「Outlookでメールを書いているとき、コピーした文章が貼り付けられない…」
メール作成中に、他のアプリやWebページからテキストをコピーして貼り付けようとしたのに、何も起こらないという経験はありませんか?Ctrl + V を押しても反応しない、右クリックメニューの「貼り付け」がグレーアウトしている、といった症状が出ることがあります。
Outlookでペースト(貼り付け)ができない問題は、アドインの不具合、一時ファイルの破損、Officeの設定問題など、様々な原因で発生します。この問題は突然起きることもあれば、Officeのアップデート後に発生することもあるんです。
この記事では、Outlookでペーストできない原因と、状況別の具体的な解決方法を詳しく解説します。基本的な対処法から上級者向けの修復方法まで、順番に試していきましょう。
ペーストできない問題の症状

まず、どんな症状が出るのか確認しておきましょう。
典型的な症状
症状1:Ctrl + V が反応しない
キーボードショートカット(Ctrl + V)を押しても、何も貼り付けられません。
症状2:右クリックメニューの「貼り付け」が使えない
右クリックメニューを開いても、「貼り付け」オプションがグレーアウト(薄い色)していてクリックできません。
症状3:リボンの「貼り付け」ボタンが無効
「ホーム」タブや「メッセージ」タブの「貼り付け」ボタンがクリックできない状態になっています。
症状4:特定のアプリからのみペーストできない
Outlook内でのコピー&ペーストは可能だが、ExcelやWebブラウザからコピーした内容だけ貼り付けられません。
症状5:書式が崩れる
貼り付けはできるものの、意図しない書式になったり、文字化けしたりします。
影響範囲の確認
まず、問題の範囲を確認しましょう。
Outlookだけの問題か?
Word、Excel、メモ帳など、他のアプリケーションでペーストできるか試してください。
Outlook以外でもペーストできない場合、Windows全体のクリップボード機能に問題がある可能性があります。
すべてのメールで起きるか?
- 新規メール作成時
- 返信メール作成時
- 予定表の入力時
すべての場面で問題が起きるか確認しましょう。
ペーストできない主な原因
この問題が発生する主な原因を見ていきましょう。
原因1:アドインの干渉
Outlookのアドイン(追加機能)が、クリップボード機能に干渉していることがあります。
特に、セキュリティ関連やPDF変換系のアドインが原因になりやすいです。
原因2:一時ファイルの破損
Outlookが使用する一時ファイルやキャッシュファイルが破損すると、様々な機能に不具合が出ます。
原因3:Officeの破損
Office自体のファイルが破損していると、正常に動作しなくなります。
原因4:ウイルス対策ソフトの影響
一部のセキュリティソフトが、クリップボード機能をブロックすることがあります。
原因5:Windowsクリップボードの問題
Windowsのクリップボード履歴機能や、サードパーティのクリップボードマネージャーとの競合が原因のこともあります。
原因6:レジストリの問題
Windowsレジストリに不整合があると、Officeアプリケーションの機能に影響が出ることがあります。
【最初に試す】基本的なトラブルシューティング
まずは、簡単にできる基本的な対処法を試してみましょう。
対処法1:Outlookを再起動
最もシンプルですが、効果的な方法です。
完全な再起動の手順
- Outlookを閉じる(×ボタンをクリック)
- タスクマネージャー(Ctrl + Shift + Esc)を開く
- 「プロセス」タブで、Outlookのプロセスが残っていないか確認
- 残っている場合は、選択して「タスクの終了」をクリック
- Outlookを再起動
再起動後、コピー&ペーストが動作するか確認してください。
対処法2:Windowsを再起動
Outlookだけでなく、Windows全体を再起動することで解決することもあります。
一時的なメモリの問題やシステムの不整合が解消されます。
対処法3:クリップボードをクリア
Windowsのクリップボードをクリアしてみましょう。
Windows 10/11の場合
- Windows + V キーを押す(クリップボード履歴が開く)
- 「すべてクリア」をクリック
または、コマンドプロンプトを管理者として実行して、以下のコマンドを入力します。
echo off | clip
これでクリップボードが空になります。
対処法4:別の方法でペーストを試す
ショートカットキー以外の方法も試してみてください。
試す方法
- Ctrl + V(ショートカットキー)
- 右クリック→「貼り付け」
- リボンの「貼り付け」ボタン
- Alt キーを押してから、H → V(リボンのキーボード操作)
いずれかの方法で貼り付けられるなら、特定の機能だけに問題があることが分かります。
対処法5:書式なしで貼り付け
通常の貼り付けができない場合、「テキストのみ保持」で試してみましょう。
手順
- テキストをコピー
- Outlookのメール本文にカーソルを置く
- Ctrl + Alt + V を押す(形式を選択して貼り付け)
- 「テキスト」または「Unicodeテキスト」を選択
- 「OK」をクリック
書式情報が問題の原因だった場合、この方法で貼り付けられることがあります。
セーフモードで起動して問題を特定

アドインが原因かどうか確認するため、セーフモードで起動してみましょう。
セーフモードでの起動方法
方法1:ショートカットキーで起動
- Outlookを完全に終了
- Ctrl キーを押しながら、Outlookのショートカットをダブルクリック
- 「Outlookをセーフモードで開始しますか?」と表示されたら「はい」を選択
方法2:ファイル名を指定して実行
- Windows + R キーを押す
- 以下を入力して Enter キーを押す
outlook.exe /safe
セーフモードでの確認
セーフモードで起動すると、すべてのアドインが無効になります。
この状態でコピー&ペーストが正常に動作すれば、アドインが原因だと特定できます。
問題のあるアドインを特定
セーフモードで問題が解決した場合、どのアドインが原因か特定しましょう。
ステップ1:アドインの管理画面を開く
通常モードでOutlookを起動して、「ファイル」→「オプション」→「アドイン」を選択します。
ステップ2:COMアドインを管理
下部の「管理」ドロップダウンで「COMアドイン」を選択して、「設定」ボタンをクリックしてください。
ステップ3:アドインを一つずつ無効化
インストールされているアドインの一覧が表示されます。
- すべてのアドインのチェックを外す
- 「OK」をクリック
- Outlookを再起動
- ペーストが動作するか確認
- 一つずつアドインを有効にしていき、問題が再発するアドインを特定
ステップ4:問題のアドインを無効にする
問題のあるアドインが特定できたら、そのアドインを無効のままにするか、アンインストールしてください。
Outlookの一時ファイルをクリア
一時ファイルが原因の場合、これらを削除することで解決します。
OutlookSecureTempFolderの削除
Outlookが使用する一時フォルダをクリアします。
ステップ1:フォルダの場所を確認
- Windows + R キーを押す
- 以下を入力して Enter キーを押す
%temp%
Tempフォルダが開きます。
ステップ2:OutlookSecureTempFolderを見つける
「OutlookSecureTemp」で始まるフォルダを探してください。
複数ある場合もあります。
ステップ3:Outlookを終了
フォルダを削除する前に、Outlookを完全に終了します。
ステップ4:フォルダを削除
OutlookSecureTempフォルダを右クリック→「削除」を選択してください。
ステップ5:Outlookを再起動
Outlookを起動すると、一時フォルダが自動的に再作成されます。
Officeのキャッシュファイルを削除
ステップ1:Officeのキャッシュフォルダを開く
- Windows + R キーを押す
- 以下を入力して Enter キーを押す
%localappdata%\Microsoft\Office\16.0\
(Office 2016以降の場合。Office 2013の場合は15.0に変更)
ステップ2:Officeを終了
すべてのOfficeアプリケーションを終了します。
ステップ3:OfficeFileCache フォルダを削除
「OfficeFileCache」フォルダを見つけて削除してください。
ステップ4:再起動
Outlookを再起動して、問題が解決したか確認します。
Officeの修復を実行
Officeファイルの破損が原因の場合、修復機能を使います。
クイック修復
ステップ1:コントロールパネルを開く
「設定」→「アプリ」→「インストールされているアプリ」を開きます。
ステップ2:Microsoft Officeを見つける
「Microsoft 365」または「Microsoft Office」を探してください。
ステップ3:変更をクリック
アプリの右側にある「…」(三点メニュー)→「変更」を選択します。
ステップ4:クイック修復を選択
「クイック修復」を選択して、「修復」ボタンをクリックしてください。
インターネット接続は不要で、数分で完了します。
ステップ5:確認
修復完了後、Outlookを起動して問題が解決したか確認しましょう。
オンライン修復
クイック修復で解決しない場合、オンライン修復を試します。
手順
前述と同じ手順で、「オンライン修復」を選択してください。
注意点
- インターネット接続が必要
- 時間がかかる(30分〜1時間程度)
- Officeのすべてのファイルを再インストール
オンライン修復は、より徹底的な修復方法です。
特定の状況での対処法
特定の状況でペーストできない場合の対処法です。
Excelからペーストできない場合
ExcelのデータをOutlookに貼り付けられない場合、以下を試してください。
対処法1:形式を選択して貼り付け
- Excelでデータをコピー
- Outlookで Ctrl + Alt + V を押す
- 「HTML形式」または「Unicodeテキスト」を選択
- 「OK」をクリック
対処法2:Excelを一度閉じる
Excelを開いたまま貼り付けようとすると、うまくいかないことがあります。
コピー後にExcelを閉じてから、Outlookに貼り付けてみてください。
Webページからペーストできない場合
Webブラウザからコピーした内容が貼り付けられない場合の対処法です。
対処法1:メモ帳経由で貼り付け
- Webページからテキストをコピー
- メモ帳を開いて貼り付け(Ctrl + V)
- メモ帳でテキストを選択してコピー(Ctrl + A → Ctrl + C)
- Outlookに貼り付け
書式情報がクリアされて、純粋なテキストになります。
対処法2:HTMLソースからコピー
Webページを右クリック→「ページのソースを表示」から、必要なテキストをコピーする方法もあります。
画像がペーストできない場合
画像をクリップボードからOutlookに貼り付けられない場合の対処法です。
対処法1:ファイルとして保存してから挿入
- 画像をファイルとして保存(右クリック→「名前を付けて画像を保存」)
- Outlookで「挿入」→「画像」から挿入
対処法2:Snipping Toolを使う
Windows標準のSnipping Tool(Windows 11では「Snipping Tool」、Windows 10では「切り取り&スケッチ」)でキャプチャしてから貼り付けてみてください。
上級者向け:レジストリの修正

警告:レジストリの編集は慎重に行ってください。誤った変更はシステムに深刻な問題を引き起こす可能性があります。バックアップを取ってから実行してください。
レジストリエディタを開く
- Windows + R キーを押す
- 「regedit」と入力して Enter キーを押す
- ユーザーアカウント制御が表示されたら「はい」を選択
該当キーを確認
以下のレジストリキーに移動してください。
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office\16.0\Outlook\Options\Mail
(Office 2016以降の場合。Office 2013の場合は15.0に変更)
値を確認・修正
「EditorPreference」という値があるか確認します。
値が「131072」以外になっている場合、これを削除または「131072」に変更してみてください。
Outlookを再起動
レジストリを変更した後、Outlookを再起動して確認します。
Windowsクリップボード履歴の問題
Windows 10/11のクリップボード履歴機能が原因のこともあります。
クリップボード履歴を無効化
ステップ1:設定を開く
「設定」→「システム」→「クリップボード」を開きます。
ステップ2:クリップボードの履歴をオフ
「クリップボードの履歴」トグルをオフにしてください。
ステップ3:確認
Outlookでペーストが正常に動作するか確認します。
問題が解決したら、クリップボード履歴機能との競合が原因だったことが分かります。
よくある質問と回答
特定のメールアカウントでだけペーストできない
アカウント固有の問題の可能性があります。そのアカウントを一度削除して、再追加してみてください。
セーフモードではペーストできる
アドインが原因です。前述の方法で問題のあるアドインを特定して無効化してください。
Office更新後に問題が発生した
新しいバージョンのバグの可能性があります。Officeの更新をチェックして、最新の修正プログラムが提供されていないか確認してください。
プレーンテキスト形式のメールでだけペーストできない
メール形式をHTML形式に変更してみてください。「書式設定」→「HTML」を選択します。
サードパーティのクリップボードマネージャーを使っている
一時的にクリップボードマネージャーを無効化して、問題が解決するか確認してください。競合が原因の場合があります。
まとめ:段階的に対処して問題を解決しよう
Outlookでペーストできない問題の解決方法を解説しました。
重要なポイントをおさらい
- まずは再起動とクリップボードのクリアを試す
- セーフモードで起動してアドインの影響を確認
- 問題のあるアドインを特定して無効化
- 一時ファイルの削除で多くの問題が解決する
- Officeの修復(クイック修復→オンライン修復)
- 上級者はレジストリの確認も選択肢
- Windowsクリップボード履歴機能との競合もチェック
ペーストができないと仕事の効率が大幅に下がってしまいますよね。この記事の対処法を、簡単なものから順番に試していってください。
多くの場合、アドインの無効化か一時ファイルの削除で解決します。それでもダメな場合は、Officeの修復を試してみましょう。あなたのOutlookが正常に動作するようになることを願っています!

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