ミラーボリュームとは?データを二重保存して守るディスク冗長化技術を徹底解説

「ハードディスクが突然壊れて、大切なデータが全部消えた……」

こんな悲劇を防ぐ技術がミラーボリューム(Mirrored Volume)です。

ミラーボリュームは、2台のハードディスクに同じデータを同時に書き込むことで、1台が故障しても大切なデータを守ることができる仕組みなんですね。「ミラー(mirror)」は英語で「鏡」を意味し、まさに鏡に映すように、データを完全に複製します。

「それって無駄じゃない?」と思うかもしれません。確かに、実質的な容量は半分になってしまいます。しかし、仕事の重要な書類、家族の思い出の写真、何年もかけて作ったプロジェクトファイルなど、失ったら取り戻せないデータの価値を考えれば、この「保険」は決して高くないでしょう。

この記事では、ミラーボリュームの基本的な仕組みから、メリット・デメリット、設定方法、故障時の対応まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

大切なデータを守る技術を、一緒に学んでいきましょう!

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  1. ミラーボリュームとは?
    1. 基本的な仕組み
    2. 名前の由来
    3. RAID 1との関係
  2. ミラーボリュームの動作原理
    1. データの書き込み
    2. データの読み取り
    3. 同期処理
  3. ミラーボリュームのメリット
    1. 1. 高い信頼性(最大のメリット)
    2. 2. ダウンタイムの最小化
    3. 3. 読み取り性能の向上
    4. 4. 自動フェイルオーバー
    5. 5. データの整合性保証
    6. 6. 簡単なデータ復旧
  4. ミラーボリュームのデメリット
    1. 1. 容量効率が悪い(最大のデメリット)
    2. 2. 書き込み性能の低下
    3. 3. 2台同時故障のリスク
    4. 4. 論理的なエラーは防げない
    5. 5. 同じサイズのディスクが必要
  5. スパンボリュームやRAID 0との比較
    1. スパンボリューム
    2. RAID 0(ストライピング)
    3. RAID 5
    4. どれを選ぶべきか?
  6. Windowsでミラーボリュームを作成する方法
    1. 前提条件
    2. 手順1:ディスクの管理を開く
    3. 手順2:ダイナミックディスクに変換
    4. 手順3:ミラーボリュームの作成
    5. 手順4:同期状態の確認
    6. 手順5:動作確認
  7. 既存のシンプルボリュームをミラー化する方法
    1. 手順
  8. ディスク故障時の対応方法
    1. 故障の検知
    2. 故障ディスクの交換手順
  9. ミラーボリュームの適切な使用例
    1. 最適な使用例
    2. 必要ない場合
  10. トラブルシューティング
    1. 問題1:ミラーボリュームが作成できない
    2. 問題2:再同期が進まない
    3. 問題3:両方のディスクが「失敗」と表示される
    4. 問題4:パフォーマンスが極端に遅い
    5. 問題5:ミラーボリュームを削除したい
  11. より高度な保護:ミラーボリューム + バックアップ
    1. 3-2-1バックアップルール
    2. 推奨バックアップ戦略
  12. まとめ

ミラーボリュームとは?

ミラーボリューム(Mirrored Volume)は、2台の物理ディスクに同じデータを同時に書き込むことで、データの冗長性を確保するディスク管理技術です。

基本的な仕組み

1つのファイルを保存すると、システムは自動的に2台のディスクに同じ内容を書き込みます。

イメージ図

書き込み時:
ユーザーがファイルを保存
    ↓
[ディスク1] ← 同じデータ → [ディスク2]
   500GB                      500GB
    ↓
利用可能容量:500GB(2台で1台分の容量)

1台が故障した場合

[ディスク1] ← 故障!
   ×
[ディスク2] ← 無事!
   ○
    ↓
データは失われず、システムは稼働を継続

ユーザーから見ると、1つのドライブとして見えますが、裏側では2台のディスクが同期して動作しているんですね。

名前の由来

「Mirror(ミラー)」は鏡という意味です。

一方のディスクが、もう一方のディスクを鏡のように完全に反映(複製)することから、この名前が付けられました。

RAID 1との関係

ミラーボリュームは、RAID 1(レイドワン)と基本的に同じ技術です。

違い

  • RAID 1:ハードウェアRAIDコントローラーまたはソフトウェアRAIDで実装
  • ミラーボリューム:Windowsのディスク管理機能で実装

技術的な原理は同じですが、実装方法や呼び方が異なるだけと考えて問題ありません。

ミラーボリュームの動作原理

データの読み書きがどのように行われるか、詳しく見ていきましょう。

データの書き込み

ファイルを保存すると、以下のプロセスが実行されます。

手順

  1. ユーザーがファイルを保存
  2. システムがディスク1とディスク2に同時に書き込みを開始
  3. 両方のディスクへの書き込みが完了
  4. 「保存完了」とユーザーに通知

重要な特徴
両方のディスクへの書き込みが成功するまで、処理は完了しません。これにより、データの整合性が保たれるんですね。

データの読み取り

読み取り時には、効率化のための工夫があります。

通常時

  • 2台のディスクから負荷分散して読み取り
  • 同時に異なる場所を読めるため、読み込み速度がやや向上することも

1台が故障している時

  • 正常なディスクからのみ読み取り
  • 速度は単一ディスクと同等

同期処理

2台のディスクは常に同期状態を維持します。

初期同期
ミラーボリュームを作成した直後、既存データがある場合は完全な同期が行われます。

継続的な同期
すべての書き込み操作で、リアルタイムに同期が実行されます。

再同期
ディスクを交換した後、新しいディスクに全データがコピーされます(後述)。

ミラーボリュームのメリット

データ保護における強力な利点があります。

1. 高い信頼性(最大のメリット)

1台が故障してもデータは無事
これがミラーボリュームの最大の価値です。

具体例

朝、出社したらディスク1が故障していた
↓
でも大丈夫!ディスク2にすべてのデータがある
↓
業務を継続しながら、ディスク1を交換できる

通常、ハードディスクの故障率は年間2〜3%程度と言われています。重要なシステムでは、この保険が不可欠なんですね。

2. ダウンタイムの最小化

無停止での運用継続
1台が故障しても、システムを停止せずに使い続けられます。

ホットスワップ対応
対応ハードウェアなら、電源を入れたままディスクを交換できます。

3. 読み取り性能の向上

負荷分散による高速化
2台のディスクから同時に読み取れるため、読み込み速度が向上することがあります。

実測例

  • シングルディスク:100MB/s
  • ミラーボリューム:150MB/s(環境による)

ただし、劇的な高速化ではなく、あくまで副次的なメリットです。

4. 自動フェイルオーバー

手動操作不要
ディスクが故障しても、システムが自動的に正常なディスクに切り替えます。

管理者が気づかないうちに故障が発生していて、ログを見て初めて知る、ということもあるでしょう。

5. データの整合性保証

同時書き込みによる一貫性
両方のディスクに書き込みが完了してから、次の処理に進みます。

これにより、片方だけが更新されて不整合が発生する、という事態を防げるんですね。

6. 簡単なデータ復旧

故障時の対応が簡単

  • ディスクを交換する
  • 自動的に再同期される
  • 特別な復旧作業は不要

専門知識がなくても、物理的にディスクを交換するだけで復旧できます。

ミラーボリュームのデメリット

一方で、いくつかの欠点もあります。

1. 容量効率が悪い(最大のデメリット)

実質容量が半分
1TBのディスクを2台使っても、利用できるのは1TB分だけです。

コスト計算

2TB欲しい場合:
- シンプルボリューム:2TBのディスク1台
- ミラーボリューム:2TBのディスク2台(4TB分購入)

ストレージコストが2倍になるのは、大きな負担かもしれません。

2. 書き込み性能の低下

2台に書き込む分、遅くなる
両方のディスクへの書き込みが完了するまで待つため、単一ディスクより若干遅くなります。

実測例

  • シングルディスク:150MB/s
  • ミラーボリューム:120MB/s(環境による)

ただし、体感できるほどの差ではないことが多いです。

3. 2台同時故障のリスク

完全ではない保護
極めて稀ですが、2台が同時に故障すると、データは失われます。

同時故障の原因例

  • 電源ユニットの故障で両方のディスクが損傷
  • 落雷などの電気的サージ
  • 火災や水害などの物理的災害
  • 人為的なミス(誤って両方削除など)

より高度な保護が必要な場合は、別の場所へのバックアップも併用すべきです。

4. 論理的なエラーは防げない

誤った削除は複製される
ユーザーが誤ってファイルを削除したり、ウイルスに感染したりした場合、その「間違い」も両方のディスクに反映されます。

対策
定期的なバックアップを別途取る必要があります。

5. 同じサイズのディスクが必要

容量の制限
異なるサイズのディスクでも作成できますが、小さい方のサイズに合わせられます。

  • 1TBと2TBのディスクでミラーボリューム作成
  • 利用可能容量:1TB(1TBが無駄になる)

スパンボリュームやRAID 0との比較

他のディスク構成との違いを明確にしましょう。

スパンボリューム

特徴
複数ディスクを連結して、1つの大きなボリュームにする。

比較ポイント

項目スパンボリュームミラーボリューム
目的容量拡張データ保護
冗長性なし(1台故障で全滅)あり(1台故障でもOK)
容量効率100%(2台で2台分)50%(2台で1台分)
速度通常読み取りやや速い
適用場面一時ファイル重要データ

RAID 0(ストライピング)

特徴
データを分散して、複数ディスクに同時読み書きする。

比較ポイント

項目RAID 0ミラーボリューム
目的速度向上データ保護
冗長性なし(1台故障で全滅)あり(1台故障でもOK)
容量効率100%(2台で2台分)50%(2台で1台分)
速度非常に速い読み取りやや速い
適用場面動画編集作業領域重要データ

RAID 5

特徴
3台以上のディスクでデータとパリティを分散保存。

比較ポイント

項目RAID 5ミラーボリューム
必要ディスク数最低3台2台
冗長性1台故障に耐える1台故障に耐える
容量効率67〜80%(台数による)50%
速度読み取り速い、書き込みやや遅い読み取りやや速い
設定の複雑さ複雑比較的簡単

どれを選ぶべきか?

ミラーボリュームが最適な場合

  • データの保護が最優先
  • 2台のディスクで構成したい
  • シンプルな構成を望む
  • 読み取り性能もある程度欲しい

スパンボリュームが向いている場合

  • 容量が最優先
  • データのバックアップは別にある
  • 一時作業領域として使う

RAID 0が向いている場合

  • 速度が最優先
  • データのバックアップは別にある
  • 動画編集などの高速作業領域

RAID 5が向いている場合

  • データ保護と容量効率を両立したい
  • 3台以上のディスクを使える
  • エンタープライズ環境

Windowsでミラーボリュームを作成する方法

実際の設定手順を詳しく解説します。

前提条件

必要なもの

  • 2台の物理ディスク(同じサイズ推奨)
  • 管理者権限
  • Windows Pro、Enterprise、Serverエディション(Home版では不可)

重要な注意点

  • システムドライブ(C:)はミラーボリュームにできない
  • ダイナミックディスクへの変換が必要
  • データは事前にバックアップ推奨

手順1:ディスクの管理を開く

ショートカットキー

Windows + X → 「ディスクの管理」を選択

または

Windows + R → 「diskmgmt.msc」と入力 → Enter

手順2:ダイナミックディスクに変換

操作

  1. 使用する2台のディスクをそれぞれ右クリック
  2. 「ダイナミックディスクに変換」を選択
  3. 変換するディスクにチェックを入れる
  4. 「OK」をクリック
  5. 確認メッセージで「はい」

警告メッセージ
「このディスクを変換すると、このディスク上の既存のファイルシステムボリュームはすべて閉じられます。」

これは正常なメッセージです。開いているファイルを閉じてから変換してください。

手順3:ミラーボリュームの作成

操作

  1. 1台目のディスクの未割り当て領域を右クリック
  2. 「新しいミラーボリューム」を選択
  3. 新しいミラーボリュームウィザードが起動
  4. 「次へ」をクリック

ディスクの選択

  1. 利用可能なディスクの一覧から、2台目のディスクを選択
  2. 「追加」ボタンをクリック
  3. 使用する容量を指定(通常は最大値)
  4. 「次へ」をクリック

容量の自動調整
小さい方のディスクのサイズに自動的に合わせられます。

ドライブレターの割り当て

  1. ドライブレター(例:E:)を選択
  2. または、フォルダにマウントすることも可能
  3. 「次へ」をクリック

フォーマット設定

  1. ファイルシステム:NTFS(推奨)
  2. アロケーションユニットサイズ:既定値
  3. ボリュームラベル:「MirrorData」など分かりやすい名前
  4. 「クイックフォーマット」にチェック
  5. 「次へ」をクリック

完了

  1. 設定内容を確認
  2. 「完了」をクリック
  3. 両方のディスクがフォーマットされ、同期が開始される

手順4:同期状態の確認

確認方法

  1. ディスクの管理で、ミラーボリュームを確認
  2. 両方のディスクに「正常(ミラー)」と表示されていればOK
  3. 初期同期中は「再同期中」と表示される

初期同期の時間
データ量とディスク速度により異なります。

  • 空のボリューム:数秒〜数分
  • データが多い場合:数時間かかることも

手順5:動作確認

テスト方法

  1. エクスプローラーで該当ドライブを開く
  2. テストファイルを作成
  3. ディスクの管理で、両方のディスクに書き込まれていることを確認

既存のシンプルボリュームをミラー化する方法

すでにデータがあるボリュームをミラーボリュームに変換できます。

手順

操作

  1. ディスクの管理を開く
  2. ミラー化したいボリュームを右クリック
  3. 「ミラーの追加」を選択
  4. 追加するディスクを選択
  5. 「ミラーの追加」をクリック

自動同期
既存のデータが、追加したディスクに自動的にコピーされます。

注意点

  • 同期中もボリュームは使用可能
  • ただし、パフォーマンスは低下する
  • 完了までは冗長性が確保されていない

ディスク故障時の対応方法

実際にディスクが故障した場合の手順です。

故障の検知

症状

  • Windowsが警告メッセージを表示
  • ディスクの管理で「失敗(冗長性なし)」と表示
  • システムイベントログにエラー記録

確認方法

  1. ディスクの管理を開く
  2. ミラーボリュームの状態を確認
  3. 故障したディスクを特定

故障ディスクの交換手順

手順1:システムのシャットダウン

ホットスワップ非対応の場合は、パソコンの電源を切る

手順2:物理的な交換

  1. 故障したディスクを取り外す
  2. 新しいディスク(同じサイズ以上)を取り付ける
  3. 電源を入れる

手順3:ディスクの初期化

  1. ディスクの管理を開く
  2. 新しいディスクが「不明」「初期化されていません」と表示される
  3. ディスクを右クリック
  4. 「ディスクの初期化」を選択
  5. パーティションスタイルを選択(通常はGPT)
  6. 「OK」をクリック

手順4:ダイナミックディスクへの変換

  1. 新しいディスクを右クリック
  2. 「ダイナミックディスクに変換」を選択
  3. 「OK」をクリック

手順5:ミラーの修復

  1. 既存のミラーボリューム(失敗と表示されている)を右クリック
  2. 「ミラーの修復」を選択
  3. 新しいディスクを選択
  4. 「OK」をクリック

手順6:再同期の確認

  1. 「再同期中」と表示される
  2. 進行状況を確認しながら待つ
  3. 「正常(ミラー)」になれば完了

再同期の時間
データ量により異なります。

  • 100GB:約30分〜1時間
  • 500GB:約2〜4時間
  • 1TB:約4〜8時間

再同期中もシステムは使用できますが、パフォーマンスは低下します。

ミラーボリュームの適切な使用例

どんなデータに使うべきか、具体例を示します。

最適な使用例

1. 重要なビジネスデータ

  • 顧客データベース
  • 会計ファイル
  • 設計図面
  • 契約書類

失ったら業務に大きな影響が出るデータです。

2. クリエイティブな制作物

  • 編集中の動画プロジェクト
  • グラフィックデザインファイル
  • 音楽制作データ
  • 3Dモデリングファイル

何日も、何週間もかけた作業の成果を守れます。

3. 個人の大切な思い出

  • 家族の写真
  • 子供の成長記録動画
  • 旅行の思い出
  • デジタル化した古いアルバム

お金では買えない、かけがえのない思い出です。

4. 開発環境のソースコード

  • 商用プロジェクトのリポジトリ
  • バージョン管理システムのサーバー
  • ビルド成果物

Gitなどに加えて、ローカルでも保護します。

5. 仮想マシンのイメージファイル

  • 開発環境の仮想マシン
  • テストサーバー
  • クライアント環境の複製

再構築に時間がかかる環境を守れます。

必要ない場合

1. すでにクラウドに同期されているデータ
OneDrive、Googleドライブなどに自動同期されているなら、追加の冗長性は不要かもしれません。

2. 簡単に再生成できるデータ

  • ダウンロードしたファイル
  • キャッシュデータ
  • 一時ファイル

3. 別の強固なバックアップがある場合
定期的に外部ストレージにバックアップしているなら、ミラーボリュームは補助的な位置づけになるでしょう。

トラブルシューティング

よくある問題と解決方法です。

問題1:ミラーボリュームが作成できない

症状
「新しいミラーボリューム」メニューが選択できない。

原因と解決方法

原因1:Windowsのエディション
Home版では機能が使えません。

解決方法
Pro版以上にアップグレードする。

原因2:ベーシックディスク
ダイナミックディスクに変換していない。

解決方法
両方のディスクをダイナミックディスクに変換する。

原因3:ディスクサイズの不一致
一方が極端に小さい。

解決方法
似たサイズのディスクを使用する。

問題2:再同期が進まない

症状
「再同期中」のまま、何時間も進行しない。

原因

  • ディスクの故障
  • ケーブルの不良
  • システムリソースの不足

解決方法

1. ディスクのエラーチェック

1. 該当ドライブを右クリック
2. プロパティ → ツール
3. エラーチェックを実行

2. ケーブルとコネクタの確認

1. SATAケーブルの接続を確認
2. 別のケーブルに交換してみる
3. 別のSATAポートに接続してみる

3. システムリソースの確認

1. タスクマネージャーを開く
2. CPU、メモリ、ディスク使用率を確認
3. 他のアプリケーションを終了

問題3:両方のディスクが「失敗」と表示される

症状
ミラーボリュームが完全にアクセス不能。

原因

  • 電源トラブルで両方が損傷
  • システムファイルの破損
  • コントローラーの問題

解決方法

1. システムの再起動
単純な認識エラーの可能性があります。

2. チェックディスクの実行

コマンドプロンプト(管理者権限)で:
chkdsk E: /f /r
(E:は該当ドライブレター)

3. データ復旧
両方のディスクが物理的に無事なら、データ復旧ソフトや専門業者で復旧できる可能性があります。

問題4:パフォーマンスが極端に遅い

症状
ファイルの読み書きに異常に時間がかかる。

原因

  • ディスクの劣化
  • 断片化
  • バックグラウンドの再同期

解決方法

1. ディスクの健康状態を確認
CrystalDiskInfoなどのツールで、S.M.A.R.T.情報を確認します。

2. 再同期の状態を確認
再同期中は遅くなるため、完了を待ちます。

3. デフラグを実行
(ただし、SSDでは不要)

問題5:ミラーボリュームを削除したい

操作手順

  1. 重要:データをバックアップする
  2. ディスクの管理を開く
  3. ミラーボリュームを右クリック
  4. 「ミラーの削除」を選択
  5. 削除するディスクを選択(1台だけでも、両方でも選択可能)
  6. 「ミラーの削除」をクリック

結果

  • 1台を削除:残りのディスクがシンプルボリュームになる
  • 両方削除:ボリューム全体が削除される

より高度な保護:ミラーボリューム + バックアップ

最強のデータ保護戦略です。

3-2-1バックアップルール

ルール

  • 3:データを3つのコピーで保持
  • 2:2種類の異なるメディアに保存
  • 1:1つは別の場所(オフサイト)に保管

実装例

  1. オリジナル:ミラーボリューム(ディスク2台)
  2. バックアップ1:外付けHDDに週1回バックアップ
  3. バックアップ2:クラウドストレージに自動同期

この構成なら、火災、盗難、落雷など、あらゆる災害からデータを守れます。

推奨バックアップ戦略

日次バックアップ

  • クラウドストレージへの自動同期(OneDrive、Google Drive等)

週次バックアップ

  • 外付けHDDへのフルバックアップ

月次バックアップ

  • 別の場所に保管する外付けHDDへのバックアップ

ミラーボリュームの役割
即座の冗長性を提供し、ディスク1台の故障では業務が止まらないようにします。

まとめ

ミラーボリュームは、2台のディスクに同じデータを同時に保存することで、高い信頼性を実現するディスク管理技術です。

1台が故障しても大切なデータを守り続けることができる、データ保護の基本的な手法と言えるでしょう。

この記事のポイント

  • ミラーボリュームは2台のディスクにデータを二重保存する技術
  • RAID 1と基本的に同じ原理で動作する
  • 1台が故障してもデータは失われず、システムは稼働を継続できる
  • 実質的な容量は半分になる(2台で1台分)
  • Windows Pro以上でダイナミックディスクに変換して作成
  • 故障したディスクは交換後、自動的に再同期される
  • 重要なビジネスデータや家族の思い出に最適
  • スパンボリュームやRAID 0と異なり、データ保護を重視
  • より強固な保護には、バックアップとの併用が理想的

最も重要なこと
ミラーボリュームは優れた技術ですが、万能ではありません。

  • 2台同時故障のリスク(稀だが0ではない)
  • 論理的なエラー(誤削除、ウイルス等)は防げない
  • 火災や盗難などの物理的災害には無力

そのため、本当に大切なデータは、ミラーボリュームに加えて、定期的なバックアップと、できれば別の場所への保管を組み合わせることをおすすめします。

データは一度失うと二度と戻りません。

「保険は使わないのが一番」と言いますが、ミラーボリュームもまさにそれです。故障に遭わないことを願いながら、でも万が一に備えて、大切なデータを守りましょう!

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