Wordを使っていると、終了時に「全文書対象のNormalテンプレートに影響する変更が行われています」というメッセージが表示されて困ったことはありませんか?
また、Wordの動作が不安定になったり、フォント設定が勝手に変わったりする問題に遭遇したことがある人も多いはずです。
これらの問題の多くは、「Normal.dotm」というファイルに関連しています。
この記事では、Normal.dotmの役割から、保存場所、よくある問題の解決方法まで、分かりやすく解説していきます。
Normal.dotmとは

Normal.dotmは、Microsoft Wordの標準テンプレートファイルです。
Wordを起動するたびに自動的に読み込まれ、新規文書の基本的な外観や設定を決定する重要なファイルです。
Normal.dotmの役割
新規文書の既定設定を保存しています。
フォント、フォントサイズ、余白、行間、段落設定など、新しい文書を作成したときの初期設定がすべてこのファイルに保存されています。
カスタマイズした設定を記憶します。
ユーザーが変更した既定のフォントや余白などは、Normal.dotmに書き込まれ、次回以降の新規文書に適用されます。
マクロを保存できます。
マクロの記録を実行すると、通常はこのNormal.dotmにマクロが書き込まれます。
スタイルを管理します。
見出しスタイルや本文スタイルなど、文書のスタイル設定もNormal.dotmに保存されています。
.dotmの意味
「.dotm」は、「Document Template Macro-enabled」の略です。
マクロを含むことができるWordテンプレートファイルを示す拡張子です。
Word 2007以降で使用されており、Word 2003までは「Normal.dot」という名前でした。
Normal.dotmの保存場所
Normal.dotmは、通常は隠しフォルダに保存されているため、見つけにくい場所にあります。
Windowsでの標準的な保存場所
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\Microsoft\Templates
「<ユーザー名>」の部分は、実際にサインインしているユーザー名に置き換えてください。
例えば、ユーザー名が「Taro」の場合は、以下のようになります。
C:\Users\Taro\AppData\Roaming\Microsoft\Templates
Normal.dotmを見つける方法
方法1:エクスプローラーで直接開く
- エクスプローラーを起動
- アドレスバーに以下のパスをコピー&ペースト
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\Microsoft\Templates
- Enterキーを押す
方法2:「ファイル名を指定して実行」から開く
- 「Windows」キー + 「R」キーを押す
- 以下のパスを入力
%APPDATA%\Microsoft\Templates
- 「OK」をクリック
方法3:隠しファイルを表示して探す
AppDataフォルダは通常は隠しフォルダなので、表示設定を変更する必要があります。
- エクスプローラーを開く
- 「表示」タブをクリック
- 「表示/非表示」セクションで「隠しファイル」にチェックを入れる
- 「ファイル名拡張子」にもチェックを入れる
- Cドライブから順にフォルダを開いていく
方法4:検索機能を使う
- エクスプローラーを開く
- Cドライブを選択
- 検索ボックスに「Normal.dotm」と入力
- 検索が完了するまで待つ(少し時間がかかります)
よくある問題とその原因
Normal.dotmに関連して、いくつかの問題が発生することがあります。
問題1:終了時に保存を求めるメッセージが表示される
Wordを終了するたびに、「全文書対象のNormalテンプレートに影響する変更が行われています。変更を保存しますか?」というメッセージが表示されることがあります。
原因
- アドインが勝手にNormal.dotmを変更している
- マクロウイルスに感染している可能性
- Wordの設定が不安定になっている
- 原稿用紙アドインなどが影響している
問題2:Wordの動作が不安定
起動が遅い、フリーズする、予期しない動作をするなどの問題が発生します。
原因
- Normal.dotmファイルが破損している
- マクロを繰り返し修正・保存することで不具合が蓄積
- 複数のWordバージョンを同じPCにインストールしている
問題3:フォント設定が勝手に変わる
新規文書のフォントが意図しないものになってしまいます。
原因
- Normal.dotmに保存されている既定のフォント設定が変更されている
問題4:マクロが正常に動作しない
以前は正常に動いていたマクロが、おかしな動作をするようになります。
原因
- Normal.dotmファイルが破損している
- マクロの保存や修正を繰り返すことで不整合が発生
Normal.dotmの初期化・再作成方法
Normal.dotmに問題がある場合、ファイルを初期化することで解決できることが多いです。
初期化の手順
重要:念のため、現在のNormal.dotmをバックアップしておきましょう。
マクロなど大切な設定が保存されている場合、後で復元できるようにします。
ステップ1:Wordを完全に終了
Wordのすべてのウィンドウを閉じます。
Outlookを使用している場合(Wordを電子メールエディターとして使用している場合)、Outlookも終了してください。
ステップ2:Normal.dotmの場所を開く
「ファイル名を指定して実行」(Windows + R)で以下を入力して開きます。
%APPDATA%\Microsoft\Templates
ステップ3:Normal.dotmのファイル名を変更または移動
方法A:ファイル名を変更(推奨)
Normal.dotmを右クリックして「名前の変更」を選択し、以下のように変更します。
Normal.dotm.old
または
Normal.dotm.bak
方法B:別のフォルダに移動
Normal.dotmをデスクトップや別のフォルダにコピーまたは移動します。
方法C:削除
完全に削除することもできますが、バックアップを取らない場合はおすすめしません。
ステップ4:Wordを起動
Wordを起動すると、Normal.dotmが存在しないため、自動的に新しいNormal.dotmファイルが作成されます。
ステップ5:すぐに終了
新しいNormal.dotmが作成されたことを確認したら、すぐにWordを終了します。
ステップ6:確認
Templatesフォルダを開いて、新しいNormal.dotmファイルが作成されていることを確認します。
これが初期化された、まっさらな状態のNormal.dotmです。
ステップ7:動作確認
Wordを起動して、問題が解消されているか確認します。
フォントや余白などの設定が初期状態に戻っているはずです。
マクロの復旧
古いNormal.dotmに保存されていたマクロを新しいNormal.dotmにコピーすることで、マクロを復活させることができます。
- Wordを起動
- 「表示」タブ→「マクロ」→「マクロの表示」をクリック
- 「マクロの保存先」で古いNormal.dotmファイルを選択
- 必要なマクロを選んでコピー
- 新しいNormal.dotmに貼り付け
Normal.dotmのカスタマイズ方法
Normal.dotmをカスタマイズすることで、自分好みの既定設定で新規文書を作成できます。
既定のフォントを変更
- Wordを起動
- 「ホーム」タブのフォントグループで、右下の矢印をクリック
- 好みのフォントとサイズを選択
- 「既定に設定」をクリック
- 「Normal.dotmテンプレートを使用したすべての文書」を選択
- 「OK」をクリック
これで、今後作成するすべての新規文書に、この設定が適用されます。
既定の余白を変更
- 「レイアウト」タブをクリック
- 「余白」→「ユーザー設定の余白」をクリック
- 好みの余白を設定
- 「既定に設定」をクリック
- 「OK」をクリック
Normal.dotmを直接編集
より詳細なカスタマイズをしたい場合は、Normal.dotmを直接開いて編集できます。
- 「ファイル」タブ→「開く」をクリック
- 以下のパスに移動
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\Microsoft\Templates
- Normal.dotmを開く
- フォント、余白、スタイル、ヘッダー・フッターなど、好みの設定に変更
- 「ファイル」タブ→「保存」をクリック
注意:Normal.dotmへの変更は、今後作成するすべての文書に適用されます。
終了時の保存メッセージを止める方法
毎回保存を求められるのが煩わしい場合、メッセージを表示しないように設定できます。
メッセージをオフにする手順
- 「ファイル」タブ→「オプション」をクリック
- 「詳細設定」を選択
- 「保存」グループまでスクロール
- 「標準テンプレートを保存する前にプロンプト」のチェックを外す
- 「OK」をクリック
重要:この設定をオフにしても、根本的な原因は解決されません。
アドインやマクロウイルスが原因の場合、問題は継続します。
根本的な解決方法
アドインを確認
- 「ファイル」タブ→「オプション」→「アドイン」をクリック
- 「管理」で「COMアドイン」を選択し、「設定」をクリック
- 使用可能なアドインのリストを確認
- 原稿用紙アドインなど、不要なアドインのチェックを外す
- 「OK」をクリック
- Wordを再起動して確認
スタートアップフォルダを確認
スタートアップフォルダにあるテンプレートやアドインが原因の場合もあります。
- 以下のフォルダを開く
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\Microsoft\Word\STARTUP
- 不要なファイルがあれば、別の場所に移動
- Wordを再起動して確認
ウイルスチェック
マクロウイルスに感染している可能性もあるので、ウイルス対策ソフトでスキャンしましょう。
PC買い替え時のNormal.dotm移行
PCを買い替えたときに、今まで使っていた設定やマクロを引き継ぎたい場合があります。
移行の手順
旧PCでの作業
- 旧PCでNormal.dotmの場所を開く
- Normal.dotmをUSBメモリや外付けHDD、クラウドストレージにコピー
新PCでの作業
- 新PCで一度Wordを起動して終了(Normal.dotmを自動作成させる)
- 新PCのNormal.dotmの場所を開く
- 新しく作成されたNormal.dotmのファイル名を変更(例:Normal.dotm.new)
- 旧PCからコピーしたNormal.dotmを貼り付ける
- Wordを起動して動作確認
注意:Wordのバージョンが異なる場合、うまく動作しない可能性があります。
その場合は、旧Normal.dotmは保管しておき、新しいNormal.dotmで設定し直すのが安全です。
よくある質問
Normal.dotmを削除しても大丈夫ですか?
はい、削除しても問題ありません。
Wordを起動すると、自動的に新しいNormal.dotmが作成されます。
ただし、カスタマイズした設定やマクロは失われるので、必要に応じてバックアップを取っておきましょう。
拡張子が表示されず「Normal」としか見えません
Windowsの設定で、拡張子が非表示になっています。
エクスプローラーの「表示」タブで「ファイル名拡張子」にチェックを入れると、「Normal.dotm」と表示されます。
Normal.dotmが見つかりません
まだ一度もWordを起動したことがない場合、Normal.dotmは作成されていません。
Wordを起動して終了すれば、自動的に作成されます。
また、隠しファイルの表示設定がオフになっている可能性もあるので、確認してみましょう。
マクロはどこに保存されますか?
マクロの記録を実行した場合、デフォルトではNormal.dotmに保存されます。
ただし、保存先を変更することもできるので、特定の文書やテンプレートに保存することも可能です。
初期化すると、すべての設定が消えますか?
はい、Normal.dotmを初期化すると、カスタマイズしたフォント、余白、スタイル、マクロなどがすべて初期状態に戻ります。
大切な設定やマクロがある場合は、必ずバックアップを取ってから初期化しましょう。
バックアップしたNormal.dotmはいつまで保管すべきですか?
新しいNormal.dotmで問題なくWordが動作することを確認したら、古いファイルは削除しても構いません。
ただし、特別なマクロやカスタマイズがある場合は、念のため保管しておくと安心です。
Wordのバージョンが違っても使えますか?
Word 2007以降(2007、2010、2013、2016、2019、2021、Microsoft 365)であれば、基本的に互換性があります。
ただし、バージョンが大きく異なる場合、一部の機能が正常に動作しない可能性があります。
複数のPCで同じNormal.dotmを共有できますか?
技術的には可能ですが、推奨されません。
各PCで独立したNormal.dotmを使用する方が、問題が起きにくいです。
トラブルシューティングチェックリスト
Normal.dotmに関する問題が発生したときの確認ポイントです。
チェックポイント1:ウイルススキャン
最新のウイルス対策ソフトでフルスキャンを実行しましょう。
マクロウイルスに感染している可能性があります。
チェックポイント2:アドインの確認
不要なアドインを無効化してみましょう。
特に原稿用紙アドインは、問題を引き起こすことがあります。
チェックポイント3:Normal.dotmの初期化
上記の手順でNormal.dotmを初期化してみましょう。
多くの問題は、これで解決します。
チェックポイント4:スタートアップフォルダの確認
不要なテンプレートやアドインがないか確認しましょう。
チェックポイント5:Wordの修復
それでも解決しない場合は、Wordの修復インストールを試してみましょう。
コントロールパネル→「プログラムと機能」→「Microsoft Office」→「変更」→「修復」
まとめ
Normal.dotmは、Microsoft Wordの標準テンプレートファイルで、新規文書の既定設定を保存する重要なファイルです。
保存場所は、通常以下のフォルダにあります。
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\Microsoft\Templates
主な役割は、フォント、余白、スタイル、マクロなど、新規文書の初期設定を管理することです。
よくある問題として、終了時の保存メッセージ、動作の不安定性、設定の勝手な変更などがあります。
解決方法は、Normal.dotmのファイル名を変更または削除して、Wordを再起動することで初期化できます。
初期化すると、まっさらな状態のNormal.dotmが自動的に作成され、多くの問題が解決します。
カスタマイズも可能で、既定のフォントや余白を変更したり、Normal.dotmを直接編集したりできます。
PC買い替え時には、旧PCからNormal.dotmをコピーすることで、設定やマクロを引き継げます。
Normal.dotmに関する問題が発生したら、まずは初期化を試してみてください。
ほとんどの場合、これで問題が解決します。
それでも解決しない場合は、アドインの確認、ウイルススキャン、Wordの修復などを試してみましょう。
この記事の方法を参考に、快適なWord環境を取り戻してください。


コメント