「処理時間:50ミリ秒」
「ping値:15ms」
「反応速度:200ミリ秒」
ゲームやパソコン、スマホを使っていると、こんな表示を見たことありませんか?
ミリ秒(ms)という単位、なんとなく「すごく短い時間」というイメージはあるけど、実際どのくらいの長さなのか、ピンとこない人も多いはず。
実は、私たちの日常生活は、このミリ秒単位の世界に支えられているんです。まばたきの速さ、ゲームの反応速度、インターネットの快適さ…すべてミリ秒が関わっています。
今回は、ミリ秒という時間の単位について、身近な例を使いながら分かりやすく解説していきます!
ミリ秒とは? – 1000分の1秒の世界

基本的な説明
ミリ秒(millisecond)は、時間の単位の一つです。
覚え方はシンプル:
- 1秒 = 1000ミリ秒
- 1ミリ秒 = 0.001秒(1秒の1000分の1)
「ミリ」は「1000分の1」を表す接頭語です。
ミリメートル(mm)と同じ考え方ですね。
略称と表記方法
よく見る表記:
- ms(最も一般的)
- msec(やや古い表記)
- ミリ秒(日本語表記)
- 毫秒(中国語由来、まれに使用)
例:「応答時間:25ms」「レイテンシ:8ミリ秒」
時間単位の階層
大きい順に並べると:
1時間 = 60分
1分 = 60秒
1秒 = 1,000ミリ秒(ms)
1ミリ秒 = 1,000マイクロ秒(μs)
1マイクロ秒 = 1,000ナノ秒(ns)
つまり、1時間は3,600,000ミリ秒(360万ミリ秒)になります!
身近なミリ秒 – 実はこんなに使われている

人間の反応とミリ秒
まばたきの速さ
- 平均:100~400ミリ秒
- 速い人:100ミリ秒
- ゆっくり:400ミリ秒
「一瞬」とか「瞬く間に」という表現は、まさにこの時間のことなんです。
反射神経の速度
- 視覚刺激への反応:180~200ミリ秒
- 音への反応:140~160ミリ秒
- 触覚への反応:130~150ミリ秒
音の方が速く反応できるのは、脳での処理が視覚より単純だからです。
スポーツとミリ秒
陸上100m走
- 世界記録レベル:9秒58 = 9,580ミリ秒
- 0.01秒の差 = 10ミリ秒の差
- フライング判定:100ミリ秒未満の反応
野球のバッティング
- 投手がボールを投げてから:約400~500ミリ秒で到達
- バッターの判断時間:約150ミリ秒
- スイング時間:約150ミリ秒
残りの100ミリ秒で、ボールかストライクか、打つか見送るかを判断しているんです!
日常生活のミリ秒
カメラのシャッタースピード
- 明るい日中:1/1000秒 = 1ミリ秒
- 室内撮影:1/60秒 = 約17ミリ秒
- 夜景:1/4秒 = 250ミリ秒
音楽のテンポ
- BPM120の曲:1拍 = 500ミリ秒
- BPM60(バラード):1拍 = 1000ミリ秒
- BPM180(速い曲):1拍 = 333ミリ秒
デジタル世界のミリ秒 – なぜそんなに重要?

ゲームでの重要性
フレームレート(FPS)
- 30FPS:1フレーム = 33.3ミリ秒
- 60FPS:1フレーム = 16.7ミリ秒
- 144FPS:1フレーム = 6.9ミリ秒
入力遅延(Input Lag)
- 優秀:10ミリ秒以下
- 普通:20~40ミリ秒
- 遅い:50ミリ秒以上
プロゲーマーが高性能モニターにこだわる理由がこれです。数十ミリ秒の差が勝敗を分けるんです。
インターネットの速度
ping値(応答速度)
- 超高速:1~10ミリ秒
- 快適:10~30ミリ秒
- 普通:30~50ミリ秒
- 遅い:50~100ミリ秒
- ラグい:100ミリ秒以上
オンラインゲームで「ラグい」と感じるのは、だいたい100ミリ秒を超えたあたりからです。
Webサイトの表示速度
- Google推奨:3秒以内 = 3000ミリ秒
- 理想的:1秒以内 = 1000ミリ秒
- 瞬間的:100ミリ秒以下
100ミリ秒以下だと、人間は「瞬時」と感じます。
コンピューターの処理速度
SSDとHDDの差
- SSD読み込み:0.1ミリ秒程度
- HDD読み込み:10ミリ秒程度
たった10ミリ秒の差ですが、これが積み重なると体感速度が全然違うんです。
CPUの処理
- 最新CPU:1命令を0.000001ミリ秒以下で実行
- 1秒間に数十億回の計算が可能
ミリ秒を体感する方法

簡単な実験
1. ストップウォッチチャレンジ
スマホのストップウォッチで挑戦:
- ちょうど1秒(1000ミリ秒)で止める
- 0.1秒(100ミリ秒)で止める
- 0.01秒(10ミリ秒)で止める
10ミリ秒は、ほぼ不可能なはず!
2. 反応速度テスト
オンラインの反応速度テストで測定:
- 平均的な人:200~300ミリ秒
- 訓練した人:150~200ミリ秒
- プロゲーマー:120~150ミリ秒
3. 音のズレを体感
イヤホンで音楽を聴きながら:
- Bluetoothイヤホン:40~200ミリ秒の遅延
- 有線イヤホン:ほぼ0ミリ秒
動画を見ると、口の動きと音がずれて見えることがあるのはこのせいです。
プログラミングでのミリ秒

各言語での取得方法
JavaScript:
// 現在時刻をミリ秒で取得
const now = Date.now();
console.log(now); // 1609459200000 のような数値
// 処理時間の計測
const start = Date.now();
// 何か処理
const end = Date.now();
console.log(`処理時間:${end - start}ミリ秒`);
Python:
import time
# 現在時刻(秒)を取得してミリ秒に変換
current_ms = time.time() * 1000
# より正確な計測
start = time.perf_counter()
# 何か処理
end = time.perf_counter()
print(f"処理時間:{(end - start) * 1000}ミリ秒")
Java:
// 現在時刻をミリ秒で取得
long currentMillis = System.currentTimeMillis();
// 処理時間の計測
long start = System.currentTimeMillis();
// 何か処理
long end = System.currentTimeMillis();
System.out.println("処理時間:" + (end - start) + "ミリ秒");
タイムアウト設定
多くのプログラムで、ミリ秒単位の設定が必要:
// 3秒後に実行(3000ミリ秒)
setTimeout(function() {
console.log("3秒経過");
}, 3000);
// 0.5秒ごとに繰り返し(500ミリ秒)
setInterval(function() {
console.log("0.5秒ごと");
}, 500);
ミリ秒が重要な分野
金融取引(HFT)
高頻度取引(High Frequency Trading)
- 取引速度:1ミリ秒以下
- 競争相手より1ミリ秒速いだけで巨額の利益
- 光ファイバーケーブルの長さまで最適化
音楽制作
レイテンシー(遅延)
- 録音時の許容範囲:10ミリ秒以下
- リアルタイム演奏:5ミリ秒以下が理想
- 20ミリ秒を超えると演奏に支障
VR/AR
モーション酔い対策
- 頭の動きから画面更新まで:20ミリ秒以下必須
- 理想は7ミリ秒以下
- 遅延が大きいと酔いやすい
よくある質問
Q: なぜ秒より細かい単位が必要なの?
A: 現代の技術は非常に高速だから:
- コンピューターは1秒間に数十億回計算
- 人間も意外と細かい時間差を感知できる
- 産業や科学では精密な計測が必要
Q: ミリ秒とフレームの関係は?
A: フレームレートで変わります:
- 60FPS = 1フレーム約16.67ms
- 30FPS = 1フレーム約33.33ms
- 144FPS = 1フレーム約6.94ms
Q: 人間が認識できる最小時間は?
A: 状況により異なる:
- 映像の変化:約13ミリ秒
- 音のズレ:約20ミリ秒から気づく
- 触覚:約10ミリ秒の差を感知可能
Q: ミリ秒より小さい単位は使うの?
A: 分野によって使います:
- CPU設計:ナノ秒(10億分の1秒)
- 光通信:ピコ秒(1兆分の1秒)
- 量子物理学:フェムト秒(1000兆分の1秒)
ミリ秒の世界の面白い事実

意外なミリ秒トリビア
ハチドリの羽ばたき
- 1秒間に約80回 = 12.5ミリ秒で1回
地球を光が1周
- 赤道上を光速で:約133ミリ秒
心臓の1拍
- 安静時:約800~1000ミリ秒
- 運動時:約400~500ミリ秒
蚊が血を吸い始めるまで
- 着地から吸血開始:約2000ミリ秒(2秒)
まとめ – ミリ秒を意識すると世界が変わる
ミリ秒という時間の単位について、イメージが掴めましたか?
覚えておきたいポイント
✅ 1秒 = 1000ミリ秒(0.001秒 = 1ミリ秒) ✅ まばたきは約100~400ミリ秒 ✅ オンラインゲームは50ミリ秒以下が快適 ✅ 人間の反応速度は約200ミリ秒
ミリ秒を知ると見えてくること
- ゲームでなぜラグが致命的なのか
- 高性能な機器の価値
- 人間の反応の限界
- コンピューターの凄さ
普段は意識しない「ミリ秒」の世界。でも、私たちの快適なデジタルライフは、このわずかな時間の積み重ねで成り立っています。
次にゲームをしたり、ネットを使ったりするとき、「今の操作は何ミリ秒だったかな?」と考えてみると、テクノロジーの進歩がより実感できるかもしれませんね!
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