「パソコンが起動しなくなった!」「BIOS設定を間違えてしまった!」
そんなとき、BIOS初期化が解決の鍵になることがあります。
MSIマザーボードのBIOSを初期化すると、今まで変更したすべての設定が工場出荷時の状態に戻ります。難しそうに聞こえるかもしれませんが、実は誰でもできる簡単な作業なんです。
この記事では、MSI BIOSを初期化する4つの方法と、初期化すべきタイミング、そして初期化後の注意点まで詳しく解説していきます。
BIOS初期化とは?何が起こるのか

BIOS初期化(またはCMOSクリア)とは、マザーボードに保存されているBIOS設定を、購入時の工場出荷状態に戻す作業のことです。
「初期化」という言葉から「パソコンのデータが消えちゃうの?」と心配になる方もいるかもしれませんが、安心してください。
BIOS初期化では、ハードディスクやSSDに保存されているWindowsやデータは一切消えません。
リセットされるのは、あくまでもBIOSの設定だけです。
具体的には、以下のような設定が初期値に戻ります:
- 起動デバイスの優先順位
- XMP/D.O.C.P.などのメモリオーバークロック設定
- ファンの回転数設定
- 日付と時刻の設定
- CPUやメモリの電圧設定
- その他、BIOSで変更したすべてのカスタム設定
また、初期化してもBIOSのバージョンは変わりません。
例えば最新のBIOSにアップデートした後に初期化しても、BIOSバージョンが古いバージョンに戻ることはないので安心してください。
BIOS初期化が必要な場面とは
どんなときにBIOSを初期化すべきなのでしょうか?
実際によくある場面をご紹介します。
パソコンが起動しなくなった
BIOS設定を変更した後、パソコンが起動しなくなることがあります。
特にオーバークロック設定や電圧設定を変更した場合、設定値が適切でないとシステムが不安定になってしまうんです。
こんな症状が出たらBIOS初期化を検討してみてください:
- 電源は入るが画面が真っ暗なまま
- 起動時にビープ音(警告音)が鳴る
- 「Boot Device Not Found」などのエラーメッセージが表示される
- 起動途中で固まってしまう
BIOS画面に入れない
何らかの理由でBIOS画面にアクセスできなくなることがあります。
この場合、BIOS画面からの操作ができないため、物理的な方法(CMOSクリアボタンやジャンパー)で初期化する必要があります。
設定を間違えて元に戻せない
BIOSでいろいろな設定を変更しているうちに、何を変えたのか分からなくなってしまった。
そんなときは、一度すべて初期化してやり直すのが最も確実です。
中古マザーボードを入手した
中古のマザーボードを購入した場合、前のオーナーがどんな設定をしていたか分かりません。
トラブルを避けるため、まずは初期化してから使い始めることをおすすめします。
新しいCPUに交換する前
一部のIT技術者は、CPUを交換する前にCMOSクリアを推奨しています。
これにより、旧CPUに最適化されていた設定をリセットして、新CPUで正しく動作するようにするためです。
方法1:BIOS画面から初期化する(最も簡単)
BIOS画面にアクセスできる場合、これが最も簡単で安全な方法です。
手順
1. BIOSを起動する
パソコンの電源を入れた直後、Deleteキーを連打してBIOS画面に入ります。
2. Load Optimized Defaultsを実行する
BIOSが起動したら、F6キーを押してください。
すると「Load Optimized Defaults」(最適化されたデフォルト設定を読み込む)という選択肢が表示されます。
EZモードでもAdvancedモードでも、F6キーで呼び出せますよ。
または、Advancedモードの場合:
- 「Save & Exit」タブを開く
- 「Restore Defaults」または「Load Optimized Defaults」を選択
- Enterキーを押す
3. 確認メッセージに「Yes」を選択
「デフォルト設定を読み込みますか?」という確認メッセージが表示されるので、「Yes」を選択します。
4. 設定を保存して終了
F10キーを押すか、「Save Changes and Exit」を選択してください。
パソコンが再起動し、初期設定で起動します。
これで完了です!簡単でしょう?
この方法のメリット
- 工具不要で、誰でも安全にできる
- パソコンケースを開ける必要がない
- 所要時間は1分程度
ただし、この方法はBIOS画面にアクセスできる場合にのみ使えます。
方法2:CMOSクリアボタンを使う(最近のマザーボード)
最近の高性能なMSIマザーボードには、専用の「CMOSクリアボタン」が搭載されていることが多いです。
このボタンを押すだけで簡単に初期化できます。
ボタンの場所
CMOSクリアボタンは通常、以下のいずれかの場所にあります:
- 背面のI/Oパネル(USBポートやLANポートがある面)
- マザーボード上(CMOSバッテリーの近く、またはPCIeスロットの下あたり)
小さなボタンで「CLR_CMOS」「CMOS_CLR」「Clear CMOS」などと書かれています。
注意:BIOS Flashbackボタンと間違えないように!
多くのMSIマザーボードには、CMOSクリアボタンの隣に「BIOS Flashback」ボタンもあります。
これらは別の機能なので、間違えないように注意してください。
手順
1. パソコンの電源を完全に切る
電源ボタンでシャットダウンした後、電源ユニット背面のスイッチもOFFにするか、電源ケーブルをコンセントから抜いてください。
2. 1分ほど待つ
電源ユニット内のコンデンサに溜まっている電気を完全に放電させるため、少し待ちます。
確実に放電させたい場合は、電源ボタンを数回押してみてください(電源ケーブルが抜けている状態で)。
3. CMOSクリアボタンを押す
背面I/Oパネルにあるボタンの場合:
- ボタンが凹んでいることが多いので、ペーパークリップや爪楊枝などで10秒ほど押し続けます
マザーボード上のボタンの場合:
- パソコンケースを開ける必要があります
- ボタンを見つけたら、5〜10秒ほど押し続けます
4. さらに1分ほど待つ
ボタンを離した後、CMOSが完全にクリアされるまで少し待ちます。
5. 電源を戻して起動
電源ケーブルを接続し、電源ユニットのスイッチをONにして、パソコンを起動してください。
この方法のメリット
- とても簡単で確実
- BIOSにアクセスできない場合でも使える
- 背面ボタンならケースを開ける必要もない
ただし、この機能は比較的新しいマザーボードにしか搭載されていません。
方法3:CMOSジャンパーを使う(少し上級者向け)
お使いのマザーボードにCMOSクリアボタンがない場合、ジャンパーピンを使って初期化できます。
必要なもの
- プラスドライバー(ケースを開けるため)
- ジャンパー(マザーボードに付属していることが多い)または金属製のピンセット
静電気対策も忘れずに!
マザーボードに触れる前に、金属製の物(ドアノブなど)に触れて静電気を逃がしてください。
冬場は特に注意が必要です。可能であれば、静電気防止手袋の着用をおすすめします。
手順
1. パソコンの電源を完全に切る
電源ボタンでシャットダウンし、電源ユニット背面のスイッチもOFF、電源ケーブルも抜いてください。
2. パソコンケースを開ける
サイドパネルを外して、マザーボードが見える状態にします。
3. CMOSジャンパーを探す
マザーボード上で「JBAT1」「CLR_CMOS」「CLRTC」などと書かれた3ピンのジャンパーを探してください。
通常、CMOSバッテリー(丸い銀色の電池)の近くにあります。
マザーボードのマニュアルに正確な位置が記載されているので、確認することをおすすめします。
4. ジャンパーピンを移動させる
MSIマザーボードの場合、通常は以下のようになっています:
- 通常時:ピン1-2にジャンパーが刺さっている
- クリア時:ピン2-3にジャンパーを移動させる
ジャンパーを慎重に引き抜き、2-3のピンに差し替えてください。
ジャンパーがない場合は、金属製のピンセットやドライバーで2-3のピンを同時に触れて、5〜10秒ほどショート(接続)させます。
5. 1〜5分待つ
CMOSが完全にクリアされるまで待ちます。
6. ジャンパーを元に戻す
ジャンパーを元の位置(ピン1-2)に戻してください。
7. ケースを閉じて起動
ケースを元に戻し、電源を接続して起動します。
この方法のメリット
- ほとんどすべてのマザーボードで使える
- BIOSにアクセスできない場合でも確実に初期化できる
注意点
- ケースを開ける必要がある
- 静電気でマザーボードを壊すリスクがある(対策必須)
- ジャンパーの位置を間違えないように注意
方法4:CMOS電池を取り外す(最終手段)
CMOSクリアボタンもジャンパーもない、または動作しない場合の最終手段です。
BIOSの設定を保存しているCMOS(シーモス)は、マザーボード上の電池から電力を供給されています。
この電池を取り外すことで、設定を保持できなくなり、初期化されるというわけです。
手順
1. パソコンの電源を完全に切る
電源をシャットダウンし、電源ユニットのスイッチもOFF、電源ケーブルも抜きます。
2. ケースを開けてCMOS電池を探す
マザーボード上の丸くて平らな銀色の電池(CR2032という型番が一般的)を探してください。
PCIeスロットの下あたりにあることが多いです。
3. 電池を取り外す
電池の横にある小さな金属製のツメ(ロック)を横に押しながら、電池を慎重に持ち上げます。
向きを覚えておいてください!
電池には+と-の向きがあります。取り外す前に、どちら側が上を向いているか確認しておきましょう。
4. 5分以上待つ
電池を取り外した状態で、5分以上(できれば10分程度)待ちます。
この間にマザーボード内のコンデンサが完全に放電され、CMOS設定がクリアされます。
確実に放電させたい場合は、電池を外した状態で電源ボタンを数回押してみてください。
5. 電池を元に戻す
電池を元の向きで差し込みます。「カチッ」という音がして、ロックされるまで押し込んでください。
6. ケースを閉じて起動
すべてを元に戻し、電源を接続して起動します。
この方法のメリット
- 特別な工具が不要
- 確実にCMOSをクリアできる
注意点
- 電池の向きを間違えないこと
- マザーボードによっては電池が取り外せない設計になっている場合もある(無理に外さないこと)
- 他の方法より時間がかかる
初期化後に必ず確認すべき設定

BIOS初期化が完了したら、以下の設定を確認・再設定してください。
1. 日付と時刻の設定
初期化すると、日付と時刻がリセットされて、マザーボードの製造日時などになってしまいます。
設定場所:
- EZモード:画面上部に表示されている時刻をクリック
- Advancedモード:「Settings」→「Advanced」→「System Date/Time」
正しい日付と時刻に設定し直しましょう。
2. 起動デバイスの優先順位
初期化すると、起動デバイスの順序も初期値に戻ります。
WindowsがインストールされているSSDやハードディスクが最優先になっているか確認してください。
設定場所:
- EZモード:画面下部の起動デバイスアイコンをドラッグ
- Advancedモード:「Settings」→「Boot」→「Boot Option #1」
3. XMP/D.O.C.P.の再設定
メモリをオーバークロックしていた場合、XMPまたはD.O.C.P.設定も初期化されています。
メモリ本来の性能を発揮させるため、再度有効にしておきましょう。
4. ファン制御の設定
カスタムファンカーブを設定していた場合、これも初期値に戻っています。
静音性や冷却性能にこだわりがある方は、ファン設定も見直してください。
5. Secure Boot(Windows 11使用の場合)
Windows 11を使っている場合、Secure Bootが無効になっているかもしれません。
「Settings」→「Security」→「Secure Boot」で「Enabled」になっているか確認してください。
6. 設定の保存を忘れずに!
すべての設定を確認したら、必ずF10キーを押して保存してから終了してください。
保存せずに終了すると、せっかく設定した内容が反映されません。
トラブルシューティング:初期化後も問題が解決しない場合
BIOS初期化を試しても問題が解決しない場合、以下をチェックしてみてください。
起動しない、画面が映らない
原因1:起動デバイスの設定ミス
起動デバイスの優先順位を確認し、Windowsがインストールされているドライブが最優先になっているか確認してください。
原因2:ハードウェアの接続不良
グラフィックカード、メモリ、電源ケーブルなどが正しく接続されているか確認しましょう。
一度すべて取り外して、再度しっかりと接続し直すのも効果的です。
原因3:ハードウェアの故障
メモリやストレージなどのハードウェアそのものが故障している可能性もあります。
最小構成(CPU、メモリ1枚、電源のみ)で起動を試してみてください。
Windows起動時に「BitLocker回復キー」を求められる
BitLockerで暗号化されたドライブを使っている場合、BIOS設定の変更(Secure BootやTPMの状態変更)により回復キーの入力を求められることがあります。
これは正常な動作です。Microsoft アカウントに保存されている回復キーを入力してください。
日付と時刻が勝手に狂う
CMOS電池が消耗している可能性があります。
何度設定しても日付が狂う場合は、CMOS電池(CR2032)を新しいものに交換してください。
電池は家電量販店やコンビニで数百円で購入できます。
初期化してもBIOS画面に入れない
以下を試してみてください:
- 有線キーボードを使う(無線キーボードは認識が遅い場合がある)
- PS/2接続のキーボードを使う(USBより確実に認識される)
- Windowsの「高速スタートアップ」を無効にする
- 完全シャットダウンを実施する(Shiftキーを押しながら「シャットダウン」をクリック)
初期化前に知っておくべき重要な注意点
BIOS初期化を実行する前に、以下の点を理解しておいてください。
データは消えないが、設定は消える
何度も言いますが、BIOS初期化でWindowsやデータファイルが消えることはありません。
ただし、BIOS内で行ったすべてのカスタム設定は失われます。
重要な設定を変更していた場合は、初期化前にスマートフォンで写真を撮っておくことをおすすめします。
BIOSバージョンは変わらない
BIOS初期化を行っても、BIOSのバージョンは変わりません。
最新のBIOSにアップデートした後に初期化しても、バージョンが古いものに戻ることはないので安心してください。
自己責任で実施する
この記事では安全な手順をご紹介していますが、パソコンの内部に触れる作業にはリスクが伴います。
特に静電気によるマザーボードの破損には注意が必要です。
不安な場合は、パソコンに詳しい友人やサポート窓口に相談することをおすすめします。
まとめ
MSI BIOSの初期化、思ったより簡単だったのではないでしょうか?
この記事のポイントをおさらいすると:
- BIOS初期化でWindowsやデータは消えない(BIOSの設定だけがリセットされる)
- 最も簡単な方法はBIOS画面から「F6キー」で初期化
- BIOS画面に入れない場合は、CMOSクリアボタンやジャンパーを使う
- 初期化後は、日付・時刻、起動デバイス、XMPなどの設定を確認する
- 初期化してもBIOSバージョンは変わらない
パソコンが起動しない、設定がおかしくなったなど、BIOS関連のトラブルに直面したら、まずはBIOS初期化を試してみてください。
多くの問題はこれで解決します。
ただし、初期化を実行する前に、現在の設定を写真に撮っておくのを忘れずに。
そして何より、静電気対策をしっかり行って、マザーボードを壊さないように注意してくださいね。
うまくいかない場合や不安な場合は、無理せず専門家に相談することも大切です。
あなたのパソコンがまた快適に動作するようになることを願っています!

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