朝、パソコンを開いてOutlookを起動したら、突然こんなメッセージが表示されたことはありませんか?
「エラー(0x8004010F):Outlookデータファイルにアクセスできません」
このエラーが出ると、メールの送受信ができなくなり、仕事に大きな支障が出てしまいます。しかし、慌てる必要はありません。
この記事では、Outlookのデータファイルアクセスエラーの原因から、具体的な解決方法まで、初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説していきます。
このエラーは何を意味しているの?

エラーの基本的な意味
「Outlookデータファイルにアクセスできません」というエラーは、Outlookがあなたのメールやカレンダー、連絡先などのデータが保存されているファイルを開けない状態を示しています。
データファイルって何?
Outlookでは、あなたのメール情報を2種類のファイルで管理しています:
- PSTファイル:POPアカウントで使用される個人用のデータファイル
- OSTファイル:Exchange、Office 365、IMAPアカウントで使用されるオフラインデータファイル
このどちらかに問題が起きると、今回のエラーが表示されるわけです。
よく一緒に表示されるエラーメッセージ
このエラーには、いくつかのバリエーションがあります:
- 「エラー(0x8004010F):Outlookデータファイルにアクセスできません」
- 「ファイル○○.pstが見つかりません」
- 「フォルダのセットを開くことができません」
- 「操作に失敗しました。オブジェクトが見つかりませんでした」
どのメッセージも、基本的には同じ問題を指しています。
エラーが起きる主な原因
問題を解決するには、まず原因を理解することが大切です。このエラーが起きる主な理由を見ていきましょう。
1. データファイルの破損
最も一般的な原因が、データファイル自体が壊れてしまうことです。
なぜ破損するの?
- パソコンの突然のシャットダウン
- Outlookの異常終了
- ハードディスクやSSDの物理的な故障
- ウイルスやマルウェアの感染
- ファイルサイズが大きくなりすぎた
特に、数年間使い続けているOutlookアカウントでは、データファイルが数GB以上になることもあり、それが破損の原因になることがあります。
2. Outlookプロファイルの破損
Outlookプロファイルとは、あなたのアカウント設定やデータファイルの場所などの情報を保存している設定ファイルです。
このプロファイルが壊れると、Outlookは正しいデータファイルを見つけられなくなってしまいます。
3. ファイルの場所が変更された
データファイルを別の場所に移動したり、削除してしまったりすると、Outlookは元の場所を探しに行ってしまい、エラーになります。
よくあるケース
- パソコンのクリーンアップ時に誤って移動
- 別のドライブに移動したが設定を変更しなかった
- ファイル整理中に削除してしまった
4. OneDriveの自動バックアップ機能
意外な原因として、OneDriveのバックアップ機能があります。
OneDriveは便利なクラウドストレージサービスですが、PSTファイルは本来同期の対象外なのに、不完全にコピーされてしまい、Outlookが混乱することがあるんです。
Windows 10以降のユーザーで、このエラーに悩まされている方の多くが、この原因に該当します。
5. アンチウイルスソフトやファイアウォールの干渉
セキュリティソフトがOutlookのデータファイルをスキャン中にロックしてしまい、Outlookがアクセスできなくなることがあります。
6. アカウント設定の誤り
サーバー設定やポート番号が間違っていると、メールサーバーとの通信ができず、エラーが表示されることがあります。
解決方法:基本編
それでは、実際の解決方法を見ていきましょう。簡単なものから順番に試してみてください。
方法1:Outlookを再起動する
最も基本的ですが、意外と効果的な方法です。
- Outlookの左上「ファイル」をクリック
- 「終了」を選択
- タスクバーからOutlookを開いて再起動
パソコン自体の再起動も試してみる
Outlookだけでなく、パソコン全体を再起動することで、一時的な問題が解消されることもあります。
方法2:インターネット接続を確認する
Outlookがメールサーバーと通信できないと、エラーが出ることがあります。
- Wi-Fiやイーサネットの接続状態を確認
- 他のウェブサイトが開けるか試してみる
- ファイアウォール設定でOutlookがブロックされていないか確認
解決方法:OneDrive関連
Windows 10以降のユーザーは、まずこの方法を試してみることをおすすめします。
OneDriveのバックアップ機能をオフにする
手順
- PC右下のタスクバーにあるOneDriveアイコン(雲のマーク)をクリック
- 右上の歯車アイコン(設定)をクリック
- 「設定」を選択
- 「同期とバックアップ」タブを開く
- 「バックアップを管理」をクリック
- 「デスクトップ」「ドキュメント」「ピクチャ」のバックアップをオフにする
これでOneDriveによるPSTファイルへの干渉が止まります。
PSTファイルをローカルフォルダに移動する
OneDriveの影響を完全に避けるため、PSTファイルをローカルのフォルダに移動しましょう。
手順
- Outlookを終了します
- エクスプローラーで以下の場所を開きます:
C:\Users\ユーザー名\Documents\Outlook Files - PSTファイル(○○.pstという名前)を見つけます
- 新しいフォルダを作成します(例:
C:\OutlookData) - PSTファイルをこの新しいフォルダにコピーまたは移動します
- Outlookを起動します
- 「ファイル」→「アカウント設定」→「アカウント設定」をクリック
- 「データファイル」タブを開きます
- 古い場所のPSTファイルを削除し、新しい場所のファイルを追加します
解決方法:受信トレイ修復ツール
Microsoftが提供している公式の修復ツールを使ってみましょう。
受信トレイ修復ツール(scanpst.exe)の使い方
ツールの場所を探す
エクスプローラーで以下の場所を開いてください:
- Outlook 2019/2021/365:
C:\Program Files (x86)\Microsoft Office\root\Office16 - Outlook 2016:
C:\Program Files (x86)\Microsoft Office\root\Office16 - Outlook 2013:
C:\Program Files (x86)\Microsoft Office\Office15
修復の手順
scanpst.exeをダブルクリックして起動- 「参照」ボタンをクリック
- 修復したいPSTまたはOSTファイルを選択
- 「開始」をクリックしてスキャンを実行
- エラーが見つかったら「修復」をクリック
- 修復が完了したらOutlookを起動して確認
注意点
- 修復中はOutlookを終了しておいてください
- 大きなファイルの場合、修復に時間がかかることがあります
- 修復前にファイルのバックアップを取っておくと安心です
解決方法:プロファイルの再作成

プロファイルが破損している場合は、新しく作り直すのが効果的です。
新しいOutlookプロファイルを作成する
手順
- Outlookを終了します
- Windowsの「スタート」ボタンをクリック
- 「コントロールパネル」を開きます
- 「メール(Microsoft Outlook)」をクリック
※見つからない場合は、検索欄で「メール」と入力してください - 「プロファイルの表示」をクリック
- 「追加」ボタンをクリック
- 新しいプロファイル名を入力(例:「新しいプロファイル」)
- 「OK」をクリック
- メールアカウント情報を入力します:
- 名前
- メールアドレス
- パスワード
- 「次へ」をクリックし、設定が完了するまで待ちます
- 「完了」をクリック
新しいプロファイルを既定に設定する
- 「メール」ダイアログボックスの「全般」タブで
- 「常に使用するプロファイル」を選択
- ドロップダウンから新しいプロファイルを選択
- 「OK」をクリック
Outlookを起動すると、新しいプロファイルが使用されます。
古いデータを新しいプロファイルに追加する
新しいプロファイルを作成しても、古いデータは失われません。
- Outlookを起動
- 「ファイル」→「開く/エクスポート」をクリック
- 「Outlookデータファイルを開く」を選択
- 古いPSTファイルを参照して選択
- 「OK」をクリック
これで、古いメールやカレンダーにアクセスできます。
解決方法:OSTファイルの削除と再生成
Exchange、Office 365、IMAPアカウントを使っている場合、OSTファイルは自動で再作成できます。
OSTファイルを削除する手順
注意:この方法はExchange/Office 365/IMAPアカウント専用です
- Outlookを完全に終了します(タスクマネージャーでも確認)
- エクスプローラーで以下の場所を開きます:
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\Outlook - 拡張子が
.ostのファイルを見つけます - このファイルを別の場所(デスクトップなど)に移動するか、名前を変更します
例:メールアドレス.ost→メールアドレス_old.ost - Outlookを起動します
Outlookは自動的に新しいOSTファイルを作成し、サーバーからデータを再ダウンロードします。
所要時間について
メールボックスのサイズによっては、再同期に数時間かかることがあります。インターネット接続が安定している環境で実行してください。
解決方法:アンチウイルスソフトの一時無効化
セキュリティソフトが原因かどうかを確認するため、一時的に無効にしてみましょう。
Windows Defenderを一時的にオフにする
- Windowsの「設定」を開く
- 「更新とセキュリティ」をクリック
- 「Windowsセキュリティ」を選択
- 「ウイルスと脅威の防止」をクリック
- 「設定の管理」をクリック
- 「リアルタイム保護」をオフにする
重要:テスト後は必ずオンに戻してください
もしこれでエラーが解消されたら、Outlookをセキュリティソフトの除外リストに追加しましょう。
サードパーティ製アンチウイルスの場合
- タスクバーのアンチウイルスアイコンを右クリック
- 「保護を無効化」または「一時停止」を選択
- 無効化する時間を選択(15分程度で十分です)
- Outlookで送受信を試してみる
解決方法:アカウント設定の確認
サーバー設定が正しくないと、このエラーが出ることがあります。
アカウント設定を確認する手順
- Outlookを開く
- 「ファイル」タブをクリック
- 「アカウント設定」→「アカウント設定」を選択
- エラーが出ているメールアカウントをダブルクリック
- 「詳細設定」をクリック
- 「詳細設定」タブを開く
確認すべき項目
- 受信サーバー(IMAP/POP3):正しいサーバー名とポート番号
- 送信サーバー(SMTP):正しいサーバー名とポート番号
- 暗号化方式:SSL/TLSの設定
プロバイダーの公式サイトで、正しい設定値を確認してください。
解決方法:データファイルの場所を確認する
ファイルが移動されている場合、正しい場所を指定し直す必要があります。
現在のデータファイルの場所を確認
- Outlookを開く(エラーが出ても「OK」をクリックして進む)
- 「ファイル」→「アカウント設定」→「アカウント設定」をクリック
- 「データファイル」タブを開く
- リストにあるファイルのパスをメモする
ファイルが実際に存在するか確認
- エクスプローラーを開く
- メモしたパスを入力して移動
- ファイルが存在するか確認
ファイルが見つからない場合
- PC全体で
.pstまたは.ostファイルを検索 - バックアップがあれば復元する
- 見つかったら、Outlookで新しい場所を指定し直す
それでも解決しない場合は?
Microsoft公式サポートツールを使う
Microsoft Support and Recovery Assistant(SaRA)という公式ツールがあります。
- Microsoft公式サイトからダウンロード
- インストールして実行
- 「Outlook」を選択
- 「Outlookでメールの送受信ができません」を選択
- 画面の指示に従って診断と修復を実行
専門業者への相談を検討する
以下の場合は、データ復旧の専門業者に相談することをおすすめします:
- 重要なビジネスメールが含まれている
- 上記の方法をすべて試しても改善しない
- ハードディスクやSSDに物理的な障害の兆候がある
- パソコンの動作が全体的に不安定
専門業者に相談すべき兆候
- パソコンの起動が極端に遅い
- Outlookだけでなく他のアプリも不安定
- 異音がする
- データが勝手に消える
こうした症状がある場合、ストレージの故障が疑われるため、早めに専門家に診てもらうのが安全です。
予防策:今後エラーを防ぐために
定期的なバックアップ
最も重要なのは、定期的にPSTファイルをバックアップすることです。
バックアップの方法
- Outlookを終了
- PSTファイルを外付けハードディスクやクラウドストレージにコピー
- 週に1回程度の頻度で実行
データファイルのサイズ管理
大きくなりすぎたデータファイルは、破損のリスクが高まります。
サイズを管理する方法
- 古いメールをアーカイブする
- 不要なメールや添付ファイルを削除する
- 複数のPSTファイルに分割する
目安として、PSTファイルは5GB以下に保つのが理想的です。
OutlookとWindowsを最新に保つ
古いバージョンにはバグが含まれていることがあります。
- Windows Updateを定期的に実行
- Officeの更新プログラムを適用
- 最新バージョンへのアップグレードを検討
OneDriveのバックアップ機能は慎重に
便利なOneDriveですが、PSTファイルとの相性には注意が必要です。
- ドキュメントフォルダにPSTファイルを置かない
- 専用のローカルフォルダ(例:C:\OutlookData)を作成して保存
- OneDriveのバックアップ対象から除外
よくある質問
エラーが出てもメールは消えないの?
基本的に、エラーが出ただけではメールは消えません。データファイル自体が破損していない限り、適切な対処で復旧できます。
ただし、誤った操作や無理な修復を繰り返すと、データが失われる可能性があるため、慎重に対処することが大切です。
PSTファイルとOSTファイルの違いは?
PSTファイル(Personal Storage Table)
- POPアカウントで使用
- データはローカルに保存
- バックアップが重要
OSTファイル(Offline Storage Table)
- Exchange、Office 365、IMAPアカウントで使用
- サーバーとの同期用
- 削除しても再作成可能
受信トレイ修復ツールでデータは失われる?
受信トレイ修復ツールは基本的に安全ですが、破損がひどい場合、一部のデータが失われる可能性があります。
そのため、修復前にPSTファイルのバックアップを取っておくことをおすすめします。
会社のパソコンでも同じ方法で大丈夫?
基本的な対処法は同じですが、会社のパソコンの場合は以下に注意してください:
- 設定変更前にIT部門に相談する
- 勝手にプロファイルを削除しない
- セキュリティソフトの無効化は事前に確認
特に、Exchange Serverを使っている環境では、管理者の権限が必要な場合があります。
まとめ
「Outlookデータファイルにアクセスできません」というエラーは、誰にでも起こりうる問題ですが、適切に対処すれば多くの場合解決できます。
解決の基本手順
- まずは再起動してみる
- OneDriveのバックアップ機能を確認
- 受信トレイ修復ツールを試す
- 新しいプロファイルを作成する
- それでもダメなら専門家に相談
予防のポイント
- 定期的なバックアップを忘れずに
- データファイルのサイズを適切に管理
- OneDriveとの干渉に注意
- システムを最新に保つ
エラーが出たときは焦らず、この記事の手順を一つずつ試してみてください。ほとんどの場合、適切な対処で元通りに使えるようになります。
どうしても解決しない場合や、重要なデータが含まれている場合は、無理せず専門業者に相談することも選択肢の一つです。
皆さんのOutlookが無事に復旧することを願っています!

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