「グラフィックボードの性能をもっと引き出したい」「ゲームのfpsを向上させたい」そんな時に検討するのが、GPUのオーバークロックです。
MSI Afterburnerを使えば、比較的安全にオーバークロックを実行できます。ただし、正しい知識と手順を守らないと、システムが不安定になったり、最悪の場合はグラフィックボードにダメージを与える可能性があるんです。
この記事では、MSI Afterburnerを使った安全なオーバークロックの方法を、初心者の方でも分かるように詳しく解説していきます。
オーバークロックを始める前に必ず知っておくべきこと
オーバークロックとは?
オーバークロックとは、GPUやメモリの動作周波数を、メーカーが設定した初期値よりも高く設定することです。これにより、ゲームのフレームレート向上などの性能アップが期待できます。
重要な注意事項
⚠️ オーバークロックは自己責任です
- メーカー保証の対象外になる可能性があります
- 不適切な設定により、GPUの寿命が短くなる場合があります
- システムが不安定になり、クラッシュやフリーズが発生する可能性があります
- 最悪の場合、GPUが故障するリスクがあります
ただし、適切な手順を守れば比較的安全です
現代のGPUには、危険な状態になると自動的にクロックを下げたり、シャットダウンする保護機能が搭載されています。MSI Afterburnerで調整できる範囲も、安全な範囲に制限されているんです。
オーバークロックが向いているグラフィックボード
向いている:
- 冷却性能が高い3ファン搭載モデル
- 比較的古い世代のGPU(性能向上の余地が大きい)
- 電源供給に余裕があるシステム
向いていない:
- 1ファンのみのシンプルな冷却モデル
- ノートPCのGPU(冷却が限られている)
- すでに工場出荷時にオーバークロックされているモデル
準備するもの
オーバークロックを始める前に、以下のソフトウェアを用意しましょう。
必須ツール:
- MSI Afterburner – オーバークロックツール
- ベンチマークソフト(いずれか):
- Unigine Heaven(無料)
- Unigine Superposition(無料)
- 3DMark(有料だが高機能)
- MSI Kombustor(Afterburnerから起動可能)
- GPU-Z(推奨) – GPU情報の詳細確認用
ベンチマークソフトは、オーバークロックの安定性を確認するために必須です。
基本設定:オーバークロック前の準備
ステップ1:電圧制御のロック解除
- MSI Afterburnerを起動
- 歯車アイコン(設定)をクリック
- 「全般」タブを開く
- 「安全上のプロパティ」で以下にチェック:
- 「電圧制御のロック解除」
- 「電圧モニタリングのロック解除」
- 「OK」をクリック
- MSI Afterburnerを再起動
これで、より詳細な設定が可能になります。
ステップ2:初期状態をプロファイルに保存
万が一の時に戻せるよう、初期状態を保存しておきましょう。
- MSI Afterburnerメイン画面で、すべてのスライダーがデフォルトの位置にあることを確認
- 画面下部のフロッピーディスクアイコンをクリック
- 「1」のプロファイルボタンをクリック
これで、何かあった時に「1」ボタンを押せば初期状態に戻せます。
ステップ3:ベンチマーク初期値の記録
オーバークロック前の性能を記録しておきます。
Unigine Heavenの場合:
- Unigine Heavenを起動
- 設定を選択(例:1080p、Ultra、アンチエイリアス8x)
- 「RUN」をクリック
- 「Benchmark」ボタンをクリック
- テストが終了したら、以下を記録:
- 平均FPS
- 最高GPU温度
- ベンチマークスコア
この数値が、オーバークロック後と比較する基準値になります。
オーバークロックの実践:段階的な手順
ステップ1:電力・温度リミットの引き上げ
まずは、GPUがより多くの電力を使えるようにします。
- 「Power Limit(電力制限)」スライダーを最大まで右に移動
- 「Temp Limit(温度制限)」スライダーも最大まで右に移動
これらは、GPUメーカーが安全と判断した範囲内でしか動かせないので、最大にしても問題ありません。
- 画面下部の「✓(適用)」ボタンをクリック
ステップ2:GPUコアクロックの調整
GPUのメイン処理能力を向上させます。
手順:
- 「Core Clock(MHz)」のスライダーを+25MHz増やす
- 「✓(適用)」ボタンをクリック
- ベンチマークソフトを実行(5〜10分間)
確認ポイント:
- 画面に乱れ(アーティファクト)が出ていないか
- クラッシュやフリーズが発生していないか
- GPU温度が85℃を超えていないか
問題なければ:
さらに+25MHz追加して、再度テスト
問題が発生したら:
直前の安定した値に戻す(例:+100MHzで不安定なら+75MHzに戻す)
増やし方の目安:
- 最初の数回:+25MHz刻み
- 安定している場合:+50MHz刻みに変更してもOK
- 不安定になってきたら:+10MHz刻みで微調整
一般的に、+50MHz〜+150MHzあたりで限界に達することが多いです。
ステップ3:メモリクロックの調整
VRAMの速度を向上させます。
手順:
- Core Clockを安定した値に固定
- 「Memory Clock(MHz)」を+100MHz増やす
- 「✓(適用)」ボタンをクリック
- ベンチマークソフトを実行
確認ポイント:
Core Clockと同様に、安定性と温度を確認
増やし方の目安:
- 最初:+100MHz刻み
- 安定している場合:+200MHz刻み
- 不安定になってきたら:+50MHz刻みで微調整
メモリクロックは、+300MHz〜+600MHzあたりが一般的な限界値です。
注意:
MSI Afterburnerでは、メモリクロックの値が実際の半分で表示される場合があります(例:表示が+500MHzの場合、実際は+1000MHz)。
ステップ4:長時間テストで最終確認
短時間のベンチマークで問題なくても、長時間では不安定になる場合があります。
最終テストの方法:
- ベンチマークソフトをループ再生で30分〜1時間実行
- または、実際に負荷の高いゲームを1時間プレイ
監視項目:
- GPU温度が85℃以下に収まっているか
- クラッシュやフリーズが発生しないか
- 画面に異常が出ないか
不安定な場合:
Core ClockまたはMemory Clockを少し下げて再テスト
ステップ5:安定した設定をプロファイルに保存
安定した設定が見つかったら、プロファイルに保存します。
- フロッピーディスクアイコンをクリック
- 「2」のプロファイルボタンをクリック(1は初期設定用なので2以降を使用)
これで、いつでもこの設定を呼び出せます。
自動オーバークロック:OC Scannerの使い方
手動調整が面倒な場合は、自動スキャン機能も使えます。
対応GPU:
- RTX 20シリーズ以降のNVIDIA GPU
手順:
- Power LimitとTemp Limitを最大に設定
- 「✓(適用)」をクリック
- 左側のメニューから「OC」と書かれた虫眼鏡アイコンをクリック
- 「Scan」ボタンをクリック
スキャンには20〜30分かかります。完了すると、そのGPUに最適なオーバークロック設定が自動的に適用されます。
注意点:
- 自動スキャンは保守的な設定になることが多い
- 手動調整の方が、より高い性能を引き出せる場合がある
- スキャン後も、実際のゲームで安定性を確認することをおすすめします
温度管理とファン設定
オーバークロック時は、温度管理が非常に重要です。
安全な温度の目安
- 70℃以下 – 理想的
- 70〜80℃ – 問題なし
- 80〜85℃ – やや高め(長時間続くと寿命に影響)
- 85℃以上 – 危険(設定を見直すべき)
カスタムファンカーブの設定
温度が高くなりすぎる場合は、ファン速度を調整しましょう。
- MSI Afterburner設定→「ファン」タブ
- 「ユーザー定義ソフトウェアによる自動ファン制御を有効にする」にチェック
- グラフ上をクリックしてポイントを追加
- 温度に応じたファン速度を設定
設定例(オーバークロック時):
- 50℃:40%
- 60℃:60%
- 70℃:80%
- 80℃:100%
トラブルシューティング
Q1:ベンチマーク中にクラッシュする
対処法:
- Core ClockまたはMemory Clockを25MHz下げる
- 温度が高すぎないか確認(85℃以上なら冷却を改善)
Q2:画面に乱れ(アーティファクト)が出る
対処法:
- Memory Clockが高すぎる可能性が高い
- Memory Clockを50〜100MHz下げる
Q3:ゲーム中だけ不安定になる
対処法:
- ベンチマークと実ゲームでは負荷が異なる
- さらに保守的な設定(10〜25MHz下げる)に変更
Q4:設定後、Windowsが起動しなくなった
対処法1:
Windowsの起動中に「Ctrl」キーを押し続ける(Afterburnerの自動起動をスキップ)
対処法2:
セーフモードで起動し、Afterburnerの設定をリセット
Q5:どこまで上げていいか分からない
対処法:
- 同じGPUモデルのオーバークロック事例をネット検索
- 平均的な値を参考に、少し低めから始める
- 焦らず、少しずつ上げていく
オーバークロック後のメンテナンス
季節ごとの見直し
夏場は室温が上がるため、冬場に安定していた設定でも不安定になることがあります。
対策:
- 夏用の控えめなプロファイルを作成
- エアコンを効かせた部屋でゲームをする
定期的な清掃
ホコリが溜まると冷却性能が低下し、同じ設定でも温度が上がります。
推奨:
- 3〜6ヶ月に1回、PC内部のホコリを除去
- 特にGPUファンとヒートシンクを重点的に
よくある質問
Q:オーバークロックでどれくらい性能が上がる?
A:GPUやゲームによりますが、一般的に5〜15%程度のfps向上が期待できます。劇的な変化ではありませんが、60fpsギリギリのゲームを快適にプレイできるようになる程度の効果があります。
Q:24時間オーバークロックしたままでも大丈夫?
A:安定した設定であれば問題ありません。ただし、GPUの寿命は多少短くなる可能性があります。軽い作業時は初期設定に戻すなど、使い分けるのも良い方法です。
Q:ノートPCでもオーバークロックできる?
A:技術的には可能ですが、おすすめしません。ノートPCは冷却能力が限られているため、温度が危険なレベルに達しやすいです。
Q:オーバークロックで故障した場合、保証は効く?
A:多くの場合、保証対象外になります。MSI製のグラフィックボードでも、Afterburnerを使用したオーバークロックは保証対象外です。
まとめ:安全第一で段階的に進めよう
MSI Afterburnerでのオーバークロックは、正しい手順を守れば比較的安全に実行できます。
成功のポイント:
- 初期設定を必ずプロファイルに保存
- 少しずつ値を上げる(一気に上げない)
- 毎回ベンチマークで安定性を確認
- 温度を85℃以下に保つ
- 不安定なら無理せず設定を下げる
初めてのオーバークロックでは、Core Clock +50MHz、Memory Clock +200MHz程度の控えめな設定から始めるのがおすすめです。
無理に限界まで攻める必要はありません。安定性と性能のバランスを見つけることが、快適なゲーム環境につながります。
この記事が、あなたのGPUオーバークロックの参考になれば幸いです。安全に、楽しくゲームをお楽しみください!


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