「オフィスで会議に参加したら、周りの人の声まで相手に聞こえてしまった」
「カフェから通話したいけど、周囲の騒音が気になる」
「在宅ワークで家族の声が会議に入ってしまう」
こんな悩み、ありますよね。
Microsoft Teamsの「音声分離機能」は、これらの問題を解決する革新的な機能です。
AIが自分の声だけを識別し、周囲のノイズはもちろん、他の人の話し声まで完全に除去します。
この記事では、Microsoft Teamsの音声分離機能について、基本的な仕組みから設定方法、トラブルシューティング、管理者向けの設定まで、徹底的に解説します。
オフィスや外出先から快適に会議に参加したい方は、ぜひ最後までお読みください。
Microsoft Teams音声分離機能とは

Microsoft Teams の音声分離機能(Voice Isolation)は、AIを活用した高度なノイズ抑制機能です。
2024年4月にリリースされ、現在は既定で利用可能になっています。
従来のノイズ抑制との違い
Teamsには以前から「バックグラウンド ノイズのみ」というノイズ抑制機能がありました。
しかし、この機能では背景のノイズは除去できても、近くにいる人の話し声までは除去できませんでした。
音声分離機能は、従来のノイズ抑制をさらに進化させたものです。
従来のノイズ抑制(バックグラウンド ノイズのみ):
- キーボードのタイピング音
- ファンの音
- 車の通行音
- ドアの開閉音
これらの「ノイズ」は除去できますが、人の声は残ります。
音声分離機能:
- 上記のすべてのノイズ
- 他の人の話し声
- 複数人が話している環境の音声
自分の声だけを相手に届けます。
AIによる音声の識別
音声分離機能は、ユーザーの「音声プロファイル」を使用します。
音声プロファイルとは、あなたの声の特徴をAIが学習したデータです。
このプロファイルにより、TeamsのAIは以下を識別できます。
- 保持するサウンド:あなたの声
- 除外するサウンド:それ以外のすべての音(ノイズ、他の人の声)
- エコー防止:他のスピーカーからの音も除外
結果として、会議の相手にはあなたの声だけがクリアに届きます。
こんな場面で役立つ
音声分離機能が特に効果を発揮する場面をご紹介します。
オフィスのオープンスペース:
- 隣の席で同僚が会議をしている
- 周囲で複数人が会話している
- 電話の呼び出し音が頻繁に鳴る
カフェや公共スペース:
- 店内放送が流れている
- 近くの席で会話している人がいる
- レジの音や食器の音が響く
在宅ワーク:
- 家族が同じ部屋で会話している
- 子どもが遊んでいる
- ペットの鳴き声
空港や駅:
- アナウンスが流れている
- 多くの人が行き交っている
- 構内放送や電車の音
これらすべての環境で、あなたの声だけを相手に届けることができます。
音声分離機能の設定方法
音声分離機能を使用するには、音声プロファイルの作成が必要です。
デバイス別に設定手順を説明します。
Windows版Teamsでの設定手順
前提条件:
- デスクトップ版Microsoft Teamsアプリ
- マイク(できれば高品質なもの)
- 静かな環境(登録時のみ)
手順1: Teamsの設定を開く
- Teamsアプリを起動
- 画面右上の「…」(設定など)をクリック
- 「設定」を選択
手順2: 認識設定を開く
- 左メニューから「認識」を選択
- 「音声プロファイルの作成」セクションを確認
手順3: 音声プロファイルを作成
- 「音声プロファイルの作成」ボタンをクリック
- マイクのドロップダウンメニューから使用するマイクを選択
- 「音声キャプチャを開始」ボタンをクリック
- 画面に表示される英語のテキストを読み上げる
- 大きな声で、はっきりと読む
- 約30秒程度で完了
- 読み終わったら「音声キャプチャを終了」をクリック
- 「閉じる」をクリック
これで音声プロファイルの作成は完了です。
次回の会議や通話から、自動的に音声分離機能が有効になります。
Mac版Teamsでの設定手順
Mac版でも基本的な手順は同じです。
- Teamsアプリを起動
- 画面上部のメニューバーから「Teams」→「設定」を選択
- 左メニューから「認識」を選択
- 「音声プロファイルの作成」ボタンをクリック
- Windows版と同じ手順で音声を録音
音声プロファイル作成時の注意点
音声プロファイルを正確に作成するため、以下の点に注意してください。
環境の準備:
- 静かな場所で録音する
- 窓を閉め、外部の騒音を遮断
- エアコンやファンの音も最小限に
- 他の人がいない場所を選ぶ
マイクの選択:
- できるだけ高品質なマイクを使用
- ヘッドセットのマイクが推奨
- PC内蔵マイクでも可能だが、外部マイクの方が精度が高い
録音時のポイント:
- 普段会議で話すのと同じ声量で読む
- はっきりと、ゆっくりと読む
- 途中で止まったり、言い直したりしても大丈夫
- テキストは英語で表示される(日本語対応は未定)
テキストの例:
"In Microsoft Teams, voice isolation uses AI to enhance call quality..."
このようなテキストが表示されるので、そのまま読み上げます。
音声分離機能の使い方
音声プロファイルを作成したら、会議や通話で音声分離機能を使用できます。
会議参加時の設定
音声プロファイルを作成すると、会議参加時に自動的に音声分離機能が有効になります。
手動で設定を確認・変更する方法を説明します。
会議参加前の設定:
- 会議の参加画面(プレビュー画面)で、マイクアイコンの横にある「v」マークをクリック
- 「その他のオーディオ設定」を選択
- 「ノイズ抑制」セクションを確認
- 「音声の分離」が選択されていることを確認
会議参加後の設定:
- 会議画面上部のマイクアイコン横の「v」マークをクリック
- 「その他のオーディオ設定」を選択
- 「ノイズ抑制」で「音声の分離」を選択
音声分離機能がオンになっているか確認する方法
会議中、音声分離機能が正常に動作しているかを確認できます。
確認方法1: カメラプレビューのアイコン
会議中、自分のカメラプレビュー(画面内の自分の映像)の左下に、音声分離のアイコンが表示されます。
このアイコンが表示されていれば、音声分離機能がオンになっています。
確認方法2: 名前の横の表示
音声分離機能が動作中、自分の名前の横に「ノイズが抑制されました」という表示が出ることがあります。
これは、AIが背景ノイズや他の声を検出し、除去していることを示しています。
音声分離機能をオフにする方法
特定の会議で音声分離機能をオフにしたい場合があります。
例えば、複数人で1つのマイクを共有する場合などです。
オフにする手順:
- 会議画面上部のマイクアイコン横の「v」マークをクリック
- 「その他のオーディオ設定」を選択
- 「ノイズ抑制」で「バックグラウンド ノイズのみ」または「オフ」を選択
この設定は、その会議が終了するまで有効です。
次回の会議では、再び音声分離機能がオンになります。
トラブルシューティング
音声分離機能がうまく動作しない場合の対処法を紹介します。
音声分離機能が表示されない
「ノイズ抑制」の選択肢に「音声の分離」が表示されない場合、以下を確認してください。
原因1: 音声プロファイルが作成されていない
解決方法:
- 「設定」→「認識」を開く
- 音声プロファイルを作成する
原因2: Teamsアプリが古い
解決方法:
- Teamsアプリを最新版に更新
- 画面右上の「…」→「更新を確認」をクリック
- 利用可能な更新があればインストール
原因3: 管理者がポリシーで無効化している
解決方法:
- 組織のIT管理者に連絡し、音声分離機能が有効になっているか確認
- 管理者向けの設定については後述
原因4: モバイル版を使用している
現時点では、音声分離機能はデスクトップ版(Windows/Mac)でのみ利用可能です。
モバイル版(iOS/Android)では使用できません。
音声が途切れる・聞こえにくい
音声分離機能をオンにしたら音声が途切れる、または聞こえにくくなった場合:
対処法1: 環境を確認
- できるだけ静かな環境に移動
- マイクに近づいて話す
- 周囲のノイズが極端に大きい場合、AIが過剰に抑制する可能性がある
対処法2: マイクを変更
- 別のマイクに切り替える
- 可能であれば、ヘッドセットを使用
- 「その他のオーディオ設定」→「マイク」で別のデバイスを選択
対処法3: Teamsを再起動
- Teamsを完全に終了
- タスクバーのTeamsアイコンを右クリック→「終了」
- Teamsを再起動
対処法4: 音声プロファイルを再作成
音声プロファイルが正しく作成されていない可能性があります。
- 「設定」→「認識」を開く
- 「更新」をクリックして音声プロファイルを再録音
- または「削除」してから新しく作成
近くにいる人の声も拾いたい場合
複数人で1つのマイクを使用し、全員の声を相手に届けたい場合:
対処法: 音声分離機能を一時的にオフ
- 会議画面のマイクアイコン横「v」マーク→「その他のオーディオ設定」
- 「ノイズ抑制」で「バックグラウンド ノイズのみ」を選択
これにより、近くにいる人の声もマイクが拾うようになります。
ただし、背景ノイズの抑制は継続されます。
警告メッセージが表示される
音声分離機能使用中、以下のような警告が表示されることがあります。
警告1: 「近くにいる誰かの音声が抑制されています」
意味:
- マイクの近くにいる別の人の声をAIが検出
- その声が抑制されていることを通知
対処法:
- その会議で近くの人の声も拾う必要がある場合、音声分離機能をオフにする
- 不要な場合は、そのまま継続
警告2: 「音声プロファイルを更新してください」
意味:
- 音声プロファイルの精度が低下している可能性
- 再録音を推奨
対処法:
- 「設定」→「認識」を開く
- 「更新」をクリックして音声を再録音
音声プロファイルの管理

作成した音声プロファイルは、いつでも更新・削除できます。
音声プロファイルの更新
声の調子が変わった場合や、精度が低下した場合に更新します。
更新手順:
- Teamsの「設定」→「認識」を開く
- 「音声プロファイルの作成」セクションで「更新」をクリック
- 新しい音声を録音
古い音声プロファイルは自動的に削除され、新しいものに置き換わります。
音声プロファイルの削除
音声分離機能を使用しない場合、音声プロファイルを削除できます。
削除手順:
- Teamsの「設定」→「認識」を開く
- 「音声プロファイルの作成」セクションで「削除」をクリック
- 確認画面で「削除」をクリック
削除すると、今後の会議では音声分離機能を使用できなくなります。
再度使用したい場合は、音声プロファイルを新規作成する必要があります。
プライバシーとデータ管理
音声プロファイルのデータは、ユーザーのローカルデバイスに暗号化されて保存されます。
データの取り扱い:
- Microsoftは、ユーザーが許可した目的のみに音声プロファイルを使用
- 音声プロファイルを他の目的で使用することはない
- ユーザーは完全なデータコントロールを持つ
データの保存期間:
- Teamsアカウントがアクティブな間は保存
- 1年間使用されない場合、自動的に削除
- ユーザーがプロファイルを削除すると、すぐに削除
- Teamsアカウントが削除された場合、90日以内に削除
データのエクスポート:
ユーザーは自分の音声データをエクスポートできます。
- 「設定」→「認識」を開く
- 「エクスポート」をクリック
- データはデバイスの「ダウンロード」フォルダに保存
管理者向け設定(IT管理者)
組織のIT管理者は、ユーザーが音声分離機能を使用できるかどうかを管理できます。
PowerShellでの設定方法
音声分離機能を有効にするには、2つのPowerShellポリシーを設定する必要があります。
前提条件:
- Microsoft Teams PowerShellモジュールがインストールされている
- グローバル管理者またはTeams管理者の権限
手順1: Teams PowerShellに接続
# Microsoft Teams PowerShellモジュールをインポート
Import-Module MicrosoftTeams
# Microsoft 365にサインイン
Connect-MicrosoftTeams
グローバル管理者のアカウントでサインインします。
手順2: 音声登録を有効化
# すべてのユーザーに対して音声登録を有効化
Set-CsTeamsAIPolicy -Identity Global -EnrollVoice Enabled
手順3: 音声分離機能を有効化
# すべてのユーザーに対して音声分離を有効化
Set-CsTeamsMeetingPolicy -Identity Global -VoiceIsolation Enabled
これで、組織のすべてのユーザーが音声分離機能を使用できるようになります。
特定のユーザーのみに有効化
すべてのユーザーではなく、特定のユーザーやグループにのみ音声分離機能を有効にすることもできます。
手順1: カスタムポリシーを作成
# 音声登録を有効にするポリシーを作成
New-CsTeamsAIPolicy -Identity "EnableVoiceIsolation" -EnrollVoice Enabled
# 音声分離を有効にするポリシーを作成
New-CsTeamsMeetingPolicy -Identity "EnableVoiceIsolation" -VoiceIsolation Enabled
手順2: 特定のユーザーにポリシーを割り当て
# ユーザーにAIポリシーを割り当て
Grant-CsTeamsAIPolicy -Identity "user@company.com" -PolicyName "EnableVoiceIsolation"
# ユーザーに会議ポリシーを割り当て
Grant-CsTeamsMeetingPolicy -Identity "user@company.com" -PolicyName "EnableVoiceIsolation"
音声分離機能を無効化
組織全体または特定のユーザーの音声分離機能を無効にすることもできます。
全ユーザーに対して無効化:
# 音声登録を無効化
Set-CsTeamsAIPolicy -Identity Global -EnrollVoice Disabled
# 音声分離を無効化
Set-CsTeamsMeetingPolicy -Identity Global -VoiceIsolation Disabled
特定のユーザーに対して無効化:
# 無効化ポリシーを作成
New-CsTeamsAIPolicy -Identity "DisableVoiceIsolation" -EnrollVoice Disabled
New-CsTeamsMeetingPolicy -Identity "DisableVoiceIsolation" -VoiceIsolation Disabled
# ユーザーに割り当て
Grant-CsTeamsAIPolicy -Identity "user@company.com" -PolicyName "DisableVoiceIsolation"
Grant-CsTeamsMeetingPolicy -Identity "user@company.com" -PolicyName "DisableVoiceIsolation"
ポリシーの確認
現在のポリシー設定を確認する方法です。
グローバルポリシーの確認:
# AIポリシーの確認
Get-CsTeamsAIPolicy -Identity Global
# 会議ポリシーの確認
Get-CsTeamsMeetingPolicy -Identity Global
特定のポリシーの確認:
# 特定のポリシーを確認
Get-CsTeamsAIPolicy -Identity "ポリシー名"
Get-CsTeamsMeetingPolicy -Identity "ポリシー名"
ユーザーに割り当てられているポリシーの確認:
# ユーザーのポリシーを確認
Get-CsOnlineUser -Identity "user@company.com" | Select-Object TeamsAIPolicy, TeamsMeetingPolicy
よくある質問
モバイル版で音声分離機能は使えますか?
現時点では、音声分離機能はデスクトップ版(Windows/Mac)でのみ利用可能です。
モバイル版(iOS/Android)では使用できません。
Microsoftは将来的にモバイル版にも対応する可能性がありますが、具体的な時期は発表されていません。
音声プロファイルは他のデバイスでも使えますか?
はい、音声プロファイルは同じMicrosoft アカウントでサインインしているすべてのデバイスで使用できます。
ただし、デバイスごとに音声プロファイルの暗号化されたコピーがローカルに保存されます。
このコピーは14日後に期限切れとなり、新しいコピーに置き換えられます。
英語が苦手でも音声プロファイルを作成できますか?
現時点では、音声プロファイル作成時のテキストは英語のみです。
ただし、英語を完璧に発音する必要はありません。
テキストを読む際のポイント:
- ゆっくりと読んでも問題ない
- 発音が完璧でなくても、AIは声の特徴を学習できる
- 途中で詰まったり、言い直したりしても大丈夫
日本語対応については、Microsoftから正式な発表はありません。
音声分離機能と従来のノイズ抑制を併用できますか?
音声分離機能を選択すると、従来のノイズ抑制も自動的に含まれます。
つまり、音声分離機能は従来のノイズ抑制の上位互換です。
選択できるノイズ抑制のモードは以下の3つです。
- オフ:ノイズ抑制なし
- バックグラウンド ノイズのみ:従来のノイズ抑制
- 音声の分離:音声分離機能(他の人の声も除去)
1つのモードしか選択できないため、併用という概念はありません。
音声プロファイルは他人に悪用されませんか?
音声プロファイルは暗号化され、ローカルデバイスに保存されます。
Microsoftのサーバーには、AIモデルのトレーニング用のデータとして保存されますが、以下の保護措置があります。
セキュリティ対策:
- データは暗号化されて保存
- ユーザーが許可した目的のみに使用
- 音声合成や他の目的には使用されない
- ユーザーはいつでもデータを削除可能
プライバシーポリシー:
Microsoftは、音声プロファイルを音声分離機能の提供以外の目的で使用しないことを明言しています。
詳細はMicrosoftプライバシー声明をご確認ください。
ヘッドセットを使用しないと音声分離機能は使えませんか?
ヘッドセットは必須ではありませんが、推奨されます。
ヘッドセットを使用する利点:
- マイクの品質が高く、音声プロファイルの精度が向上
- 自分の音声がよりクリアに録音される
- 会議中の音質も向上
ヘッドセットなしの場合:
- PC内蔵マイクでも音声プロファイルの作成は可能
- ただし、精度がやや低下する可能性がある
- 環境によっては、十分な効果が得られないことがある
高品質なUSBマイクや、ノイズキャンセリング機能付きヘッドセットを使用すると、最良の結果が得られます。
会議の録画や文字起こしにも効果がありますか?
はい、音声分離機能は会議の録画や文字起こし(トランスクリプト)にも効果があります。
録画への効果:
- 録画された音声にも音声分離が適用される
- 再生時にクリアな音声が聞こえる
文字起こしへの効果:
- 音声がクリアに認識されるため、文字起こしの精度が向上
- Microsoft 365 Copilotによる議事録作成の品質も向上
特に、複数人が話している環境で会議を録画する場合、音声分離機能は非常に有効です。
まとめ
Microsoft Teamsの音声分離機能は、AIを活用した革新的なノイズ抑制機能です。
自分の声だけを相手に届け、周囲のノイズや他の人の話し声を完全に除去します。
この記事のポイント:
- 音声分離機能は、音声プロファイルを作成することで使用可能
- デスクトップ版Teams(Windows/Mac)で利用できる
- 約30秒で音声プロファイルを作成できる
- オフィス、カフェ、在宅ワークなど、あらゆる環境で効果を発揮
- 管理者はPowerShellで組織全体の設定を管理可能
オフィスのオープンスペースや公共の場所から会議に参加する機会が増えている今、音声分離機能は非常に有用です。
ぜひ音声プロファイルを作成して、快適な会議体験を実現してください。


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