ある日突然、Outlookが起動しなくなったり、「プロファイルを読み込めません」というエラーが表示されたり。そんなトラブルに遭遇していませんか?
実は、これらの多くはOutlookプロファイルの破損が原因なんです。
プロファイルが壊れてしまうと、メールの送受信ができなくなったり、過去のメールが見られなくなったりします。でも安心してください。適切な修復方法を実行すれば、元通りに使えるようになることがほとんどです。
この記事では、Outlookプロファイルの修復方法を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
Outlookの「プロファイル」って何?

まず、プロファイルが何なのかを理解しておきましょう。
プロファイルとは
プロファイルとは、Outlookであなたのメールアカウント情報や設定を保存している「入れ物」のようなものです。
この中には、以下のような情報が含まれています:
- メールアカウントの設定(メールアドレス、サーバー情報など)
- 受信したメールのデータファイル(PSTファイル、OSTファイル)
- アドレス帳の情報
- カレンダーやタスクのデータ
- Outlookの各種設定
つまり、プロファイルが壊れると、Outlook全体が正常に動作しなくなってしまうわけです。
プロファイルが壊れる原因
プロファイルが破損する主な原因は:
- Outlookの強制終了や異常終了
- Windowsアップデート時のトラブル
- ウイルスやマルウェアの影響
- ハードディスクの物理的な障害
- データファイルの容量が大きすぎる
- 複数のデバイスで同時にアクセス
こうした状況が重なると、プロファイルのデータが破損してしまうことがあるんですね。
プロファイル修復が必要な症状
こんな症状が出たら、プロファイルに問題がある可能性が高いです。
よくあるエラーメッセージ
- 「Microsoft Outlookを起動できません」
- 「Outlookデータファイルにアクセスできません」
- 「プロファイルを読み込めません」
- 「既定のメールフォルダーを開けません」
- 「セットを検証できませんでした」
その他の症状
- Outlookが起動しない、または起動に異常に時間がかかる
- メールの送受信ができない
- 特定のフォルダが開けない
- Outlookが頻繁にフリーズする、または応答しなくなる
- アドレス帳が表示されない
こうした症状が出ている場合は、プロファイルの修復を試してみる価値があります。
方法1:受信トレイ修復ツールを使う
Microsoftが提供する公式の修復ツールです。最も安全で確実な方法と言えます。
受信トレイ修復ツール(Scanpst.exe)とは
Scanpst.exeは、Outlookのデータファイル(PSTファイルやOSTファイル)をスキャンして、エラーを自動的に修復してくれるツールです。
Outlookをインストールすると、自動的にパソコンに入っています。
Scanpst.exeの場所
バージョンによって場所が違うので、以下から探してみましょう。
Outlook 2019/2021/Microsoft 365(64ビット版)
C:\Program Files\Microsoft Office\root\Office16\SCANPST.EXE
Outlook 2019/2021/Microsoft 365(32ビット版)
C:\Program Files (x86)\Microsoft Office\root\Office16\SCANPST.EXE
Outlook 2016(64ビット版)
C:\Program Files\Microsoft Office\root\Office16\SCANPST.EXE
Outlook 2016(32ビット版)
C:\Program Files (x86)\Microsoft Office\root\Office16\SCANPST.EXE
※見つからない場合は、エクスプローラーの検索で「SCANPST.EXE」と入力して探しましょう。
受信トレイ修復ツールの使い方
ステップ1:Outlookを完全に終了する
タスクマネージャーを開いて、Outlook関連のプロセスがすべて終了していることを確認してください。
ステップ2:Scanpst.exeを起動
- 上記の場所から「SCANPST.EXE」をダブルクリック
- 受信トレイ修復ツールのウィンドウが開く
ステップ3:修復するファイルを選択
- 「参照」ボタンをクリック
- 問題のあるPSTファイルまたはOSTファイルを選択
- PSTファイルの一般的な場所:
C:\Users\[ユーザー名]\Documents\Outlook ファイル - OSTファイルの一般的な場所:
C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Local\Microsoft\Outlook
- 「開始」ボタンをクリック
ステップ4:スキャンの実行
ツールがファイルをスキャンします。ファイルサイズによっては、数分から数十分かかることがあります。
ステップ5:エラーの修復
- エラーが見つかった場合、「修復」ボタンが表示される
- 「修復」をクリック
- 修復が完了するまで待つ
ステップ6:Outlookを起動して確認
修復が完了したら、Outlookを起動して問題が解決したか確認しましょう。
方法2:新しいプロファイルを作成する

修復ツールで解決しない場合は、新しいプロファイルを作ってみましょう。
新規プロファイル作成の手順
ステップ1:コントロールパネルを開く
- Windowsキー + R を押す
- 「control」と入力してEnter
- コントロールパネルが開く
ステップ2:Mail設定を開く
- 表示方法を「小さいアイコン」または「大きいアイコン」に変更
- 「Mail(Microsoft Outlook)」または「メール」を探してクリック
※見つからない場合は、検索ボックスに「mail」と入力してみましょう。
ステップ3:プロファイルの表示
- 「プロファイルの表示」ボタンをクリック
- 現在のプロファイル一覧が表示される
ステップ4:新しいプロファイルを追加
- 「追加」ボタンをクリック
- プロファイル名を入力(例:「Outlook新規」)
- 「OK」をクリック
ステップ5:アカウントの追加
- アカウント設定ウィザードが開く
- メールアドレスを入力
- 「詳細オプション」を展開
- 「自分で自分のアカウントを手動で設定」にチェック(必要に応じて)
- 「接続」をクリック
- パスワードを入力して設定を完了
ステップ6:既定のプロファイルに設定
- プロファイル一覧に戻る
- 「常に使用するプロファイル」を選択
- 作成した新しいプロファイルを選択
- 「OK」をクリック
これで、次回Outlookを起動すると、新しいプロファイルが使用されます。
方法3:既存プロファイルの修復
プロファイル自体は残したまま、設定だけをリセットする方法もあります。
プロファイルの修復手順
ステップ1:コントロールパネルからMail設定を開く
前述の方法でコントロールパネルから「Mail(Microsoft Outlook)」を開きます。
ステップ2:メールアカウントを表示
- 「電子メールアカウント」ボタンをクリック
- アカウント設定ウィンドウが開く
ステップ3:アカウントの修復
- 「電子メール」タブで問題のあるアカウントを選択
- 「修復」ボタンをクリック
- 修復ウィザードに従って進める
- メールアドレスとパスワードを再入力
- 「次へ」をクリックして設定を完了
ステップ4:Outlookを再起動
修復後、Outlookを再起動して動作を確認しましょう。
方法4:データファイルの場所を変更する
データファイルが破損している場合、新しい場所に作り直すことで解決することがあります。
データファイルの再作成手順
ステップ1:アカウント設定を開く
- Outlookを起動(可能な場合)
- 「ファイル」→「アカウント設定」→「アカウント設定」を選択
起動できない場合は、コントロールパネルの「Mail(Microsoft Outlook)」から開きます。
ステップ2:データファイルタブを開く
- 「データファイル」タブをクリック
- 現在のデータファイル一覧が表示される
ステップ3:新しいデータファイルを追加
- 「追加」ボタンをクリック
- 保存場所とファイル名を指定
- 「OK」をクリック
ステップ4:既定に設定
- 作成した新しいデータファイルを選択
- 「既定に設定」ボタンをクリック
- Outlookを再起動
データのバックアップを忘れずに
修復作業を行う前に、必ずデータのバックアップを取っておきましょう。
バックアップすべきファイル
PSTファイル(個人用フォルダー)
場所:
C:\Users\[ユーザー名]\Documents\Outlook ファイル
拡張子が「.pst」のファイルをコピーして、別の場所(外付けHDDやUSBメモリなど)に保存しましょう。
OSTファイル(オフラインフォルダー)
場所:
C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Local\Microsoft\Outlook
※OSTファイルはサーバー側にデータがあれば再同期できるため、必須ではありませんが、念のためバックアップしておくと安心です。
バックアップの手順
- Outlookを完全に終了
- エクスプローラーで上記の場所を開く
- PSTファイル(またはOSTファイル)を右クリック
- 「コピー」を選択
- 別の安全な場所に「貼り付け」
これで、万が一修復に失敗しても、元のデータに戻すことができます。
Office修復機能を使う方法
Outlook単体ではなく、Office全体を修復する方法もあります。
Office修復の手順
ステップ1:コントロールパネルを開く
- Windowsキー + R を押す
- 「control」と入力してEnter
ステップ2:プログラムと機能を開く
- 「プログラムと機能」をクリック
- インストールされているプログラム一覧が表示される
ステップ3:Officeを修復
- 一覧から「Microsoft Office」または「Microsoft 365」を探す
- 右クリックして「変更」を選択
- 修復オプションが表示される
ステップ4:修復の種類を選ぶ
クイック修復:
- 所要時間:数分
- インターネット接続不要
- 軽度の問題に対応
オンライン修復:
- 所要時間:数十分
- インターネット接続が必要
- より深刻な問題に対応
まずは「クイック修復」を試して、解決しなければ「オンライン修復」を実行しましょう。
ステップ5:修復の実行
- 「修復」ボタンをクリック
- 修復が完了するまで待つ
- パソコンを再起動
- Outlookを起動して確認
プロファイルが複数ある場合の切り替え方法
複数のプロファイルを作った場合、起動時に選択できるようにしておくと便利です。
起動時にプロファイルを選択する設定
手順
- コントロールパネルから「Mail(Microsoft Outlook)」を開く
- 「プロファイルの表示」をクリック
- 「使用するプロファイルを選択する」を選択
- 「OK」をクリック
これで、次回Outlookを起動するときに、使いたいプロファイルを選べるようになります。
プロファイル修復後のチェックリスト
修復が完了したら、以下の項目を確認しましょう。
動作確認項目
基本動作:
- [ ] Outlookが正常に起動する
- [ ] エラーメッセージが表示されない
- [ ] 受信トレイが表示される
メール機能:
- [ ] 新しいメールを受信できる
- [ ] メールを送信できる
- [ ] 過去のメールが表示される
- [ ] 添付ファイルが開ける
その他の機能:
- [ ] カレンダーが表示される
- [ ] 連絡先が表示される
- [ ] タスクが表示される
- [ ] アドレス帳が使える
設定の再確認
新しいプロファイルを作った場合、以下の設定を再度行う必要があります:
- メールの署名
- 仕分けルール
- クイックステップ
- 既定のフォント設定
- 送受信の間隔設定
よくある質問と回答
プロファイル修復に関する、よくある疑問にお答えします。
Q1:修復するとメールは消えますか?
基本的には消えません。ただし、念のため修復前にバックアップを取ることを強くおすすめします。
特に受信トレイ修復ツール(Scanpst.exe)は、元のファイルのバックアップも自動で作成してくれるので安心です。
Q2:複数のプロファイルを作っても大丈夫?
問題ありません。プロファイルはいくつでも作成できます。
ただし、それぞれ独立したデータを持つため、ストレージ容量を多く消費する点は注意が必要です。
Q3:古いプロファイルは削除していい?
新しいプロファイルで問題なく動作することを確認してから削除しましょう。
削除する前に、古いプロファイルのPSTファイルをバックアップしておくと安心です。
Q4:Exchange Serverを使っている場合は?
Exchange Serverやマイクロソフト365のアカウントの場合、メールデータはサーバー側に保存されています。
そのため、新しいプロファイルを作成すると、サーバーから自動的にメールが再同期されます。ただし、同期には時間がかかることがあります。
Q5:修復してもエラーが続く場合は?
以下を試してみましょう:
- Windowsアップデートを最新にする
- ウイルス対策ソフトを一時的に無効化してみる
- Outlookのアドインをすべて無効化してみる
- Office全体を修復する(オンライン修復)
- それでもダメなら、Officeの再インストールを検討
トラブル予防のための日頃の対策
プロファイルの破損を予防するために、日頃から心がけたいことです。
定期的なバックアップ
週に1回、または月に1回はPSTファイルをバックアップする習慣をつけましょう。
自動バックアップソフトを使うのもおすすめです。
メールボックスの容量管理
受信トレイに大量のメールを溜め込むと、データファイルが肥大化してエラーの原因になります。
対策:
- 古いメールはアーカイブする
- 不要なメールは定期的に削除
- 大きな添付ファイルは別途保存
正しい終了方法
Outlookを終了するときは、必ず「ファイル」→「終了」から閉じましょう。
×ボタンで閉じるだけでは、バックグラウンドでプロセスが残っていることがあります。
アドインの管理
不要なアドインは無効化しておきましょう。アドインが原因でプロファイルが不安定になることもあるんです。
アドインの確認方法:
- 「ファイル」→「オプション」→「アドイン」
- 使っていないアドインは「無効」にする
まとめ:プロファイル修復で快適なOutlook環境を取り戻そう
Outlookのプロファイルトラブルは、適切な方法で対処すればほとんどの場合解決できます。
この記事のポイント:
- プロファイルはOutlookの設定とデータを保存する重要な要素
- 受信トレイ修復ツール(Scanpst.exe)が最も確実な修復方法
- 新しいプロファイルを作成することで問題を回避できる
- 修復前には必ずデータのバックアップを取る
- Office全体の修復も有効な手段
- 日頃からバックアップと容量管理を心がける
特に重要なのは、修復作業の前にバックアップを取ること。これさえ守っておけば、万が一失敗してもデータを失う心配はありません。
トラブルが発生したら、焦らず一つずつ方法を試していきましょう。きっと、また快適にOutlookが使えるようになりますよ!


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