「パソコンを買い替える時にメールデータを移行したい」「大切なメールを失わないようにバックアップを取りたい」「Outlookから他のメールソフトに移行したい」そんなニーズを抱えていませんか?
実は、Outlookには豊富なエクスポート機能があって、メール、連絡先、予定表などのデータを簡単に保存できるんです。でも、どの形式でエクスポートすれば良いのか、どんな手順で進めれば安全なのか、迷ってしまう方も多いでしょう。
今回は、Outlookのエクスポート機能を徹底解説します。基本的なデータ保存から、他のメールソフトへの移行、トラブル対処法まで、実用的な情報をお届けしますね。
Outlookエクスポートの基本概念

エクスポートとは何か
エクスポートとは、Outlook内に保存されているデータを、外部ファイルとして書き出すことです。これにより、メール、連絡先、予定表などの情報を、Outlook以外の場所でも利用できるようになります。
エクスポートの主な目的:
- バックアップ: 大切なデータの保護
- 移行: 新しいパソコンや別のメールソフトへの引っ越し
- 共有: 他の人やシステムとのデータ共有
- アーカイブ: 古いデータの長期保存
エクスポート可能なデータの種類
Outlookでは、様々な種類のデータをエクスポートできます。
主要なデータ種類:
- メール: 受信、送信、下書き、削除済みアイテム
- 連絡先: 氏名、電話番号、メールアドレス、住所
- 予定表: スケジュール、会議、定期的な予定
- タスク: ToDo リスト、期限、進捗状況
- メモ: 付箋のような短いメモ
- 仕分けルール: メールの自動振り分け設定
フォルダ構造:
- 受信トレイ、送信済みアイテム
- カスタムフォルダ
- 検索フォルダ
- パブリックフォルダ(Exchange環境)
ファイル形式の選択肢
用途に応じて、適切なファイル形式を選択することが重要です。
PST形式(Personal Storage Table):
- Outlook専用の形式
- 完全なデータ保持が可能
- フォルダ構造もそのまま保存
- 他のOutlookで完全復元が可能
CSV形式(Comma Separated Values):
- 連絡先データに適している
- Excel や他のソフトで編集可能
- 汎用性が高い
- メールの詳細情報は保存されない
その他の形式:
- MSG形式: 個別メールファイル
- EML形式: 標準的なメール形式
- vCard形式: 連絡先の標準形式
- iCalendar形式: 予定表の標準形式
次の章では、実際のエクスポート手順を詳しく見ていきましょう。
基本的なエクスポート手順
エクスポートウィザードの起動
Outlookでデータをエクスポートする基本的な手順を説明します。
手順1:エクスポート機能にアクセス
- Outlookを起動
- 「ファイル」タブをクリック
- 「開く/エクスポート」を選択
- 「インポート/エクスポート」をクリック
手順2:エクスポート方法の選択
- 「インポート/エクスポート ウィザード」が開く
- 「ファイルにエクスポート」を選択
- 「次へ」をクリック
手順3:ファイル形式の選択
- エクスポートしたいファイル形式を選択
- Outlook データ ファイル (.pst): 完全バックアップ用
- Microsoft Excel: 連絡先やタスク用
- カンマ区切りの値: 汎用的なデータ交換用
- 「次へ」をクリック
エクスポート対象の選択
どのデータをエクスポートするかを選択します。
フォルダ選択のポイント:
- すべてのデータ: 一番上の階層(メールアカウント名)を選択
- 特定フォルダのみ: 必要なフォルダを個別選択
- サブフォルダ含む: 「サブフォルダーを含む」にチェック
選択例:
? example@company.com
├── ? 受信トレイ ✓
│ ├── ? 重要なメール ✓
│ └── ? プロジェクトA ✓
├── ? 送信済みアイテム ✓
├── ? 下書き ✓
└── ? 削除済みアイテム (選択しない)
ファイル保存先の設定
エクスポートファイルの保存場所を指定します。
推奨保存先:
- デスクトップ: 一時的な作業用
- ドキュメントフォルダ: 個人用バックアップ
- 外付けドライブ: 大容量データや長期保存
- クラウドストレージ: OneDrive、Google Drive など
ファイル名の付け方例:
Outlook_backup_2024_08_03.pst
連絡先_営業部_20240803.csv
メール_プロジェクトA_完了分.pst
注意点:
- ファイル名に日付を含める
- 内容が分かりやすい名前にする
- 特殊文字は避ける
- 定期バックアップの場合は命名規則を統一
メールデータのエクスポート
全メールのバックアップ
すべてのメールデータを一括でエクスポートする方法です。
完全バックアップの手順:
- エクスポートウィザードで「Outlook データ ファイル (.pst)」を選択
- 最上位のメールアカウントを選択
- 「サブフォルダーを含む」にチェック
- 「重複してエクスポートしない」を選択
- 保存先とファイル名を指定
- 「完了」をクリック
エクスポート時間の目安:
- 1GB未満: 5~10分
- 1~5GB: 15~30分
- 5GB以上: 1時間以上
大容量の場合は、時間に余裕がある時に実行しましょう。
特定期間のメール抽出
特定の期間や条件に合うメールのみをエクスポートする方法です。
期間指定エクスポート:
- エクスポート前に検索フォルダを作成
- 検索条件を設定(例:2023年1月~12月)
- 検索結果フォルダをエクスポート対象に選択
検索条件の例:
- 期間: 受信日時が特定の範囲
- 送信者: 特定の人からのメールのみ
- 件名: キーワードを含むメール
- 添付ファイル: 添付があるメールのみ
フォルダ別エクスポート
目的別に整理されたフォルダを個別にエクスポートする場合です。
フォルダ別エクスポートが有効な場面:
- プロジェクト完了時のアーカイブ
- 部署異動時の引き継ぎ
- 顧客別のメール履歴保存
- 法的証拠としての保管
手順:
- エクスポートしたいフォルダを個別選択
- 「サブフォルダーを含む」の設定を確認
- フォルダ名を含むファイル名で保存
- 必要に応じて複数のフォルダを順次エクスポート
ファイル管理のコツ:
- フォルダごとに別ファイルで保存
- 内容が分かるファイル名を付ける
- エクスポート日時を記録
- 定期的に内容を確認
連絡先データのエクスポート

連絡先の形式選択
連絡先データは用途に応じて形式を選択できます。
CSV形式のメリット:
- Excel で編集・加工が容易
- 他のソフトウェアでも利用可能
- データベースへの取り込みが簡単
- 文字化けのリスクが低い
vCard形式のメリット:
- 連絡先ソフトの標準形式
- スマートフォンでも利用可能
- 1件ずつまたは一括で書き出し可能
- 写真なども含めて保存
連絡先エクスポートの詳細手順
連絡先を効率的にエクスポートする方法です。
CSV形式でのエクスポート:
- エクスポートウィザードで「カンマ区切りの値」を選択
- 「連絡先」フォルダを選択
- ファイル名に「連絡先_日付.csv」と入力
- 「完了」をクリック
エクスポート内容の確認:
- 氏名、会社名、部署
- 電話番号(会社、携帯、自宅)
- メールアドレス(複数対応)
- 住所(会社、自宅)
- 役職、誕生日、記念日
データの加工と整理
エクスポートした連絡先データの活用方法です。
Excel での整理例:
- CSVファイルをExcelで開く
- 不要な列を削除
- データの並び替え(五十音順、会社別など)
- 重複データの削除
- 新しい分類を追加
活用例:
- 年賀状リスト: 住所がある連絡先のみ抽出
- 営業リスト: 会社の連絡先を業界別に分類
- 緊急連絡先: 携帯電話番号がある人のみ
- メール配信リスト: メールアドレスがある人のみ
データ品質の向上:
- 古い情報の更新
- 重複エントリの統合
- 不完全なデータの補完
- 分類タグの追加
予定表データのエクスポート
予定表エクスポートの基本
予定表データを外部ファイルとして保存する方法です。
iCalendar形式の特徴:
- 予定表ソフトの標準形式
- Google カレンダーなどでも利用可能
- 定期的な予定も正しく保存
- 会議の参加者情報も含む
エクスポート手順:
- エクスポートウィザードで適切な形式を選択
- 「予定表」フォルダを選択
- 期間を指定(必要に応じて)
- ファイル名を「予定表_年月.ics」などに設定
期間限定エクスポート
特定の期間の予定のみをエクスポートする場合です。
期間指定のメリット:
- ファイルサイズの軽量化
- 必要な情報のみ抽出
- プロジェクト期間の記録保存
- 年次アーカイブの作成
設定可能な期間例:
- 今月の予定のみ
- 四半期の予定
- プロジェクト期間(開始~終了)
- 過去1年間の実績
他のカレンダーソフトへの移行
Outlookから他のカレンダーアプリにデータを移行する方法です。
Google カレンダーへの移行:
- Outlookで予定表をiCalendar形式でエクスポート
- Google カレンダーにログイン
- 「設定」→「インポートとエクスポート」
- エクスポートしたファイルをアップロード
Apple カレンダーへの移行:
- iCalendar形式でエクスポート
- Macの「カレンダー」アプリを開く
- 「ファイル」→「読み込む」
- エクスポートしたファイルを選択
注意点:
- 定期的な予定の設定確認
- 時間帯の設定(タイムゾーン)
- プライベート設定の確認
- 参加者情報の引き継ぎ
その他のデータエクスポート
タスクとメモのエクスポート
ToDo管理やメモ機能のデータ保存方法です。
タスクデータの活用:
- プロジェクト管理ツールへの移行
- 完了タスクの実績記録
- 個人の生産性分析
- チームでの進捗共有
エクスポート可能な項目:
- タスク名、期限、優先度
- 進捗状況、完了日
- カテゴリ、詳細メモ
- 関連する連絡先情報
仕分けルールの保存
メールの自動振り分け設定をバックアップする方法です。
仕分けルールエクスポートの重要性:
- 新しいPCでの設定再現
- 複雑なルール設定の保護
- 他のユーザーとの共有
- 設定変更前のバックアップ
エクスポート手順:
- 「ファイル」→「仕分けルールとアラートの管理」
- 「オプション」をクリック
- 「ルールのエクスポート」を選択
- ファイル名を指定して保存
アカウント設定の保存
メールアカウントの設定情報を保存する方法です。
設定情報の記録項目:
- サーバー情報(IMAP/SMTP)
- ポート番号、暗号化設定
- ユーザー名、認証方式
- フォルダ同期設定
手動での記録推奨: アカウント設定は手動でメモを取ることを推奨します。
アカウント名: 会社メール
メールアドレス: user@company.com
受信サーバー: imap.company.com:993 (SSL)
送信サーバー: smtp.company.com:587 (STARTTLS)
認証: 通常のパスワード認証
トラブルシューティング
エクスポートエラーの対処法
エクスポート時によく発生する問題と解決方法です。
問題1:エクスポートが途中で止まる
- 原因: ファイルサイズが大きすぎる、メモリ不足
- 解決法: フォルダを分割してエクスポート、不要なアプリを終了
問題2:ファイルが破損している
- 原因: エクスポート中の中断、ディスク容量不足
- 解決法: 十分な空き容量を確保してやり直し
問題3:日本語が文字化けする
- 原因: 文字エンコードの問題
- 解決法: UTF-8対応のソフトで開く、CSV形式の場合は Excel で開く
大容量ファイルの処理
大きなメールボックスをエクスポートする際のコツです。
大容量対応の戦略:
- 分割エクスポート: 年単位、フォルダ単位で分割
- 不要データの削除: エクスポート前に削除済みアイテムを空にする
- 段階的実行: 平日の昼間など、PC負荷の少ない時間帯
- ストレージ確保: エクスポート先に十分な空き容量を確保
進行状況の確認:
- エクスポート中はOutlookを他の作業に使わない
- プログレスバーの進行を定期的に確認
- 長時間かかる場合は夜間実行も検討
ファイル形式の互換性問題
異なるソフトウェア間でのデータ移行時の注意点です。
形式別の注意点:
PST → 他のメールソフト:
- 直接読み込みできない場合が多い
- 中間形式(EML、MSG)への変換が必要
- サードパーティツールの利用を検討
CSV → Excel:
- 文字エンコードに注意(UTF-8推奨)
- 日付形式の変換が必要な場合あり
- 改行コードの違いに注意
解決策:
- 事前にテストデータで動作確認
- 複数の形式でエクスポートしておく
- 専用の変換ツールを活用
- 技術サポートへの相談
まとめ
Outlookのエクスポート機能をマスターすることで、大切なメールデータや連絡先情報を安全に保護し、効率的に活用できるようになります。定期的なバックアップは、データ紛失のリスクを大幅に減らす重要な習慣です。
今回のポイントをまとめると:
- 用途に応じて適切なファイル形式を選択する
- 定期的なバックアップでデータ紛失を防ぐ
- エクスポート前の事前準備で作業効率を向上
- 大容量データは分割して段階的に処理
- 他のソフトウェアへの移行も計画的に実行
エクスポート機能は一見複雑に見えますが、基本的な手順を覚えてしまえば、とても便利な機能です。まずは小さなデータから練習して、徐々に大きなデータのエクスポートにチャレンジしてみてください。
適切なデータ管理で、安心してOutlookを活用していきましょう!
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