ZoomやAutoCAD、Adobe製品、ゲームを起動しようとしたら「データディレクトリを作成できませんでした。Microsoft Edgeで、データディレクトリに対する読み取りと書き込みができません」というエラーメッセージが表示されて困ったことはありませんか?
実はこのエラー、Microsoft Edge本体の問題ではなく、多くのアプリケーションが使っている「WebView2」という技術に関連するものなんです。
この記事では、このエラーが出る原因と、誰でもできる解決方法を分かりやすく説明します。
このエラーって何?原因を知ろう

WebView2とは
まず、このエラーを理解するために「WebView2」について簡単に説明しましょう。
WebView2は、Microsoft Edgeのブラウザエンジンを使って、アプリの中でウェブページを表示する技術です。例えば、Zoomのアプリ内でサインインする画面や、AutoCADのライセンス認証画面などがこの技術を使っています。
つまり、Microsoft Edge自体を使っていなくても、様々なアプリケーションが裏でEdgeの技術を借りているんですね。
エラーが出る主な原因
このエラーメッセージが表示される原因は、主に以下の5つです。
1. フォルダへの書き込み権限がない
WebView2は、キャッシュや設定を保存するために、特定のフォルダ(データディレクトリ)にファイルを作成します。しかし、そのフォルダに書き込む権限がない場合、エラーが発生するんです。
例えば、管理者権限でインストールしたアプリを通常のユーザー権限で起動すると、Program Filesフォルダへの書き込みができずにこのエラーが出ることがあります。
2. WebView2 Runtimeの破損
WebView2 Runtimeというプログラムが壊れていると、正常に動作できません。
3. セキュリティソフトの干渉
ウイルス対策ソフトやファイアウォールが、WebView2のファイル作成をブロックしている可能性があります。
4. 複数ユーザーアカウントの同時使用
Windows上で複数のユーザーアカウントが同時にログインしていると、ファイルのアクセス競合が起きることがあります。
5. Windows 11の管理者保護機能(新しい原因)
Windows 11の最近のバージョンでは、管理者保護機能によってこのエラーが発生するケースが報告されています。
どんなアプリで発生する?
このエラーは、WebView2を使用する様々なアプリケーションで発生します。
よく報告されているアプリ
- Zoom(ビデオ会議ツール)
- AutoCAD(設計ソフト)
- Adobe After Effects、Photoshop(クリエイティブツール)
- Roblox、原神などのゲームランチャー
- MicroStation(エンジニアリングソフト)
- その他、多くのビジネスアプリやゲーム
WebView2を使っているアプリなら、どれでも発生する可能性があるということですね。
解決方法を試してみよう
ここからは、実際にエラーを解決する方法を紹介します。簡単なものから順番に試していきましょう。
解決方法1:アプリを管理者として実行する
最も簡単で効果的な方法です。
手順
- アプリのアイコンを右クリック
- 「管理者として実行」を選択
- ユーザーアカウント制御(UAC)の確認が出たら「はい」をクリック
これで起動できれば、権限不足が原因だったということです。
常に管理者として実行する設定
毎回右クリックするのが面倒な場合は、以下の設定をしておくと便利です。
- アプリのアイコンを右クリック→「プロパティ」を選択
- 「互換性」タブをクリック
- 「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェック
- 「OK」をクリック
これで次回から自動的に管理者権限で起動します。
解決方法2:WebView2 Runtimeを修復する
WebView2 Runtimeが壊れている場合は、修復機能を使いましょう。
Windows 11の場合
- Windowsキー + Iキーで設定を開く
- 「アプリ」→「インストールされているアプリ」を選択
- 検索ボックスに「Microsoft Edge WebView2 Runtime」と入力
- 見つかったら、右側の「…」(三点リーダー)をクリック
- 「変更」を選択
- ユーザーアカウント制御が出たら「はい」をクリック
- 「修復」ボタンをクリック
- 修復が完了するまで待つ
Windows 10の場合
- Windowsキー + Rキーで「ファイル名を指定して実行」を開く
- 「appwiz.cpl」と入力してEnterキー
- プログラムの一覧から「Microsoft Edge WebView2 Runtime」を探す
- ダブルクリックして「修復」を選択
修復が終わったら、パソコンを再起動してアプリを試してみましょう。
解決方法3:フォルダのアクセス許可を変更する
エラーメッセージに表示されているフォルダの権限を確認して、変更します。
手順
エラーメッセージには、問題のあるフォルダのパスが表示されています。例えば「C:\Program Files\アプリ名\アプリ名.exe.WebView2\EBWebView」のような形です。
- エクスプローラーでそのフォルダを開く(親フォルダでもOK)
- フォルダを右クリック→「プロパティ」を選択
- 「セキュリティ」タブをクリック
- 「編集」ボタンをクリック
- 「グループ名またはユーザー名」の一覧から自分のユーザー名を選択
- 下の「アクセス許可」欄で「フルコントロール」の「許可」にチェック
- 「適用」→「OK」をクリック
これでフォルダへの書き込み権限が与えられます。
解決方法4:他のユーザーアカウントからサインアウトする
複数のユーザーアカウントが同時にログインしている場合は、他のアカウントをサインアウトしましょう。
確認と操作手順
- Ctrl + Shift + Escキーでタスクマネージャーを開く
- 「ユーザー」タブをクリック
- 複数のユーザーが表示されている場合、使っていないアカウントを右クリック
- 「サインアウト」を選択
自分のアカウントだけが残った状態で、アプリを起動してみましょう。
解決方法5:WebView2 Runtimeを再インストールする
修復しても直らない場合は、完全に再インストールします。
アンインストール手順
- Windowsキー + Rキーで「ファイル名を指定して実行」を開く
- 「appwiz.cpl」と入力してEnterキー
- 「Microsoft Edge WebView2 Runtime」を見つける
- 右クリック→「アンインストール」を選択
- 画面の指示に従ってアンインストール
再インストール手順
- Microsoft公式サイトにアクセス:https://developer.microsoft.com/microsoft-edge/webview2/
- 「Download WebView2 Runtime」をクリック
- ダウンロードしたファイルを実行
- インストールが完了したらパソコンを再起動
これで最新バージョンのWebView2 Runtimeがインストールされます。
解決方法6:セキュリティソフトを一時的に無効化する
ウイルス対策ソフトが原因の場合もあります。
注意事項
セキュリティソフトを無効化すると一時的に保護が解除されるので、以下の点に注意してください。
- 信頼できるアプリのインストール時のみ実施
- 作業が終わったらすぐに有効化に戻す
- 怪しいサイトにはアクセスしない
手順
- タスクバー(画面右下)のセキュリティソフトアイコンを右クリック
- 「一時停止」や「無効化」などの項目を選択
- 無効化する時間を選択(通常は10分~30分程度で十分)
- アプリをインストールまたは起動してみる
- 問題が解決したら、セキュリティソフトを再び有効化
解決した場合の対処
セキュリティソフトの無効化で解決した場合は、そのアプリを「除外リスト」や「ホワイトリスト」に追加しましょう。設定方法はセキュリティソフトによって異なるので、各ソフトのヘルプを参照してください。
解決方法7:アプリのキャッシュフォルダを削除する
古いキャッシュデータが原因の場合もあります。
手順
- アプリを完全に終了する
- エクスプローラーでエラーメッセージに表示されているフォルダを開く
- 「.WebView2」フォルダ全体を削除
(例:「アプリ名.exe.WebView2」というフォルダ) - アプリを再起動
アプリを起動すると、WebView2が新しいキャッシュフォルダを自動的に作成します。
予防策:エラーを起こさないために
インストール時の注意点
適切なインストール場所を選ぶ
アプリをインストールする際、できればProgram Files以外の場所(例:C:\Apps\アプリ名)を選ぶと、権限の問題が起きにくくなります。
ただし、セキュリティ上の理由でProgram Filesにインストールすることが推奨される場合もあるので、状況に応じて判断しましょう。
定期的なメンテナンス
WebView2 Runtimeを最新に保つ
Microsoft Edge WebView2 Runtimeは、Windows Updateで自動的に更新されることが多いですが、手動で確認することもできます。
- Microsoft Edge(ブラウザ)を開く
- 右上の「…」→「設定」→「Microsoft Edgeについて」
- 自動的に更新確認が実行される
WebView2 Runtimeは、Edgeと一緒に更新されることが多いため、Edgeを最新に保つことも重要です。
まとめ:落ち着いて一つずつ試そう
「Microsoft Edgeで、データディレクトリに対する読み取りと書き込みができません」というエラーは、一見難しそうですが、原因さえ分かれば解決できます。
まずは簡単な方法から試してみましょう
- アプリを管理者として実行
- WebView2 Runtimeを修復
- フォルダのアクセス許可を変更
ほとんどの場合、この3つのどれかで解決するはずです。
それでも解決しない場合は、再インストールやセキュリティソフトの確認など、他の方法も試してみてください。
エラーメッセージに書かれているフォルダのパスをメモしておくと、解決に役立ちますよ。
よくある質問
Q1. このエラーはMicrosoft Edgeブラウザを使っていなくても出ますか?
A. はい、出ます。WebView2はEdge本体とは別の技術で、多くのアプリケーションが内部で使用しているため、Edgeブラウザを使っていなくてもエラーが発生します。
Q2. 管理者として実行すれば毎回解決するのですが、これで大丈夫ですか?
A. 一時的な解決策としては問題ありませんが、根本的には権限設定を見直すことをお勧めします。常に管理者権限で実行すると、セキュリティ上のリスクが高まる可能性があります。
Q3. WebView2 Runtimeをアンインストールすると、他のアプリに影響しますか?
A. WebView2を使用している他のアプリケーションも一時的に動作しなくなる可能性があります。再インストールすればすべて正常に戻りますが、複数のアプリを同時に使っている場合は注意が必要です。
Q4. Windows 11にアップグレードしたらこのエラーが出るようになりました。
A. Windows 11の管理者保護機能が原因の可能性があります。解決方法2(WebView2 Runtimeの修復)を試してみてください。それでも解決しない場合は、アプリを管理者として実行するか、フォルダのアクセス許可を変更しましょう。
Q5. エラーメッセージを無視してアプリを使い続けても大丈夫ですか?
A. アプリによっては、エラーを無視しても動作する場合があります。ただし、一部の機能が使えなかったり、後で別の問題が発生したりする可能性があるため、できれば解決しておくことをお勧めします。


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