OneDriveで「同期保留中」の表示がずっと続いて、ファイルが同期されない…そんな困った状況に遭遇していませんか?
仕事の重要なファイルや大切な写真が同期されないと、とても不安になりますよね。今回は、OneDriveの同期保留中問題について、原因の特定から具体的な解決方法まで、わかりやすく解説していきます。
同期保留中になる主な原因を理解しよう

よくある原因とその背景
ネットワーク関連の問題
- インターネット接続の不安定さ
- 通信速度の低下や断続的な切断
- ファイアウォールやセキュリティソフトによる通信ブロック
- 会社のネットワークでのクラウドサービス制限
ファイル・フォルダ関連の問題
- ファイル名に使用禁止文字が含まれている
- パス(フォルダの階層)が長すぎる
- ファイルサイズが制限を超えている
- 同じ名前のファイルが複数存在している
OneDriveアプリ自体の問題
- アプリのバージョンが古い
- 設定ファイルの破損
- 一時ファイルの蓄積
- メモリ不足による動作不良
システム関連の問題
- WindowsやmacOSのアップデート影響
- ディスク容量の不足
- 権限設定の問題
- 他のソフトウェアとの競合
これらの原因を理解することで、適切な対処法を選択できるようになります。次の章では、具体的な解決手順をご紹介します。
基本的なトラブルシューティング手順
まず試すべき簡単な対処法
手順1:OneDriveアプリの再起動
- タスクバーからOneDriveを終了
- タスクバー右下のOneDriveアイコンを右クリック
- 「OneDriveを終了」または「閉じる」を選択
- 完全な終了を確認
- タスクマネージャーを開く(Ctrl + Shift + Esc)
- 「OneDrive.exe」プロセスが残っていないか確認
- 残っている場合は「タスクの終了」をクリック
- OneDriveを再起動
- スタートメニューから「OneDrive」を検索して起動
- または「Win + R」で「%localappdata%\Microsoft\OneDrive\OneDrive.exe」を実行
手順2:インターネット接続の確認
- 接続状態のチェック
- 他のウェブサイトが正常に表示されるか確認
- 通信速度テストサイトで速度を測定
- OneDriveウェブ版での確認
- ブラウザでOneDrive.com にアクセス
- ファイルのアップロード・ダウンロードが可能か確認
手順3:同期の一時停止と再開
- 同期を一時停止
- OneDriveアイコンを右クリック
- 「同期の一時停止」を選択
- 2時間、8時間、24時間から選択
- 同期を再開
- 5分程度待ってから「同期の再開」をクリック
- 同期状況の変化を確認
この基本的な手順で解決しない場合は、より詳細な対処が必要になります。
詳細な問題診断と対処方法
ファイル名・パス関連の問題解決
使用禁止文字の確認と修正
OneDriveで使用できない文字:
< > : " | ? * /
- ファイル名の最初と最後の空白
- ピリオド(.)で終わるファイル名
修正手順
- 問題のあるファイルを特定
- ファイル名を右クリックして「名前の変更」
- 禁止文字を削除または置換
- 変更後、同期状況を確認
長いパスの問題解決
- パス長の確認
- ファイルのプロパティで完全パスを確認
- 260文字以内に収める必要
- フォルダ構造の見直し
- 深い階層のフォルダを浅い場所に移動
- フォルダ名を短縮
- 不要な中間フォルダを削除
容量・権限関連の問題対応
OneDrive容量の確認と整理
- 容量使用状況の確認
- OneDriveアイコンを右クリック
- 「設定」→「アカウント」タブで容量を確認
- 不要ファイルの削除
- ゴミ箱の完全削除
- 古いバージョンファイルの削除
- 重複ファイルの整理
ファイル権限の修正
- ファイルのロック状態確認
- 他のアプリケーションでファイルが開かれていないか確認
- Word、Excel、PowerPointなどを完全に終了
- 読み取り専用属性の解除
- ファイルを右クリック→「プロパティ」
- 「読み取り専用」のチェックを外す
- 「OK」をクリックして保存
アプリケーション固有の問題解決
OneDriveアプリのリセット
- 設定からのリセット
- Windowsの設定を開く
- 「アプリ」→「OneDrive」を選択
- 「詳細オプション」→「リセット」をクリック
- 完全な再インストール
- OneDriveをアンインストール
- Microsoft公式サイトから最新版をダウンロード
- 再インストール後、アカウントでサインイン
同期設定の見直し
- 選択的同期の確認
- OneDrive設定の「アカウント」タブ
- 「フォルダーの選択」で同期対象を確認
- 必要なフォルダが選択されているかチェック
- Office統合設定の調整
- 「設定」タブで「Office」の項目を確認
- 「Officeを使用してOfficeファイルを同期する」の設定変更
これらの詳細な対処により、多くの同期問題を解決できます。
高度なトラブルシューティング技術
コマンドラインを使った診断
OneDriveのログ確認
- ログファイルの場所
%localappdata%\Microsoft\OneDrive\logs
- ログの確認方法
- エクスプローラーで上記パスを開く
- 最新の「Sync」で始まるログファイルを確認
- エラーメッセージや警告を検索
PowerShellを使った診断
# OneDriveプロセスの確認
Get-Process -Name "OneDrive" -ErrorAction SilentlyContinue
# OneDrive設定の確認
Get-ItemProperty -Path "HKCU:\Software\Microsoft\OneDrive"
# 同期フォルダの確認
Get-ChildItem -Path "$env:OneDrive" -Recurse -ErrorAction SilentlyContinue
レジストリ修正による解決法
注意事項 レジストリ編集は慎重に行ってください。事前にシステムのバックアップを取得することを強く推奨します。
OneDrive設定のリセット
- レジストリエディターを開く
- Win + R で「regedit」と入力
- OneDrive設定の削除
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\OneDrive
- このキーを削除してOneDriveを再起動
同期エンジンの修復
- 同期エンジン設定の確認
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\OneDrive
- 破損した設定値の修正
- 「PreventNetworkTrafficPreUserSignIn」を「0」に設定
- 「DisableFileSyncNGSC」が存在する場合は削除
システムレベルでの対応
Windows Updateの確認
- 最新アップデートの適用
- 設定→更新とセキュリティ→Windows Update
- 「更新プログラムのチェック」を実行
- OneDrive関連の修正プログラム確認
- 更新履歴でOneDrive関連のアップデートを確認
セキュリティソフトの設定調整
- 除外設定の追加
- OneDriveフォルダをリアルタイム保護の除外に追加
- OneDrive.exeをプロセス除外に追加
- ファイアウォール設定の確認
- OneDriveの通信が許可されているか確認
- 必要に応じて例外ルールを追加
これらの高度な手法により、困難な同期問題も解決できるようになります。
予防策と定期メンテナンス方法
同期問題を予防するための日常的な対策
ファイル管理のベストプラクティス
- 適切なファイル命名規則
- 日本語ファイル名でも問題ないが、特殊文字は避ける
- ファイル名は50文字以内に抑える
- バージョン管理には日付を活用
- フォルダ構造の最適化
- 階層は5層以内に抑える
- フォルダ名は短く、わかりやすく
- 用途別に明確に分類
定期的なメンテナンス作業
- 週次のメンテナンス
- 不要ファイルの削除
- ゴミ箱の空にする
- 同期状況の確認
- 月次のメンテナンス
- OneDriveアプリの更新確認
- 容量使用状況のチェック
- 重複ファイルの整理
システム環境の最適化
パフォーマンス向上のための設定
- 同期帯域の調整
- OneDrive設定→ネットワーク
- アップロード速度を「制限しない」または適切な値に設定
- ダウンロード速度も同様に調整
- バックグラウンド動作の最適化
- 不要なスタートアップアプリの無効化
- 定期的なディスククリーンアップの実施
- メモリ使用量の監視
ネットワーク環境の改善
- Wi-Fi接続の安定化
- ルーターの位置やチャンネル設定の見直し
- 有線接続での同期作業(大容量ファイル時)
- モバイル環境での設定
- 「従量制課金接続」での同期制限設定
- Wi-Fi接続時のみ同期する設定の活用
バックアップ戦略の構築
重要ファイルの多重バックアップ
- 3-2-1ルールの実践
- 3つのコピーを保持
- 2つの異なるメディアに保存
- 1つはオフサイト(クラウド)に保管
- OneDrive以外のバックアップ手段
- 外付けハードディスクへの定期バックアップ
- 他のクラウドサービスとの併用
- NASやファイルサーバーの活用
これらの予防策により、同期問題の発生を大幅に減らすことができます。
よくある質問と詳細な回答
Q1. 特定のファイルだけが同期保留中になる場合は?
A1. まずそのファイルの名前と場所を確認してください。ファイル名に使用禁止文字が含まれていないか、パスが長すぎないかをチェックします。また、そのファイルが他のアプリケーションで開かれていないか確認し、必要に応じてアプリを終了してから再度同期を試してください。
Q2. 大容量ファイルの同期が進まない時の対処法は?
A2. 大容量ファイル(数GB以上)の場合は、通信が安定した環境で時間をかけて同期させる必要があります。可能であれば有線接続を使用し、他のアプリケーションによる通信を一時停止してください。また、OneDriveの帯域制限を解除することも効果的です。
Q3. 会社のネットワークで同期できない場合は?
A3. 企業ネットワークではセキュリティ上の理由でクラウドサービスへのアクセスが制限されている場合があります。IT部門に確認して、OneDriveへのアクセス許可やプロキシ設定の調整が必要かもしれません。VPN接続時の問題の可能性もあります。
Q4. 同期保留中の表示が消えない場合の最終手段は?
A4. 基本的な対処法で解決しない場合は、OneDriveの完全なリセットを検討してください。これには、アプリのアンインストール、ローカルファイルのバックアップ、再インストール、再設定が含まれます。作業前に重要ファイルの確実なバックアップを取得してください。
Q5. スマホとPCで同期状況が異なる場合は?
A5. デバイス間で同期状況が異なる場合は、各デバイスでOneDriveアプリを再起動し、インターネット接続を確認してください。スマホの場合は、Wi-Fi接続時のみ同期する設定になっていないかも確認しましょう。それでも解決しない場合は、一度サインアウトして再サインインを試してください。
まとめ
OneDriveの同期保留中問題は、適切な診断と段階的な対処により、ほとんどの場合解決可能です。
重要なポイントの振り返り
- 基本的なトラブルシューティングから始めて段階的にアプローチ
- ファイル名やパスの問題は事前に予防することが重要
- 定期的なメンテナンスで大きな問題を未然に防ぐ
- 重要ファイルは必ず複数の場所にバックアップを保持
解決の優先順位
- アプリの再起動とネットワーク確認
- ファイル名・パス・権限の問題対応
- アプリ設定のリセットや更新
- システムレベルでの詳細診断と修復
継続的な改善のために
- 適切なファイル管理習慣の確立
- 定期的なシステムメンテナンス
- バックアップ戦略の徹底
- 問題発生時の迅速な対応
OneDriveは現代の働き方に欠かせないツールです。適切な知識と対処法を身につけることで、安心してクラウドストレージを活用できるようになります。
同期の問題に悩まされることなく、効率的で快適なファイル管理をお楽しみください。
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