パソコンが壊れたら、大切なメールはどうなるんだろう…そんな不安を感じたことはありませんか？
Outlookには、メールや連絡先、予定表などの大切なデータをバックアップする機能があります。でも、その方法を知らない人が意外と多いんです。
この記事では、Outlookのバックアップと復元の方法を、初心者の方でも分かるように丁寧に解説します。定期的にバックアップを取っておけば、万が一の時も安心です。
なぜOutlookのバックアップが必要なのか
まず、バックアップの重要性について理解しましょう。
バックアップが必要な理由
1. データ損失から守るため
- パソコンの故障やクラッシュ
- 誤ってメールを削除してしまった
- ウイルス感染によるデータ破損
- ハードディスクの物理的な故障
こうしたトラブルが起きても、バックアップがあれば大切なメールを失わずに済みます。
2. パソコンの買い替え・移行のため
新しいパソコンに変えた時、バックアップがあれば簡単にデータを移行できます。一からメールを設定し直す必要がなくなるんです。
3. メールアカウントの変更
会社のメールから個人のメールに移行する時や、別のメールサービスに変更する時にも役立ちます。
4. 法的な記録保管
ビジネスでは、メールが重要な証拠になることもあります。定期的にバックアップを取っておけば、必要な時にすぐ参照できます。
Outlookのバックアップファイルとは
バックアップについて理解するために、基本を押さえておきましょう。
PSTファイルとは
PST（Personal Storage Table）ファイル
- 拡張子：.pst
- 用途：メール、連絡先、カレンダー、タスクなどを保存
- 対象：POP3やIMAPアカウント
- 特徴：ローカルに保存されるので、オフラインでもアクセス可能
PSTファイルには、Outlookのほぼすべてのデータが含まれています。このファイルをバックアップすれば、Outlookのデータをまるごと保存できるんです。
バックアップに含まれる内容
- 受信トレイのメール
- 送信済みアイテム
- 下書き
- 削除済みアイテム
- 連絡先（アドレス帳）
- カレンダーの予定
- タスク
- メモ
- フォルダーの構造
方法1：Outlookの機能でバックアップする
Outlookに標準で搭載されているエクスポート機能を使う方法です。
バックアップ手順（完全版）
ステップ1：インポート/エクスポートウィザードを開く
- Outlookを起動
- 画面左上の「ファイル」をクリック
- 「開く/エクスポート」をクリック
- 「インポート/エクスポート」をクリック
ステップ2：エクスポートを選択
「実行する処理を選択してください」の一覧から「ファイルにエクスポート」を選択し、「次へ」をクリックします。
ステップ3：ファイル形式を選択
「Outlook データ ファイル (.pst)」を選択して「次へ」をクリックします。
ステップ4：バックアップするフォルダーを選択
バックアップしたいフォルダーを選びます。
すべてのデータをバックアップする場合
- メールアカウント名（一番上の階層）を選択
- 「サブフォルダーを含む」にチェックを入れる
これで、受信トレイ、送信済みアイテム、連絡先、カレンダーなど、すべてのデータがバックアップされます。
特定のフォルダーだけをバックアップする場合
- バックアップしたいフォルダー（例：受信トレイ）だけを選択
- 必要に応じて「サブフォルダーを含む」にチェック
「次へ」をクリックして進みます。
ステップ5：保存先を指定
- 「参照」をクリック
- バックアップファイルを保存する場所を選択
- ファイル名を入力（例：「outlook_backup_2024」）
- 「OK」をクリック
おすすめの保存場所
- デスクトップ（一時的な保存）
- ドキュメントフォルダー内の専用フォルダー
- 外付けHDD
- USBメモリ
- クラウドストレージ（OneDrive、Googleドライブなど）
ステップ6：重複の処理方法を選択
すでにバックアップファイルがある場合、3つの選択肢が表示されます。
- 重複してもインポートする：すべてのアイテムが重複して保存される
- 重複した場合、エクスポートするアイテムと置き換える：既存のデータが上書きされる
- 重複したアイテムを作成しない：既存のデータはそのまま、新しいアイテムだけ追加
初めてバックアップする場合は、どれを選んでも大丈夫です。
「次へ」をクリックします。
ステップ7：パスワードを設定（オプション）
パスワード設定のダイアログが表示されます。
パスワードを設定する場合
- 「パスワード」欄に任意のパスワードを入力
- 「パスワードの確認入力」欄に同じパスワードを入力
- 「OK」をクリック
パスワードを設定すると、バックアップファイルのセキュリティが強化されます。
パスワードを設定しない場合
何も入力せず「OK」をクリックします。
重要
パスワードを忘れると、復元できなくなります。必ずどこかにメモしておきましょう。
ステップ8：バックアップ開始
「完了」をクリックすると、バックアップが開始されます。
進行状況バーが表示され、完了するまで待ちます。メールの量が多い場合は、数分から数十分かかることがあります。
ステップ9：バックアップの確認
指定した保存先に、拡張子が「.pst」のファイルができていれば成功です。
方法2：Webブラウザ版Outlookからバックアップする
Outlook.com（無料版）を使っている場合、ブラウザから直接エクスポートできます。
バックアップ手順（Web版）
ステップ1：Outlook.comにサインイン
ブラウザでOutlook.comにアクセスしてサインインします。
ステップ2：設定を開く
- 画面右上の歯車マークをクリック
- 「Outlookのすべての設定を表示」をクリック
ステップ3：エクスポートを選択
- 左側メニューから「全般」をクリック
- 「プライバシーとデータ」をクリック
- 「メールボックスをエクスポート」をクリック
ステップ4：エクスポート開始
「エクスポート」ボタンをクリックします。
「状態：エクスポート進行中」と表示されます。
注意点
- メールの数が多い場合、完了まで数日かかることがあります
- エクスポートが完了すると、登録メールアドレスに通知が届きます
- ダウンロードリンクは通知から7日間有効です
ステップ5：ダウンロード
通知メールに記載されたリンクからPSTファイルをダウンロードします。
方法3：PSTファイルを直接コピーする
より簡単な方法として、PSTファイルを直接コピーする方法もあります。
直接コピーの手順
ステップ1：PSTファイルの場所を確認
- Outlookを起動
- 「ファイル」→「アカウント設定」→「アカウント設定」をクリック
- 「データファイル」タブを開く
- バックアップしたいアカウントを選択
- 「ファイルの場所を開く」をクリック
エクスプローラーでPSTファイルの保存場所が開きます。
ステップ2：Outlookを終了
PSTファイルをコピーする前に、Outlookを完全に終了させてください。
タスクマネージャーでOutlookのプロセスが残っていないか確認しましょう。
ステップ3：ファイルをコピー
- PSTファイルを右クリック
- 「コピー」を選択
- バックアップ先のフォルダーに移動
- 右クリック→「貼り付け」
注意点
この方法は簡単ですが、Outlookが起動している状態ではコピーできません。必ず完全に終了させてから行ってください。
Outlookのバックアップを復元する方法
バックアップしたデータを復元する手順を説明します。
復元の準備
事前確認
- バックアップファイル（.pst）の保存場所を確認
- パスワードを設定していた場合は、パスワードを用意
- 複数アカウントがある場合は、どのアカウントに復元するか決めておく
復元手順（完全版）
ステップ1：インポート/エクスポートウィザードを開く
- Outlookを起動
- 「ファイル」→「開く/エクスポート」→「インポート/エクスポート」をクリック
ステップ2：インポートを選択
「実行する処理を選択してください」から「他のプログラムまたはファイルからのインポート」を選択し、「次へ」をクリックします。
ステップ3：ファイル形式を選択
「Outlook データ ファイル (.pst)」を選択して「次へ」をクリックします。
ステップ4：バックアップファイルを指定
- 「参照」ボタンをクリック
- バックアップしたPSTファイルを選択
- 「開く」をクリック
ステップ5：重複の処理方法を選択
復元時の重複処理を選びます。
- 重複してもインポートする：バックアップのメールがすべて追加される（重複する可能性あり）
- 重複した場合、インポートするアイテムと置き換える：既存のメールが上書きされる
- 重複したアイテムを作成しない（推奨）：同じメールは追加されない
通常は「重複したアイテムを作成しない」を選ぶのがおすすめです。
「次へ」をクリックします。
ステップ6：パスワードを入力
バックアップ時にパスワードを設定していた場合、パスワード入力画面が表示されます。
設定したパスワードを入力して「OK」をクリックしてください。
ステップ7：インポート先を指定
「インポートするフォルダーの選択」画面が表示されます。
すべてのデータを復元する場合
- 「Outlook データ ファイル」を選択
- 「サブフォルダーを含む」にチェックを入れる
- 「以下のフォルダーにアイテムをインポートする」を選択
- 復元先のアカウントを選択
特定のフォルダーだけを復元する場合
- 復元したいフォルダー（例：受信トレイ）を展開して選択
- 「サブフォルダーを含む」にチェック
「完了」をクリックします。
ステップ8：復元の完了を待つ
インポートが開始されます。進行状況が表示されるので、完了するまで待ちましょう。
データ量が多い場合は、数分から数時間かかることもあります。
ステップ9：復元の確認
受信トレイなどを開いて、メールがきちんと復元されているか確認してください。
方法2：PSTファイルを直接置き換える（上級者向け）
より速く復元したい場合は、PSTファイルを直接置き換える方法もあります。
注意事項
重要
この方法は、現在のOutlookデータをすべて置き換えます。既存のメールを残したい場合は、インポート機能を使ってください。
直接置き換え手順
ステップ1：Outlookを完全に終了
タスクマネージャーでOutlookのプロセスが残っていないか確認します。
ステップ2：現在のPSTファイルの場所を確認
前述の方法で、現在使用しているPSTファイルの場所を確認してください。
ステップ3：既存のPSTファイルをバックアップ
念のため、既存のPSTファイルを別の場所にコピーしておきましょう。
ステップ4：バックアップPSTファイルをコピー
- バックアップしたPSTファイルをコピー
- ステップ2で確認した場所に貼り付け
- 上書き確認が出たら「はい」をクリック
ステップ5：Outlookを起動
Outlookを起動すると、バックアップしたデータが反映されています。
自動バックアップの設定方法
定期的に手動でバックアップするのは面倒ですよね。自動化する方法を紹介します。
Windowsのバックアップ機能を使う
手順
- 「設定」→「更新とセキュリティ」→「バックアップ」を開く
- 「バックアップの追加」をクリック
- バックアップ先のドライブを選択
- 「その他のオプション」をクリック
- 「ファイルのバックアップを実行」の頻度を設定
この方法で、Outlookを含むドキュメントフォルダーが自動的にバックアップされます。
サードパーティのバックアップソフトを使う
より高度なバックアップが必要な場合は、専用ソフトの利用も検討しましょう。
主な機能
- スケジュール設定によ自動バックアップ
- 増分バックアップ（変更部分のみ）
- クラウドへの自動アップロード
- 暗号化とパスワード保護
バックアップの保存場所とベストプラクティス
バックアップをどこに保存すべきか、重要なポイントをお伝えします。
おすすめの保存場所
1. 外付けHDD/SSD
- メリット：大容量、高速、持ち運び可能
- デメリット：物理的な破損のリスク
- おすすめ度：★★★★★
2. USBメモリ
- メリット：小型、持ち運び便利
- デメリット：容量が限られる、紛失しやすい
- おすすめ度：★★★☆☆
3. クラウドストレージ
- メリット：どこからでもアクセス可能、自動同期
- デメリット：セキュリティリスク、月額費用
- おすすめ度：★★★★☆
4. NAS（ネットワークストレージ）
- メリット：複数デバイスから アクセス可能、大容量
- デメリット：初期コストが高い、設定が複雑
- おすすめ度：★★★★☆（企業向け）
バックアップのベストプラクティス
3-2-1ルール
プロが推奨するバックアップの鉄則です。
- 3：データのコピーを3つ持つ
- 2：2種類の異なる媒体に保存（例：HDDとクラウド）
- 1：1つは別の場所に保管（例：自宅と職場）
定期的なバックアップ
- 毎日使う人：週1回
- 週に数回使う人：月1回
- たまに使う人：3ヶ月に1回
バックアップファイルの命名規則
分かりやすいファイル名を付けましょう。
例：
- outlook_backup_2024_12_01.pst
- outlook_全データ_20241201.pst
- outlook_受信トレイのみ_202412.pst
日付を入れておくと、いつのバックアップか分かりやすくなります。
トラブルシューティング：よくある問題と解決策
バックアップや復元で起こりがちな問題とその対処法を紹介します。
問題1：バックアップに時間がかかりすぎる
原因
- メールの数が多すぎる
- 添付ファイルが大きい
- パソコンのスペックが低い
解決策
- フォルダーを分けて複数回に分けてバックアップ
- 不要なメールを事前に削除
- 大きな添付ファイルは別途保存
問題2：バックアップファイルが開けない
原因
- ファイルが破損している
- パスワードを忘れた
- 互換性の問題
解決策
ファイルが破損している場合
- SCANPST.exeで修復を試す
- 別のバックアップファイルを使う
パスワードを忘れた場合
残念ながら、Outlookのパスワードは復元できません。パスワードなしのバックアップを取り直す必要があります。
問題3：インポート後、メールが見つからない
原因
- インポート先のフォルダーを間違えた
- フィルター設定で非表示になっている
- 同期が完了していない
解決策
- すべてのフォルダーを確認
- 検索機能で該当メールを探す
- 「サブフォルダーを含む」にチェックが入っていたか確認
- もう一度インポートをやり直す
問題4：重複したメールが大量に表示される
原因
インポート時に「重複してもインポートする」を選択した
解決策
重複メールを削除する
- 「ファイル」→「オプション」→「アドイン」を開く
- 重複削除アドインをインストール
または手動で削除：
- フォルダーを日付順に並べ替え
- 同じメールを見つけて削除
問題5：バックアップファイルのサイズが大きすぎる
原因
- 長年分のメールが蓄積
- 大きな添付ファイル
- 削除済みアイテムが残っている
解決策
- 削除済みアイテムフォルダーを空にする
- 送信済みアイテムの古いメールを削除
- 大きな添付ファイルは別途保存してメールから削除
- 複数のPSTファイルに分割
新しいパソコンへのデータ移行方法
パソコンを買い替えた時の、Outlookデータ移行手順を説明します。
移行の全体の流れ
- 旧パソコンでバックアップ
- バックアップファイルを新パソコンに転送
- 新パソコンでOutlookをセットアップ
- バックアップを復元
詳細手順
ステップ1：旧パソコンでバックアップ
前述の方法でPSTファイルをエクスポートします。
外付けHDDまたはUSBメモリに保存してください。
ステップ2：新パソコンでOutlookをセットアップ
- Officeをインストール
- Outlookを起動
- メールアカウントを設定
ステップ3：バックアップファイルを転送
外付けHDD/USBメモリから、新パソコンのドキュメントフォルダーなどにコピーします。
ステップ4：データを復元
前述のインポート手順でデータを復元してください。
ステップ5：動作確認
- メールが正しく表示されるか
- 連絡先が復元されているか
- カレンダーの予定が反映されているか
すべて確認できたら移行完了です。
バックアップ時の注意点とセキュリティ
大切なデータを守るための注意点をお伝えします。
セキュリティ対策
1. パスワード保護
バックアップファイルには必ずパスワードを設定しましょう。
特に、会社の機密情報を含むメールがある場合は必須です。
2. 暗号化
より高度なセキュリティが必要な場合は、バックアップファイル自体を暗号化ソフトで暗号化してください。
3. 保存場所の管理
- 外付けHDDは持ち運ばない時は施錠できる場所に保管
- クラウドストレージは二段階認証を有効化
- USBメモリには「Outlook」などと書かず、内容が分からないようにする
やってはいけないこと
NG1：ネットワークドライブへの直接保存
Microsoftは、PSTファイルをネットワークドライブに保存することを推奨していません。
ファイルが破損しやすくなります。
NG2：メールサーバーへのバックアップ放置
「サーバーにメッセージのコピーを残す」設定だけに頼らないでください。
サーバーの容量制限で古いメールが削除されることがあります。
NG3：一度もバックアップを確認しない
バックアップを取ったら、必ず一度は復元できるか確認しましょう。
いざという時にファイルが破損していたら意味がありません。
Exchangeアカウントのバックアップについて
会社でMicrosoft 365やExchange Serverを使っている場合の注意点です。
Exchangeアカウントの特徴
メールの保存場所
- メールはサーバー上に保存
- ローカルには「OSTファイル」というキャッシュコピーが作成される
- OSTファイルはオフライン作業用
Exchangeアカウントのバックアップ方法
方法1：PSTファイルにエクスポート
前述のエクスポート手順で、Exchangeアカウントのメールも PSTファイルに保存できます。
方法2：アーカイブ機能を使う
Microsoft 365には「オンラインアーカイブ」機能があります。
管理者に問い合わせて、有効化してもらいましょう。
注意点
会社のメールをローカルにバックアップする前に、会社のIT部門に確認してください。
セキュリティポリシーで禁止されている場合があります。
まとめ
Outlookのバックアップと復元について、詳しく解説しました。
この記事のポイント
✓ バックアップは「インポート/エクスポートウィザード」で簡単にできる
✓ バックアップファイル（PST）には、メール、連絡先、カレンダーがすべて含まれる
✓ 復元も同じウィザードで、インポートを選ぶだけ
✓ パスワード保護で、バックアップのセキュリティを強化できる
✓ 外付けHDDとクラウドの両方に保存するのがベスト
✓ 定期的なバックアップが重要（週1回または月1回）
✓ 新しいパソコンへの移行も、バックアップがあれば簡単
推奨するバックアップの流れ
- 月1回、定期的にバックアップを取る
- 外付けHDDに保存
- 重要なバックアップはクラウドにもアップロード
- パスワードを設定
- バックアップファイル名に日付を入れる
- 半年に1回、復元テストをする
大切なメールデータを失わないために、今すぐバックアップを取りましょう。
「後でやろう」と思っているうちに、トラブルは突然やってきます。この記事を参考に、ぜひ今日からバックアップの習慣をつけてくださいね。
コメント