Microsoft Edgeを使っていて、「アカウントを選ぶ」画面に不要なアカウントが表示されて困っていませんか?プロファイルを削除したのに、なぜかアカウント情報が残ってしまう…そんな経験をした方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Edgeの「アカウントを選ぶ」候補リストから、完全にアカウントを削除する方法を詳しく解説します。個人アカウント、職場・学校アカウント、それぞれのケースに対応した解決策をご紹介しますね。
なぜアカウント情報が残ってしまうのか

まず、なぜEdgeのプロファイルを削除してもアカウント情報が残るのか、その理由を理解しておきましょう。
EdgeとWindowsの二重管理
Edgeのアカウント情報は、以下の2つの場所に保存されています。
Edgeブラウザ内のプロファイル
ブラウザの設定、お気に入り、拡張機能などのデータを管理します。
Windowsのアカウント管理システム
Microsoftアカウントの認証情報やトークンを保持し、様々なアプリと共有しています。
Edgeのプロファイルを削除しても、Windows側に保存されているアカウント情報は残ったままなんです。そのため、新しいプロファイルを作成すると、また同じアカウントが候補として表示されてしまうわけですね。
セキュリティ上のリスク
「アカウントを選ぶ」に不要なアカウントが表示されたままだと、以下のようなリスクがあります。
- 他の人がPCを使用した際に、パスワードなしでアカウントにサインインできてしまう可能性
- 誤って古いアカウントでサインインしてしまい、データが混在する
- 退職した会社や、もう使わない学校のアカウントが表示され続ける
- プライバシーの観点から好ましくない
特に共用PCや、職場のPCを使っている場合は、しっかり削除しておくことが重要です。
【基本編】Windowsの設定から削除する方法
最も一般的で効果的な方法は、Windowsの設定からアカウント情報を削除することです。アカウントの種類によって手順が異なるので、それぞれ見ていきましょう。
方法1:個人用アカウントの削除(メールとアカウント)
個人用のMicrosoftアカウントを削除する手順です。
Windows 11の場合:
- スタートメニューから「設定」を開く
- 左側のメニューで「アカウント」を選択
- 「メールとアカウント」をクリック
- 「他のアプリで使われるアカウント」の欄を確認
- 削除したいアカウントをクリック
- 「削除」ボタンをクリック
- 確認画面で「はい」をクリック
Windows 10の場合:
- スタートメニューから「設定」を開く
- 「アカウント」をクリック
- 左側で「メール&アカウント」を選択
- 「他のアプリで使われるアカウント」の欄で、削除したいアカウントを見つける
- アカウントをクリックして「削除」を選択
- 「はい」をクリックして確認
削除後、Edgeを再起動すると、「アカウントを選ぶ」の候補からそのアカウントが消えているはずです。
方法2:職場・学校アカウントの削除(職場または学校にアクセスする)
会社や学校のアカウント(Azure ADアカウント)を削除する手順です。
Windows 11の場合:
- スタートメニューから「設定」を開く
- 「アカウント」を選択
- 「職場または学校にアクセスする」をクリック
- 削除したいアカウントをクリック
- 「切断」ボタンをクリック
- 確認メッセージで「はい」をクリック
Windows 10の場合:
- スタートメニューから「設定」を開く
- 「アカウント」をクリック
- 左側で「職場または学校にアクセスする」を選択
- 削除したいアカウントを選択
- 「切断」をクリック
- 確認画面で「はい」をクリック
注意:職場・学校アカウントを切断すると、そのアカウントでアクセスしていた社内リソースや、会社が管理しているアプリにアクセスできなくなります。本当に削除して良いか、事前に確認してください。
「削除」ボタンが表示されない場合の対処法
WindowsにMicrosoftアカウントでサインインしている場合、「メールとアカウント」に「削除」ボタンが表示されず、「管理」ボタンしか表示されないことがあります。
この場合、以下の2つの選択肢があります。
選択肢1:ローカルアカウントに切り替えてから削除
- スタートメニューから「設定」を開く
- 「アカウント」→「ユーザーの情報」を選択
- 「ローカルアカウントでのサインインに切り替える」をクリック
- 画面の指示に従ってローカルアカウントを設定
- ローカルアカウントでサインイン
- 再度「メールとアカウント」から削除したいアカウントを削除
- 必要に応じて再度Microsoftアカウントでサインインし直す
選択肢2:Edgeの設定から個別に削除
Windowsアカウント自体は変更せず、Edgeの内部設定から削除する方法もあります(詳細は後述の「応用編」を参照)。
【応用編】Edgeの内部設定から削除する方法
Windowsの設定で削除できない場合や、より確実に削除したい場合は、Edgeの内部設定を直接編集します。
方法3:Edge内部のアカウント管理ページを使用
Edgeには、アカウント管理用の隠しページがいくつかあります。
手順:
- Edgeを起動
- アドレスバーに以下のいずれかのURLを入力してEnterキーを押す:
edge://settings/profiles/microsoftAccountedge://settings/profiles/manageedge://settings/profiles/connectedAccounts
- 削除したいアカウントが表示された場合、「削除」または「サインアウト」をクリック
- 確認画面で「はい」または「削除」をクリック
方法4:キャッシュされたトークンをクリア
Edgeは、Microsoftアカウントのサインイントークンをキャッシュしています。これをクリアすることで、自動ログインを防げます。
手順:
- Edgeを起動
- 右上の「…」メニューをクリック
- 「設定」を選択
- 「プライバシー、検索、サービス」をクリック
- 「閲覧データをクリア」セクションで「クリアするデータの選択」をクリック
- 時間の範囲を「すべての期間」に設定
- 以下の項目にチェックを入れる:
- Cookie およびその他のサイトデータ
- キャッシュされた画像とファイル
- パスワード
- 自動入力フォームデータ
- 「今すぐクリア」をクリック
方法5:Web Account Managerから削除
Windows 10以降では、Web Account Managerがアカウント情報を管理しています。ここから直接削除することもできます。
手順:
- Windowsキー + R を押す
- 「control」と入力してEnterキーを押し、コントロールパネルを開く
- 「ユーザーアカウント」をクリック
- 「資格情報マネージャー」をクリック
- 「Windows資格情報」タブを選択
- Microsoftアカウントに関連する項目を探す(例:「MicrosoftAccount:user=〇〇@outlook.com」)
- 該当する項目の右側にある「▼」をクリックして展開
- 「削除」をクリック
- 確認画面で「はい」をクリック
【徹底編】完全に削除したい場合の方法
上記の方法でも削除できない、または徹底的に削除したい場合の方法です。
方法6:User Dataフォルダから手動削除
警告:この方法は上級者向けです。Edgeのすべてのデータが削除される可能性があるため、重要なデータは事前にバックアップしてください。
手順:
- すべてのEdgeウィンドウを閉じる
- タスクマネージャーを開く(Ctrl + Shift + Esc)
- 「プロセス」タブで、すべての「Microsoft Edge」プロセスを右クリック→「タスクの終了」で終了
- Windowsキー + R を押す
- 以下のパスを入力してEnterキーを押す:
%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Edge\User Data - 開いたフォルダ内で、削除したいプロファイルのフォルダ(「Profile 1」「Profile 2」など)を探す
- そのフォルダを削除する
注意:
- 「Default」フォルダは削除しないでください(メインプロファイル)
- 削除したいプロファイルがどのフォルダか確実に特定してから削除してください
方法7:Edgeを完全リセット
最終手段として、Edgeを完全にリセットする方法があります。
手順:
- スタートメニューから「設定」を開く
- 「アプリ」→「インストールされているアプリ」を選択
- Microsoft Edgeを探して右側の「…」メニューをクリック
- 「変更」を選択
- 「修復」をまず試す(データは保持されます)
- 修復で解決しない場合、同じ手順で「リセット」を試す
注意:リセットするとすべての設定、拡張機能、保存データが削除されます。
方法8:レジストリから削除(上級者向け)
警告:レジストリの編集は慎重に行ってください。誤った操作はシステムに深刻な問題を引き起こす可能性があります。
手順:
- Windowsキー + R を押す
- 「regedit」と入力してEnterキーを押す
- ユーザーアカウント制御(UAC)で「はい」をクリック
- 以下のキーに移動:
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Taskband - 「Taskband」を右クリック→「エクスポート」でバックアップを作成(重要!)
- 必要に応じて特定のアカウント関連のエントリを削除
- レジストリエディタを閉じる
- タスクマネージャーで「エクスプローラー」を再起動
トラブルシューティング
削除しようとした際に起きる問題と対処法をまとめました。
問題1:削除してもまた表示される
原因:Edgeやシステムのキャッシュが残っている
解決策:
- すべてのEdgeウィンドウを完全に閉じる
- タスクマネージャーでEdgeプロセスを終了
- PCを再起動
- もう一度削除手順を実行
問題2:「削除」ボタンが表示されない
原因:現在WindowsにサインインしているMicrosoftアカウントと同じアカウント
解決策:
- Windowsにサインインしているアカウントは削除できません
- 別のアカウントを削除したい場合は、上記の方法を試してください
- どうしても削除したい場合は、ローカルアカウントに切り替えてから削除
問題3:削除したのにパスワードなしでログインできる
原因:Web Account Managerにトークンが残っている
解決策:
- 方法5(Web Account Manager)で資格情報を削除
- 方法4(トークンのクリア)を実行
- Edgeの閲覧データを完全にクリア
問題4:職場・学校アカウントが切断できない
原因:組織のポリシーで制限されている可能性
解決策:
- IT管理者に連絡して、アカウントの切断を依頼してください
- 管理者権限がない場合は、個人で切断できないことがあります
問題5:古いアカウントが選択肢に表示されるがログインできない
原因:アカウント情報のキャッシュだけが残っている状態
解決策:
- この場合、実際にはサインインできないので、セキュリティ上の問題はありません
- 見た目が気になる場合は、上記の徹底編の方法を試してください
アカウント削除前の注意事項

アカウントを削除する前に、以下の点を確認しておきましょう。
削除されるデータ
アカウントを削除すると、そのアカウントに関連する以下のデータが失われます。
- お気に入り・ブックマーク
- 保存されたパスワード
- 閲覧履歴
- Cookie
- 拡張機能の設定
- 自動入力データ
- サイトごとの設定
バックアップの推奨
削除前に必ず以下のデータをバックアップしてください。
お気に入りのエクスポート:
- Edgeで「…」メニュー→「お気に入り」→「お気に入りの管理」を開く
- 「…」メニューから「お気に入りのエクスポート」を選択
- HTMLファイルとして保存
パスワードの確認:
- 「設定」→「プロファイル」→「パスワード」を開く
- 重要なパスワードをメモまたはパスワード管理ツールに保存
同期の確認
削除するアカウントで同期している他のデバイスがある場合、削除後は同期が停止します。
- 他のデバイスのデータには影響しません
- ただし、以降の同期は行われなくなります
- 必要に応じて、他のデバイスでも同じ手順でアカウントを削除してください
よくある質問
Q1. プロファイルの削除とアカウント情報の削除の違いは何ですか?
プロファイル削除はEdge内部のデータ(お気に入りなど)を削除します。アカウント情報の削除はWindowsに保存されている認証情報を削除します。完全に削除するには両方の操作が必要です。
Q2. 削除したアカウントは復元できますか?
いいえ、削除したアカウント情報は復元できません。再度使用したい場合は、もう一度サインインする必要があります。
Q3. 複数のアカウントを一度に削除できますか?
Windowsの設定から1つずつ削除する必要があります。一括削除の機能はありません。
Q4. Microsoft 365の仕事用アカウントを削除すると、Officeは使えなくなりますか?
Edgeから削除しても、Office自体は使用できます。ただし、自動サインインはできなくなるため、次回使用時に再度サインインが必要になります。
Q5. 家族のアカウントを誤って削除してしまいました。どうすればいいですか?
削除されたのはWindows上の認証情報だけです。再度サインインすれば、クラウドに保存されているデータは元に戻ります。
Q6. 会社のPCで個人アカウントを使ってしまいました。完全に削除できますか?
はい、この記事で紹介した方法で削除できます。特に「徹底編」の方法を使えば、より確実に削除できます。削除後はIT部門に報告することをおすすめします。
Q7. 「Connected to Windows」と表示されるアカウントを削除したいのですが?
これはAzure ADに登録されている職場・学校アカウントです。「職場または学校にアクセスする」から切断してください。サーバー版Windowsの場合は、コマンドプロンプトで dsregcmd /leave を実行する方法もあります。
Q8. アカウントを削除したのに、「アカウントを選ぶ」に表示されます
キャッシュが残っている可能性があります。PCを再起動し、Edgeの閲覧データをクリアしてください。それでも残る場合は、User Dataフォルダから手動削除を試してください。
Q9. サインアウトと削除の違いは何ですか?
サインアウトは一時的にログアウトするだけで、アカウント情報は残ります。削除はアカウント情報そのものを消去します。セキュリティのためには削除を推奨します。
Q10. 他のブラウザ(ChromeやFirefox)でも同じ方法で削除できますか?
いいえ、各ブラウザで削除方法は異なります。ただし、Windowsの「メールとアカウント」から削除すれば、多くのアプリに影響します。
まとめ
Microsoft Edgeの「アカウントを選ぶ」から不要なアカウントを削除する方法について、基本から応用まで詳しく解説しました。
もっとも効果的な削除方法:
- 基本:Windowsの設定→「メールとアカウント」または「職場または学校にアクセスする」から削除
- 応用:Edge内部設定(edge://settings/profiles/microsoftAccount)から削除
- 徹底:Web Account Managerから資格情報を削除、User Dataフォルダから手動削除
重要なポイント:
- Edgeのプロファイル削除だけでは、アカウント情報は完全に消えない
- Windowsの設定からアカウント情報を削除する必要がある
- 削除前に必ずお気に入りやパスワードをバックアップ
- 削除後はPCを再起動して確認
セキュリティとプライバシーの観点から、使わなくなったアカウントは適切に削除しておくことが大切です。特に共用PCや、職場から貸与されているPCの場合は、退職時や返却前に必ず削除しましょう。
この記事の方法を順番に試していけば、ほとんどの場合はアカウント情報を完全に削除できるはずです。それでも解決しない場合は、Microsoftの公式サポートに問い合わせることをおすすめします。

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