「間違ってファイルを上書きしちゃった!」 「システムの復元ポイントって何?」 「バックアップソフトがVSSエラーで止まる…」 「Cドライブの容量が勝手に減っていく」 「シャドウコピーって削除していいの?」
こんな経験や疑問はありませんか?
実は、これらすべてに関わっているのが**「ボリュームシャドウコピーサービス(VSS)」**なんです。普段は意識しないけど、ファイルの復元やシステムの保護で大活躍している、Windowsの重要な機能です。
今回は、VSSの仕組みから、エラーの対処法、容量管理の方法まで、すべてを分かりやすく解説します!
ボリュームシャドウコピーサービス(VSS)とは?

簡単に言うと…
VSS = ファイルの「タイムマシン」機能
例えるなら:
- ファイル = 写真
- VSS = 写真のネガを自動保存する機能
- 復元 = ネガから写真を再現
つまり、ファイルやシステムの「ある時点の状態」を記録しておく機能です!
技術的な仕組み
VSSの動作原理:
- スナップショット作成
- ある時点のファイル状態を記録
- 実際のコピーではなく「差分」を保存
- だから容量を節約できる
- シャドウコピー保存
- システム領域に保存
- ユーザーからは見えない
- 自動で管理される
- 必要時に復元
- 以前のバージョンから復元
- システムの復元ポイントから回復
VSSが守ってくれているもの
保護対象:
- 個人ファイル(ドキュメント、写真等)
- システムファイル(Windows本体)
- レジストリ(設定情報)
- アプリケーション設定
VSSの3つの主要機能
機能1:システムの復元ポイント
Windowsの「セーブポイント」:
自動作成タイミング:
- Windows Update前
- ドライバーインストール前
- アプリのインストール前
- 週1回の定期作成
手動作成方法:
- コントロールパネル→システム
- システムの保護
- 「作成」ボタン
- 復元ポイントに名前を付ける
使用場面:
- Windowsが不調になった時
- ドライバーの問題
- ウイルス感染からの回復
機能2:以前のバージョンの復元
ファイルのタイムマシン:
使い方:
- ファイルを右クリック
- 「以前のバージョンの復元」
- 復元したい日時を選択
- 「復元」または「開く」
復元できるケース:
- 誤って上書き保存した
- 間違えて削除した(ゴミ箱も空にした)
- ファイルが破損した
- ランサムウェア被害
機能3:バックアップソフトとの連携
VSSがバックアップを支援:
対応ソフト:
- Windows バックアップ
- Acronis True Image
- EaseUS Todo Backup
- Macrium Reflect
VSSの役割:
- 使用中のファイルもバックアップ可能
- 整合性のあるバックアップ
- システム稼働中でもOK
容量管理:シャドウコピーはどれくらい容量を使う?
デフォルトの容量設定
Windows 10/11の標準設定:
システムドライブ(C:)
├─ 最大使用量:ディスク容量の10%程度
├─ 最小:300MB
└─ 推奨:5GB以上
100GBのCドライブの場合:
- シャドウコピー用:約10GB
- 復元ポイント:10〜20個保存可能
容量の確認方法
コマンドプロンプトで確認:
vssadmin list shadowstorage
表示される情報:
- 使用中の容量
- 割り当て済み容量
- 最大容量
GUI で確認:
- システムのプロパティ
- システムの保護
- 構成
- 現在の使用量を確認
容量の調整方法
容量を増やす場合:
- システムの保護→構成
- 最大使用量のスライダーを調整
- 推奨:20%程度まで
容量を減らす場合:
- 最低でも2GB以上を維持
- あまり減らすと復元ポイントが少なくなる
すべて削除する方法:
vssadmin delete shadows /all
※注意:すべての復元ポイントが消えます!
よくあるVSSエラーと解決方法

エラー1:「ボリュームシャドウコピーサービスエラー」
症状:
- バックアップが失敗
- システムの復元が使えない
- エラーコード:0x80070005等
解決方法:
方法1:サービスの再起動
net stop vss
net start vss
方法2:関連サービスも確認
- Software Shadow Copy Provider
- Microsoft Software Shadow Copy Provider
- すべて「自動」で「開始」状態に
方法3:システムファイルチェック
sfc /scannow
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
エラー2:「シャドウコピーの記憶域の関連付けが見つかりません」
原因:
- VSSの設定が破損
- ディスク容量不足
解決策:
- 管理者権限でコマンドプロンプト
- 以下を実行:
vssadmin resize shadowstorage /for=C: /on=C: /maxsize=10%
エラー3:「復元ポイントが作成されない」
確認事項:
- システムの保護が有効か
- システムのプロパティで確認
- 「有効」になっているか
- 容量は十分か
- 最低2GB以上必要
- 空き容量も確認
- タスクスケジューラ確認
- SR(System Restore)タスクが有効か
VSSを無効化してもいい?メリット・デメリット
無効化のメリット
容量が増える:
- 10GB程度の空き容量確保
- SSDの寿命への影響軽減(微小)
パフォーマンス向上(わずか):
- 書き込み時の負荷軽減
- ただし体感できるレベルではない
無効化のデメリット(重大!)
失われる機能:
- システムの復元不可
- ファイルの以前のバージョン復元不可
- Windows Updateのロールバック困難
- ランサムウェア対策の喪失
リスク:
- トラブル時の回復手段がなくなる
- データ復旧が困難に
結論:無効化は推奨しません!
特に無効化NGな人:
- 一般的なユーザー
- 重要なデータを扱う人
- トラブル対処が苦手な人
無効化を検討できる場合:
- 別途バックアップシステムがある
- テスト環境
- 容量が極端に少ないSSD(32GB等)
VSSの活用術:知っておくと便利な使い方
定期的な手動復元ポイント作成
重要な作業前に作成:
- レジストリ編集前
- 怪しいソフトのインストール前
- システム設定の大幅変更前
作成のコツ:
名前の付け方例:
「レジストリ編集前_2024年3月」
「新ドライバーインストール前」
「クリーンアップ実行前」
シャドウコピーからのファイル取り出し
ShadowExplorerを使用:
- フリーソフト「ShadowExplorer」
- 復元ポイントを選択
- ファイルを個別に取り出し可能
PowerShellでの管理
復元ポイント一覧表示:
Get-ComputerRestorePoint
特定の復元ポイント削除:
Remove-ComputerRestorePoint -RestorePoint 番号
Windows 11でのVSS:変更点と注意事項
Windows 11での改善点
より賢い容量管理:
- 自動的な古い復元ポイント削除
- 重要度による優先順位付け
セキュリティ強化:
- ランサムウェア対策強化
- 不正な削除を防ぐ
注意すべき変更
デフォルトで無効の場合がある:
- クリーンインストール時
- 一部のOEMパソコン
確認と有効化:
- システムの保護を開く
- Cドライブの保護が「無効」なら
- 「構成」→「有効」に変更
他のバックアップ方法との比較

VSS vs ファイル履歴
項目 | VSS | ファイル履歴 |
---|---|---|
対象 | システム全体 | 個人ファイルのみ |
保存先 | 同じドライブ | 外付けドライブ |
頻度 | イベント駆動 | 定期的(1時間ごと) |
容量 | 10%程度 | 無制限 |
VSS vs システムイメージバックアップ
VSS:
- 部分的な復元
- 容量効率的
- 高速
システムイメージ:
- 完全な復元
- 大容量必要
- 時間がかかる
理想:両方使う!
トラブル防止のベストプラクティス
定期的なメンテナンス
月1回チェック:
- 復元ポイントの数
- 使用容量
- エラーログ確認
3ヶ月に1回:
- 古い復元ポイント整理
- テスト復元の実施
監視すべき警告サイン
要注意:
- 復元ポイントが勝手に消える
- VSSエラーの頻発
- Cドライブ容量の急激な変化
バックアップ戦略
3-2-1ルール:
- 3つのコピー(元データ + 2つのバックアップ)
- 2種類の媒体(内蔵 + 外付け)
- 1つは別の場所(クラウド等)
VSSは「3つのコピー」の1つとして活用!
まとめ:VSSは「見えない保険」として重要!
ボリュームシャドウコピーサービス(VSS)は、あなたのデータとシステムを守る影の守護者です。
覚えておくべきポイント:
✅ VSSは3つの重要機能を提供
- システムの復元
- ファイルの以前のバージョン
- バックアップ支援
✅ 容量は10%程度が適切
- 少なすぎると機能しない
- 多すぎても無駄
- 定期的な確認が大切
✅ 無効化は基本的にNG
- リスクが大きすぎる
- 容量節約効果は限定的
- トラブル時に後悔する
✅ エラーは早めに対処
- サービス再起動で解決することが多い
- 放置すると深刻化
- 定期的なチェックを
✅ 他のバックアップと併用
- VSSだけに頼らない
- 複数の方法で保護
- 3-2-1ルールの実践
最後に: VSSは普段意識しないけど、いざという時に本当に助かる機能です。「転ばぬ先の杖」として、正しく設定・管理しておきましょう。あなたの大切なデータを守るために!
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