を実行
- 「参照」をクリックして修復するPSTファイルを選択
- 「開始」をクリック
- エラーが見つかったら「修復」をクリック
- 修復完了まで待つ(大容量ファイルの場合は数時間かかることもあります)
ステップ4:Outlookを起動
修復が完了したら、Outlookを起動して動作を確認してください。
注意点
- 修復中はパソコンを使わないようにしましょう
- 重要なデータは事前にバックアップを取っておくと安心です
解決方法9:OSTファイルを削除して再作成する(Exchangeアカウントの場合)
OSTファイルの場合は、削除して再作成する方が簡単です。
再作成手順
ステップ1:OSTファイルの場所を確認
コントロールパネル→「Mail」→「データファイル」で確認してください。
ステップ2:Outlookを終了
完全に終了させます。
ステップ3:OSTファイルを削除
- エクスプローラーでOSTファイルの保存場所に移動
- OSTファイルを右クリック→「削除」
ステップ4:Outlookを起動
起動すると、Outlookが自動的に新しいOSTファイルを作成し、サーバーからデータを同期します。
メリット
- メールデータはサーバーに保存されているので、削除しても大丈夫
- 同期が完了すれば、すべてのメールが復元される
解決方法10:新しいOutlookプロファイルを作成する
プロファイル自体に問題がある場合は、新しく作成します。
作成手順
ステップ1:Outlookを終了
完全に終了させてください。
ステップ2:コントロールパネルを開く
- コントロールパネル→「Mail」をクリック
- 「プロファイルの表示」をクリック
ステップ3:新しいプロファイルを作成
- 「追加」をクリック
- 新しいプロファイル名を入力(例:「Outlook 新規」)
- 「OK」をクリック
ステップ4:メールアカウントを設定
- メールアドレスを入力
- パスワードを入力
- 「次へ」をクリックしてアカウント設定を完了
ステップ5:デフォルトプロファイルを変更
- 「常に使用するプロファイル」を選択
- 新しく作成したプロファイルを選択
- 「OK」をクリック
ステップ6:Outlookを起動
新しいプロファイルで起動し、正常に動作するか確認してください。
データファイルが見つからない時の予防策
今後同じ問題を起こさないための対策を紹介します。
予防策1:データファイルをデフォルトの場所に保存
データファイルは、Outlookのデフォルト保存場所に置くのが最も安全です。
推奨される保存場所
- PSTファイル:C:\Users\(ユーザー名)\ドキュメント\Outlook ファイル\
- OSTファイル:C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Local\Microsoft\Outlook\
予防策2:ネットワークドライブや外付けHDDは避ける
Microsoftは、PSTファイルをネットワークドライブに保存することを推奨していません。
理由
- 接続が不安定になりやすい
- ファイルが破損しやすい
- パフォーマンスが低下する
どうしても外部に保存したい場合は、定期的にローカルにバックアップを取りましょう。
予防策3:定期的にバックアップを取る
重要なメールデータは、定期的にバックアップしておきましょう。
バックアップ方法
- 「ファイル」→「開く/エクスポート」→「インポート/エクスポート」
- 「ファイルにエクスポート」を選択
- 「Outlook データ ファイル (.pst)」を選択
- エクスポートしたいフォルダーを選択
- 保存先を指定してエクスポート実行
月に1回程度、バックアップを取る習慣をつけるといいですね。
予防策4:OneDriveのドキュメントバックアップはオフ
OneDriveとPSTファイルの相性が悪いため、ドキュメントの自動バックアップはオフにしておくことをおすすめします。
予防策5:データファイルのサイズに注意
PSTファイルが大きくなりすぎると、破損のリスクが高まります。
サイズの目安
- Outlook 2007:20GBまで
- Outlook 2010以降:50GBまで
定期的に古いメールを整理するか、アーカイブ機能を使いましょう。
トラブルシューティング:よくある質問
Q1:データファイルの場所が分からない
解決策
- Outlookを起動(エラーが出ても大丈夫)
- 「ファイル」→「アカウント設定」→「アカウント設定」
- 「データファイル」タブを開く
- 「場所」の列でパスを確認
Q2:SCANPSTが見つからない
解決策
エクスプローラーの検索で「SCANPST.exe」を検索してください。
通常は以下のいずれかにあります。
- C:\Program Files (x86)\Microsoft Office\root\Office16
- C:\Program Files\Microsoft Office\root\Office16
Q3:修復しても起動しない
解決策
- データファイルが重度に破損している可能性があります
- 新しいプロファイルを作成してみてください
- それでもダメな場合は、新しいPSTファイルを作成しましょう
Q4:バックアップから復元したい
解決策
- 「ファイル」→「開く/エクスポート」→「Outlook データ ファイルを開く」
- バックアップしたPSTファイルを選択
- 必要なメールを現在の受信トレイにコピー
Q5:複数のPSTファイルがある場合は?
解決策
複数のメールアカウントを使っている場合、それぞれにPSTファイルがあります。
エラーメッセージに表示されているファイル名を確認して、該当するものだけを修復してください。
注意すべきポイント
セキュリティに注意
データファイルには重要な個人情報が含まれています。
外部ドライブやクラウドに保存する場合は、暗号化やパスワード保護を検討しましょう。
システムファイルは触らない
Outlookのインストールフォルダー内のファイルは、むやみに削除や変更をしないでください。
Outlookが起動しなくなる可能性があります。
バージョンの互換性
古いバージョンのOutlookで作成したPSTファイルを、新しいバージョンで開く分には問題ありません。
しかし、逆は互換性の問題が起こる可能性があります。
まとめ
Outlookのデータファイルが見つからないエラーは、適切に対処すれば解決できます。
この記事のポイント
✓ データファイルの場所を確認し、実際にファイルが存在するか確認する
✓ ファイルが見つかったら、正しい場所に戻すか、Outlookの設定を変更する
✓ OneDriveのバックアップ機能はオフにしておく
✓ ファイルが破損している場合は、SCANPST.exeで修復する
✓ OSTファイルの場合は削除して再作成が簡単
✓ 解決しない場合は新しいプロファイルを作成する
✓ 定期的なバックアップで予防する
対処の順番
- データファイルの場所を確認
- パソコン全体からファイルを探す
- OneDrive関連の設定を確認
- ファイルを修復する
- 新しいプロファイルを作成
焦らず一つずつ試していけば、必ずメールにアクセスできるようになります。
万が一、どうしても解決しない場合は、IT部門やパソコンサポートに相談することをおすすめします。大切なメールデータを失わないよう、適切に対処しましょう。

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