「パソコンを自作したいけど、マザーボードって何?」 「故障したらしいけど、マザーボードの交換って大変?」 「どのマザーボードを選べばいいか分からない」
パソコンの中身を開けると、一番大きな緑色の基板が見えますよね。それがマザーボードです。
マザーボードは、パソコンのすべての部品をつなぐ「土台」となる重要な部品。まさに「母(マザー)」のような存在で、すべてのパーツはここに集まります。
この記事では、マザーボードの基本から役割、種類、選び方まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
マザーボードって何?基本を理解しよう

マザーボードは「パソコンの土台」
マザーボード(Motherboard)は、パソコンの各パーツを接続して、互いに通信できるようにする大きな電子基板です。
人間の体に例えると、神経系や血管のような役割。脳(CPU)、記憶(メモリ)、手足(周辺機器)をつなぎ、情報や電力を届ける中心的な存在なんです。
マザーボードの別名
実は、マザーボードにはいくつかの呼び方があります。
よく使われる名称:
- メインボード:主要な基板という意味
- システムボード:システム全体の基板
- MB(エムビー):略称
- マザボ:日本での愛称
どれも同じものを指していますが、「マザーボード」が最も一般的です。
マザーボードがないとどうなる?
マザーボードがないと、パソコンは動きません。
理由:
- CPUを取り付ける場所がない
- メモリを差し込む場所がない
- グラフィックカードを接続できない
- 電源からの電力を各パーツに供給できない
- USBなどの端子が使えない
つまり、マザーボードはパソコンに絶対必要な部品ということです。
マザーボードの構成要素と役割
主要なパーツ接続部分
マザーボードには、様々な接続部分(スロットやソケット)があります。
1. CPUソケット
- 役割:CPU(中央処理装置)を取り付ける場所
- 位置:通常、ボードの中央付近
- 特徴:メーカーや世代によって形状が異なる
2. メモリスロット(DIMMスロット)
- 役割:RAM(メモリ)を差し込む場所
- 位置:CPUソケットの近く
- 本数:2本〜8本(一般的には4本)
3. 拡張スロット(PCIeスロット)
- 役割:グラフィックカードやサウンドカードを接続
- 種類:
- PCIe x16(主にグラフィックカード用)
- PCIe x8、x4、x1(その他の拡張カード用)
4. ストレージ接続端子
- SATA端子:HDD、SSD、光学ドライブを接続
- M.2スロット:高速なNVMe SSDを接続
外部接続端子(I/Oパネル)
マザーボードの端には、外部機器を接続する端子が並んでいます。
主な端子:
- USB端子:マウス、キーボード、外付けHDDなど
- 映像出力:HDMI、DisplayPort、VGA
- 音声端子:スピーカー、マイク、ヘッドホン
- LAN端子:インターネット接続用
- PS/2端子:古いキーボードやマウス用(最近は少ない)
電源関連の接続部
主な電源コネクタ:
1. 24ピン ATX電源コネクタ
- マザーボード全体への主電源
- 一番大きなコネクタ
2. CPU補助電源(4+4ピンまたは8ピン)
- CPUへの追加電源供給
- CPUソケットの近くに配置
3. PCIe補助電源
- 高性能グラフィックカード用(一部のマザーボードのみ)
マザーボードの種類とサイズ
フォームファクター(規格サイズ)
マザーボードには標準的なサイズがあり、これを「フォームファクター」と呼びます。
主な規格:
1. ATX(エーティーエックス)
- サイズ:305mm × 244mm
- 特徴:標準的なサイズ、拡張性が高い
- 用途:一般的なデスクトップPC、ゲーミングPC
2. Micro-ATX(マイクロATX)
- サイズ:244mm × 244mm
- 特徴:ATXより小型、そこそこの拡張性
- 用途:コンパクトなデスクトップPC
3. Mini-ITX(ミニITX)
- サイズ:170mm × 170mm
- 特徴:非常に小型、拡張性は限定的
- 用途:小型PC、リビングPC
4. E-ATX(Extended ATX)
- サイズ:305mm × 330mm
- 特徴:ATXより大型、最高の拡張性
- 用途:ハイエンドPC、ワークステーション
チップセットの種類
チップセットは、マザーボード上でCPUと各パーツの通信を管理する重要な部品です。
Intel系の主なチップセット(2024-2025年):
- Z790/Z890:最上位、オーバークロック対応
- B760/B860:中級、コストパフォーマンス重視
- H610/H710:エントリー、基本機能のみ
AMD系の主なチップセット:
- X670/X870:最上位、高機能
- B650/B850:中級、バランス型
- A620/A720:エントリー、低価格
チップセットによって、使える機能や接続できる機器の数が変わります。
マザーボードを選ぶときのポイント
1. CPUとの互換性を確認
最重要ポイント!
マザーボードとCPUは、ソケットが合わないと使えません。
確認方法:
- Intel CPU → LGA1700、LGA1851など
- AMD CPU → AM4、AM5など
必ず製品仕様で対応CPUを確認しましょう。
2. 用途に合わせたサイズ選び
選び方の目安:
大きなケースでゲーミングPC → ATXサイズがおすすめ
普通のデスクトップ → Micro-ATXでバランス良く
省スペースPC → Mini-ITXでコンパクトに
3. 必要な機能をチェック
確認すべき機能:
メモリ関連:
- 最大メモリ容量(32GB、64GB、128GBなど)
- メモリスロット数(2本、4本など)
- 対応メモリ規格(DDR4、DDR5)
ストレージ関連:
- SATA端子の数
- M.2スロットの数と速度
拡張性:
- PCIeスロットの数
- USB端子の数と種類(USB 3.2、USB-Cなど)
その他の機能:
- Wi-Fi内蔵の有無
- Bluetooth対応
- オーディオ品質
4. 予算とのバランス
価格帯の目安:
- エントリー:8,000円〜15,000円
- ミドルレンジ:15,000円〜30,000円
- ハイエンド:30,000円〜60,000円
- 超ハイエンド:60,000円以上
高いマザーボードほど機能は豊富ですが、使わない機能にお金を払う必要はありません。
マザーボードの寿命と故障のサイン
一般的な寿命
平均的な使用期間:
- 通常使用:5〜10年
- 24時間稼働:3〜5年
- オーバークロック使用:3〜7年
適切に使えば、かなり長持ちする部品です。
故障の前兆
こんな症状は要注意:
- 起動しない、または不安定
- 電源は入るが画面が映らない
- 起動したりしなかったりする
- 突然の再起動やフリーズ
- 作業中に勝手に再起動
- 頻繁なブルースクリーン
- USB機器が認識されない
- 特定のUSBポートが反応しない
- 接続した機器が頻繁に切断される
- 異常な音や臭い
- コンデンサの膨張
- 焦げ臭い匂い
- BIOSの設定が保存されない
- 日時がリセットされる
- 起動順序が毎回変わる
メンテナンスのコツ
長持ちさせるために:
- 定期的な掃除
- ホコリを除去(3ヶ月に1回)
- エアダスターで清掃
- 適切な温度管理
- ケース内の通気性確保
- 室温を適切に保つ
- 安定した電源供給
- 品質の良い電源ユニット使用
- サージプロテクタやUPSの活用
マザーボードのBIOS/UEFI
BIOS/UEFIとは?
BIOS(バイオス)やUEFI(ユーファイ)は、マザーボードに組み込まれた基本ソフトウェアです。
役割:
- ハードウェアの初期化
- OSの起動準備
- 各種設定の保存
基本的な設定項目
主な設定:
- 起動デバイスの優先順位
- 日時の設定
- CPUやメモリの動作設定
- ファンの回転速度
- セキュリティ設定
アップデートの重要性
BIOSアップデートのメリット:
- 新しいCPUへの対応
- バグの修正
- 新機能の追加
- セキュリティの向上
ただし、失敗するとマザーボードが使えなくなるリスクもあるので、慎重に行いましょう。
よくある質問
Q:マザーボードだけ交換できる?
A:可能ですが、注意点があります。
交換時の確認事項:
- Windows のライセンス認証が必要になる場合がある
- ドライバーの再インストールが必要
- 同じ規格のマザーボードを選ぶ必要がある
Q:マザーボードの性能でPCの速度は変わる?
A:直接的な影響は少ないです。
PCの速度を決める主な要因:
- CPU の性能
- メモリの容量と速度
- ストレージ(SSD)の速度
マザーボードは「つなぐ役割」なので、極端に古くない限り速度への影響は限定的です。
Q:中古のマザーボードは買っても大丈夫?
A:リスクを理解した上でなら選択肢になります。
注意点:
- 保証がない場合が多い
- 使用期間や状態が不明
- コンデンサの劣化可能性
- 最新CPUに対応していない可能性
信頼できる販売者から、状態の良いものを選びましょう。
まとめ:マザーボードはPCの要となる重要パーツ
マザーボードは、すべてのPCパーツをつなぐ中心的な存在です。
この記事のポイント:
✅ マザーボードはPCの各パーツを接続する「土台」
✅ CPU、メモリ、グラフィックカードなどを取り付ける
✅ サイズは用途に応じてATX、Micro-ATX、Mini-ITXなどから選択
✅ CPUとの互換性(ソケット)の確認が最重要
✅ チップセットによって機能や拡張性が変わる
✅ 適切なメンテナンスで5〜10年使える
✅ BIOS/UEFIで各種設定が可能
マザーボードを理解することは、パソコンの仕組みを理解する第一歩です。
自作PCを考えている方も、故障診断をしたい方も、この知識があれば適切な判断ができるようになります。
パソコンの心臓部であるマザーボードについて、少しでも理解が深まれば幸いです!
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