「ウェブサイトのデザインがどうなっているか確認したい」
「表示がおかしい原因を調べたい」
「JavaScriptエラーが出ているけど何が問題?」
こんなとき、開発者ツールを使えば、ウェブページの「中身」を詳しく調べることができます。
「開発者ツールって難しそう…」と思うかもしれませんが、実はMicrosoft Edgeに最初から入っている機能で、プログラマーでなくても便利に使えるんです。
この記事では、開発者ツールの開き方から基本的な使い方まで、初心者でもわかるように詳しく説明します。
開発者ツールって何?なぜ便利なの?

開発者ツールとは
開発者ツール(Developer Tools / DevTools)は:
- ウェブページの構造を詳しく調べるツール
- HTML、CSS、JavaScriptの中身を確認・編集
- Microsoft Edge に標準搭載(追加インストール不要)
- 無料で使える高機能ツール
例えて言うなら: ウェブページの「レントゲン」や「設計図」を見るツール
一般の人でも便利な使い道
ウェブデザインの参考
こんなときに便利:
- 「このサイト、どんな色使ってるんだろう?」
- 「この文字の大きさは何ピクセル?」
- 「このボタンのデザインをマネしたい」
トラブル解決
問題の原因調査:
- 「画像が表示されない」
- 「レイアウトが崩れて見える」
- 「スマホで見ると変になる」
学習・勉強
ウェブ技術の学習:
- HTMLの構造を理解
- CSSの書き方を学習
- 他サイトの技術を研究
他のブラウザとの比較
ブラウザ | 開発者ツール | 特徴 |
---|---|---|
Microsoft Edge | 内蔵DevTools | Chrome同等の高機能 |
Google Chrome | Chrome DevTools | 最も高機能・情報豊富 |
Firefox | Firefox Developer Tools | 独自機能あり |
Safari | Web Inspector | Mac/iPhone開発に特化 |
開発者ツールを開く方法【3つの方法】

方法1:キーボードショートカット【最速・推奨】
最も速くて確実な方法です。
パターンA:F12キー
手順:
- Edge でウェブページを開く
- F12キーを押す
- 開発者ツールが画面下部に表示される
メリット:
- 1秒で開ける
- どのページからでも使用可能
- 覚えやすい
パターンB:Ctrl + Shift + I
手順:
- Ctrl + Shift + I を同時押し
- 開発者ツールが開く
メリット:
- 他のブラウザでも同じ操作
- F12が使えない環境でも利用可能
どちらがおすすめ? → F12 の方が簡単で覚えやすいので推奨
方法2:右クリックメニュー【要素を直接調査】
特定の要素を詳しく調べたいときに便利です。
基本的な手順
手順:
- 調べたい部分(文字、画像、ボタンなど)を右クリック
- **「検証」または「要素を検査」**をクリック
- 開発者ツールが開いて、選択した要素がハイライト表示
具体的な活用例
文字の色を調べる場合:
1. 知りたい文字の上で右クリック
2. 「検証」をクリック
3. CSS部分で色情報(color: #FF0000 など)を確認
画像のサイズを確認:
1. 画像を右クリック
2. 「検証」をクリック
3. HTMLで<img>タグのwidth、height属性を確認
ボタンのスタイルを調査:
1. ボタンを右クリック
2. 「検証」をクリック
3. CSSでbackground-color、border-radiusなどを確認
方法3:メニューから開く【マウス操作のみ】
キーボードを使わずにマウスだけで開きたい場合。
詳細手順
手順:
- Edge の右上にある**「…」**(設定など)をクリック
- **「その他のツール」**にマウスを合わせる
- **「開発者ツール」**をクリック
メニューからの利点
こんな人におすすめ:
- キーボードショートカットが苦手
- 右クリックが使えない環境
- メニューから選ぶ方が安心
開発者ツールを閉じる方法
閉じる方法(3つ)
方法A:再度F12キー
- F12 を押すと開いたり閉じたりを切り替え
方法B:×ボタン
- **開発者ツール右上の×**をクリック
方法C:Escキー
- Esc キーで素早く閉じる
開発者ツールの画面構成と基本機能

基本レイアウトの理解
表示位置の種類
デフォルト配置:
- 画面下部:最も一般的
- 画面右側:幅広いサイトの調査時
- 別ウィンドウ:デュアルモニター使用時
表示位置の変更方法
手順:
- 開発者ツール内の**「…」**をクリック
- 表示位置アイコンを選択
- ⊥:画面下部
- ⊢:画面右側
- ⧉:別ウィンドウ
主要タブの詳細説明
Elements タブ【最重要】
できること:
- HTML構造の確認・編集
- CSS スタイルの確認・変更
- 要素の位置・サイズ確認
実際の使い方:
文字色を変えてみる:
1. 文字を右クリック → 検証
2. Elements タブで該当要素を確認
3. 右側のStyles欄で color を変更
4. リアルタイムで色が変わる
Console タブ【エラー確認】
できること:
- JavaScript エラーの確認
- コマンド実行
- ログ出力の確認
エラーチェックの例:
ページでエラーが起きている場合:
1. Console タブを開く
2. 赤文字でエラーメッセージを確認
3. ファイル名と行番号で原因を特定
Network タブ【通信状況】
できること:
- ページ読み込み速度の確認
- 画像・CSS・JavaScriptの読み込み状況
- API通信の確認
読み込み速度チェック:
1. Network タブを開く
2. ページを更新(F5)
3. 各ファイルの読み込み時間を確認
4. 遅いファイルを特定してサイト改善
Sources タブ【ソースコード】
できること:
- JavaScript コードの表示
- ブレークポイント設定
- デバッグ実行
Application タブ【データ保存】
できること:
- Cookieの確認・編集・削除
- ローカルストレージの管理
- セッションストレージの確認
Security タブ【セキュリティ】
できること:
- SSL証明書の確認
- セキュリティ状態の確認
- Mixed Contentの検出
デバイス表示モード【レスポンシブ確認】
デバイスモードの有効化
手順:
- Ctrl + Shift + M または開発者ツール内のデバイスアイコンをクリック
- 各種デバイスサイズで表示確認
- カスタムサイズの設定も可能
プリセットデバイス
利用可能なデバイス:
- iPhone 14 Pro:393 × 852
- iPad Air:820 × 1180
- Galaxy S20:360 × 800
- Desktop:1920 × 1080
実践的な活用例

初心者向け活用例
例1:文字色・背景色の確認
実際の手順:
お気に入りサイトの色を調べる:
1. 気になる文字を右クリック → 検証
2. Elements タブで要素を確認
3. Styles 欄で以下を確認:
- color: #333333 (文字色)
- background-color: #ffffff (背景色)
例2:フォント情報の取得
フォント詳細の確認:
1. 文字を右クリック → 検証
2. Computed タブをクリック
3. font-family, font-size, font-weight を確認
例:
- font-family: "Hiragino Sans", sans-serif
- font-size: 16px
- font-weight: 400
例3:画像サイズ・パスの確認
画像情報の詳細取得:
1. 画像を右クリック → 検証
2. <img> タグの属性を確認:
- src: 画像のURL
- width: 幅
- height: 高さ
- alt: 代替テキスト
中級者向け活用例
例4:レスポンシブデザインの確認
モバイル表示のチェック:
1. Ctrl + Shift + M でデバイスモード
2. iPhone、Android、iPad で表示確認
3. ブレークポイント(768px、1024px等)での表示変化を確認
例5:パフォーマンス分析
サイト速度の詳細分析:
1. Network タブを開く
2. ページを更新(Ctrl + F5)
3. 読み込み時間の確認:
- DOMContentLoaded: HTML解析完了時間
- Load: 全リソース読み込み完了時間
- 各ファイルの読み込み時間
例6:SEO関連要素の確認
SEO要素のチェック:
1. Elements タブで <head> 要素を展開
2. 以下の要素を確認:
- <title>: ページタイトル
- <meta name="description">: ディスクリプション
- <meta name="keywords">: キーワード
- <h1>, <h2> タグの構造
上級者向け活用例
例7:JavaScript デバッグ
エラーの詳細調査:
1. Console タブでエラーメッセージを確認
2. Sources タブで該当ファイルを開く
3. ブレークポイントを設定
4. ページ操作してデバッグ実行
例8:API通信の確認
Ajax・Fetch通信の調査:
1. Network タブを開く
2. XHR または Fetch フィルターを適用
3. API呼び出しを実行
4. Request/Response の詳細を確認
トラブルシューティング
よくある問題と解決方法
問題1:開発者ツールが開かない
考えられる原因と対処法:
原因 | 解決方法 |
---|---|
F12キーが無効化されている | Ctrl + Shift + I を試す |
Edge が最新でない | Edge を更新 |
キーボードの故障 | 右クリック → 検証で開く |
問題2:表示が崩れる・見えない
対処手順:
- 開発者ツールの表示位置を変更(下部→右側)
- ウィンドウサイズを拡大
- ズーム率を確認(Ctrl + 0 で100%に戻す)
問題3:変更した内容が反映されない
よくある原因:
- ページリロードすると変更は消える(一時的な変更のため)
- キャッシュが影響している場合は Ctrl + F5 で強制更新
問題4:日本語が文字化けする
解決方法:
- 文字エンコーディングを確認
- Network タブ → Response Headersで Content-Type をチェック
パフォーマンス最適化
開発者ツール自体が重い場合
軽量化の方法:
- 不要なタブを閉じる
- Console のログをクリア
- Network の履歴をクリア
- Memory タブは使わないときは開かない
セキュリティとプライバシーの注意点
開発者ツール使用時の注意
個人情報の取り扱い
注意すべきポイント:
- Cookie に含まれる個人情報
- localStorage の内容
- ネットワーク通信のパスワード
他人のサイトでの利用
倫理的な利用:
- 学習目的での利用はOK
- デザインの完全コピーは著作権侵害の可能性
- セキュリティテストは許可を得てから
企業・組織での利用
業務での活用
推奨される用途:
- 自社サイトの品質確認
- 競合サイトの技術調査(適切な範囲で)
- ウェブアクセシビリティの確認
よくある質問

基本的な疑問
Q: 開発者ツールを使うと相手にバレる?
A: いいえ。自分のブラウザ内での確認なので、サイト運営者にはわかりません。
Q: 変更した内容は保存される?
A: 基本的には一時的な変更です。ページを更新すると元に戻ります。
Q: 違法性はない?
A: 閲覧しているページの調査は問題ありません。ただし、セキュリティテストなどは許可が必要です。
技術的な疑問
Q: Chrome の DevTools と違いはある?
A: Edge の開発者ツールは Chromium ベースなので、Chrome とほぼ同じ機能です。
Q: モバイル版 Edge でも使える?
A: モバイル版では開発者ツールは利用できません。デスクトップ版のみです。
応用に関する疑問
Q: WordPressサイトの調査はできる?
A: はい。フロントエンド(見た目)の部分は詳しく調査できます。
Q: JavaScript を書いたことがなくても使える?
A: はい。Elements タブや Network タブなら、プログラミング知識がなくても十分活用できます。
まとめ
Microsoft Edge の開発者ツールをマスターして、ウェブの世界をもっと深く理解しよう!
今日から始められること
初心者レベル(今すぐできる):
- F12キーで開発者ツールを開く
- Elements タブで HTML・CSS を確認
- 右クリック → 検証で要素を詳しく調査
中級レベル(1週間後の目標):
- デバイスモードでレスポンシブ確認
- Network タブでサイト速度を分析
- Console タブでエラーチェック
上級レベル(1ヶ月後の目標):
- JavaScript デバッグの基本習得
- パフォーマンス分析の実践
- SEO要素の包括的チェック
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