ゲーミングPCやノートPCを購入したら「Nahimic Audio」というソフトがプリインストールされていて、これは何だろう?と疑問に思っていませんか?
この記事では、Nahimic Audioの正体から主要機能、使い方、メリット・デメリットまで、実際に使える情報をわかりやすく解説します。
Nahimic Audioとは?基本を理解しよう
Nahimic Audio(ナヒミック オーディオ)は、PCの音質を劇的に向上させるオーディオドライバー&ソフトウェアです。
現在はSteelSeries(スティールシリーズ)が提供していますが、元々はフランスのA-Volute社が開発したもので、2020年4月にSteelSeriesに買収されました。
Nahimicという名前の由来
実は「Nahimic」という名前には面白い由来があります。これは開発時のプロジェクト名「N Array Headphone Integrated MICrophone」の頭文字を取ったものなんです。最初から3Dサウンド技術とマイク機能を統合した製品として設計されていたことがわかりますね。
元々は軍事・航空機用の技術だった
意外に思われるかもしれませんが、Nahimicの3Dサウンド技術は、元々軍事用途で開発されました。
開発の歴史:
- 2004年:A-Volute社がフランスの名門工科大学の同級生2人によって創設
- 初期:戦闘機シミュレーター用の3Dサウンドアラームを開発
- 2000年代後半:ヘリコプター用の回避アラートシステムに採用
- 2010年頃:PC周辺機器向けの仮想サラウンド事業に参入
- 2015年:MSI Gaming Series用として「Nahimicブランド」を正式に立ち上げ
- 2020年4月:SteelSeriesに買収され、SteelSeriesソフトウェアライブラリの一部に
つまり、命に関わる状況で正確な音の方向を把握するために開発された技術が、今はゲームや映画の音質向上に使われているわけです。この技術的背景が、Nahimicの高精度な3Dサウンド機能の秘密なんですね。
どんなPCにNahimic Audioが入っているの?
Nahimic Audioは、主にゲーミングPCやハイスペックノートPCにプリインストールされています。
対応メーカー一覧
以下のメーカーのPC、マザーボード、ヘッドセット/ヘッドホンにNahimicが搭載されています:
- MSI(エムエスアイ):ゲーミングノート、マザーボード
- Lenovo Legion(レノボ リージョン):ゲーミングノート
- Dell / Alienware(デル / エイリアンウェア):ゲーミングPC
- Gigabyte(ギガバイト):マザーボード
- AsRock(アスロック):マザーボード
- ASUS(エイスース):一部のROGシリーズ
- Huawei(ファーウェイ):ノートPC
- Honor(オナー):ノートPC
- Machenike(マシェニケ):ゲーミングノート
- Thunderobot(サンダーロボット):ゲーミングノート
- マウスコンピューター:一部のゲーミングモデル
自分のPCに入っているか確認する方法
確認手順:
- Windowsの「スタートメニュー」を開く
- アプリ一覧をスクロールして「Nahimic」を探す
- または、タスクバーの右側(通知領域)にNahimicのアイコンがあるか確認
もし見つからない場合は、Microsoft Storeで「Nahimic」と検索してみましょう。対応機種であればインストールできます。
Nahimic Audioの主要機能を徹底解説
Nahimic Audioには、ゲーマーから音楽好きまで満足できる多彩な機能が搭載されています。
1. 7.1バーチャルサラウンドサウンド
最も注目すべき機能がこの仮想サラウンドサウンド技術です。
通常のステレオヘッドホンやスピーカー(2チャンネル)でも、まるで7.1チャンネルサラウンドシステムで聞いているような立体的な音を再現します。
具体的な効果:
- 後ろから迫る敵の足音が「後方」から聞こえる
- 爆発音が「右前方」から聞こえる
- 映画を見ているとき、音が360度から包み込むように聞こえる
この技術により、普通の2,000円のイヤホンでも、高価なサラウンドヘッドセットのような体験ができるんです。
2. 10バンドイコライザー
イコライザーとは、音の周波数帯域ごとに音量を調整できる機能のこと。
Nahimicには10バンドのイコライザーが搭載されており、細かく音質をカスタマイズできます。
使い方の例:
- 低音(バス)を強調してEDMやヒップホップを迫力ある音で楽しむ
- 中音域を上げてボーカルをクリアに聞く
- 高音(トレブル)を調整してFPSゲームで足音を聞き取りやすくする
さらに、「試行」ボタンを押せば、調整した音をリアルタイムで確認しながら設定できます。
3. オーディオプロファイル機能
Nahimicには、用途に応じた5つのプリセットプロファイルが用意されています。
プロファイル一覧:
- Music(音楽):バランスの取れた音質で音楽鑑賞に最適
- Movie(映画):臨場感のあるサウンドで映画鑑賞向け
- Communication(コミュニケーション):通話やWeb会議に最適化
- Gaming(ゲーム):足音や銃声を聞き取りやすくしたゲーム向け
- Smart(スマート):使用中のアプリに応じて自動的に最適なプロファイルに切り替え
それぞれのプロファイルは自由にカスタマイズでき、デフォルト設定に戻すこともワンクリックでできます。
4. サウンドトラッカー(ゲーマー必見!)
これはゲーム内の音の方向を視覚的に表示するユニークな機能です。
画面上に円形のレーダーが表示され、足音や銃声がどの方向から聞こえたかを示してくれます。聴覚と視覚の両方で敵の位置を把握できるため、FPSゲームで圧倒的に有利になります。
カスタマイズ可能な項目:
- レーダーのサイズ
- 画面上の表示位置
- 透明度
- 色
注意点: サウンドトラッカーは対応ゲームでのみ動作します。最新のゲーム(APEX LegendsやBattlefield 2042など)には対応していない場合があります。対応ゲームリストは公式サイト(https://www.nahimic.com/games-list/)で確認できます。
5. マイク強化機能
ボイスチャットやWeb会議で大活躍する機能群です。
主なマイク機能:
- ノイズサプレッション:電子機器から発生するノイズを大幅に除去
- エコーキャンセレーション:スピーカーの音をマイクが拾ってエコーになるのを防ぐ
- ラテラルサウンドキャンセレーション:マイクに向かった声だけを拾い、周囲の雑音を除去
- ボイススタビライザー:マイクからの距離に関わらず、声の音量を一定に保つ
これらの機能により、安価なマイクでもプロ級のクリアな音声を届けられます。
6. ボリュームスタビライザー
映画やゲームで「急に音が大きくなった!」という経験、ありませんか?
この機能は、音量の強弱を自動的に調整して、常に快適な音量に保ってくれます。
「Nightモード」の便利さ:
夜間にゲームをするとき、爆発音は小さく、足音や会話は聞き取れる音量に自動調整してくれます。アパートやマンション住まいの方には特にありがたい機能です。
7. Easy Surround(イージーサラウンド)
これはBluetoothスピーカーをリアスピーカーとして使えるという画期的な機能。
有線接続のフロントスピーカーと、Bluetoothで接続したリアスピーカーを同時に再生することで、本格的なサラウンド環境を構築できます。
必要なもの:
- フロント用のスピーカー(有線接続)
- Bluetooth 5.0対応のBluetoothスピーカー
この機能を使えば、高価なサラウンドシステムを購入しなくても、手持ちのBluetoothスピーカーでサラウンド体験が可能になります。
8. Sound Sharing(サウンドシェアリング)
2つのヘッドホンで同じ音を同時に聞ける機能です。
友人と一緒に映画を見たり、音楽を共有したりするときに便利。Bluetooth、USB、ヘッドホンジャック、どの接続方式でも使えます。
Nahimic Audioの使い方|基本操作ガイド
実際にNahimicを使ってみましょう。
Nahimicの起動方法
方法1:スタートメニューから
- Windowsの「スタートメニュー」を開く
- アプリ一覧から「Nahimic」を探してクリック
方法2:タスクバーから
- タスクバー右側の「隠れているインジケーターを表示」(上向き矢印アイコン)をクリック
- Nahimicのアイコンをクリック
音質を調整する手順
ステップ1:プロファイルを選択
Nahimicを起動したら、まず使用目的に合ったプロファイル(Music、Movie、Gaming、Communicationなど)を選びます。
ステップ2:バーチャルサラウンドをオン
「バーチャルサラウンド」のスイッチをオンにすると、立体的な音が体験できます。
ステップ3:イコライザーで細かく調整(任意)
イコライザーアイコンをクリックして、10バンドのスライダーを操作します。「試行」ボタンで音を確認しながら調整しましょう。
ステップ4:設定を保存
気に入った設定になったら、そのまま使用できます。デフォルトに戻したい場合は「リセット」ボタンをクリック。
マイク設定の最適化
マイクタブに移動して:
- 使用目的に応じてプロファイル(ChatまたはConference)を選択
- ノイズサプレッション、エコーキャンセレーションをオン
- マイク音量を調整
- 必要に応じてボイススタビライザーをオン
これだけで、驚くほどクリアな音声になります。
Nahimic Audioのメリット・デメリット
実際に使ってみて感じるメリットとデメリットをまとめました。
メリット
1. どんなオーディオデバイスでも使える高い互換性
100均のイヤホンから高級ヘッドホンまで、どんなデバイスでもNahimicの効果を得られます。接続方式(Bluetooth、USB、ヘッドホンジャック、HDMI、S/PDIF)も問いません。
2. メーカーの音質設計を最適化
PCメーカーはNahimicと協力して、そのPC専用の音質チューニングを行っています。つまり、Nahimicはそのメーカーが意図した最高の音を引き出してくれるんです。
3. 無料で使える
対応PCにはプリインストールされているため、追加料金は一切かかりません。
4. 初心者でも簡単に使える
複雑な設定は不要。プリセットプロファイルを選ぶだけで、すぐに高音質を体験できます。
5. スピーカー保護機能
過剰な振動を抑制してスピーカーを保護します。音量を上げてもブーンという音や歪みが発生しにくくなります。
デメリット
1. 一部のゲームで不具合が起きる
Counter-Strike 2など、一部のゲームではNahimicが動作しているとゲームが起動しないという報告があります。その場合はNahimicサービスを一時的に停止する必要があります。
2. CPU使用率が上がることがある
古いデュアルコアCPUのPCでは、Nahimicがバックグラウンドで動作することでシステムが重くなる可能性があります。最近の6コア以上のCPUなら問題ありません。
3. 音質の好みは人それぞれ
Nahimicの処理された音を「人工的すぎる」と感じる人もいます。自然な音が好きな方には向かないかもしれません。
4. 削除すると復活することがある
アンインストールしても、PCを再起動すると自動的に再インストールされることがあります。完全に削除するには、レジストリ編集など複雑な手順が必要です。
5. ノートPCではバッテリー消費が増える
Nahimicが常時動作するため、ノートPCではバッテリー駆動時間が10〜20分程度短くなることがあります。
Nahimic Audioをアンインストールしても大丈夫?
「Nahimicは必要ないかも」と思った場合、削除しても問題ないのでしょうか?
アンインストールした場合の影響
起こりうる変化:
- 音質が著しく低下する場合がある
- 音量が以前ほど大きくならない可能性がある
- 高音量時にスピーカーがブーンという音を出したり、振動したりする
- 音量を上げすぎるとスピーカーを損傷する可能性がある
- イコライザー、サラウンドサウンド、ベースブーストなどの拡張機能がすべて使えなくなる
重要なポイント: NahimicのオーディオドライバーはPCメーカーが意図した音質を実現するために設計されています。削除すると、メーカーの音質設計が失われることになります。
削除しても大丈夫なケース
以下のような場合は、削除を検討しても良いでしょう:
- ゲームとの互換性問題が頻発する
- CPU使用率が常に高い
- 自然な音質を好む
- 他のオーディオソフトウェア(FxSoundなど)を使いたい
削除せずに無効化する方法
完全に削除する前に、一時的に無効化してみることをおすすめします。
無効化の手順:
- Windowsキー + Rを押して「services.msc」と入力
- 「Nahimic service」を探して右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「スタートアップの種類」を「無効」に変更
- 「停止」ボタンをクリック
- PCを再起動
これなら後で気が変わったとき、再び「自動」に設定すれば元に戻せます。
Nahimicが動作しない時のトラブルシューティング
「Nahimicが起動しない」「機能が使えない」という場合の対処法です。
エラー:「Nahimicの初期化に失敗しました」
このエラーが表示される場合は、Windows UpdateやドライバーとNahimicの互換性に問題がある可能性が高いです。
解決策:Nahimic Restore Toolを使用
公式の自動修復ツールを使いましょう。
- Nahimicの公式コミュニティサイト(nahimic.helprace.com)にアクセス
- 「Generic Nahimic Restore Tool」または自分のPCメーカー専用のツールをダウンロード
- ダウンロードしたファイルを右クリックして「管理者として実行」
- ツールが自動的にハードウェアを検出し、必要なファイルをインストール
- 完了後にPCを再起動
一部の機能しか表示されない(Intelligent Modeのみ)
「イコライザーやサラウンドサウンドが使えず、基本機能しか表示されない」という場合は、Nahimicサービスが正常に起動していない可能性があります。
解決策:サービスを確認
- Windowsキー + Rを押して「services.msc」と入力
- 以下のサービスが「実行中」で「自動」になっているか確認:
- Nahimic service
- 停止している場合は右クリックして「開始」を選択
- 「スタートアップの種類」を「自動」に設定
Microsoft Storeから最新版に更新する
Nahimicが古いバージョンの場合、最新のWindowsと互換性がない可能性があります。
更新手順:
- Microsoft Storeアプリを開く
- 右上の「…」メニューから「ダウンロードと更新」を選択
- 「最新情報を取得する」をクリック
- Nahimicの更新があればインストール
- 完了後にPCを再起動
Nahimic AudioとSteelSeries Sonarの違い
SteelSeriesは、Nahimicとは別に「SteelSeries Sonar」という新しいオーディオソフトウェアも提供しています。
主な違い
Nahimic Audio:
- PCメーカーとの提携により、特定のPCにプリインストール
- ハードウェアに密接に統合されたドライバー
- PCメーカーの音質設計を最適化
- 対応PCでのみ使用可能
SteelSeries Sonar:
- どんなPCでもダウンロードして使える
- SteelSeries製品との連携に強い
- より新しいUI/UX
- ゲーマー向けの機能が充実
どちらを選ぶべき?
- Nahimicが既にインストールされている場合:そのまま使い続けるのがベスト
- Nahimicが非対応のPCを使っている場合:SteelSeries Sonarを試してみる価値あり
- SteelSeries製品を使っている場合:SteelSeries Sonarの方が連携機能が豊富
まとめ:Nahimic Audioは使う価値がある?
最後に、Nahimic Audioを使うべきかどうかをまとめます。
Nahimic Audioをおすすめする人
- ゲーマー:FPSで敵の位置を正確に把握したい
- 映画好き:臨場感のあるサラウンドサウンドで映画を楽しみたい
- 配信者・クリエイター:クリアなマイク音声で視聴者に届けたい
- Web会議が多い人:ノイズのないクリアな音声で会議に参加したい
- 音質にこだわりたいが高価な機材は買えない人:手持ちのイヤホンで高音質を楽しみたい
Nahimic Audioが不要かもしれない人
- 最小限のシステムリソースで動かしたい人:古いPCでパフォーマンスが気になる
- 完全に自然な音質を好む人:エフェクト処理されていない音が好き
- 特定のゲームとの互換性問題がある人:ゲームが起動しないなどの問題が発生している
結論
Nahimic Audioは、対応PCにプリインストールされている場合、そのまま使い続けることを強くおすすめします。
PCメーカーがわざわざ採用しているということは、そのPCの音質を最大限に引き出すために設計されているということ。無料で使えて、多彩な機能があり、初心者でも簡単に高音質を体験できるのは大きなメリットです。
もし特定の問題が起きた場合は、完全に削除する前に一時的に無効化して様子を見るのが賢明。必要に応じて再度有効にできるので、柔軟に対応しましょう。
ゲームや映画、音楽を今まで以上に楽しむために、Nahimicの機能をぜひ活用してみてください!

コメント