グラフィックボード(グラボ)を使っていて、「ファンの音がうるさい」「部屋が暑くなる」「電気代が気になる」と感じたことはありませんか?
そんな悩みを解決してくれるのが、MSI Afterburnerの「電力制限(Power Limit)」機能です。
電力制限とは、グラボが使える最大の電力を意図的に制限すること。例えば電力制限を80%に設定すると、グラボの消費電力が約20%削減されます。
「性能が落ちるんじゃないの?」と心配になるかもしれませんが、実は電力を80%に制限しても性能の低下はわずか数%程度。多くの場合、体感できないレベルなんです。
電力制限のメリット

電力制限を設定することで、以下のような効果が期待できます。
消費電力が減って電気代が節約できる
グラボは電気をたくさん使うパーツ。電力制限をかけることで、月々の電気代を抑えられます。
例えばRTX 3080の場合、デフォルトでは最大約320Wも消費しますが、電力制限70%に設定すると220W前後まで下がります。
GPUの温度が下がる
消費電力が減れば、発熱も抑えられます。
実際の例では、電力制限なしで70℃だったGPU温度が、電力制限をかけることで65℃まで下がったケースも報告されています。
ファンの回転数が下がって静かになる
GPUの温度が下がれば、冷却ファンもそれほど頑張らなくて済むようになります。
結果として、グラボのファン音が静かになり、快適なPC環境を作れるんです。
システムの安定性が向上する
実は、グラボは瞬間的に高性能を出そうとして、逆に動作が不安定になることがあります。
電力制限をかけることで、そういった不安定さが解消され、安定した動作が期待できます。
MSI Afterburnerで電力制限を設定する方法
具体的な設定手順を見ていきましょう。とても簡単ですよ。
1. MSI Afterburnerをダウンロード&インストール
MSI公式サイトから無料でダウンロードできます。MSI製以外のグラボでも使用可能です。
NVIDIA GeForce、AMD Radeon、Intel Arcのどれでも利用できます。
2. Power Limitのスライダーを調整
MSI Afterburnerを起動すると、メイン画面の中央上部に「Power Limit(%)」というスライダーがあります。
デフォルトは100%に設定されているはず。このスライダーを左に動かすことで、電力制限をかけられます。
3. チェックマークをクリックして適用
スライダーを動かしただけでは設定は反映されません。
画面下部にある「✓」マークのボタンをクリックして初めて設定が適用されます。忘れずにクリックしましょう。
Power LimitとTemp Limitの連動を解除する
初期設定では、Power Limit(電力制限)とTemp Limit(温度制限)が連動しています。
つまり、電力制限を下げると温度制限も一緒に下がってしまうんです。これだと意図しない温度制限がかかってしまうことがあります。
連動解除の方法
Power LimitとTemp Limitのスライダーの間にある「鎖マーク」のアイコンをクリックしてください。
このマークがOFFになれば、それぞれのスライダーを個別に動かせるようになります。
おすすめ設定例
- Power Limit: 70%~80%
- Temp Limit: 75℃~80℃
この設定なら、省電力と性能のバランスが取れた運用ができますよ。
おすすめの電力制限設定値
どのくらいに設定すればいいのか迷いますよね。以下を参考にしてください。
電力制限 80%:入門編
性能低下をほとんど感じずに、省電力効果が得られます。
「まずは試してみたい」という方におすすめ。多くの場合、体感できるほどの性能低下はありません。
電力制限 70%:バランス重視
消費電力が30%ほど削減され、発熱も大幅に下がります。
性能低下は5%前後とわずか。普段使いやライトなゲームなら十分快適です。
電力制限 60%~65%:省エネ最優先
静音性と省電力性を最優先したい方向け。
性能は10%前後低下しますが、消費電力は40%近く削減できます。発熱も温度制限も大きく引き下げられるので、非常にバランスが良い設定です。
電力制限 50%:極限の省エネ
消費電力を最小限に抑えたい場合の設定。
性能は20%程度低下しますが、発熱はほとんど気にならないレベルになります。負荷の軽い作業なら十分使えます。
電力制限によるパフォーマンスへの影響
「電力を制限したら、どのくらい性能が落ちるの?」という疑問に答えます。
消費電力と性能の関係
実は、消費電力が増えるほど、性能の伸びは緩やかになる傾向があります。
例えば、電力制限を100%から90%に下げても、性能低下は1~2%程度。しかし消費電力は確実に10%減ります。
つまり、少し電力を制限するだけで、効率が大きく向上するというわけです。
FF15ベンチマークでの実測例
あるユーザーの測定結果では以下のような結果が出ています。
- 100%:スコア 4736(消費電力 179W)
- 80%:スコア 4827(消費電力 165W)性能微増
- 70%:スコア 4531(消費電力 142W)約5%低下
- 60%:スコア 未測定(消費電力 115W前後)
- 50%:スコア 4107(消費電力 113W)約15%低下
このデータを見ると、電力制限70%前後が性能と消費電力のバランスが良いことが分かります。
電力制限が変更できない場合の対処法
「Power Limitのスライダーがグレーアウトして動かせない!」という場合があります。
原因1:グラボの仕様によるロック
エントリーモデルやOEM向けのGPUでは、メーカーが安全性の観点から電力制限の調整をロックしていることがあります。
この場合は残念ながら、MSI Afterburnerでは変更できません。
原因2:ドライバーの問題
古いGPUドライバーを使っていると、電力制限が変更できないことがあります。
最新のドライバーに更新してみてください。
原因3:ノートPCの制限
ノートPCに搭載されているグラボの多くは、電力制限の調整ができない仕様になっています。
熱設計の関係で、メーカー側が固定していることが理由です。
原因4:NiceHashなど他のソフトの干渉
マイニングソフトのNiceHashなどが電力管理をしていると、MSI Afterburnerの設定が効かないことがあります。
他のソフトの電力管理設定を確認してみましょう。
PC起動時に自動で設定を適用する方法

電力制限の設定は、PCを再起動するとリセットされてしまいます。
毎回手動で設定するのは面倒ですよね。そこで、自動適用の設定をしておきましょう。
設定手順
- MSI Afterburnerで電力制限などの設定を完了
- 画面右上にある「Windowsマーク」のボタンをクリック
- ボタンが青く点灯したらOK
これで、Windows起動時に自動的に設定が適用されるようになります。
プロファイルに保存する方法
複数の設定パターンを使い分けたい場合は、プロファイル機能が便利です。
- 設定を完了したら、画面下部の「保存」ボタンをクリック
- 保存したいプロファイル番号(1~5)を選択
次回からは、プロファイル番号をクリックするだけで設定を呼び出せます。
電力制限と低電圧化の違い
電力制限以外に「低電圧化(アンダーボルト)」という方法もあります。
電力制限の特徴
- 設定が簡単:スライダーを動かすだけ
- 安全性が高い:メーカーの想定範囲内での調整
- 性能は若干低下:クロック数が下がることがある
低電圧化の特徴
- 設定が複雑:電圧とクロックの調整が必要
- 性能を維持しやすい:クロック数を保ったまま省電力化できる
- リスクあり:設定ミスで不安定になることも
初心者の方は、まず電力制限から試してみるのがおすすめ。それで満足できなければ、低電圧化にチャレンジするという流れがいいでしょう。
電力制限のデメリットはある?
良いことばかりのように思える電力制限ですが、デメリットもあります。
パフォーマンスは確実に低下する
省電力化の代償として、多少なりとも性能は落ちます。
ただし、電力制限70~80%程度なら、体感できないレベルの低下で済むことがほとんどです。
高負荷なゲームでは足りないことも
最新の重いゲームを最高設定でプレイする場合、電力制限をかけるとフレームレートが下がる可能性があります。
そういう場合は、ゲームプレイ時だけ電力制限を緩めるといった使い分けがおすすめ。
クロック数が自動調整される
電力制限を設定すると、指定した電力を超えないようにGPUのクロック周波数が自動調整されます。
これにより、瞬間的な最大性能は発揮できなくなります。
よくある質問
Q. 電力制限は安全ですか?グラボが壊れませんか?
A. 電力制限は非常に安全です。メーカーが想定している範囲内での調整なので、グラボが壊れる心配はありません。
むしろ、発熱が抑えられることで、グラボの寿命が延びる可能性すらあります。
Q. オーバークロックと電力制限は併用できますか?
A. できますが、あまり推奨されません。オーバークロックは性能を上げるための設定、電力制限は消費電力を下げる設定なので、目的が相反しています。
どちらか一方に絞った方が効果的です。
Q. MSI製以外のグラボでも使えますか?
A. はい、使えます。MSI Afterburnerは、NVIDIA、AMD、Intel製のほぼすべてのグラフィックボードに対応しています。
Q. 設定を元に戻したい場合は?
A. Power Limitのスライダーを100%に戻して「✓」ボタンをクリックすればOKです。
または、画面下部の「リセット」ボタンをクリックすれば、すべての設定がデフォルトに戻ります。
まとめ:電力制限でグラボを賢く使おう
MSI Afterburnerの電力制限は、グラボの発熱・騒音・電気代を抑える非常に効果的な方法です。
電力制限のポイントまとめ
- 設定は簡単、スライダーを動かすだけ
- 電力制限80%なら性能低下はほぼ体感できない
- 消費電力、発熱、騒音が大幅に改善される
- 安全性が高く、グラボが壊れる心配はない
- Power LimitとTemp Limitの連動は解除しておく
- PC起動時の自動適用設定を忘れずに
おすすめの電力制限値
- 初めての方:80%
- バランス重視:70%
- 省エネ優先:60~65%
グラボの性能が過剰だと感じている方、電気代や発熱が気になる方は、ぜひ一度試してみてください。
設定は数秒で完了しますし、いつでも元に戻せます。あなたに合った設定を見つけて、快適なPC環境を作りましょう!

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