Macを使っていて、Gitを削除したいと思った理由はなんでしょうか?
- 「プログラミングを辞めることになったので、開発ツールを整理したい」
- 「複数のGitが混在していて、どれが使われているかわからない」
- 「古いバージョンのGitが残っていて、新しいバージョンと競合している」
- 「Homebrewで管理したいので、他の方法で入れたGitを削除したい」
MacのGitは、インストール方法によって削除の手順が大きく異なります。
間違った方法で削除すると、システムに影響を与えたり、完全に削除できなかったりする可能性があります。
この記事では、安全で確実にGitをアンインストールする方法を、初心者の方にもわかりやすく、図解付きで詳しく解説します。
削除前の重要な確認:どのGitが入っているかチェック

なぜ確認が必要なのか
MacにGitをインストールする方法は主に以下の4つがあります:
- Homebrew経由でのインストール
- Xcode Command Line Toolsに付属
- Git公式サイトからのインストーラー
- 手動でのビルド・インストール
それぞれ削除方法が異なるため、まずは現在どのGitが使われているかを確認する必要があります。
現在のGit状況を確認する方法
ステップ1:Gitの場所を確認
ターミナルを開いて、以下のコマンドを実行してください:
which git
結果の見方:
/usr/bin/git
→ Xcode Command Line Toolsに付属のGit/opt/homebrew/bin/git
→ **Homebrew(M1 Mac)**でインストール/usr/local/bin/git
→ **Homebrew(Intel Mac)**でインストール/usr/local/git/bin/git
→ 公式インストーラーでインストール
ステップ2:Gitのバージョンを確認
git --version
出力例:
git version 2.39.2 (Apple Git-142) ← Xcode版の特徴
git version 2.40.1 ← Homebrew版など
ステップ3:複数のGitが存在するかチェック
ls -la /usr/bin/git
ls -la /opt/homebrew/bin/git
ls -la /usr/local/bin/git
ls -la /usr/local/git/bin/git
存在しないパスでは「No such file or directory」と表示されます。
PATHの優先順位を確認
複数のGitが存在する場合、どれが使われるかは環境変数PATHの順序で決まります:
echo $PATH
左側に記載されているパスほど優先されます。
削除作業を始める前に、必ずGitの種類と数を把握しましょう。
Homebrew版Gitのアンインストール

Homebrewでインストールされたかの確認
確認コマンド:
brew list | grep git
Gitが表示されれば、Homebrewで管理されています。
アンインストール手順
ステップ1:Homebrewでアンインストール
brew uninstall git
ステップ2:関連する依存関係も確認
Gitを削除しても他のパッケージが依存している場合があります:
brew uses git --installed
依存関係がある場合は、必要に応じて対処してください。
ステップ3:完全に削除されたか確認
which git
git --version
which git
で/usr/bin/git
が表示される → Xcode版に戻った(正常)git: command not found
が表示される → 完全に削除された
Homebrew関連の設定ファイルも整理
不要な設定があれば削除:
# .zshrcや.bash_profileからHomebrew Gitのパス設定を削除
nano ~/.zshrc
# または
nano ~/.bash_profile
Gitに関するPATH設定があれば削除してください。
設定を反映:
source ~/.zshrc
# または
source ~/.bash_profile
Homebrew版の削除はbrew uninstall git
で簡単ですが、依存関係の確認も忘れずに。
Xcode Command Line Tools版Gitの対処

重要な注意点
Xcode Command Line Toolsに含まれるGitは、Macのシステムの一部として提供されています。
完全に削除することは可能ですが、以下の影響があります:
- Xcode開発に必要なツールが使えなくなる
- 他のコマンドラインツールも同時に削除される
- 一部のアプリケーションが正常動作しなくなる可能性
一時的に無効化する方法(推奨)
完全削除ではなく、一時的に無効化:
sudo xcode-select --reset
この方法では、Command Line Toolsの参照をリセットするだけなので、比較的安全です。
完全に削除する方法(上級者向け)
ステップ1:Command Line Toolsを完全削除
sudo rm -rf /Library/Developer/CommandLineTools
ステップ2:Xcodeの設定をリセット
sudo xcode-select --reset
ステップ3:確認
xcode-select -p
git --version
Xcode開発者向けの対処法
Xcode開発を続ける場合:
- Xcodeを使用している場合:
- Xcode内蔵のGitを使用する
- 外部のGitが不要であることを確認
- Command Line Toolsだけ必要な場合:
xcode-select --install
で再インストール可能
Xcode版の削除は影響が大きいため、本当に必要かよく検討してください。
公式インストーラー・手動インストール版の削除

インストール場所の確認
一般的なインストール場所:
/usr/local/git/
– 公式インストーラーの標準場所/opt/local/
– MacPorts経由でインストールした場合/Applications/
– アプリケーション形式でインストールした場合
公式インストーラー版の削除
ステップ1:メインディレクトリの削除
sudo rm -rf /usr/local/git
ステップ2:シンボリックリンクの削除
sudo rm -f /usr/local/bin/git
sudo rm -f /usr/local/bin/git-*
sudo rm -f /etc/paths.d/git
ステップ3:設定ファイルの確認・削除
# PATH設定が残っていないかチェック
grep -r "git" ~/.bash_profile ~/.zshrc ~/.profile 2>/dev/null
Git関連のPATH設定があれば、手動で削除してください。
手動ビルド版の削除
カスタムビルド版を削除:
# インストール場所を確認
which git
# そのディレクトリ全体を削除(例)
sudo rm -rf /usr/local/src/git
sudo rm -rf /usr/local/bin/git*
アンインストーラーの使用(ある場合)
Git公式インストーラーの中には、アンインストーラーが含まれる場合があります:
# アンインストーラーがある場合
sudo /usr/local/git/uninstall.sh
手動インストール版は、インストール場所を特定してから削除することが重要です。
ユーザー設定とキャッシュの削除

Gitの設定ファイル
Gitを削除した後も、ユーザーの設定ファイルは残ります。
完全にクリーンな状態にしたい場合は、これらも削除しましょう。
グローバル設定の削除:
rm ~/.gitconfig
rm ~/.gitignore_global
認証情報の削除:
rm ~/.git-credentials
rm -rf ~/.config/git/
SSHキーとGPGキー
Git用のSSHキーを削除(必要に応じて):
ls ~/.ssh/
# Git用のキーがあれば削除
rm ~/.ssh/id_rsa_git
rm ~/.ssh/id_rsa_git.pub
GPGキーの削除:
gpg --list-secret-keys
# 不要なキーがあれば削除
gpg --delete-secret-keys [KEY_ID]
gpg --delete-keys [KEY_ID]
キャッシュとログの削除
Gitのキャッシュを削除:
rm -rf ~/.gitk
rm -rf ~/.config/git/
ログファイルの削除:
sudo rm -rf /var/log/git*
アプリケーション固有の設定
SourceTree、GitHub Desktop等の設定:
これらのGUIツールを使用していた場合、それぞれの設定も削除できます:
# SourceTree
rm -rf ~/Library/Application\ Support/SourceTree/
# GitHub Desktop
rm -rf ~/Library/Application\ Support/GitHub\ Desktop/
設定ファイルの削除は任意ですが、完全にクリーンな状態にしたい場合は実行してください。
削除後の確認と検証

削除が完了したかの確認
ステップ1:Gitコマンドの確認
which git
git --version
期待される結果:
- 完全削除の場合:
command not found
- Xcode版が残っている場合:
/usr/bin/git
が表示 - 他のバージョンが残っている場合:該当するパスが表示
ステップ2:残存ファイルの確認
find /usr -name "*git*" 2>/dev/null | head -20
find /opt -name "*git*" 2>/dev/null | head -20
ls -la ~/.git*
環境変数の整理
PATHの確認:
echo $PATH
不要なGit関連のパスが残っていないか確認してください。
設定ファイルの最終チェック:
grep -r "git" ~/.bash_profile ~/.zshrc ~/.profile ~/.bashrc 2>/dev/null
Git関連の設定が残っていれば、手動で削除しましょう。
他のツールへの影響確認
開発環境への影響チェック:
# Homebrew
brew doctor
# Node.js開発環境
npm --version
# Python開発環境
python3 --version
# Xcode(Mac App Store版を使用している場合)
xcode-select -p
削除後は必ず動作確認を行い、他のツールに影響がないことを確認しましょう。
よくあるトラブルと解決方法

トラブル1:削除後にコマンドが見つからないエラー
症状:
bash: git: command not found
解決法:
- ターミナルを再起動
- 設定ファイルを再読み込み:
source ~/.zshrcsource ~/.bash_profile
- Macを再起動
トラブル2:複数のGitが残っている
症状: 削除したはずなのに、まだGitが使える
解決法:
- 全ての場所を再確認:
which -a gittype -a git
- 見つかった全ての場所のGitを削除
- PATHを整理
トラブル3:権限エラーで削除できない
症状:
Permission denied
解決法:
- sudoを使用:
sudo rm -rf [対象ディレクトリ]
- ファイルの権限を確認:
ls -la [対象ファイル]
- 必要に応じて権限を変更:
sudo chmod -R 755 [対象ディレクトリ]
トラブル4:Xcodeが動作しなくなった
症状: Command Line Toolsを削除後、Xcodeでエラーが発生
解決法:
- Command Line Toolsを再インストール:
xcode-select --install
- Xcodeの設定を確認:
xcode-select -p
- 必要に応じてXcodeを再インストール
トラブル5:Homebrewでエラーが発生
症状: Gitを削除後、Homebrewのコマンドでエラー
解決法:
- Homebrewの状態をチェック:
brew doctor
- 指示に従って問題を修正
- 必要に応じてGitを再インストール:
brew install git
まとめ: トラブルが発生しても、段階的に対処すれば解決できます。
Gitの再インストール方法(参考)

削除後に再びGitが必要になった場合
Homebrewでのインストール(推奨):
# Homebrewがインストールされていない場合
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
# Gitのインストール
brew install git
公式インストーラーでのインストール:
- Git公式サイトにアクセス
- macOS用のインストーラーをダウンロード
- インストーラーを実行
Xcode Command Line Toolsでのインストール:
xcode-select --install
バージョン管理を考慮したインストール
複数バージョンの管理(Git Version Manager):
# gvmのインストール
brew install gvm
# 特定バージョンのGitをインストール
gvm install 2.40.1
gvm use 2.40.1
まとめ: 削除後の再インストールも簡単です。必要に応じて適切な方法を選択してください。
まとめ:安全で確実なGitアンインストールのポイント
MacからGitを削除することは、正しい手順を踏めば安全で簡単な作業です。
削除前の確認が最重要
which git
でインストール方法を特定- 複数のGitが存在する可能性を考慮
- 削除による影響を事前に把握
インストール方法別の適切な削除手順
- Homebrew版:
brew uninstall git
- Xcode版: 完全削除は非推奨、無効化を検討
- 公式・手動版: ディレクトリとリンクを手動削除
完全削除のための追加作業
- ユーザー設定ファイルの削除
- 環境変数の整理
- 削除後の動作確認
トラブル対処の準備
- 一般的な問題と解決法を把握
- バックアップの重要性
- 再インストール方法の理解
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