「Microsoft Edgeのソースコードって公開されてるの?」「ChromiumベースのEdgeって何?」
Microsoft Edgeについて調べていると、「オープンソース」「Chromium」といった言葉をよく目にしますよね。かつて独自のブラウザエンジンを使っていたMicrosoftが、なぜオープンソースのChromiumを採用したのでしょうか。
この記事では、Microsoft Edgeのソースコードの公開状況、Chromiumベースへの移行の背景、そしてWebページのソースコードを表示する方法まで、わかりやすく解説していきます。
Microsoft EdgeとChromiumの関係

Chromiumベースへの大転換
2020年1月、Microsoft Edgeは大きな変化を遂げました。それまで独自開発していた「EdgeHTML」というレンダリングエンジンを捨て、Googleが中心となって開発しているオープンソースプロジェクト「Chromium」ベースに移行したのです。
移行前(2015年~2019年):
- エンジン名:EdgeHTML
- 開発:Microsoft独自
- 対応OS:Windows 10のみ
移行後(2020年1月~現在):
- エンジン名:Chromium(Blink + V8)
- 開発:オープンソースプロジェクト
- 対応OS:Windows 7/8/10/11、macOS、Linux、iOS、Android
なぜMicrosoftはChromiumを選んだのか
Microsoftが2018年12月に発表した公式文書によると、Chromium採用の主な理由は以下の通りです。
1. Web互換性の向上
EdgeHTMLでは、ChromeやFirefoxで正しく表示されるWebサイトがEdgeでは崩れて表示されることがありました。Chromiumを採用することで、こうした互換性の問題が大幅に改善されました。
2. 開発者の負担軽減
Web開発者は、複数のブラウザでの動作確認をする必要があります。EdgeがChromiumベースになることで、Chrome、Edge、Opera、Braveなど、多くのブラウザで同じように動作するようになり、テストの手間が減りました。
3. 更新頻度の向上
従来のEdgeはWindows OSと一緒にしか更新できなかったため、新機能の追加やバグ修正に時間がかかっていました。Chromiumベースになることで、約4週間ごとの定期的な更新が可能になりました。
4. クロスプラットフォーム対応
EdgeHTMLはWindows 10専用でしたが、Chromiumを使うことで、Mac、Linux、スマートフォンなど、さまざまなプラットフォームでEdgeを提供できるようになりました。
Chromiumとは何か?
オープンソースのWebブラウザプロジェクト
Chromiumは、Googleが主導して開発しているオープンソースのWebブラウザプロジェクトです。誰でもソースコードを見ることができ、改変や再配布も可能です。
主な開発言語:
- C++(メインの言語)
- Python
- JavaScript
Chromiumをベースにしているブラウザ:
- Google Chrome
- Microsoft Edge
- Opera
- Brave
- Vivaldi
これらのブラウザは、Chromiumという共通の基盤を使いながら、それぞれ独自の機能を追加しています。
ChromiumとChromeの違い
「ChromiumとChromeって何が違うの?」という疑問をよく聞きます。
Chromium:
- オープンソース
- 基本的なブラウザ機能のみ
- 自動更新機能なし
- Googleのサービスとの統合なし
Google Chrome:
- プロプライエタリ(独自のコードを含む)
- 自動更新機能あり
- Googleアカウントとの同期
- Flash Playerなどの追加コンポーネントを含む
- 使用状況の統計送信機能
つまり、Chromiumはオープンソースのベースとなるブラウザで、ChromeはそれにGoogleが独自の機能を追加したものです。Edgeも同様に、Chromiumに Microsoft独自の機能を追加しています。
Microsoft Edgeのソースコードはどこまで公開されている?
Chromium部分は完全にオープンソース
Microsoft EdgeはChromiumをベースにしているため、ブラウザエンジン部分(Blink、V8)は完全にオープンソースです。
公開されている部分:
- レンダリングエンジン(Blink)
- JavaScriptエンジン(V8)
- 基本的なブラウザ機能
- ネットワーク処理
- セキュリティ機能
Chromiumのソースコード公開場所:
- GitHub:https://github.com/chromium/chromium
- Googleのソースコード検索:https://source.chromium.org/
Microsoft独自の機能はプロプライエタリ
ただし、Edgeには Microsoft が独自に追加した機能もあり、これらの部分はプロプライエタリ(非公開)です。
Microsoft独自の機能(非公開部分):
- Microsoft アカウントとの同期機能
- Copilot統合機能
- コレクション機能
- イマーシブリーダー
- 垂直タブ
- Windows統合機能
- ショッピング機能
つまり、Edgeは「オープンソースのChromium」+「Microsoftの独自機能」という構成になっています。
MicrosoftのChromiumプロジェクトへの貢献
積極的なコントリビューター
MicrosoftはChromiumベースのEdgeを採用するだけでなく、Chromiumプロジェクト自体への貢献も積極的に行っています。
MicrosoftがChromiumに貢献している分野:
1. Windowsプラットフォームの最適化
- タッチスクリーン対応の改善
- ARM プロセッサ対応
- 高DPI ディスプレイ対応
- バッテリー寿命の最適化
2. アクセシビリティの向上
- スクリーンリーダー対応
- キーボードナビゲーション改善
- ハイコントラストモード
3. プライバシー機能
- トラッキング防止機能
- プライバシーコントロール
4. パフォーマンス改善
- メモリ使用量の最適化
- レンダリング速度の向上
GitHubでの公開プロジェクト
MicrosoftはGitHubでEdge関連のオープンソースプロジェクトを公開しています。
主なリポジトリ:
- MSEdge:EdgeとChromiumの関係についての説明文書
- MSEdgeExplainers:Edgeチームが提案する新機能の解説
- JsDbg:EdgeやChromiumブラウザ用のデバッグ拡張機能
- Status:Edgeのロードマップと実装状況
URL: https://github.com/MicrosoftEdge
Webページのソースコードを表示する方法

「ソースコード」という言葉には2つの意味があります。ここでは、Webページ(HTML)のソースコードを表示する方法を解説します。
Microsoft Edgeでソースコードを表示する
方法1:右クリックメニュー
- Webページ上で右クリック
- 「ページのソースを表示」を選択
方法2:キーボードショートカット(推奨)
- Windows:
Ctrl + U - Mac:
Command + Option + U
このショートカットは、Chrome、Edge、その他のChromiumベースのブラウザで共通です。
方法3:アドレスバーから
URLの先頭に view-source: を追加します。
view-source:https://example.com
この方法は、スマートフォンでも使えます。
開発者ツールでソースコードを詳しく見る
より詳細にソースコードを確認したい場合は、開発者ツールを使います。
開発者ツールの開き方:
- キーボード:
F12またはCtrl + Shift + I(Mac:Command + Option + I) - 右クリック:「検証」を選択
開発者ツールでできること:
- HTML構造の確認と編集(一時的)
- CSS の確認と変更
- JavaScriptのデバッグ
- ネットワーク通信の監視
- パフォーマンス分析
Chromiumのソースコードを読む
プログラマーの方で、「ブラウザの内部がどうなっているか知りたい」という場合は、Chromiumのソースコードを直接読むこともできます。
Chromium Code Searchを使う(推奨)
ソースコードをダウンロードしなくても、ブラウザ上で Chromium のソースコードを検索・閲覧できます。
URL: https://source.chromium.org/
できること:
- キーワード検索
- クラスや関数の定義へのジャンプ
- 呼び出し元の確認
- ファイルの履歴表示
この方法なら、巨大なソースコードをダウンロードする必要がありません。
ソースコードの規模
Chromiumのソースコードは非常に大規模です。
概算:
- コード行数:数千万行
- ファイル数:数十万ファイル
- リポジトリサイズ:数十GB
そのため、全体をダウンロードするには時間とストレージが必要です。
GitHubでのミラー
完全版ではありませんが、GitHubにもChromiumのミラーリポジトリがあります。
URL: https://github.com/chromium/chromium
ただし、これは参照用のミラーであり、開発には使われていません。実際の開発は Google の独自システムで行われています。
オープンソース化のメリットとデメリット
メリット
1. 透明性
ソースコードが公開されているため、セキュリティ上の問題やプライバシーに関わる処理を誰でも確認できます。
2. コミュニティの力
世界中の開発者が貢献することで、バグの発見や修正、新機能の開発が加速します。
3. 競争と選択肢
同じChromiumをベースにしながら、Edge、Opera、Braveなど、それぞれ異なる特徴を持つブラウザが生まれます。
4. Web標準の推進
複数の企業が協力することで、Web標準の策定と実装が進みます。
デメリット・懸念点
1. Googleの影響力
Chromiumの開発はGoogleが主導しているため、Googleの意向が強く反映されます。実際、ChromeとEdgeを合わせると、ブラウザ市場の大部分を占めています。
2. ブラウザエンジンの多様性の減少
現在、主要なブラウザエンジンは以下の3つです。
- Blink(Chromium系):Chrome、Edge、Opera、Brave
- WebKit:Safari
- Gecko:Firefox
EdgeがChromiumに移行したことで、ブラウザエンジンの多様性が減少しました。
3. Web標準への影響
一つのエンジンが市場を支配すると、そのエンジンの実装が事実上の標準となり、公式のWeb標準よりも影響力を持つ可能性があります。
Edgeの独自機能
Chromiumベースになっても、EdgeにはMicrosoftならではの独自機能があります。
主な独自機能
1. Microsoft 365との統合
- Office文書の直接編集
- OneDriveとの連携
- Teamsとの統合
2. Copilot(AI アシスタント)
- Webページの要約
- チャットによる質問対応
- コンテンツ生成支援
3. コレクション
- Webページやメモを整理
- Excelへのエクスポート
- 研究や情報収集に便利
4. イマーシブリーダー
- Webページを読みやすく表示
- 読み上げ機能
- 学習支援機能
5. 垂直タブ
- タブを縦に表示
- 画面スペースの有効活用
6. プライバシーコントロール
- 3段階のトラッキング防止
- パスワードモニター
- 安全でないパスワードの検出
よくある質問
Q1. EdgeとChromeはまったく同じ?
いいえ、基盤は同じでも、それぞれ独自の機能が追加されています。
共通点:
- レンダリングエンジン(Blink)
- JavaScriptエンジン(V8)
- 基本的なブラウザ機能
違い:
- UI デザイン
- 独自機能(EdgeのCopilot、ChromeのGoogleサービス統合など)
- プライバシー設定
- デフォルトの検索エンジン
Q2. Edgeのソースコード全体は公開されていない?
はい、Chromium部分はオープンソースですが、Microsoft独自の機能はプロプライエタリ(非公開)です。
完全にオープンソースなのは、Chromium本体だけです。
Q3. 自分でEdgeをビルドできる?
Chromiumのソースコードからブラウザをビルドすることは可能ですが、それは「Chromium」であって「Edge」ではありません。
Edgeの独自機能を含めた完全なEdgeをビルドすることは、一般ユーザーにはできません。
Q4. Chromiumベースになってセキュリティは向上した?
はい、複数の企業や開発者がコードをレビューすることで、セキュリティホールの発見と修正が早くなりました。
また、Chromiumプロジェクト全体でセキュリティ対策が進むため、すべてのChromiumベースのブラウザが恩恵を受けます。
Q5. EdgeHTMLは完全に廃止された?
はい、2020年の移行以降、EdgeHTMLは廃止されました。古いEdgeは「Edge Legacy」と呼ばれ、サポートも終了しています。
現在のEdgeはすべてChromiumベースです。
まとめ
Microsoft Edgeのソースコードについて、理解を深めることができましたか?
重要なポイント:
- EdgeはChromiumベース
- 2020年1月に移行
- ブラウザエンジンはオープンソース
- Microsoft独自機能は非公開
- Chromiumはオープンソース
- 誰でもソースコードを閲覧可能
- Chrome、Edge、Operaなど多くのブラウザが採用
- GitHubやGoogleのサイトで公開
- MicrosoftはChromiumに貢献
- Windows最適化
- アクセシビリティ向上
- プライバシー機能
- WebページのソースコードはCtrl + Uで表示
- すべてのChromiumベースのブラウザで共通
- 開発者ツール(F12)でより詳しく確認可能
- オープンソース化には長所と短所
- 透明性と協力が進む一方
- ブラウザエンジンの多様性は減少
Edgeの進化は、Microsoftのオープンソースへの姿勢の変化を象徴しています。かつてオープンソースに否定的だったMicrosoftが、今ではその最大の貢献者の一つになっているのは、IT業界の大きな変化といえるでしょう。
ブラウザを使うだけでなく、その裏側の仕組みを知ることで、より安全で効率的なブラウジングができるようになりますよ。


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