Microsoft 365は毎月お金を払って使うOfficeの進化版

Microsoft 365は、WordやExcelなどのおなじみのOfficeソフトを、毎月または毎年お金を払って使うサブスクリプション(定額制)サービスです。
2020年にOffice 365から名前が変わり、単なる文書作成ソフトを超えた総合的なデジタルツールセットへと進化しました。
昔のOfficeが「CDを買って永久に使える」タイプだったのに対し、Microsoft 365は「Netflix」や「Spotify」のように、お金を払い続ける限り、常に最新版が使えます。
クラウド(インターネット上の保存場所)と連携して、どこからでもアクセスできるのが最大の特徴です。
例えば、学校でレポートを書き始めて、帰宅後に自宅のパソコンで続きを書き、最後にスマホで誤字チェックする、といったことが簡単にできます。
また、2025年からはAI機能「Copilot」が標準搭載され、文章の要約や表の自動作成など、宿題や仕事を手伝ってくれる賢いアシスタントが付いてきます。
使えるアプリは20種類以上!主要ソフトの実力
Microsoft 365に含まれる主要アプリケーションを、実際の使用例とともに紹介します。
文書作成・表計算・プレゼンテーションの基本3点セット
Word(ワード)
文書作成の王様です。読書感想文、レポート、手紙など、あらゆる文書が作れます。
最新版ではAIが文章を校正してくれたり、長い文章を要約してくれる機能も付いています。
Excel(エクセル)
表計算ソフトで、お小遣い帳から複雑なデータ分析まで対応します。
例えば、クラスのテスト結果を入力すれば、自動的に平均点やグラフを作ってくれます。関数という魔法の計算式を使えば、面倒な計算も一瞬で終わります。
PowerPoint(パワーポイント)
プレゼンテーション作成ツールです。学校の発表や部活の活動報告などで使います。
デザインアイデア機能を使えば、文字を入力するだけで、AIが自動的にきれいなスライドデザインを提案してくれます。
コミュニケーションとコラボレーションツール
Outlook(アウトルック)
メール・カレンダー・連絡先を管理する総合ツールです。
予定管理機能では、学校行事や塾の予定、友達との約束などを一元管理でき、リマインダー機能で忘れ物防止にも役立ちます。
Teams(チームズ)
コロナ禍でオンライン授業に使われた、ビデオ会議とチャットの統合ツールです。
グループで宿題をする時、画面共有機能を使って同じ資料を見ながら話し合ったり、ホワイトボード機能でアイデアを書き込んだりできます。
最大1,000人まで同時参加可能で、録画機能もあるため、欠席した授業の内容を後から確認することもできます。
データ保存と整理の強い味方
OneDrive(ワンドライブ)
インターネット上の自分専用の保管庫です。
1TB(1,000GB)の巨大な容量があり、写真なら約25万枚、動画なら約500時間分も保存できます。パソコンが壊れても、OneDriveに保存していればデータは無事です。
OneNote(ワンノート)
デジタルノートアプリです。
教科ごとにノートを分けて、授業の板書、配布プリントの写真、音声メモなどを一箇所にまとめられます。
手書き文字を検索可能なテキストに変換する機能もあり、後から「あの時のメモどこだっけ?」という時も簡単に見つけられます。
その他の便利ツール
Microsoft To Doは、やることリストを管理するアプリです。「明日の持ち物」「今週の宿題」などをリスト化し、家族と共有することもできます。
Microsoft Formsはアンケートや小テストを作るツールです。文化祭の出し物アンケートや、部活動の出欠確認などに使えます。回答は自動的にExcelにまとめられ、グラフ化もワンクリックです。
Microsoft Family Safetyは、家族のデジタル生活を守る機能です。子供のスクリーンタイム管理、不適切なコンテンツのブロック、位置情報の共有などができ、親子で安心してデジタル機器を使える環境を作れます。
個人向けと法人向けの大きな違い
個人・家庭向けプランの特徴
個人向けプランは、Microsoft 365 Personal(1人用)とMicrosoft 365 Family(最大6人用)の2種類です。
それぞれのユーザーが5台までのデバイスで同時使用でき、1TBのOneDriveストレージが付きます。管理は各自で行い、特別な設定なしですぐに使い始められます。
家族で使う場合の例:
- お父さんが仕事の資料作成
- お母さんが家計簿管理
- 子供たちが宿題やレポート作成
それぞれが自分専用の1TBストレージを持てます。Microsoft Family Safetyで、親が子供のデバイス使用時間を管理することも可能です。
法人向けプランの追加機能
法人向けは、Business Basic、Business Standard、Business Premiumなどがあり、最大300人まで利用可能です。
個人向けにない機能として以下があります:
- 独自ドメインのメールアドレス(例:tanaka@会社名.com)
- 管理者による一元管理
- 高度なセキュリティ機能
- データ損失防止機能
例えば、学習塾を経営している場合、講師全員に塾のメールアドレスを配布し、教材をTeamsで共有し、生徒の成績をExcelで一元管理、といった使い方ができます。
日本の料金プラン詳細(2025年最新版)

個人・家庭向けプラン(大幅値上げに注意!)
2025年1月から、AI機能「Copilot」の標準搭載により、日本では約43%の大幅値上げが実施されました。
Microsoft 365 Personal(1人用)
- 月額:¥2,130(従来の¥1,490から¥640値上げ)
- 年額:¥21,300(従来の¥14,900から¥6,400値上げ)
Microsoft 365 Family(最大6人用)
- 月額:¥2,740
- 年額:¥27,400
値上げを避けたい人向けに、期間限定でAI機能なしの「Classic」プランも提供されています:
- Personal Classic:年額¥14,900
- Family Classic:年額¥21,000
ビジネス向けプラン(推定価格)
- Business Basic:月額約¥900-1,200/ユーザー(Web版のみ、デスクトップアプリなし)
- Business Standard:月額約¥1,800-2,200/ユーザー(フル機能)
- Business Premium:月額約¥3,200-3,800/ユーザー(高度なセキュリティ付き)
お得な支払い方法
年額払いは月額払いより約10-15%お得です。
例えば、Personalの場合、月額¥2,130×12ヶ月=¥25,560に対し、年額は¥21,300なので、年間¥4,260も節約できます。
買い切り版Office 2021との違いを徹底比較
料金の長期比較
3年間使った場合の総コスト:
- Microsoft 365 Personal:¥21,300×3年=¥63,900
- Office Home & Student 2021(買い切り):¥19,800(一度だけ)
一見、買い切り版がお得に見えます。
しかし、Microsoft 365には以下の付加価値があります:
- 1TBのクラウドストレージ(単体なら月¥224相当)
- 常に最新機能
- 5台まで使える
- スマホ・タブレット対応
機能面の決定的な違い
Microsoft 365だけの機能
- リアルタイム共同編集(複数人で同時に文書編集)
- AI機能「Copilot」(文章作成支援、データ分析)
- 毎月の新機能追加
- Microsoft Teams(ビデオ会議)
- 高度なセキュリティ機能
Office 2021の制限
- 購入時の機能で固定(新機能は一切追加されない)
- 1台のパソコンでしか使えない
- クラウド機能は最小限
- 2026年10月13日でサポート終了(その後はセキュリティ更新なし)
どちらを選ぶべきか
Microsoft 365がおすすめの人:
- 学生(複数デバイスで宿題をする)
- 家族で共有したい
- 最新機能を使いたい
- クラウドストレージが必要
Office 2021がおすすめの人:
- 1台のパソコンでしか使わない
- インターネット環境が不安定
- 基本機能だけで十分
- 毎月の支払いを避けたい
Microsoft 365の実力派ライバルたち

Google Workspace:コラボレーション最強
料金:月額¥680〜¥2,040/ユーザー
強み:リアルタイム共同編集が抜群に使いやすく、同時に100人が同じ文書を編集しても問題なし。検索機能はさすがGoogle。
弱み:Excelほど高度な計算機能はなく、オフライン機能も限定的。
こんな人向け:常にインターネットにつながっていて、チームワークを重視する人。
LibreOffice:完全無料の優等生
料金:完全無料
強み:Microsoft Officeとほぼ同じ機能が無料で使える。
弱み:見た目が古く、複雑なファイルは表示が崩れることも。
こんな人向け:とにかくお金をかけたくない学生や、基本機能で十分な人。
Apple iWork:Mac使いの定番
料金:Apple製品なら無料
強み:デザインが美しく、直感的に使える。
弱み:Windows版がなく、Officeファイルとの互換性に難あり。
こんな人向け:iPhone、iPad、Macで統一している人。
無料版と有料版、何が違うの?
無料のOffice Online(Web版)でできること
- 基本的な文書作成、表計算、プレゼンテーション作成
- 5GBのOneDriveストレージ
- リアルタイム共同編集
有料版じゃないとできないこと
- オフライン作業(インターネットなしでは使えない)
- 高度な機能(マクロ、ピボットテーブル、差し込み印刷など)
- デスクトップアプリ(Web版より高速で安定)
- 1TBの大容量ストレージ(無料版の200倍!)
実例で見る違い
中学生の太郎くんの場合:
無料版で十分な作業:
- 簡単なレポート作成
- 友達との共同プレゼン作成
有料版が必要な作業:
- 大量の写真・動画保存
- オフラインでの作業
- 高度な数式を使った自由研究
インストール方法とシステム要件
かんたんインストール手順
- アカウント作成:Microsoft公式サイトでメールアドレスを登録
- プラン選択:PersonalかFamilyを選択
- 支払い:クレジットカードで決済
- ダウンロード:「Officeのインストール」ボタンをクリック
- セットアップ:約15-30分で自動インストール完了
必要なパソコンのスペック
Windows PCの場合
- OS:Windows 10以降
- メモリ:4GB以上
- 空き容量:4GB以上
- インターネット接続必須
Macの場合
- OS:最新から3世代前まで対応
- メモリ:4GB以上
- 空き容量:10GB以上
スマホ・タブレット
- iOS 17.0以降、Android最新4バージョン
- 10.1インチ以下なら無料で編集可能
複数デバイスへのインストール
PersonalとFamilyプランでは、1人あたり5台まで同時使用可能です。
例えば、デスクトップPC、ノートPC、iPad、iPhone、Android タブレットの5台にインストールして、どこでも作業を続けられます。
よくある質問と注意点

オフラインでどれくらい使える?
通常は30日間インターネット接続なしで使えます。
それを超えると機能制限モードになり、閲覧のみ可能になります。月1回はインターネットに接続してライセンス確認が必要です。
支払いを止めたらどうなる?
支払い停止後も30日間の猶予期間があり、その後は閲覧専用モードになります。
90日後にはデータも削除される可能性があるので、重要なファイルは必ずバックアップを。
家族みんなで使うには?
Microsoft 365 Familyなら、最大6人がそれぞれ1TBのストレージを持てます。
例えば4人家族なら、1人あたり年額約¥6,850(¥27,400÷4)で、個別にPersonalを契約するより断然お得です。
日本の学生割引はある?
大学生・専門学校生なら、学校のメールアドレスで最大10%割引が受けられる場合があります。
また、多くの大学ではOffice 365 Educationが無料で提供されているので、まず学校に確認してみましょう。
パソコンを買い替えたらどうする?
新しいパソコンにMicrosoft 365をインストールし、同じアカウントでサインインするだけでOK。
自動的に古いパソコンのライセンスが新しいパソコンに移行されます。OneDriveに保存したファイルも自動的に同期されます。
日本語の入力は問題ない?
完全に日本語対応しており、Microsoft IMEという優秀な日本語入力システムが標準搭載。
予測変換、絵文字入力、手書き入力にも対応しています。
まとめ:Microsoft 365は現代の必須ツール
Microsoft 365は、単なる文書作成ソフトを超えたデジタル生活の総合プラットフォームへと進化しました。
2025年の値上げは痛いですが、AI機能の追加、1TBのクラウドストレージ、常に最新の機能、マルチデバイス対応を考えると、多くの人にとって価値ある投資といえるでしょう。
日本での重要性
特に日本では、仕事でも学校でもMicrosoft Officeが標準となっているため、互換性の面でもMicrosoft 365が最も安心です。
学生なら共同作業やクラウド保存が便利ですし、家族なら6人で分け合えるFamilyプランがお得。
一方、たまにしか使わない人や、1台のパソコンで十分な人は、買い切り版のOffice 2021や無料のLibreOfficeも検討の価値があります。
選び方のポイント
最終的には、自分のデジタルライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
まずは30日間の無料試用版を試してみて、本当に必要な機能を見極めてから決めるのがおすすめです。
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