プロバイダーから届いたメール設定の案内を見て、「POPアカウント」という言葉に戸惑っていませんか?
OutlookでPOPアカウントを設定したいけれど、サーバー名やポート番号など、専門的な項目が多くて難しそう…そう感じる方も多いでしょう。
この記事では、Outlookで初めてPOPアカウントを設定する方でも迷わずできるよう、画面の見方から具体的な設定手順、よくあるトラブルの解決方法まで、分かりやすく解説します。
POPアカウントとは?IMAPとの違い

まず、POPアカウントについて基本的な知識を押さえておきましょう。
POPとは
POP(Post Office Protocol)は、メールサーバーからメールをダウンロードして受信する方式です。
郵便局に届いた手紙を自宅に持ち帰るイメージに似ています。一度ダウンロードしたメールは、通常サーバーから削除されます(設定で残すことも可能)。
POPの特徴
メリット:
- サーバー容量を節約できる
- オフラインでもメールを読める
- メールデータが手元のパソコンに残る
デメリット:
- 複数のデバイスで同じメールを見づらい
- バックアップは自分で管理する必要がある
- スマホとパソコンでメールが分散する
IMAPとの違い
IMAP(Internet Message Access Protocol)は、メールをサーバー上に保存したまま閲覧する方式です。
POPとIMAPの主な違いを表にまとめました。
| 項目 | POP | IMAP |
|---|---|---|
| メールの保存場所 | パソコン | サーバー |
| 複数デバイスでの利用 | 不向き | 最適 |
| オフライン閲覧 | 可能 | 一部可能 |
| サーバー容量 | 節約できる | 使用する |
| 代表的なサービス | プロバイダーメール | Gmail、iCloud |
どちらを選ぶべき?
POPがおすすめの人:
- 1台のパソコンでのみメールを使う
- サーバー容量を節約したい
- プロバイダーメールを使っている
IMAPがおすすめの人:
- スマホとパソコンで同じメールを見たい
- 複数のデバイスを使う
- Gmail、iCloudなどのメールを使っている
設定前に準備するもの
Outlookの設定を始める前に、以下の情報を用意してください。これらはプロバイダーから届いた契約書類や設定案内メールに記載されています。
必要な情報
- メールアドレス(例:example@provider.ne.jp)
- メールパスワード
- 受信メールサーバー名(例:pop.provider.ne.jp)
- 送信メールサーバー名(例:smtp.provider.ne.jp)
- 受信サーバーのポート番号(通常は110または995)
- 送信サーバーのポート番号(通常は25、587、または465)
- 暗号化方式(SSL/TLS、STARTTLS、またはなし)
重要: これらの情報はプロバイダーによって異なります。不明な場合は、必ずプロバイダーのサポートに確認してください。
【方法1】自動設定(簡単・推奨)
まずは自動設定を試してみましょう。多くの場合、メールアドレスとパスワードだけで設定できます。
手順1:アカウント追加画面を開く
初回起動の場合:
- Outlookを起動
- 「Outlook へようこそ」画面が表示される
- メールアドレスを入力して「接続」をクリック
すでにOutlookを使っている場合:
- Outlookを起動
- 左上の「ファイル」をクリック
- 「情報」→「アカウントの追加」をクリック
手順2:メールアドレスを入力
- 「メールアドレス」の欄に設定したいメールアドレスを入力
- 「接続」をクリック
Outlookが自動的にメールサーバーの情報を検出しようとします。
手順3:パスワードを入力
- パスワードの入力画面が表示される
- メールパスワードを入力
- 「接続」をクリック
成功した場合: 「アカウントが正常に追加されました」と表示されます。「完了」をクリックして終了。
失敗した場合: 「アカウントを設定できませんでした」と表示された場合は、次の「手動設定」に進んでください。
【方法2】手動設定(詳細設定)
自動設定がうまくいかない場合や、プロバイダー独自の設定が必要な場合は、手動で設定します。
手順1:手動設定モードを選択
- Outlookを起動
- 「ファイル」→「情報」→「アカウントの追加」をクリック
- メールアドレスを入力
- 「詳細オプション」をクリック
- 「自分で自分のアカウントを手動で設定」にチェックを入れる
- 「接続」をクリック
手順2:アカウントの種類を選択
- アカウントの種類を選択する画面が表示される
- 「POP」をクリック
注意: ここで「IMAP」を選ばないように注意してください。
手順3:受信メールサーバーを設定
「POPアカウントの設定」画面が表示されます。以下の項目を入力します。
受信メール:
| 項目 | 設定内容 | 例 |
|---|---|---|
| サーバー | プロバイダーから通知された受信サーバー名 | pop.example.ne.jp |
| ポート | 995(SSL使用時)または110(非SSL) | 995 |
| このサーバーでは暗号化された接続(SSL/TLS)が必要 | セキュリティのためチェック推奨 | ✓ |
| セキュリティで保護されたパスワード認証(SPA)でのログオンが必要 | 通常はチェックを外す | ☐ |
手順4:送信メールサーバーを設定
送信メール:
| 項目 | 設定内容 | 例 |
|---|---|---|
| サーバー | プロバイダーから通知された送信サーバー名 | smtp.example.ne.jp |
| ポート | 587(STARTTLS)、465(SSL)、または25 | 587 |
| 暗号化方法 | STARTTLS(推奨)またはSSL/TLS | STARTTLS |
| セキュリティで保護されたパスワード認証(SPA)でのログオンが必要 | 通常はチェックを外す | ☐ |
すべて入力したら「次へ」をクリックします。
手順5:パスワードを入力して完了
- パスワード入力画面が表示される
- メールパスワードを入力
- 「パスワードをパスワード一覧に保存する」にチェック(推奨)
- 「接続」をクリック
接続テストが実行され、成功すれば設定完了です。
詳細設定を調整する(必要に応じて)
基本設定だけでは不十分な場合、さらに詳細な設定を調整できます。
詳細設定画面の開き方
- 「ファイル」→「アカウント設定」→「アカウント設定」をクリック
- 設定したいアカウントを選択
- 「変更」をクリック
- 「詳細設定」をクリック
送信サーバータブ
送信サーバーの認証設定:
多くのプロバイダーでは、送信サーバー(SMTP)でも認証が必要です。
- 「送信サーバー」タブをクリック
- 「送信サーバー(SMTP)は認証が必要」にチェック
- 「受信メールサーバーと同じ設定を使用する」を選択
- 「OK」をクリック
詳細設定タブ
サーバーにメールのコピーを残す設定:
POPの場合、デフォルトではダウンロードしたメールがサーバーから削除されます。スマホでも同じメールを見たい場合は、以下の設定を変更します。
- 「詳細設定」タブをクリック
- 「サーバーにメッセージのコピーを置く」にチェック
- 必要に応じて以下も設定
- 「サーバーから削除する:○○日後」
- 「[削除済みアイテム]から削除されたら、サーバーから削除」
- 「OK」をクリック
ポート番号とSSL設定の確認:
| 項目 | 推奨設定 |
|---|---|
| 受信サーバー(POP) | 995 |
| このサーバーは暗号化された接続(SSL/TLS)が必要 | ✓チェック |
| 送信サーバー(SMTP) | 587 |
| 使用する暗号化接続の種類 | STARTTLS |
よくあるエラーと解決方法

設定中や使用中に発生しやすいエラーと、その対処法を紹介します。
エラー1:「接続できませんでした」
原因:
- サーバー名が間違っている
- ポート番号が間違っている
- インターネット接続の問題
解決方法:
- メールアドレス、サーバー名、ポート番号を再確認
- プロバイダーの設定案内と照らし合わせる
- インターネット接続を確認
- ファイアウォールやセキュリティソフトが通信をブロックしていないか確認
エラー2:「パスワードが正しくありません」
原因:
- パスワードの入力ミス
- 大文字・小文字の間違い
- 2段階認証が有効になっている
解決方法:
- パスワードを慎重に再入力(大文字・小文字を区別)
- Caps Lockがオフになっているか確認
- 2段階認証が有効な場合は、アプリ専用パスワードを使用
- パスワードが不明な場合は、プロバイダーでリセット
エラー3:「送信はできるが受信できない」
原因:
- 受信サーバーの設定ミス
- ポート番号が間違っている
- SSL設定が合っていない
解決方法:
- 受信サーバー名を再確認
- ポート番号を確認(SSL使用時は995、非SSLは110)
- SSL/TLSのチェックボックスを確認
- プロバイダーのサポートページで正しい設定を確認
エラー4:「受信はできるが送信できない」
原因:
- 送信サーバーの認証設定が不足
- ポート番号が間違っている
- プロバイダーが25番ポートをブロックしている(OP25B)
解決方法:
- 「送信サーバー」タブで認証設定を確認
- ポート番号を587に変更してみる
- 暗号化方式をSTARTTLSに設定
- プロバイダーが推奨する送信サーバー設定を確認
エラー5:「0x800CCC0E」エラー
原因:
- サーバー名の入力ミス
- DNS解決の問題
- ネットワーク接続の問題
解決方法:
- サーバー名をコピー&ペーストで正確に入力
- 別のWi-Fiやネットワークで試す
- DNSキャッシュをクリア(コマンドプロンプトで「ipconfig /flushdns」)
- パソコンを再起動
セキュリティのベストプラクティス
メール設定では、セキュリティも重要です。
暗号化を有効にする
推奨設定:
- 受信サーバー:SSL/TLS(ポート995)
- 送信サーバー:STARTTLS(ポート587)
暗号化なしの通信(ポート110や25)は、メールの内容が盗聴される危険があります。
強いパスワードを使う
- 8文字以上
- 大文字・小文字・数字・記号を組み合わせる
- 他のサービスと同じパスワードを使わない
- 定期的に変更する
2段階認証を利用する
プロバイダーが2段階認証(2FA)に対応している場合は、必ず有効にしましょう。
その場合、Outlookの設定にはアプリ専用パスワードを使用します。
スマホでも同じメールを見る方法
POPアカウントでも、設定を工夫すればスマホとパソコンで同じメールを見ることができます。
方法1:サーバーにコピーを残す
Outlookの詳細設定で「サーバーにメッセージのコピーを置く」にチェックを入れます。
メリット: スマホでもメールを受信できる
デメリット: サーバー容量を消費する
方法2:IMAPに変更する
複数デバイスで快適に使いたい場合は、POPからIMAPに変更することを検討しましょう。
ただし、プロバイダーがIMAPに対応している必要があります。
よくある質問
POPとIMAPは同時に使える?
同じメールアカウントでPOPとIMAPを同時に使うことは可能ですが、推奨されません。
メールの管理が複雑になり、重複や削除の問題が発生しやすくなります。どちらか一方に統一することをおすすめします。
既存のメールアカウントをPOPからIMAPに変更できる?
Outlook内でPOPからIMAPに直接変更することはできません。
新しくIMAPアカウントを追加し、必要なメールを移行してから、古いPOPアカウントを削除する必要があります。
複数のPOPアカウントを追加できる?
はい、Outlookには複数のPOPアカウントを追加できます。
同じ手順を繰り返して、アカウントを追加してください。それぞれのアカウントは別々のフォルダとして管理されます。
メールが受信できているか確認する方法は?
- Outlookの「送受信」タブをクリック
- 「すべてのフォルダーを送受信」をクリック
- 画面下部のステータスバーで送受信の状況を確認
エラーが表示される場合は、設定を見直す必要があります。
アカウントを削除したい
- 「ファイル」→「アカウント設定」→「アカウント設定」をクリック
- 削除したいアカウントを選択
- 「削除」をクリック
- 確認画面で「はい」をクリック
注意: アカウントを削除すると、そのアカウントで受信したメールもOutlookから削除されます。必要なメールは事前にバックアップしてください。
まとめ
OutlookでPOPアカウントを設定する方法について解説しました。
設定の基本手順:
- 必要な情報(サーバー名、ポート番号など)を用意
- まずは自動設定を試す
- うまくいかない場合は手動設定
- セキュリティのため暗号化を有効にする
- 必要に応じて詳細設定を調整
重要なポイント:
- プロバイダーから提供された設定情報を正確に入力する
- セキュリティのため、SSL/TLSやSTARTTLSを使用する
- 複数デバイスで使う場合は、IMAPの利用も検討する
- エラーが出たら、サーバー名・ポート番号・認証設定を確認
POPは古い技術ですが、プロバイダーメールなどでは今でも広く使われています。この記事の手順に従って設定すれば、初めての方でも確実にメールを使い始めることができるはずです。
それでも解決しない場合は、プロバイダーのサポートに連絡して、正しい設定値を確認することをおすすめします。

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