「NVIDIA Broadcastでマイクが認識されない」「ノイズ除去が効かない」そんな悩みを抱えていませんか?
NVIDIA Broadcastは、AI技術でノイズ除去やバーチャル背景を実現する強力なツールです。しかし、設定の複雑さやデバイスの認識問題で、うまく動作しないことがあります。
この記事では、NVIDIA Broadcastが使えない問題の原因と、確実に解決できる方法を分かりやすく解説していきます。
NVIDIA Broadcastとは

基本機能
NVIDIA Broadcastは、RTX GPUのAI機能を活用した無料の配信・通話支援アプリです。
主な機能:
- AIノイズ除去 – キーボード音や周囲の雑音を除去
- 部屋の反響音除去 – エコーを軽減
- バーチャル背景 – グリーンスクリーン不要で背景を変更
- 自動フレーミング – 顔を自動で追跡してフレーム内に収める
- アイコンタクト – 視線をカメラ方向に補正
対応環境
必要なGPU:
- NVIDIA GeForce RTX 2060以降
- NVIDIA Quadro RTX 3000以降
- NVIDIA TITAN RTX以降
必要なドライバー:
- Game Ready Driver 465.89以降
- Studio Driver 462.46以降
推奨CPU:
- Intel Core i5 8600以上
- AMD Ryzen 5 2600以上
注意: GTXシリーズでは使用できません。RTX専用です。
よくあるエラーと症状
エラーメッセージ
「マイクの接続を確認し、NVIDIA Broadcastを再起動してください」
マイクの接続を確認し、NVIDIA Broadcastを再起動してください。
このエラーの発生が続く場合はアプリケーションを再インストールしてみてください。
英語版:
Check your microphone connection and restart NVIDIA Broadcast.
If this error continues, try reinstalling the application.
「再生パイプラインを開始できませんでした」
再生パイプラインを開始できませんでした
ノイズが除去できません
よくある症状
マイク関連:
- マイクが認識されない
- マイク一覧に表示されない
- テストでは音が出るが他のアプリで使えない
- ノイズ除去が全く効かない
- 音声が入らない、または音質が悪い
カメラ関連:
- カメラが認識されない
- 映像が表示されない
- バーチャル背景が適用されない
- OBSやDiscordでカメラが表示されない
アプリ関連:
- アプリが起動しない
- インストールに失敗する
- 設定が保存されない
基本的な対処方法
方法1:アプリとPCを再起動
最も簡単で効果的な方法です。
手順:
- NVIDIA Broadcastを完全に終了
- タスクトレイ(画面右下)のアイコンを右クリック→「終了」
- タスクマネージャーでNVIDIA関連プロセスが残っていないか確認
- PCを再起動
- 再起動後、NVIDIA Broadcastを起動
方法2:対応GPUの確認
GTXシリーズでは動作しません。
確認手順:
- Windowsキー + Xを押す
- 「デバイスマネージャー」を選択
- 「ディスプレイアダプター」を展開
- グラフィックカードの名前を確認
RTX 2060以降であることを確認してください。
方法3:ドライバーの更新
古いドライバーでは正常に動作しません。
更新手順:
- NVIDIA公式サイトまたはGeForce Experienceから最新ドライバーをダウンロード
- インストール時に「クリーンインストール」を選択
- インストール完了後、PCを再起動
- NVIDIA Broadcastを再度起動
方法4:最新版へのアップデート
NVIDIA Broadcast自体も最新版に更新しましょう。
確認方法:
- NVIDIA Broadcast公式サイトにアクセス
- 最新版をダウンロード
- 既存のバージョンをアンインストール
- PCを再起動
- 最新版をインストール
マイクが認識されない場合
Windowsでマイクが認識されているか確認
手順:
ステップ1:サウンド設定を開く
- タスクバー右下のスピーカーアイコンを右クリック
- 「サウンドの設定を開く」を選択
ステップ2:録音デバイスを確認
- 「入力」セクションを確認
- お使いのマイクが一覧に表示されているか確認
- 表示されていない場合は、マイクの接続を確認
ステップ3:テスト
マイクに向かって話し、入力レベルのバーが動くか確認します。
NVIDIA Broadcastでマイクを選択
手順:
- NVIDIA Broadcastを開く
- 「マイク」タブをクリック
- 「デバイス」のドロップダウンメニューをクリック
- 実際のマイクデバイスを選択(「既定のデバイス」ではない)
- エフェクト(ノイズ除去など)をオンにする
ミュート設定を確認
意外と見落としがちなポイントです。
手順:
- コントロールパネルを開く
- 「ハードウェアとサウンド」→「オーディオデバイスの管理」
- 「録音」タブをクリック
- 「Microphone (NVIDIA Broadcast)」を右クリック→「プロパティ」
- 「レベル」タブを開く
- メイン音量が100になっているか確認
- ミュートボタンがオンになっていないか確認
既定のデバイスに設定しない
重要: NVIDIA BroadcastのマイクをWindows既定のデバイスに設定すると、ループが発生して音が入らなくなることがあります。
正しい設定:
- Windows既定のマイク: 実際のマイク(例:Realtek High Definition Audio)
- NVIDIA Broadcast内の選択: 実際のマイク
- Discord/OBS/Zoomなどのアプリ: Microphone (NVIDIA Broadcast)
カメラが認識されない場合
Windowsでカメラが認識されているか確認
手順:
- 設定→プライバシーとセキュリティ→カメラを開く
- 「カメラへのアクセス」がオンになっているか確認
- 「アプリがカメラにアクセスできるようにする」がオンになっているか確認
- アプリ一覧で「NVIDIA Broadcast」がオンになっているか確認
カメラアプリでテスト
手順:
- スタートメニューから「カメラ」アプリを開く
- カメラが正常に映るか確認
- 映らない場合は、カメラ本体の問題の可能性
NVIDIA Broadcastでカメラを選択
手順:
- NVIDIA Broadcastを開く
- 「カメラ」タブをクリック
- 「デバイス」で実際のカメラを選択
- プレビューに映像が表示されるか確認
Windows 11 24H2の問題
Windows 11の最新アップデート(24H2)で、仮想カメラが2つ表示される問題が報告されています。
対処方法:
OBSやZoomなどのアプリで、以下のいずれかを選択:
- ✅ Camera (NVIDIA Broadcast) – これを選択
- ❌ Camera (NVIDIA Broadcast) 2 – これは選択しない
正しい方を選択すれば問題なく動作します。
他のアプリで使えない場合

Discord での設定
手順:
- Discordを開く
- 設定(歯車アイコン)をクリック
- 「音声・ビデオ」を選択
- 入力デバイス:Microphone (NVIDIA Broadcast)
- 出力デバイス:Speakers (NVIDIA Broadcast)(スピーカーエフェクトを使う場合)
- ビデオ設定のカメラ:Camera (NVIDIA Broadcast)
OBS Studio での設定
手順:
音声設定:
- OBSの設定を開く
- 「音声」タブを選択
- マイク音声:Microphone (NVIDIA Broadcast)
映像キャプチャ:
- ソースに「映像キャプチャデバイス」を追加
- デバイス:Camera (NVIDIA Broadcast)
Zoom での設定
手順:
- Zoomを開く
- 設定→オーディオを選択
- マイク:Microphone (NVIDIA Broadcast)
- 設定→ビデオを選択
- カメラ:Camera (NVIDIA Broadcast)
RTX Voiceとの競合を解消
問題の背景
NVIDIA Broadcastは、RTX Voiceの後継アプリです。両方がインストールされていると競合します。
症状:
- パイプラインエラー
- デバイスが認識されない
- 音声が入らない
完全な解決方法
手順:
ステップ1:RTX VoiceとBroadcastをアンインストール
- 設定→アプリ→インストールされているアプリを開く
- 「RTX Voice」を見つけてアンインストール
- 「NVIDIA Broadcast」もアンインストール
- PCを再起動
ステップ2:DDUでドライバーを完全削除
- DDUをダウンロード(セーフモードで使用)
- セーフモードで起動
- DDUを実行してNVIDIAドライバーを削除
- 通常モードで再起動
ステップ3:グラフィックドライバーを再インストール
- NVIDIA公式サイトから最新ドライバーをダウンロード
- クリーンインストールを実行
ステップ4:NVIDIA Broadcastのみをインストール
- NVIDIA Broadcast公式サイトから最新版をダウンロード
- インストール実行
ステップ5:ミュート設定を確認
前述の「ミュート設定を確認」の手順を実行します。
PowerToysとの競合を解消
問題の背景
Windows用のツール集「PowerToys」の「ビデオ会議のミュート」機能がNVIDIA Broadcastと競合することがあります。
エラー:
マイクの接続を確認し、NVIDIA Broadcastを再起動してください
解決方法
方法1:PowerToysを最新版に更新
PowerToys v0.57.2以降では修正されています。
手順:
- PowerToysの設定を開く
- 「一般」タブで「更新プログラムの確認」
- 最新版にアップデート
- PCを再起動
方法2:ビデオ会議のミュート機能を無効化
手順:
- PowerToysを開く
- 「ビデオ会議のミュート」を見つける
- スイッチをオフにする
- PCを再起動
インストールに失敗する場合
ウイルス対策ソフトを一時無効化
アンチウイルスソフトがインストールをブロックしている可能性があります。
手順:
- ウイルス対策ソフトのリアルタイム保護を一時的に無効化
- NVIDIA Broadcastをインストール
- インストール完了後、保護を再度有効化
インターネット接続の確認
インストール中、約500MBのファイルをダウンロードします。
確認事項:
- インターネットに接続されているか
- 通信速度が十分か(5Mbps以上推奨)
- ファイアウォールがダウンロードをブロックしていないか
オフラインインストーラーを使用
通常のインストーラーで失敗する場合、オフラインインストーラーを試してください。
手順:
- NVIDIA公式サポートページにアクセス
- お使いのGPUに対応したオフラインインストーラーをダウンロード
- インストーラーを実行
エフェクトが効かない場合
二重適用を避ける
NVIDIA Broadcastと同様の機能を持つソフトウェアが同時に動作していると、エフェクトが正しく機能しません。
確認すべき機能:
Discordの場合:
- 設定→音声・ビデオを開く
- 「ノイズ抑制」をオフにする
- 「エコー除去」をオフにする
OBSの場合:
- 音声ミキサーのマイクの設定(歯車アイコン)をクリック
- 「フィルタ」を選択
- ノイズ抑制フィルタを削除または無効化
デバイスドライバーの場合:
一部のマイクやヘッドセットには独自のノイズキャンセリング機能があります。メーカー提供のソフトウェアで無効化してください。
エフェクトの強度を調整
手順:
- NVIDIA Broadcastのマイクタブを開く
- ノイズ除去の強度スライダーを調整
- 「サンプルを録音」機能でテスト
- 最適な設定を見つける
部屋の反響音除去との組み合わせ
ノイズ除去と部屋の反響音除去を同時に使用すると、逆に音質が悪化することがあります。
対処法:
- まずノイズ除去のみを使用
- 必要に応じて部屋の反響音除去を追加
- 両方使う場合は強度を下げる
テスト機能の活用
録音テスト
NVIDIA Broadcastには組み込みのテスト機能があります。
手順:
ステップ1:サンプル録音
- マイクタブの右側にある「サンプルを録音」をクリック
- 雑音がある環境で話す(キーボードを打つなど)
- 録音を停止
ステップ2:再生して確認
- 録音したサンプルを再生
- エフェクトのオン/オフを切り替えて比較
- ノイズが除去されているか確認
よくある質問
Q1:GTX 1660でも使えますか?
いいえ、NVIDIA BroadcastはRTXシリーズ専用です。RTX 2060以降が必要です。GTXシリーズには対応していません。
Q2:Discordで声が入りません
以下を確認してください:
- Discordの入力デバイスが「Microphone (NVIDIA Broadcast)」になっているか
- NVIDIA Broadcast内で実際のマイクを選択しているか
- Windowsのサウンド設定でNVIDIA Broadcastがミュートになっていないか
Q3:ノイズ除去が効きすぎて声まで消えます
エフェクトの強度を下げてください。また、マイクとの距離が近すぎる場合も問題が発生します。20〜30cm程度離してください。
Q4:バーチャル背景が表示されません
カメラタブで「背景の削除」または「背景の置き換え」エフェクトを有効にしてください。また、照明が不十分だと認識精度が下がります。
Q5:CPU使用率が高くなります
NVIDIA BroadcastはGPUのTensor コアを使用しますが、CPUも使います。複数のエフェクトを同時に使うと負荷が高くなるため、必要なエフェクトのみを有効にしてください。
Q6:アップデート後に使えなくなりました
アプリをアンインストールして再インストールしてください。設定は保存されているため、再インストール後も同じ設定で使用できます。
まとめ
NVIDIA Broadcastが使えない問題の解決方法をご紹介しました。
推奨される対処手順(難易度順):
- アプリとPCの再起動 – 最も簡単
- 対応GPUの確認 – RTX 2060以降が必要
- ドライバーの更新 – 最新版にアップデート
- デバイス設定の確認 – 実際のデバイスを選択
- ミュート解除 – よくある原因
- 既定のデバイス設定を解除 – ループを防ぐ
- RTX Voiceとの競合解消 – 完全削除してから再インストール
- PowerToysの無効化 – v0.57.2以降に更新または無効化
- 二重適用の解消 – 他のノイズ除去機能をオフ
問題別の対処法:
- マイクが認識されない → Windowsで認識されているか確認、ミュート解除
- カメラが認識されない → プライバシー設定でアクセス許可、Windows 11 24H2は正しいデバイスを選択
- 他のアプリで使えない → 各アプリで「NVIDIA Broadcast」デバイスを選択
- インストール失敗 → ウイルス対策ソフト無効化、オフラインインストーラー使用
- エフェクトが効かない → 二重適用を避ける、強度を調整
重要なポイント:
- RTX 2060以降のGPUが必須
- Windows既定のデバイスにNVIDIA Broadcastを設定しない
- RTX Voiceとは共存できない
- PowerToysの「ビデオ会議のミュート」と競合する
- 各アプリで正しく「NVIDIA Broadcast」デバイスを選択する
NVIDIA Broadcastは強力なツールですが、設定が複雑です。この記事を参考に、一つずつ確認していけば必ず解決できます。
クリアな音声と美しい映像で、快適な配信・通話環境を構築してください!


コメント