「ローカルアカウントって何?」 「Microsoftアカウントとどう違うの?」 「Windows 11でローカルアカウント作れないって本当?」 「プライバシーを守りたいからローカルアカウントがいい」 「どっちを選べばいいか分からない…」
Windows PCを使い始める時、こんな疑問を持ったことはありませんか?
実は、Windowsには2種類のアカウントがあり、それぞれにメリット・デメリットがあるんです。特にWindows 11では、Microsoftアカウントを強く推奨していて、ローカルアカウントの作成が隠されている状態。
今回は、ローカルアカウントの正体から、Microsoftアカウントとの違い、Windows 11での作成方法まで、すべてを解説します!
ローカルアカウントとは?基本を理解しよう

ローカルアカウントの定義
ローカルアカウント = そのPCだけで使えるアカウント
例えるなら:
- ローカルアカウント = 家の鍵(その家だけで有効)
- Microsoftアカウント = マスターキー(複数の家で使える)
特徴:
- インターネット接続不要
- そのPC内だけで完結
- 従来のWindowsと同じ方式
- Windows 95時代からある伝統的な方法
ローカルアカウントの仕組み
データの保存場所:
C:\Users\[ユーザー名]\
├── デスクトップ
├── ドキュメント
├── ダウンロード
├── ピクチャ
└── その他のフォルダ
すべてそのPC内に保存され、クラウドとは同期しません。
Microsoftアカウントとの違い:詳細比較表
機能比較一覧
機能 | ローカルアカウント | Microsoftアカウント |
---|---|---|
作成に必要なもの | ユーザー名とパスワードのみ | メールアドレス必須 |
インターネット | 不要 | 初回設定時に必要 |
データ同期 | ❌ なし | ✅ 複数デバイスで同期 |
OneDrive | ❌ 使用不可 | ✅ 5GB無料 |
Microsoft Store | ❌ アプリDL不可 | ✅ 利用可能 |
設定の同期 | ❌ 手動設定 | ✅ 自動同期 |
パスワードリセット | ❌ 困難 | ✅ オンラインで簡単 |
Windows Hello | ⚠️ PIN/指紋のみ | ✅ 全機能利用可 |
ファミリーセーフティ | ❌ 利用不可 | ✅ 子供の管理可能 |
暗号化(BitLocker) | ⚠️ 手動設定 | ✅ 自動で有効 |
プライバシー | ✅ 高い | ⚠️ データ収集あり |
それぞれのメリット・デメリット
ローカルアカウントのメリット:
- ✅ プライバシーが守られる
- ✅ オフラインで完全動作
- ✅ シンプルで分かりやすい
- ✅ 余計な同期や通信がない
ローカルアカウントのデメリット:
- ❌ PC故障時にデータ消失
- ❌ Microsoft Storeが使えない
- ❌ 設定の移行が面倒
- ❌ パスワード忘れたら大変
Microsoftアカウントのメリット:
- ✅ どこからでもアクセス
- ✅ 自動バックアップ
- ✅ 豊富な連携機能
- ✅ パスワードリセット簡単
Microsoftアカウントのデメリット:
- ❌ プライバシーの懸念
- ❌ ネット接続が前提
- ❌ アカウント乗っ取りリスク
- ❌ 設定が複雑
Windows 11でローカルアカウントを作成する方法
初期セットアップ時の作成(難しくなった!)
Windows 11 Home版の場合:
Microsoft はローカルアカウントを積極的に隠しているため、特殊な手順が必要です。
方法1:ネットワークを切断する
- セットアップ中、Wi-Fi接続画面で
- Shift + F10でコマンドプロンプト起動
oobe\bypassnro
と入力- PCが再起動
- 「インターネットに接続していません」を選択
- 「制限された設定で続行」
- ローカルアカウント作成可能に!
方法2:偽のメールアドレスを使う
- Microsoftアカウント入力画面で
no@thankyou.com
など存在しないアドレス入力- 適当なパスワード入力
- エラー後「代わりにローカルアカウント」が出現
既存システムでローカルアカウントを追加
手順:
- 設定を開く(Windows + I)
- アカウント→家族とその他のユーザー
- 「その他のユーザーをこのPCに追加」
- 「このユーザーのサインイン情報がありません」
- 「Microsoftアカウントを持たないユーザーを追加する」
- ユーザー名とパスワードを設定
Microsoftアカウントからローカルアカウントへの切り替え
変換手順:
- 設定→アカウント→ユーザーの情報
- 「ローカルアカウントでのサインインに切り替える」
- 現在のパスワードを入力
- 新しいローカルアカウント情報を入力
- サインアウトして切り替え完了
注意:切り替えると失われる機能
- OneDrive同期
- Microsoft Store
- 設定の同期
- Xbox関連機能
どんな人にローカルアカウントが向いている?
ローカルアカウントを選ぶべき人
1. プライバシー重視の人
- Microsoftへのデータ送信を避けたい
- オフラインで作業したい
- 個人情報を最小限にしたい
2. 単一PCのみ使用する人
- 複数デバイスの同期不要
- そのPCだけで完結
- シンプルな使い方
3. 企業・組織のPC
- Active Directory環境
- 独自の管理システム
- セキュリティポリシーの関係
4. 高齢者・初心者
- シンプルな設定
- 余計な機能不要
- トラブルを避けたい
Microsoftアカウントを選ぶべき人
1. 複数デバイスを使う人
- PC、タブレット、スマホ連携
- 設定を同期したい
- どこからでもアクセス
2. Microsoft 365利用者
- Office連携必須
- OneDrive活用
- Teams使用
3. ゲーマー
- Xbox連携
- Game Pass利用
- 実績システム
4. 家族でPCを共有
- ファミリーセーフティ
- 子供の管理
- コンテンツ制限
セキュリティ面での比較

ローカルアカウントのセキュリティ
強み:
- オフライン攻撃に強い
- アカウント乗っ取りリスクなし
- データ漏洩の心配少ない
弱み:
- パスワードリセット困難
- BitLocker設定が手動
- Windows Helloの一部制限
推奨設定:
✅ 強力なパスワード設定
✅ 定期的なパスワード変更
✅ 管理者権限の制限
✅ ウイルス対策ソフト必須
Microsoftアカウントのセキュリティ
強み:
- 二段階認証対応
- パスワードリセット簡単
- 不審なサインイン検出
弱み:
- オンライン攻撃の標的
- フィッシング詐欺リスク
- データがクラウドに
必須設定:
✅ 二段階認証を有効化
✅ 回復用連絡先を設定
✅ サインイン履歴を定期確認
✅ 強力なパスワード使用
併用のススメ:いいとこ取り戦略
ハイブリッド運用
基本戦略:
- メインはローカルアカウント
- 日常作業用
- プライバシー保護
- サブでMicrosoftアカウント
- Store利用時のみ
- 必要時だけサインイン
管理者権限の使い分け
推奨構成:
管理者:ローカルアカウント
├── システム管理用
└── トラブルシューティング用
標準ユーザー:Microsoftアカウント
├── 日常使用
└── アプリ利用
Windows 10とWindows 11の違い
アカウント作成の難易度
OS | ローカルアカウント作成 | 備考 |
---|---|---|
Windows 10 | 簡単(選択肢あり) | 「オフラインアカウント」明記 |
Windows 11 Pro | やや難しい | ドメイン参加で回避可能 |
Windows 11 Home | かなり難しい | 特殊な手順必要 |
Microsoftの方針変更
なぜローカルアカウントを隠すのか:
- クラウドサービスの利用促進
- データ収集の必要性
- サポートコスト削減
- セキュリティ向上(建前)
よくある質問と回答
Q1:ローカルアカウントでもWindows Updateはできる?
A:はい、問題なく可能です。
Windows Updateはアカウント種別に関係なく動作します。セキュリティ更新も同様に受け取れます。
Q2:後からMicrosoftアカウントに変更できる?
A:いつでも変更可能です。
設定→アカウント→「Microsoftアカウントでサインイン」から変更できます。データも引き継がれます。
Q3:ローカルアカウントでOfficeは使える?
A:条件付きで使えます。
- Office 2019/2021(買い切り版):使用可能
- Microsoft 365:サインイン必要(別途Microsoftアカウント)
Q4:パスワードを忘れたらどうなる?
A:ローカルアカウントは復旧が困難です。
パスワードリセットディスクを事前に作成していない場合、最悪の場合Windowsの再インストールが必要になります。
Q5:企業PCはどちらがいい?
A:通常はドメインアカウント(ローカルの一種)です。
企業環境ではActive Directoryのドメインアカウントが一般的。個人のMicrosoftアカウントは避けるべきです。
トラブルシューティング
ローカルアカウントでMicrosoft Storeを使う方法
部分的に利用可能にする:
- Microsoft Storeを開く
- 右上のアカウントアイコン
- Microsoftアカウントでサインイン
- Storeのみで有効
パスワードリセットディスクの作成
事前準備が重要:
- コントロールパネル→ユーザーアカウント
- 「パスワードリセットディスクの作成」
- USBメモリを用意
- ウィザードに従って作成
絶対に安全な場所に保管!
まとめ:目的に応じて賢く選択しよう
ローカルアカウントとMicrosoftアカウント、どちらも一長一短があります。
選択の指針:
✅ ローカルアカウントが最適な場合
- プライバシー最優先
- オフライン中心の作業
- シンプルな使い方
- 単一PCのみ使用
✅ Microsoftアカウントが最適な場合
- 複数デバイス使用
- クラウド連携重視
- Microsoft 365利用
- 家族で共有
✅ 併用がベストな場合
- セキュリティとプライバシーのバランス
- 必要に応じて使い分け
- 管理者と標準ユーザーの分離
重要なポイント:
✅ Windows 11でもローカルアカウントは使える (作成方法が分かりにくいだけ)
✅ 後から変更可能 (迷ったらローカルから始めてもOK)
✅ パスワード管理は慎重に (特にローカルアカウント)
✅ 目的に応じた使い分けが大切 (どちらが優れているという話ではない)
自分の使い方に合ったアカウントを選んで、快適なWindowsライフを送りましょう!
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