モバイルホットスポットって何?

モバイルホットスポットとは、スマートフォンやパソコンのインターネット接続を、他のデバイス(タブレット、ノートPC、ゲーム機など)と共有できる機能です。
簡単に言えば、あなたのスマホやPCを「Wi-Fiルーター」として使える機能なんです。「テザリング」や「インターネット共有」とも呼ばれています。
例えば、カフェでノートPCを使いたいけどWi-Fiがない時、スマホのモバイルホットスポットをオンにすれば、スマホの4G/5G回線を使ってPCをインターネットに接続できます。
モバイルホットスポットが役立つ場面
モバイルホットスポットは、こんな時に便利です。
1. Wi-Fiがない場所でインターネットを使いたい時
例:
- カフェや公園でノートPCを使いたい
- 移動中の電車内でタブレットを使いたい
- 出張先のホテルにWi-Fiがない
スマホのモバイルデータ通信(4G/5G)を使って、他のデバイスをネットに接続できます。
2. 公共Wi-Fiのセキュリティが心配な時
無料の公共Wi-Fiは、セキュリティ面で不安があります。スマホのモバイルホットスポットを使えば、より安全にインターネットを利用できます。
3. 有線LANしかない場所で無線接続したい時
ホテルや会議室に有線LAN(LANケーブル)しかない場合、PCを有線LANに接続して、そのPCをモバイルホットスポットとして使えば、スマホやタブレットをWi-Fi接続できます。
4. 接続台数を一時的に増やしたい時
イベントやセミナーで、Wi-Fiルーターの接続台数が足りない時、PCをモバイルホットスポットとして使えば、追加のアクセスポイントを作れます。
5. Wi-Fiのパスワードを教えたくない時
来客に一時的にインターネット接続を提供したいけど、普段使っているWi-Fiのパスワードは教えたくない。そんな時、モバイルホットスポットで一時的なアクセスポイントを作れば、プライバシーを守れます。
モバイルホットスポットの接続方式
モバイルホットスポットには、3つの接続方式があります。
1. Wi-Fi接続(最も一般的)
特徴:
- 通信速度が速い
- 複数のデバイスを同時接続できる(通常8台まで)
- バッテリー消費は中程度
おすすめ用途:
- 一般的な使用全般
- 動画視聴やWeb会議など、速度が必要な作業
2. Bluetooth接続
特徴:
- 通信速度が遅い
- バッテリー消費が少ない
- 接続できるデバイスは1〜2台程度
おすすめ用途:
- メールやテキストメッセージなど、通信量が少ない作業
- バッテリーを節約したい時
3. USB接続
特徴:
- 有線接続なので安定している
- 通信速度が速い
- 充電しながら使える
おすすめ用途:
- 長時間の作業
- 安定した接続が必要な時
スマートフォンでの設定方法
スマホをモバイルホットスポットとして使う方法を、Android とiPhoneそれぞれ紹介します。
Androidの設定方法
ステップ1:設定を開く
- ホーム画面から「設定」アプリを開く
- 「ネットワークとインターネット」をタップ
- 「テザリング」または「モバイルホットスポットとテザリング」をタップ
ステップ2:Wi-Fiホットスポットをオンにする
- 「Wi-Fiホットスポット」または「モバイルホットスポット」をタップ
- スイッチをオンにする
ステップ3:設定を確認・変更する
- 「ホットスポットの設定」または「Wi-Fiホットスポットの設定」をタップ
- 以下の項目を設定:
- ネットワーク名(SSID):他のデバイスが接続する時に表示される名前
- パスワード:接続に必要なパスワード(8文字以上推奨)
- セキュリティ:WPA2またはWPA3を選択(推奨)
メーカーごとの違い:
Samsung:
設定 → 接続 → テザリング → Wi-Fiテザリング
Motorola:
設定 → ネットワークとインターネット → アクセスポイントとテザリング → Wi-Fiアクセスポイント
iPhoneの設定方法
ステップ1:設定を開く
- ホーム画面から「設定」アプリを開く
- 「インターネット共有」をタップ
ステップ2:インターネット共有をオンにする
- 「ほかの人の接続を許可」をオンにする
- 「Wi-FiとBluetoothをオンにする」をタップ(表示された場合)
ステップ3:パスワードを確認・変更する
- 「”Wi-Fi”のパスワード」に表示されているパスワードを確認
- 変更したい場合は、パスワードをタップして新しいパスワードを入力
注意点:
iPhoneのインターネット共有は、しばらく使用しないと自動的にオフになります。
Windows PCでの設定方法
Windows 10/11には、「モバイルホットスポット」という標準機能があります。
Windows 11の設定方法
ステップ1:設定を開く
- タスクバーの「Windowsボタン」をクリック
- 「設定」をクリック
- 「ネットワークとインターネット」をクリック
ステップ2:モバイルホットスポットを設定する
- 左メニューの「モバイルホットスポット」をクリック
- 「インターネット接続を他のデバイスと共有します」をオンにする
ステップ3:接続方法と設定を確認する
インターネット接続を共有する:
PCがどのようにインターネットに接続しているかを選択
- Wi-Fi(無線LAN)
- イーサネット(有線LAN)
共有:
他のデバイスとの接続方法を選択
- Wi-Fi(推奨)
- Bluetooth
ネットワーク名とパスワードの設定:
- 「編集」ボタンをクリック
- ネットワーク名(SSID)を入力
- パスワードを入力(8文字以上)
- バンド(周波数帯)を選択:
- 2.4GHz:範囲が広い、速度は普通
- 5GHz:範囲は狭い、速度が速い
- 「保存」をクリック
Windows 10の設定方法
ステップ1:設定を開く
- スタートボタン → 設定
- または「Windows + I」キーを押す
ステップ2:ネットワーク設定を開く
- 「ネットワークとインターネット」をクリック
- 左メニューの「モバイルホットスポット」をクリック
ステップ3:機能をオンにする
- 「インターネット接続を他のデバイスと共有します」をオンにする
- ネットワーク名とパスワードを確認・変更
クイック設定からのオン/オフ:
- タスクバーの「アクションセンター」アイコンをクリック
- 「モバイルホットスポット」タイルをクリック
Windows 11でも、クイック設定に追加すれば同様に素早くオン/オフできます。
他のデバイスから接続する方法
モバイルホットスポットを設定したら、他のデバイスから接続します。
スマホ・タブレットから接続
Android/iPhoneの場合:
- 設定アプリを開く
- 「Wi-Fi」をタップ
- 利用可能なネットワークの中から、設定したネットワーク名を選択
- パスワードを入力
- 「接続」をタップ
PCから接続
Windows PCの場合:
- タスクバーのWi-Fiアイコンをクリック
- 利用可能なネットワークの中から、設定したネットワーク名を選択
- 「接続」をクリック
- パスワードを入力
- 「次へ」をクリック
Macの場合:
- メニューバーのWi-Fiアイコンをクリック
- 利用可能なネットワークの中から、設定したネットワーク名を選択
- パスワードを入力
- 「接続」をクリック
モバイルホットスポット使用時の注意点

1. データ通信量の消費
モバイルホットスポットを使うと、スマホやPCのデータ通信量を消費します。
対策:
- 動画視聴など大容量通信は避ける
- データ使用量を定期的にチェック
- データプランの上限に注意
- 可能な限り、通常のWi-Fiを使う
2. バッテリー消費が早い
モバイルホットスポットをオンにすると、バッテリーの減りが通常より早くなります。
対策:
- 使わない時はすぐにオフにする
- 充電しながら使用する
- モバイルバッテリーを携帯する
- Bluetooth接続に切り替える(通信速度は遅くなる)
3. セキュリティ
適切なセキュリティ設定をしないと、不正アクセスのリスクがあります。
対策:
- 強固なパスワードを設定(8文字以上、英数字と記号の組み合わせ)
- セキュリティは「WPA2」または「WPA3」を選択
- 使わない時はオフにする
- 見知らぬデバイスが接続していないか定期的に確認
4. 接続台数の制限
モバイルホットスポットには、同時接続できるデバイス数に上限があります。
一般的な上限:
- スマホ:5〜10台
- Windows PC:8台
台数が増えると、通信速度が遅くなる可能性があります。
5. 通信速度
モバイルホットスポット経由の通信は、直接Wi-Fiルーターに接続するより遅くなることがあります。
影響する要因:
- スマホ/PCの回線速度
- 電波状況
- 接続デバイスの数
- 使用している周波数帯(2.4GHz vs 5GHz)
6. 契約プランの確認
携帯電話会社によっては、テザリング(モバイルホットスポット)に追加料金がかかる場合があります。
確認すべきこと:
- テザリングが契約プランに含まれているか
- テザリング用のデータ容量制限はあるか
- 追加料金は発生するか
7. 公共の場での使用
公共の場所でモバイルホットスポットを使う時は、周囲に配慮が必要です。
注意点:
- 電波の混雑を避けるため、必要な時だけオンにする
- 電車やバスなど、電波が制限されている場所では使用を控える
トラブルシューティング
トラブル1:他のデバイスから接続できない
原因と対策:
原因1:モバイルホットスポットがオフになっている
- スマホ/PCでモバイルホットスポットがオンになっているか確認
原因2:パスワードが間違っている
- 正しいパスワードを入力しているか確認
- 大文字小文字を区別するので注意
原因3:接続台数の上限に達している
- すでに接続しているデバイスを確認
- 不要なデバイスの接続を切る
原因4:Wi-Fi/Bluetoothがオフになっている
- 接続する側のデバイスでWi-Fiがオンになっているか確認
トラブル2:モバイルホットスポットがオンにならない
Windows PCの場合:
原因1:Wi-Fiアダプターが無効
- デバイスマネージャーでWi-Fiアダプターを確認
- 無効になっていたら有効にする
原因2:ドライバーが古い
- Wi-Fiアダプターのドライバーを更新
- メーカーのサイトまたはWindows Updateで最新版を入手
原因3:Windowsのバージョンが古い
- Windows Updateを実行
- 最新のバージョンに更新
スマホの場合:
原因1:機内モードがオンになっている
- 機内モードをオフにする
原因2:モバイルデータ通信がオフ
- モバイルデータ通信をオンにする
トラブル3:通信速度が遅い
対策:
- 電波の良い場所に移動
- 接続デバイス数を減らす
- 5GHz帯に切り替える(対応している場合)
- 他のアプリを閉じて、通信量を減らす
トラブル4:すぐにバッテリーがなくなる
対策:
- 使わない時はすぐにオフにする
- 省電力モードを有効にする
- 充電しながら使用する
モバイルホットスポットとポケットWi-Fiの違い
似たような機能として、ポケットWi-Fi(モバイルWi-Fiルーター)がありますが、違いがあります。
モバイルホットスポット
メリット:
- 追加の機器が不要(スマホやPCだけでOK)
- 追加費用がかからない(テザリングオプションを除く)
- 設定が簡単
デメリット:
- バッテリー消費が早い
- データ通信量を消費する
- 接続台数が少ない
ポケットWi-Fi(モバイルWi-Fiルーター)
メリット:
- バッテリー持ちが良い
- 接続台数が多い(10〜20台)
- 専用のデータプランがある
- スマホのバッテリーを消費しない
デメリット:
- 専用機器が必要
- 別途契約・費用が必要
- 荷物が増える
よくある質問

モバイルホットスポットは無料ですか?
スマホやPCの機能自体は無料です。ただし、以下の費用が発生する場合があります。
- 携帯電話会社のテザリングオプション料金(契約による)
- データ通信量(通常のデータプランから消費)
同時に何台まで接続できますか?
一般的には以下の通りです。
- スマホ:5〜10台
- Windows PC:8台
ただし、機種や設定によって異なります。
モバイルホットスポットを使うとデータ通信量はどれくらい消費しますか?
使用内容によって大きく異なります。
目安:
- メールやWebブラウジング:少ない(1時間で数十MB)
- 動画視聴(標準画質):多い(1時間で約500MB〜1GB)
- 動画視聴(HD画質):非常に多い(1時間で約2〜3GB)
- Web会議:多い(1時間で約500MB〜1GB)
セキュリティは大丈夫ですか?
適切に設定すれば安全です。
- 強固なパスワードを設定する
- WPA2またはWPA3のセキュリティを使用する
- 使わない時はオフにする
これらを守れば、公共Wi-Fiより安全です。
iPhoneとAndroid、どちらがモバイルホットスポットに向いていますか?
基本的な機能は同じですが、以下の点で違いがあります。
- iPhone:簡単に設定できるが、自動的にオフになることがある
- Android:細かい設定ができる、常時オンにできる
まとめ
モバイルホットスポットは、スマホやPCのインターネット接続を他のデバイスと共有できる便利な機能です。
主な特徴:
- Wi-Fiがない場所でもネット接続できる
- 追加機器不要で簡単に使える
- テザリングとも呼ばれる
接続方式:
- Wi-Fi接続(最も一般的、速度が速い)
- Bluetooth接続(省電力、速度は遅い)
- USB接続(安定、充電しながら使える)
設定方法:
- Android:設定 → ネットワークとインターネット → テザリング
- iPhone:設定 → インターネット共有
- Windows:設定 → ネットワークとインターネット → モバイルホットスポット
主な注意点:
- データ通信量を消費する
- バッテリー消費が早い
- セキュリティ設定が重要(WPA2/WPA3、強固なパスワード)
- 接続台数に制限がある(8台程度)
- 通信速度が遅くなることがある
おすすめの使い方:
- 外出先で一時的にネット接続が必要な時
- 公共Wi-Fiのセキュリティが心配な時
- 有線LANしかない場所で無線接続したい時
モバイルホットスポットは、緊急時や外出先でのインターネット接続手段として非常に便利です。ただし、データ通信量とバッテリー消費には注意が必要なので、必要な時だけオンにして、使わない時はすぐにオフにすることを心がけましょう。


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