グラフィックボードのファンがうるさくて困っていませんか?
ゲーム中にファンの音が気になる、あるいは逆に温度が上がりすぎて心配…そんな悩みを解決できるのが、MSI Afterburnerのファン制御機能です。
この記事では、グラボのファン回転数を自分好みに調整する方法を、初心者の方でもわかるように丁寧に解説していきます。静音性と冷却性能のバランスを取って、快適なゲーム環境を作りましょう。
なぜファン制御が必要なのか?

グラフィックボードには、購入時から自動でファンを制御する仕組みが搭載されています。でも、この初期設定には問題があることが多いんです。
メーカーのデフォルト設定の問題点
ファンが回りにくい設計:
多くのグラフィックボードは、初期設定だと「なるべくファンを回さない」ようになっています。例えば、GPU温度が50℃になるまでファンが動かないモデルもあるほど。
これは静音性を優先した設計ですが、問題もあります。
温度が上がってから慌てて回る:
デフォルト設定では、温度が70〜80℃に達してからようやくファンが本格的に回り始めます。でも、その頃にはすでにGPUが熱々の状態。急にファンが高速回転するため、騒音も大きくなるんです。
温度とファン速度の悪循環:
負荷の高いゲームをプレイしていると、70℃に達してファンが急回転→温度が下がる→ファンが減速→また温度が上がる…という繰り返しが起こります。ファンの音が上がったり下がったり、これがかなり気になるんですよね。
ファン制御のメリット
静音性の向上:
温度が低いうちから適度にファンを回すことで、急な高速回転を避けられます。結果として、より静かな動作が可能に。
寿命の延長:
グラフィックボードの寿命は温度に大きく影響されます。常に高温で動作させるより、適切に冷却した方が長持ちするんです。
性能の維持:
GPUは温度が上がりすぎると、自動的に性能を下げて温度を抑えようとします(これをサーマルスロットリングと呼びます)。適切な冷却で、GPUの本来の性能を引き出せます。
MSI Afterburnerでのファン制御設定方法
それでは、実際の設定方法を見ていきましょう。
基本設定の手順
まず、MSI Afterburnerがインストールされていることを確認してください。まだの方は、公式サイトからダウンロードしてインストールしましょう。
設定画面を開く:
- MSI Afterburnerを起動
- 画面中央あたりにある「歯車アイコン」をクリック
- プロパティ(設定)画面が開く
ファンタブに移動:
- 上部のタブから「ファン」をクリック
- 「ユーザー定義ソフトウェアによる自動ファン制御を有効にする」にチェックを入れる
これで、カスタムファンカーブを設定できる状態になります。
ファンカーブとは?
画面に表示されているグラフが「ファンカーブ」です。
グラフの見方:
- 横軸(下):GPU温度(℃)
- 縦軸(左):ファン回転速度(%)
- 点線:最低回転速度
このグラフ上の点(ピリオド)をドラッグして動かすことで、各温度でのファン回転速度を設定できます。
カスタムファンカーブの作成
点の追加方法:
グラフの線上をクリックすると、新しい点を追加できます。細かい調整をしたいときに便利です。
点の削除方法:
削除したい点をクリックして選択状態にし、Deleteキーを押します。
点の移動:
点をクリックしたままドラッグすると、自由に位置を変更できます。
おすすめのファンカーブ設定
具体的な設定例を紹介していきます。自分の環境に合わせて調整してみてください。
バランス型(静音性と冷却性能の両立)
多くの人におすすめできる、バランスの取れた設定です。
設定例:
- 0〜50℃:30〜40%(軽く回す)
- 50〜60℃:40〜50%(少しずつ上げる)
- 60〜70℃:50〜60%(徐々に増速)
- 70〜80℃:60〜80%(しっかり冷却)
この設定なら、アイドル時は静かで、ゲーム中もそこまでうるさくなりません。
静音重視型
とにかく静かさを優先したい人向けです。
設定例:
- 0〜60℃:30〜40%(控えめに)
- 60〜70℃:40〜50%(緩やかに上げる)
- 70〜80℃:50〜60%(温度が高めでも控えめ)
注意点:
この設定だと温度が高めになります。GPU温度が80℃を超えないよう、ゲーム中にモニタリングしましょう。
冷却重視型
温度を徹底的に下げたい、性能を最大限引き出したい人向けです。
設定例:
- 0〜40℃:40〜50%(常時しっかり回す)
- 40〜50℃:50〜60%(早めに増速)
- 50〜60℃:60〜70%(積極的に冷却)
- 60〜70℃:70〜90%(フル稼働に近い)
- 70℃以上:90〜100%(最大回転)
メリット:
GPU温度を60〜70℃程度に抑えられます。オーバークロックする人にもおすすめ。
デメリット:
ファンの音はかなり大きくなります。ヘッドセットを使う人向け。
セミファンレス化設定
低温時はファンを完全停止させ、一定温度を超えたら回転させる設定です。
設定例:
- 0〜50℃:0%(ファン停止)
- 50〜51℃:30〜40%(一気に回転開始)
- 51〜60℃:40〜50%
- 60〜70℃:50〜60%
- 70℃以上:60〜80%
ポイント:
ファンが停止する温度(0%の範囲)をしっかり確認しましょう。画面に表示される点線が、ファンが停止する最低回転速度です。
注意:
すべてのグラフィックボードがファン停止に対応しているわけではありません。一部のモデルでは、ファン速度を0%にしても最低回転数で回り続けます。
ファンカーブ作成のコツ
効果的なファンカーブを作るためのポイントを紹介します。
直線的すぎるカーブは避ける
温度とファン速度が完全に比例する直線的なカーブ(例: 50℃で50%、60℃で60%)は、一見理想的に見えますが、実はあまり良くありません。
理由:
GPUの発熱は指数関数的に増えますが、冷却能力は直線的にしか増えないため、高温域で追いつかなくなります。
おすすめ:
低温域は緩やかに、高温域は急激に上げるカーブが効果的です。
温度の遅延を考慮する
熱の伝わり方には時間がかかります。温度センサーが高温を検知したときには、すでにGPUはかなり熱くなっている状態。
そのため、温度が上がる「前」からファンを回しておくと、より効果的な冷却ができます。
ファンの回転数変化を滑らかに
急激にファン速度が変わると、音の変化が気になります。
例えば、60℃で40%、61℃で80%のような設定だと、温度がわずかに変わるだけでファンの音が大きく変化してしまいます。
なだらかなカーブを心がけましょう。
温度制限の設定
ファンカーブと合わせて設定しておきたいのが、温度制限です。
Temp Limit(温度制限)の設定
MSI Afterburnerのメイン画面で、「Temp Limit」のスライダーを調整できます。
デフォルトでは:
Power Limit(電力制限)と連動しています。
連動を解除する方法:
- 「Link」ボタン(鎖のようなアイコン)をクリック
- Temp LimitとPower Limitの連動が解除される
- Temp Limitを独立して設定できる
おすすめ設定:
GPUの最大温度は一般的に90℃前後ですが、安全マージンを考えて85℃に設定するのがおすすめです。
この温度を超えると、GPUが自動的にクロック数を下げて温度を抑えようとします(サーマルスロットリング)。
自動起動の設定
毎回MSI Afterburnerを起動して設定を適用するのは面倒ですよね。Windows起動時に自動で立ち上がるよう設定しましょう。
自動起動の設定方法
- MSI Afterburnerの設定画面を開く
- 「全般」タブを選択
- 「Windowsと一緒に起動する」にチェックを入れる
- 「最小化の状態で起動」にもチェックを入れる(推奨)
- 「適用」をクリック
これで、パソコンを起動すると同時にMSI Afterburnerがバックグラウンドで起動し、設定したファンカーブが自動的に適用されます。
重要な注意点:
MSI Afterburnerが起動していない状態では、カスタムファンカーブは適用されません。デフォルトの自動制御に戻ってしまいます。
自動起動を設定するか、ゲームをする前に必ず起動するようにしましょう。
プロファイル機能の活用

MSI Afterburnerでは、複数の設定をプロファイルとして保存できます。
プロファイルの保存方法
- ファンカーブなど、好みの設定を作成
- メイン画面下部の「保存」アイコン(ディスクマーク)をクリック
- プロファイル番号(1〜5)を選択
プロファイルの使い分け例
プロファイル1:
バランス型(普段使い)
プロファイル2:
静音重視型(動画視聴や軽作業)
プロファイル3:
冷却重視型(重いゲームやベンチマーク)
プロファイル4:
セミファンレス(アイドル時の静音重視)
プロファイル5:
夏用設定(室温が高い時期用)
メイン画面の数字ボタン(1〜5)をクリックするだけで、簡単にプロファイルを切り替えられます。
設定後の確認方法
ファンカーブを設定したら、実際にゲームを起動して確認しましょう。
温度とファン速度のモニタリング
- MSI Afterburnerのメイン画面を開く
- 「GPU温度」と「ファン速度」の項目を確認
- ゲームをプレイしながら数値の変化を見る
チェックポイント:
- GPU温度が80℃を超えていないか
- ファンの音は許容範囲内か
- ファン速度が設定したカーブ通りに動いているか
OSD(オンスクリーンディスプレイ)での確認
ゲーム画面に温度とファン速度を表示すれば、プレイ中もリアルタイムで確認できます。
設定方法:
- MSI Afterburnerの設定画面を開く
- 「モニタリング」タブを選択
- 「GPU temperature」と「Fan speed」にチェック
- 「オンスクリーンディスプレイでの表示」にもチェック
- 「適用」をクリック
これで、ゲーム画面の隅に温度とファン速度が表示されます。
トラブルシューティング
ファン制御がうまくいかないときの対処法を紹介します。
ファンカーブが適用されない
原因1: 自動制御が有効になっていない
「ユーザー定義ソフトウェアによる自動ファン制御を有効にする」にチェックが入っているか確認しましょう。
原因2: 歯車アイコンがグレーアウトしていない
メイン画面のファン速度スライダー横にある小さな歯車アイコンがグレー(有効)になっているか確認してください。
原因3: 自動モードになっていない
ファン速度を「Auto(自動)」に設定する必要があります。「Manual(手動)」になっていると、カーブは適用されません。
ファンが全く回らない
確認1: グラフィックボードの仕様
一部のノートPCや特殊なグラフィックボードでは、BIOSレベルでファン制御が固定されており、MSI Afterburnerで制御できないことがあります。
確認2: 最低回転速度の点線
グラフに表示される点線(最低回転速度)を確認しましょう。この線より下に設定しても、ファンは完全には停止しないことがあります。
設定してもすぐに戻ってしまう
原因: 他のソフトとの競合
グラフィックボードメーカー独自のソフト(MSI Dragon Center、EVGA Precision、ASUS GPU Tweakなど)が同時に動いていると、設定が競合します。
対処法:
他のファン制御ソフトを終了するか、アンインストールしましょう。
温度が下がらない
ファンを最大にしても温度が下がらない場合は、ファン以外に問題がある可能性があります。
考えられる原因:
- ケース内のエアフロー不足
- サーマルペースト(熱伝導グリス)の劣化
- ホコリの詰まり
- 室温が高すぎる
対処法:
- ケースファンを追加する
- ケースを開けて使用する(応急処置)
- グラフィックボードを掃除する
- サーマルペーストを塗り直す(上級者向け)
よくある質問
ファンを100%で回し続けても大丈夫?
大丈夫ですが、注意点があります。
メリット:
最大の冷却性能を発揮できます。
デメリット:
- 騒音が非常に大きい
- ファンの寿命が若干短くなる
ただし、ファンが故障しても交換は比較的簡単で、費用もそれほど高くありません。GPU本体が熱で壊れるよりは、ファンを交換する方がずっと安上がりです。
最適な温度は何℃?
一般的には、以下が目安です。
アイドル時(何もしていない時):
30〜50℃
ゲーム時:
60〜75℃が理想的
80℃以下なら問題なし
注意が必要:
80℃を超える場合は、ファンカーブを見直すか、他の冷却対策を検討しましょう。
電力制限も一緒に設定した方がいい?
はい、電力制限(Power Limit)も設定するとさらに効果的です。
Power Limitを下げると:
- 消費電力が減る
- 発熱が抑えられる
- ファンの回転数も抑えられる
- 性能はわずかに下がる
例えば、Power Limitを100%から70%に下げても、ゲーム性能はほとんど変わらないことが多いです。それでいて、発熱と騒音は大幅に改善されます。
冬と夏で設定を変えた方がいい?
できれば変えた方が良いでしょう。
夏(室温が高い):
ファンを早めに回す設定にする
冬(室温が低い):
ファンを控えめにしても大丈夫
プロファイル機能を使えば、季節ごとに簡単に切り替えられます。
ノートPCでも使える?
ノートPCの場合は制限があります。
多くの場合:
ノートPCのGPUファン制御は、BIOSレベルで固定されています。MSI Afterburnerでは変更できないことが多いです。
一部のゲーミングノート:
MSI製の一部のゲーミングノートなど、対応しているモデルもあります。
まずは試してみて、設定が適用されるか確認しましょう。
まとめ:快適なゲーム環境を作ろう
MSI Afterburnerのファン制御機能を使えば、静音性と冷却性能のバランスを自分好みに調整できます。
この記事のポイント:
基本設定:
「ファン」タブで「ユーザー定義ソフトウェアによる自動ファン制御を有効にする」にチェック
おすすめ設定:
バランス型から始めて、自分の環境に合わせて微調整
カーブ作成のコツ:
低温域は緩やか、高温域は急激に上げる
自動起動:
Windows起動時に自動で立ち上がるよう設定
温度の目安:
ゲーム時は60〜75℃が理想、80℃以下なら問題なし
最初は難しく感じるかもしれませんが、一度設定してしまえば、あとは快適なゲーム環境を楽しむだけ。
自分だけの最適なファンカーブを見つけて、静かで涼しい、快適なPCライフを送りましょう!
始めるステップ:
- まずはバランス型の設定で試してみる
- ゲームをプレイしながら温度を確認
- 音が気になるなら回転数を下げる
- 温度が高すぎるなら回転数を上げる
- 満足できる設定が見つかったらプロファイルに保存
何度か調整を繰り返すうちに、自分の環境に最適な設定が見つかるはずです。ぜひ試してみてくださいね!


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