毎日大量のメールが届いて、受信トレイが混雑状態。重要なメールが埋もれて、探すのに時間がかかる…。
そんな悩みを解決するのが「ボックス分け」(フォルダ分け)です。メールを自動的に振り分けて、種類ごとに整理できれば、メール管理が格段に楽になりますよね。
実は、Outlookには強力な自動振り分け機能が備わっています。一度設定してしまえば、新着メールが自動的に適切なフォルダに振り分けられるんです。
この記事では、Outlookでメールをボックス分けする方法を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
Outlookの「ボックス分け」とは?

まず、基本的な概念を理解しておきましょう。
ボックス分けの仕組み
Outlookの「ボックス分け」とは、メールをフォルダに振り分けて整理することです。
基本的な流れ:
- 目的別にフォルダを作成(例:「お客様」「社内」「プロジェクトA」)
- 仕分けルールを設定
- 条件に合ったメールが自動的に指定フォルダへ移動
ボックス分けのメリット
主な利点:
- 受信トレイがスッキリ:重要なメールだけが受信トレイに残る
- メールが見つけやすい:フォルダを見れば目的のメールがすぐ見つかる
- 優先順位が明確:重要度別に分類できる
- 時間の節約:メール検索の時間が劇的に減る
- ストレス軽減:整理された受信トレイは気持ちがいい
よくあるボックス分けの例
一般的な分類方法:
- 差出人別:取引先ごと、部署ごと
- プロジェクト別:案件名、業務内容
- 重要度別:至急、重要、通常、参考
- カテゴリ別:営業、経理、総務、情報共有
- 顧客別:クライアントA社、B社、C社
基本編:フォルダの作成方法
まずは、メールを振り分けるフォルダを作りましょう。
新しいフォルダを作成する手順
手順1:フォルダの作成
- Outlookを起動
- フォルダーウィンドウ(画面左側)を確認
- 「受信トレイ」を右クリック
- 「新しいフォルダー」を選択
手順2:フォルダ名を入力
- フォルダー名を入力(例:「重要顧客」)
- Enter キーを押す
これで、受信トレイの下に新しいフォルダが作成されます。
サブフォルダの作成
フォルダの中にさらにフォルダを作ることもできます。
例:
受信トレイ
├─ お客様
│ ├─ A社
│ ├─ B社
│ └─ C社
├─ 社内連絡
└─ プロジェクト
├─ プロジェクトX
└─ プロジェクトY
サブフォルダの作成方法:
- 親フォルダ(例:「お客様」)を右クリック
- 「新しいフォルダー」を選択
- サブフォルダ名を入力(例:「A社」)
フォルダの色分け
視覚的に分かりやすくするため、フォルダに色を付けることもできます。
設定方法:
- フォルダを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「ホームページ」タブで色を選択
※バージョンによって方法が異なる場合があります。
応用編:仕分けルールで自動振り分け
フォルダを作ったら、次は自動振り分けの設定です。
仕分けルールとは
仕分けルールとは、条件を指定して、該当するメールを自動的に特定のフォルダに移動させる機能です。
条件の例:
- 差出人が「xxx@example.com」
- 件名に「緊急」が含まれる
- CC に自分が入っている
- 特定のドメインからのメール
簡単な仕分けルールの作成方法
方法1:既存のメールから作成(最も簡単)
- 仕分けたいメールを右クリック
- 「ルール」→「仕分けルールの作成」を選択
- 条件を選択:
- 差出人が [メールアドレス] の場合
- 件名に [特定の文字列] が含まれる場合
- 「フォルダーへ移動」にチェック
- 移動先のフォルダを選択
- 「OK」をクリック
これで、同じ条件のメールが自動的に指定フォルダに移動します。
詳細な仕分けルールの作成
より複雑な条件を設定したい場合の方法です。
手順1:ルール管理画面を開く
- 「ホーム」タブをクリック
- 「ルール」→「仕分けルールと通知の管理」を選択
手順2:新しいルールを作成
- 「新しい仕分けルール」ボタンをクリック
- テンプレートを選択、または「受信メッセージにルールを適用する」を選択
- 「次へ」をクリック
手順3:条件を設定
以下のような条件を指定できます:
差出人の条件:
- [ ] 差出人が特定の人物/パブリック グループの場合
- [ ] 差出人のアドレスに特定の文字列が含まれる場合
件名・本文の条件:
- [ ] 件名に特定の文字列が含まれる場合
- [ ] 本文に特定の文字列が含まれる場合
受信者の条件:
- [ ] 宛先が私だけの場合
- [ ] CC に自分が含まれる場合
その他の条件:
- [ ] 重要度が「高」の場合
- [ ] 添付ファイルがある場合
- [ ] サイズが指定値より大きい場合
条件を選んだら「次へ」をクリック。
手順4:アクションを設定
メールをどう処理するか選択:
- [ ] 指定フォルダーへ移動
- [ ] コピーを指定フォルダーへ
- [ ] 削除する
- [ ] 転送する
- [ ] カテゴリに分類する
- [ ] フラグを設定する
- [ ] 通知音を鳴らす
「指定フォルダーへ移動」を選び、フォルダを指定します。
手順5:例外条件の設定(オプション)
特定の条件では振り分けたくない場合に設定:
- [ ] 件名に「至急」が含まれる場合を除く
- [ ] 特定の人からのメールを除く
手順6:ルールに名前を付けて完了
- ルールの名前を入力(例:「A社からのメール」)
- 「このルールを有効にする」にチェック
- 「完了」をクリック
実践的なボックス分け設定例
具体的な設定例を紹介します。
例1:顧客別にボックス分け
目的: 取引先ごとにメールを整理
フォルダ構成:
受信トレイ
└─ 顧客メール
├─ A社
├─ B社
└─ C社
仕分けルール:
ルール1:A社からのメール
- 条件:差出人のアドレスに「@a-company.co.jp」が含まれる
- アクション:「顧客メール\A社」フォルダへ移動
ルール2:B社からのメール
- 条件:差出人のアドレスに「@b-corp.com」が含まれる
- アクション:「顧客メール\B社」フォルダへ移動
例2:プロジェクト別にボックス分け
目的: 案件ごとにメールを分類
フォルダ構成:
受信トレイ
└─ プロジェクト
├─ 新製品開発
├─ WEBサイトリニューアル
└─ システム導入
仕分けルール:
ルール:新製品開発関連
- 条件:件名に「新製品」または「開発プロジェクト」が含まれる
- アクション:「プロジェクト\新製品開発」フォルダへ移動
例3:重要度別にボックス分け
目的: 優先度を明確にする
フォルダ構成:
受信トレイ
├─ 至急対応
├─ 重要
└─ 情報共有
仕分けルール:
ルール1:至急メール
- 条件1:件名に「至急」「緊急」「URGENT」が含まれる
- または
- 条件2:重要度が「高」
- アクション:「至急対応」フォルダへ移動、フラグを設定
ルール2:CCメール
- 条件:CC に自分のアドレスが含まれる
- アクション:「情報共有」フォルダへ移動
例4:社内外でボックス分け
目的: 社内と社外のメールを分ける
フォルダ構成:
受信トレイ
├─ 社内
└─ 社外
仕分けルール:
ルール:社内メール
- 条件:差出人のアドレスに「@yourcompany.co.jp」が含まれる
- アクション:「社内」フォルダへ移動
ルール:社外メール
- 条件:差出人のアドレスに「@yourcompany.co.jp」が含まれない
- 例外:メーリングリストを除く
- アクション:「社外」フォルダへ移動
例5:メルマガやニュースレターの整理
目的: 購読メールを受信トレイから分離
フォルダ構成:
受信トレイ
└─ 購読メール
├─ ニュースレター
└─ メルマガ
仕分けルール:
ルール:ニュースレター
- 条件:件名に「newsletter」「ニュースレター」が含まれる
- または
- 条件:差出人が特定のメルマガアドレス
- アクション:「購読メール\ニュースレター」フォルダへ移動
- 追加:既読にする(オプション)
既存のメールを一括で振り分ける

すでに受信トレイに溜まっているメールを、まとめて振り分ける方法です。
既存メールへのルール適用
手順1:ルールを作成
上記の方法で仕分けルールを作成します。
手順2:既存メールに適用
- 「ホーム」タブ→「ルール」→「仕分けルールと通知の管理」
- 適用したいルールを選択
- 「仕分けルールの実行」ボタンをクリック
- 適用するフォルダを選択(通常は「受信トレイ」)
- 「今すぐ実行」をクリック
これで、既存のメールも一括で振り分けられます。
手動での一括移動
方法1:複数選択して移動
- 移動したい最初のメールをクリック
- Shift キーを押しながら最後のメールをクリック(連続選択)
- または Ctrl キーを押しながら複数クリック(個別選択)
- 選択したメールをドラッグして目的のフォルダへドロップ
方法2:検索して一括移動
- 検索ボックスで条件を入力(例:「from:xxx@example.com」)
- 検索結果で Ctrl + A (すべて選択)
- ドラッグして目的のフォルダへ移動
クイックステップで効率化
繰り返し行う操作を、ワンクリックで実行できる機能です。
クイックステップとは
クイックステップは、複数のアクションを組み合わせて、ボタン一つで実行できる機能です。
例:
- メールを特定フォルダに移動して、既読にして、カテゴリを付ける
- メールを転送して、完了フラグを設定する
クイックステップの作成方法
手順1:クイックステップを開く
- 「ホーム」タブの「クイックステップ」グループを確認
- 「新しいクイックステップ」→「ユーザー設定」を選択
手順2:アクションを設定
- クイックステップの名前を入力(例:「A社フォルダへ」)
- 「アクションの追加」をクリック
- アクションを選択:
- フォルダーへ移動
- カテゴリを設定
- 既読にする
- フラグを設定
など
- 必要なアクションをすべて追加
- ショートカットキーを設定(オプション)
- 「完了」をクリック
手順3:使用方法
- メールを選択
- クイックステップボタンをクリック
- またはショートカットキーを押す
設定した複数のアクションが一度に実行されます。
カテゴリ機能と組み合わせる
ボックス分けと併用すると便利なのが「カテゴリ」機能です。
カテゴリとは
メールに色付きのラベルを付ける機能です。フォルダ分けと違い、メールは受信トレイに残ったまま、色で分類できます。
カテゴリの使い方
カテゴリを付ける:
- メールを右クリック
- 「カテゴリ」→色を選択(例:「赤色(重要)」)
カテゴリ名を変更:
- 「ホーム」タブ→「カテゴリ」→「すべてのカテゴリ」
- カテゴリ名を変更(例:「赤色」→「至急対応」)
ボックス分けとカテゴリの使い分け
フォルダ(ボックス分け)が向いているケース:
- 明確に分類できるメール
- 後で見返す必要があるメール
- プロジェクトや顧客別の整理
カテゴリが向いているケース:
- 一時的な分類
- 複数の分類に属するメール
- 視覚的な優先度付け
- 受信トレイで一覧したいメール
併用の例:
- 顧客別にフォルダ分け+重要度をカテゴリで色分け
- プロジェクト別にフォルダ分け+担当者をカテゴリで分類
ボックス分けのベストプラクティス
効果的なメール整理のためのコツです。
フォルダ構成のコツ
1. シンプルに保つ
- フォルダは多くても10個程度に抑える
- 階層は2~3段階まで
- 複雑すぎると逆に管理が大変
2. 一貫性のある命名
- 分かりやすい名前を付ける
- 命名規則を統一(例:「【顧客】A社」「【顧客】B社」)
- 日付を入れる場合は形式を統一
3. 使用頻度を考慮
- よく使うフォルダは上部に配置
- めったに見ないフォルダは下部に
仕分けルールのコツ
1. 条件は具体的に
- 「件名に○○が含まれる」だけでなく、複数条件を組み合わせる
- 誤振り分けを防ぐため、例外条件も設定
2. 優先順位を意識
- ルールは上から順に実行される
- より具体的なルールを上位に配置
- 「それ以外」のルールは最下位に
3. 定期的な見直し
- 月に1回程度、ルールをチェック
- 使わなくなったルールは削除
- 新しいプロジェクトや顧客が増えたら追加
運用のコツ
1. 受信トレイは空にする習慣
- 「インボックス・ゼロ」を目指す
- 対応済みメールは該当フォルダへ移動
- 未対応メールにはフラグを設定
2. アーカイブの活用
- 古いメールは定期的にアーカイブフォルダへ
- 3ヶ月以上前のメールは別管理
- 年度ごとにフォルダを分ける
3. 検索も活用
- すべてをフォルダ分けしない
- 重要なメールだけ分類
- その他は検索で探す
よくあるトラブルと解決策

ボックス分けでよく起こる問題と対処法です。
トラブル1:ルールが機能しない
原因:
- ルールが無効になっている
- 条件が間違っている
- 他のルールと競合している
対処法:
- 「仕分けルールと通知の管理」を開く
- ルールの横にチェックが入っているか確認
- ルールの内容を確認して修正
- ルールの順序を変更してみる
トラブル2:メールが見つからない
原因:
- 予期しないフォルダに振り分けられた
- ルールの条件が広すぎる
対処法:
- すべてのフォルダを検索(検索ボックスで検索範囲を「すべてのメールボックス」に)
- 仕分けルールを見直して条件を厳密に
- 「送受信済みアイテム」フォルダも確認
トラブル3:同じメールが複数のフォルダに
原因:
- 「移動」ではなく「コピー」のアクションになっている
- 複数のルールが適用されている
対処法:
- ルールを確認し、「移動」に変更
- 「後続のルールを適用しない」にチェック
トラブル4:重要なメールが埋もれる
原因:
- 自動振り分けが厳しすぎる
- 例外設定が不足
対処法:
- VIP からのメールは受信トレイに残すよう例外設定
- 重要度「高」のメールは自動振り分けしない
- 通知設定を見直す
モバイル版Outlookでのボックス分け
スマートフォンやタブレットでの操作方法です。
モバイル版での手動移動
手順:
- Outlookアプリを開く
- メールを長押し
- 「移動」をタップ
- 移動先フォルダを選択
モバイル版での仕分けルール作成
残念ながら、モバイル版では仕分けルールの作成はできません。
対処法:
- パソコン版Outlookで設定
- Web版Outlook(ブラウザ)で設定
- モバイルでは手動振り分けのみ
まとめ:自動振り分けで快適なメール管理を実現
Outlookのボックス分け機能を使えば、メール管理が劇的に効率化されます。
この記事のポイント:
- フォルダを作成してメールを整理
- 仕分けルールで自動振り分けを設定
- 差出人、件名、本文などで条件指定
- 顧客別、プロジェクト別、重要度別など目的に応じて分類
- クイックステップで作業を効率化
- カテゴリと併用でさらに便利に
- シンプルなフォルダ構成を心がける
- 定期的にルールを見直す
特に重要なのは、シンプルに保つことと定期的な見直しです。
複雑すぎるフォルダ構成や仕分けルールは、逆に管理が大変になります。本当に必要なものだけを自動化し、その他は検索で探すというバランスが大切です。
自分に合ったボックス分けを見つけて、快適なメール環境を実現してくださいね!

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