「MSI AfterburnerでCPUもオーバークロックできるの?」
結論から言うと、MSI AfterburnerではCPUのオーバークロックはできません。
MSI Afterburnerは、あくまでもGPU(グラフィックスカード)専用のオーバークロックツールです。
この記事では、この誤解を解消しつつ、MSI AfterburnerでCPUに関してできることと、本当にCPUをオーバークロックする正しい方法を解説していきます。
MSI Afterburnerの本来の役割
まずは、MSI Afterburnerが何のためのツールなのかを整理しましょう。
MSI Afterburnerの主な機能
1. GPUのオーバークロック
- コアクロックの調整
- メモリクロックの調整
- 電圧制御
- 電力リミット設定
2. GPUファンの制御
- ファンカーブのカスタマイズ
- 手動でのファン速度調整
3. ハードウェアモニタリング
- GPU温度・使用率・クロック速度
- CPU温度・使用率(モニタリングのみ)
- メモリ使用量
- FPS表示
4. オンスクリーンディスプレイ(OSD)
- ゲーム中に各種情報を画面表示
このように、MSI Afterburnerは「GPUを調整」して「CPUを監視」するツールなのです。
MSI AfterburnerでCPUについてできること
CPUのオーバークロックはできませんが、以下のことは可能です。
CPUの監視(モニタリング)
MSI Afterburnerでは、CPUの以下の情報をリアルタイムで監視できます。
監視可能な項目:
- CPU温度
- CPU使用率
- 各コア別の温度
- 各コア別の使用率
- CPUクロック速度(現在値)
OSD(オンスクリーンディスプレイ)での表示
ゲーム中に画面の端にCPU情報を表示できます。
設定方法:
- MSI Afterburnerの設定(歯車アイコン)を開く
- 「モニタリング」タブを選択
- 「アクティブハードウェア監視グラフ」から以下を選択:
- CPU temperature(CPU温度)
- CPU usage(CPU使用率)
- CPU1 usage〜CPU8 usage(コア別使用率)
- 各項目を選択し、「オンスクリーンディスプレイでの表示」にチェック
- 「適用」→「OK」
これで、ゲーム中にCPU温度や使用率が画面に表示されます。
おすすめのCPU監視設定
すべてのコアを表示すると画面が情報だらけになるので、以下がおすすめです。
- CPU temperature:パッケージ温度(全体の最高温度)
- CPU usage:全コアの平均使用率
この2つだけで、CPUの状態は十分把握できます。
なぜ「MSI AfterburnerでCPUをOC」という誤解が生まれるのか
インターネット上には「MSI AfterburnerでCPUをオーバークロックする方法」という記事がいくつか存在します。
しかし、これらの多くは誤情報または誤解を招く内容です。
誤解の原因
1. CPU監視機能の存在
- CPU情報を表示できることから「CPUも制御できる」と誤解
2. 一部のMSIマザーボードの特殊ケース
- 一部のMSI製マザーボードでは、BIOS連動機能がある可能性
- しかし、これは極めて限定的で一般的ではない
3. 他のMSI製ツールとの混同
- MSI Dragon Center(現MSI Center)などの他ツールと混同
4. 翻訳サイトの誤訳
- 英語の記事が誤訳されて広まった可能性
真実
繰り返しになりますが、標準的なMSI Afterburnerの機能として、CPUのオーバークロックはできません。
もしできたという人がいたら、それは別のソフトやBIOS設定と併用していた可能性が高いです。
CPUを本当にオーバークロックする方法
では、実際にCPUをオーバークロックするにはどうすればいいのでしょうか。
方法1:BIOS/UEFIから設定(最も一般的)
対応CPU:
- Intel:K付きモデル(例:Core i7-14700K)
- AMD:全Ryzenシリーズ
手順:
- PCを再起動し、起動時にDELキーまたはF2キーを連打
- BIOS/UEFI設定画面に入る
- 「Advanced」または「OC」タブを開く
- CPU倍率(CPU Ratio)を調整
- 必要に応じてCPU電圧(CPU Vcore)を調整
- 設定を保存して再起動
メリット:
- 最も安定した方法
- OS起動前から有効
- ハードウェアレベルでの制御
デメリット:
- 初心者には難しい
- 設定ミスでPCが起動しなくなることも
方法2:Intel XTU(Intel専用)
対応CPU:
- Intel Core シリーズ(K付きモデル推奨)
特徴:
- Intel公式ツール
- Windows上で操作可能
- リアルタイムで調整できる
- 初心者にも比較的優しい
ダウンロード:
- Intel公式サイトから「Intel Extreme Tuning Utility」をダウンロード
主な機能:
- CPUコアクロックの調整
- CPU電圧の調整
- キャッシュ倍率の調整
- 電力リミットの設定
- リアルタイムモニタリング
- ストレステスト機能
方法3:AMD Ryzen Master(AMD専用)
対応CPU:
- AMD Ryzen シリーズ全般
特徴:
- AMD公式ツール
- Windows上で操作可能
- 自動オーバークロック機能あり
- プロファイル保存可能
ダウンロード:
- AMD公式サイトから「Ryzen Master」をダウンロード
主な機能:
- CPUクロック速度の調整
- 電圧制御
- メモリタイミングの調整
- Precision Boost Overdrive(PBO)
- Curve Optimizer
方法4:マザーボードメーカー製ツール
一部のマザーボードメーカーは、独自のオーバークロックツールを提供しています。
ASUS:
- AI Suite 3
MSI:
- Dragon Center / MSI Center
GIGABYTE:
- EasyTune
ASRock:
- A-Tuning
注意点:
これらのツールは、基本的にそのメーカーのマザーボードでのみ動作します。
CPUとGPUを両方オーバークロックする場合の注意点
「GPUもCPUも両方オーバークロックしたい!」という方もいるでしょう。
その場合は、以下の点に注意してください。
1. 電源容量を確認
オーバークロックすると消費電力が増えます。
推奨電源容量の目安:
- ミドルレンジ構成:650W以上
- ハイエンド構成:750W〜850W以上
電源容量が不足すると、PC全体が不安定になります。
2. 冷却を強化
CPUとGPUの両方が発熱するため、冷却性能が重要です。
推奨対策:
- 高性能CPUクーラー(空冷または簡易水冷)
- ケースファンの増設
- エアフローの最適化
- GPUの温度上限設定(MSI Afterburnerで可能)
3. 段階的にテスト
両方を同時にオーバークロックすると、問題が起きた時に原因が特定しにくくなります。
推奨手順:
- まずCPUのみをオーバークロック
- 安定性をテスト(Prime95、OCCT等)
- 問題なければGPUをオーバークロック(MSI Afterburner使用)
- 両方の設定で再度テスト
4. 温度管理
両方をオーバークロックすると、ケース内の温度が上がります。
安全な温度の目安:
- CPU:85℃以下(理想は70℃以下)
- GPU:85℃以下(理想は75℃以下)
これを超えたら、設定を見直すかファン速度を上げましょう。
MSI Afterburnerと併用できるCPUモニタリングツール
MSI Afterburnerだけでは物足りない場合、以下のツールと併用できます。
HWiNFO64
特徴:
- 超詳細なハードウェア情報
- CPUの各種センサー値
- MSI AfterburnerのOSDと連携可能
できること:
- 個別コア温度の監視
- CPU電圧の監視
- クロック速度の詳細表示
- MSI AfterburnerのOSDにHWiNFO64のデータを表示
CPU-Z
特徴:
- CPUの詳細情報表示
- リアルタイムクロック表示
- 軽量で動作が速い
できること:
- CPUの仕様確認
- 現在のクロック速度確認
- ベンチマーク機能
Core Temp
特徴:
- CPU温度監視専用
- タスクトレイに常駐
- 軽量
できること:
- コア別温度の監視
- 最高温度の記録
- オーバーヒート警告
よくある質問
Q. MSI AfterburnerでCPUクロックを上げる設定はどこ?
A. MSI AfterburnerにCPUクロックを調整する機能はありません。 GPUのコアクロックを調整する機能のみです。CPUをオーバークロックしたい場合は、BIOS、Intel XTU、Ryzen Master等を使用してください。
Q. MSI Afterburnerの「CPU temperature」が表示されない
A. 以下を確認してください:
- モニタリングタブで「CPU temperature」にチェックが入っているか
- 「オンスクリーンディスプレイでの表示」が有効になっているか
- RivaTuner Statistics Serverが起動しているか
一部の古いCPUでは温度センサーが対応していない場合もあります。
Q. MSI Afterburnerで表示されるCPU温度は正確?
A. 一般的に正確ですが、マザーボードのセンサーから情報を取得しているため、専用ツール(HWiNFO64等)と若干の誤差が出ることがあります。
Q. CPUとGPUを同時にオーバークロックしても大丈夫?
A. 電源容量と冷却が十分であれば可能です。ただし、両方をオーバークロックすると:
- 消費電力が大幅に増加
- 発熱が増加
- システム全体の安定性が低下する可能性
初心者の方は、まずどちらか一方から始めることをおすすめします。
Q. MSI Centerとの違いは?
A. MSI AfterburnerはGPU専用、MSI CenterはMSI製マザーボード・ノートPC全体の管理ツールです。
MSI CenterにはCPUオーバークロック機能が含まれることがありますが、これはMSI製マザーボード限定です。
MSI Afterburnerを使った効率的なPC監視設定
CPUをオーバークロックできなくても、MSI Afterburnerは優秀な監視ツールです。
おすすめの監視設定
以下の項目をOSDで表示すると、PCの状態を完璧に把握できます。
GPU関連:
- GPU temperature
- GPU usage
- GPU clock(コアクロック)
- GPU memory clock(メモリクロック)
CPU関連:
- CPU temperature
- CPU usage
システム関連:
- Framerate(FPS)
- RAM usage(メモリ使用量)
この設定なら、ゲーム中にボトルネックがどこにあるかすぐに分かります。
ボトルネックの見分け方
GPU使用率が100%近い場合:
→ GPUがボトルネック(グラフィック設定を下げるか、GPUをアップグレード)
CPU使用率が100%近い場合:
→ CPUがボトルネック(CPUをアップグレードするか、オーバークロックを検討)
どちらも100%に達していない場合:
→ メモリ不足、ストレージ速度、またはゲーム側の最適化不足の可能性
まとめ:MSI AfterburnerとCPUオーバークロックの関係
重要なポイント:
- MSI AfterburnerではCPUのオーバークロックはできない
- CPUの温度や使用率の監視(モニタリング)は可能
- CPUをオーバークロックするには別のツールが必要
- BIOS/UEFI(すべてのCPU)
- Intel XTU(Intel製CPU)
- Ryzen Master(AMD製CPU)
- MSI AfterburnerはGPU専用のオーバークロックツール
- CPUとGPUを両方オーバークロックする場合は、電源と冷却に注意
MSI Afterburnerの正しい使い方:
- GPUのオーバークロック → ○ できる
- CPUのオーバークロック → × できない
- CPUの監視 → ○ できる
- GPUの監視 → ○ できる
CPUをオーバークロックしたい方へ:
MSI Afterburnerではなく、以下のツールを使用してください。
- Intel CPU:Intel XTU または BIOS
- AMD CPU:Ryzen Master または BIOS
MSI Afterburnerを活用したい方へ:
GPUのオーバークロックと、CPU・GPUの総合的なモニタリングに使いましょう。特に、ゲーム中のOSD表示機能は非常に便利です。
誤った情報に惑わされず、各ツールを正しく理解して使用することで、PCのパフォーマンスを安全に最大化できます!

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