「ボイスメモを録音したけど、文字に起こせない…」
「会議の録音を自動でテキスト化したい」
「Macで音声を文字起こしする方法ってあるの?」
長時間の会議録音や講義、インタビューなどを手作業で文字起こしするのは、とても時間がかかる作業ですよね。
実は、Macのボイスメモアプリ自体には文字起こし機能がありません。これが「できない」と感じる最大の理由なんですね。
でも安心してください。Mac標準機能や外部サービスを使えば、ボイスメモの音声をテキスト化することは可能です。
この記事では、Macでボイスメモを文字起こしする複数の方法と、うまくいかない時の原因と解決策を詳しく解説していきます。
まず知っておきたい基礎知識

文字起こしについて、基本的なことから理解しましょう。
ボイスメモアプリには文字起こし機能がない
重要なポイントですが、Macの標準ボイスメモアプリには、録音済み音声を文字起こしする機能がありません。
録音と再生はできても、自動でテキスト化する機能は搭載されていないんですね。
音声入力と文字起こしの違い
混同しやすいので、違いを明確にしておきましょう。
音声入力(ディクテーション):
マイクに向かってリアルタイムで話した言葉を、その場で文字にする機能です。
文字起こし(トランスクリプション):
録音済みの音声ファイルを後から文字にする機能のこと。
Macには音声入力機能はありますが、録音済みファイルの文字起こし機能は標準では搭載されていません。
文字起こしに必要なもの
ボイスメモを文字起こしするには、以下のいずれかが必要です。
- Mac標準の音声認識機能を活用する
- サードパーティの文字起こしアプリ
- オンライン文字起こしサービス
- AIを活用した自動文字起こしツール
実例
例えば、1時間の会議を手作業で文字起こしすると、4~6時間かかることも珍しくありません。
自動文字起こしを使えば、この作業時間を大幅に短縮できるでしょう。
【方法1】Mac標準機能「ライブ文字起こし」を使う
macOS Monterey以降に搭載された機能です。
ライブ文字起こしとは
ライブ文字起こしは、Macで再生される音声をリアルタイムで字幕表示する機能です。
動画や音声ファイルの再生中に、画面上に文字が表示されます。
対応機種と条件
対応OS:
macOS Monterey(12.0)以降
対応機種:
- Apple Silicon搭載Mac(M1、M2、M3など)
- 一部のIntel Mac
言語対応:
日本語、英語、中国語、スペイン語など複数言語に対応しています。
有効化の手順
ステップ1: Appleメニュー→「システム設定」を開く
ステップ2: 「アクセシビリティ」をクリック
ステップ3: 左側のリストから「ライブ文字起こし」を選択
ステップ4: 「ライブ文字起こし」をオンにする
使い方
ステップ1: ボイスメモアプリで音声を再生
ステップ2: メニューバーの「ライブ文字起こし」アイコンをクリック
または、以下のキーボードショートカットを使用:
command + option + S
ステップ3: 字幕パネルが表示される
ステップ4: 音声再生中、リアルタイムで文字が表示される
テキストのコピー方法
表示された字幕は、以下の手順でコピーできます。
ステップ1: 字幕パネル内のテキストを選択
ステップ2: 右クリック→「コピー」
ステップ3: メモアプリやテキストエディタにペースト
メリット
- Mac標準機能で無料
- 追加アプリ不要
- 日本語対応
- プライバシーが守られる(ローカル処理)
デメリット
- リアルタイムで手動コピーが必要
- 一度に全文を取得できない
- 対応機種が限定される
- 精度は完璧ではない
実例
30分のボイスメモを文字起こしする場合、再生しながら数分ごとにテキストをコピー&ペーストする必要があります。
少し手間はかかりますが、無料で使える方法としては優秀でしょう。
【方法2】音声入力機能を活用する
Macの音声入力機能を間接的に使う方法です。
仕組み
ボイスメモをスピーカーで再生しながら、マイクで拾った音声を音声入力でテキスト化する方法です。
少しトリッキーですが、追加ソフト不要で実現できます。
準備
ステップ1: システム設定→「キーボード」→「音声入力」をオンにする
ステップ2: 静かな環境を用意
外部ノイズが入ると精度が下がります。
ステップ3: スピーカーとマイクの音量を調整
音が割れない程度の適切な音量に設定しましょう。
手順
ステップ1: メモアプリまたはテキストエディタを開く
ステップ2: キーボードの音声入力キー(Fnキーを2回押す)で音声入力を開始
ステップ3: ボイスメモアプリで録音を再生
ステップ4: 再生音声が音声入力でテキスト化される
ステップ5: 再生が終わったら音声入力を停止
コツ
音量バランスが重要
スピーカー音が大きすぎると音割れ、小さすぎると認識されません。
はっきりとした音声
元の録音がクリアであるほど、精度が上がります。
短い区切りで実行
長時間一気に処理せず、5~10分ごとに区切って行うと安定するでしょう。
メリット
- 無料で使える
- 追加アプリ不要
- 日本語に強い
デメリット
- 手間がかかる
- 環境ノイズの影響を受けやすい
- 長時間の音声には不向き
- 音声入力が途中で止まることがある
実例
例えば、10分程度のインタビュー録音なら、この方法でも十分対応できます。
ただし、1時間を超える長時間の音声には、別の方法をおすすめします。
【方法3】専用アプリを使う
文字起こし専用のアプリを使う方法です。
おすすめアプリ
MacWhisper
特徴:
- OpenAIのWhisper AIを使用
- 高精度な文字起こし
- 日本語対応
- ローカル処理でプライバシー保護
価格:
無料版あり、Pro版は約3,000円
使い方:
- アプリをダウンロード&インストール
- ボイスメモファイルをアプリにドラッグ
- 「Transcribe」をクリック
- 自動的に文字起こしが開始
- テキストをコピーまたはエクスポート
Notta
特徴:
- リアルタイム文字起こし
- 録音と同時にテキスト化
- クラウド保存
- 多言語対応
価格:
無料版あり(月120分まで)、有料プランは月額2,000円~
使い方:
- アプリまたはウェブ版にログイン
- 「録音開始」または「ファイルをインポート」
- 自動的に文字起こし
- 編集機能で修正可能
- テキスト、PDF、Wordでエクスポート
Otter.ai
特徴:
- 英語に特化(日本語は精度が低い)
- AI要約機能
- 共同編集機能
価格:
無料版あり(月600分まで)、有料プランあり
注意点:
日本語の音声には向いていません。英語の会議録音などに最適です。
選び方のポイント
日本語メイン:
MacWhisper、Nottaがおすすめ
英語メイン:
Otter.aiが優秀
プライバシー重視:
ローカル処理のMacWhisper
長時間録音:
有料プランのあるNottaやOtter.ai
実例
例えば、週に数回の会議録音を文字起こしするなら、Nottaの有料プランが費用対効果が高いでしょう。
月額2,000円で時間を大幅に節約できます。
【方法4】オンライン文字起こしサービスを使う
ウェブベースのサービスを活用する方法です。
Google ドキュメントの音声入力
Googleの無料サービスを使う方法です。
手順:
ステップ1: Google Chromeで新しいGoogleドキュメントを開く
ステップ2: メニューから「ツール」→「音声入力」を選択
ステップ3: マイクアイコンをクリック
ステップ4: ボイスメモを再生
ステップ5: 音声がリアルタイムでテキスト化される
注意点:
方法2と同様、スピーカー再生をマイクで拾う間接的な方法です。
専門業者の文字起こしサービス
プロによる文字起こしサービスもあります。
特徴:
- 人間が手作業で文字起こし
- 高精度
- 専門用語にも対応
価格:
1分あたり200~500円程度
納期:
数日~1週間程度
代表的なサービス:
- テープ起こしプロ
- コエラボ
- ボイテックス
AI文字起こしサービス
オンラインのAI自動文字起こしサービスです。
代表例:
- Rimo Voice
- Toruno
- CLOVA Note
特徴:
- ファイルをアップロードするだけ
- 自動的に文字起こし
- 話者分離機能
- 要約機能
価格:
無料版あり、有料プランは月額1,000円~
実例
重要な会議や取材など、精度を最優先する場合は、専門業者への依頼も検討する価値があります。
コストはかかりますが、時間と精度を考えると妥当な投資でしょう。
文字起こしができない原因と解決策

うまく文字起こしできない時の対処法です。
原因1:音質が悪い
症状:
認識精度が極端に低い、ほとんど文字起こしされない
解決策:
- 録音時にマイクを話者に近づける
- 静かな環境で録音する
- 外部マイクを使用する
- ノイズ除去ソフトで音質を改善してから文字起こし
原因2:複数人が同時に話している
症状:
音声が混ざって正しく認識されない
解決策:
- 話者分離機能のあるサービスを使う(Notta、CLOVA Noteなど)
- できるだけ一人ずつ話すように録音
- 専門業者に依頼
原因3:専門用語が多い
症状:
一般的な単語は認識されるが、専門用語が誤変換される
解決策:
- 辞書登録機能のあるサービスを使う
- 業界特化型の文字起こしサービスを利用
- 文字起こし後に手動で修正
原因4:話すスピードが速すぎる
症状:
早口の部分が認識されない
解決策:
- 再生速度を遅くして音声入力する
- 高性能なAI文字起こしサービスを使う
原因5:対応言語が違う
症状:
外国語や方言が認識されない
解決策:
- その言語に対応したサービスを選ぶ
- 標準語に近い音声を使う
原因6:ファイル形式の問題
症状:
サービスがファイルを読み込めない
解決策:
- MP3やWAV形式に変換してから使用
- サービスの対応形式を事前に確認
実例
例えば、雑踏の中で録音した音声は、どんなに高性能なAIでも正確に文字起こしできません。
録音環境の改善が、精度向上の第一歩です。
文字起こし精度を上げる7つのコツ
より正確な文字起こしを実現するためのテクニックです。
1. 録音時の音質を重視
ポイント:
- 話者からマイクまでの距離は30cm以内
- 静かな環境で録音
- エアコンや換気扇の音に注意
- 外部マイクの使用を検討
2. はっきりとした発音
ポイント:
- ゆっくり、はっきり話す
- 滑舌に注意
- 語尾まで明瞭に発音
3. 適切な音量レベル
ポイント:
- 音が割れない程度の音量
- 小さすぎても大きすぎてもNG
- 録音レベルメーターを確認
4. 話者を分ける
ポイント:
- 複数人が同時に話さない
- 話者交代を明確に
- 会議では発言前に名前を言う
5. 専門用語リストの準備
ポイント:
- 頻出する専門用語をリスト化
- 事前に辞書登録
- 文字起こし後の校正に活用
6. 短い区切りで処理
ポイント:
- 長時間の音声は分割
- 5~10分ごとに区切る
- エラーが起きにくくなる
7. 複数の方法を併用
ポイント:
- AIと人間の校正を組み合わせる
- 複数のサービスで比較
- 重要部分は二重チェック
実例
例えば、MacWhisperで自動文字起こしした後、重要な数字や固有名詞だけを手動で確認する方法が効率的です。
完璧を求めず、80%の精度で自動化して、残り20%を人間がチェックするのがベストプラクティスでしょう。
無料と有料、どちらを選ぶべきか
用途に応じた選び方を解説します。
無料サービスがおすすめなケース
頻度が低い:
月に1~2回程度の利用
短時間の音声:
10分以内の録音
精度にこだわらない:
大まかな内容が分かればOK
個人利用:
趣味や学習目的
おすすめツール:
- Macのライブ文字起こし
- MacWhisper(無料版)
- Notta(無料版)
有料サービスがおすすめなケース
頻度が高い:
週に数回以上利用
長時間の音声:
30分以上の録音が多い
高精度が必要:
ビジネス文書や公式記録
複数人の会話:
会議やインタビュー
追加機能が必要:
要約、翻訳、共有機能など
おすすめツール:
- Notta(有料プラン)
- CLOVA Note
- 専門業者への依頼
コストパフォーマンスの考え方
時給換算してみる:
1時間の音声を手作業で文字起こし → 4~6時間かかる
あなたの時給が2,000円なら、8,000~12,000円分の価値
有料サービス(月額2,000円)なら十分元が取れますね。
実例
フリーランスのライターが月に10時間分の取材音声を文字起こしする場合、有料サービスの導入で月40~60時間の作業時間を節約できます。
その時間で新しい案件を受けられるので、投資効果は非常に高いでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1: 完全自動で100%正確な文字起こしは可能ですか?
A: 現時点では困難です。
最新のAI技術でも、音声認識の精度は80~95%程度とされています。専門用語、方言、複数人の会話、音質などの要因で精度は変動するため、重要な文書では必ず人間による校正が必要でしょう。
Q2: iPhoneのボイスメモもMacで文字起こしできますか?
A: はい、できます。
iPhoneのボイスメモはiCloud経由でMacと自動同期されるため、Mac上で同じ方法で文字起こし可能です。または、AirDropでMacに送ってから処理することもできます。
Q3: 外国語の音声も文字起こしできますか?
A: サービスによって対応言語が異なります。
英語ならほとんどのサービスが対応していますが、その他の言語は事前確認が必要です。MacWhisperやWhisper APIは多言語対応しており、100以上の言語をサポートしているでしょう。
Q4: 文字起こしした内容の著作権は誰のものですか?
A: 元の音声内容の著作権は話者にあります。
文字起こし自体の著作権は、基本的に元の著作権者に帰属すると考えられています。オンラインサービスを使う場合は、利用規約を確認してください。
Q5: 録音した相手に許可は必要ですか?
A: 状況によりますが、基本的には許可を得ることをおすすめします。
会議など公的な場での録音は問題ないことが多いですが、プライベートな会話を無断録音・文字起こしすることは、プライバシーや肖像権の侵害になる可能性があるでしょう。
まとめ
Macでボイスメモを文字起こしする方法をまとめます。
重要なポイント:
- ボイスメモアプリ自体に文字起こし機能はない
- 別の方法やツールを使う必要がある
主な文字起こし方法:
方法1:ライブ文字起こし(Mac標準)
- 無料、追加アプリ不要
- Apple Silicon Mac推奨
- リアルタイム処理
方法2:音声入力の活用
- 無料、工夫次第で使える
- 短時間音声向け
方法3:専用アプリ
- MacWhisper、Nottaなど
- 高精度、自動処理
- 一部有料
方法4:オンラインサービス
- Googleドキュメント、専門業者
- 用途に応じて選択
精度を上げるコツ:
- 録音時の音質重視
- はっきりとした発音
- 適切な音量レベル
- 話者を分ける
- 専門用語リストの準備
- 短い区切りで処理
- 複数の方法を併用
選び方の目安:
- 頻度が低い・短時間 → 無料ツール
- 頻度が高い・長時間 → 有料サービス
- 最高精度が必要 → 専門業者
できない原因:
- 音質が悪い
- 複数人が同時に話している
- 専門用語が多い
- 話すスピードが速い
- 対応言語が違う
文字起こしは完全自動化は難しいですが、適切なツールと方法を選べば、作業時間を大幅に短縮できます。
まずは無料の方法から試して、必要に応じて有料サービスへの移行を検討しましょう。あなたの用途に合った最適な方法を見つけてください!
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