「Macをスリープにしたのに、本体が熱くなっている……」
そんな経験はありませんか?
放置してたMacが熱を持っていると、とても心配になりますよね。
実は、スリープ中のMacが熱くなるのは決して珍しいことではありません。
でも、放置すると大切なMacに深刻なダメージを与える可能性があります。
この記事では、Macがスリープ中に熱くなる原因を詳しく調べ、すぐにできる対処法をわかりやすく説明します。
バッテリーの劣化やパーツの故障を防ぐために、今すぐチェックしてみましょう。
スリープ中の発熱がなぜ危険なの?

放置すると起こる問題
- バッテリーの急速な劣化
熱はバッテリーの最大の敵です。40度を超える環境では、バッテリーの寿命が大幅に短くなります。 - 内部パーツの故障リスク
CPUやメモリ、SSDなどの精密な部品は熱に弱く、長時間の高温状態で故障する可能性があります。 - データ損失の危険
異常な熱でSSDが損傷すると、大切なファイルやデータを失うリスクがあります。 - 安全上の問題
極端な場合、バッテリーの膨張や発火などの安全上の問題も報告されています。
正常なスリープ状態とは
本来、Macがスリープ状態に入ると、以下のようになります。
- 画面は真っ暗になる
- ファンの音は止まる
- 本体の温度は室温程度まで下がる
- 電源ランプがゆっくり点滅する(古いMacの場合)
- バッテリー消費は最小限になる
もしスリープ中でも本体が温かいままなら、何らかの問題が発生している可能性があります。
原因を調べる方法

対処法を試す前に、まずは原因を特定しましょう。
Mac には便利な診断ツールが内蔵されています。
アクティビティモニタでチェック
- 「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「アクティビティモニタ」を開く
- 「CPU」タブでCPU使用率の高いプロセスを確認
- 「エネルギー」タブで電力消費の大きいアプリを確認
注目すべき項目
- CPU使用率が常に10%以上のアプリ
- エネルギー影響が「高」になっているアプリ
- 使っていないのに動作しているアプリ
ターミナルでスリープ状態を確認
より詳しく調べたい場合は、ターミナルを使います。
- 「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「ターミナル」を開く
- 以下のコマンドを入力
# スリープを妨げているプロセスを確認
pmset -g assertions
# 電源管理の設定を確認
pmset -g
このコマンドで、スリープを妨げている具体的な原因がわかります。
原因1:バックグラウンド処理が続いている
なぜバックグラウンド処理が動くのか
Macのスリープは「深い眠り」ではなく「浅い眠り」のような状態です。完全に停止しているわけではなく、以下のような処理が続いている場合があります。
Power Nap(パワーナップ)機能
- メールの自動受信
- iCloudでの写真やファイル同期
- Time Machineバックアップ
- ソフトウェアアップデートのダウンロード
常駐アプリの同期処理
- Dropbox、Google Drive、OneDriveなどのクラウドストレージ
- Slack、Discord などのチャットアプリ
- 写真管理アプリの自動整理
- ウイルス対策ソフトのスキャン
具体的な対処法
Power Napを無効にする
macOS Ventura以降の場合
- 「システム設定」を開く
- 「バッテリー」をクリック
- 「オプション」をクリック
- 「バッテリー駆動時にPower Napを有効にする」のチェックを外す
- 「電源アダプタ接続時にPower Napを有効にする」のチェックも外す
macOS Monterey以前の場合
- 「システム環境設定」を開く
- 「省エネルギー」をクリック
- 「Power Napを有効にする」のチェックを外す
常駐アプリを管理する
クラウドストレージアプリの設定
- Dropbox の場合:設定で「自動同期を一時停止」
- Google Drive の場合:設定で「同期を一時停止」
- OneDrive の場合:設定で「ファイルのオンデマンド」を有効
不要なログイン項目を削除
- 「システム設定」→「一般」→「ログイン項目」
- 起動時に自動で開くアプリをチェック
- 不要なアプリを「−」ボタンで削除
注意が必要なアプリ
以下のようなアプリは、スリープ中でも動作を続けやすいので注意が必要です。
動画・音楽配信アプリ
- Netflix、YouTube、Spotify など
- 一時停止していても、バックグラウンドで通信を続ける場合がある
仮想マシンソフト
- VMware Fusion、Parallels Desktop など
- Windows が動いている場合、スリープが効かないことがある
開発・クリエイティブソフト
- Xcode、Android Studio、Adobe Creative Suite など
- コンパイル処理やレンダリングが続いている場合がある
原因2:外部デバイスがスリープを妨げる

どんなデバイスが問題になるか
USB接続デバイス
- 外付けハードディスク
- USBハブ
- プリンター
- Webカメラ
- ゲームコントローラー
Bluetooth デバイス
- マウス、キーボード
- ヘッドフォン、スピーカー
- ゲームコントローラー
- スマートウォッチ
ネットワークデバイス
- NAS(ネットワーク接続ストレージ)
- プリンター
- スマートホーム機器
具体的な対処法
USB デバイスの管理
使わないデバイスを取り外す スリープする前に、必要のないUSBデバイスをすべて取り外しましょう。特に以下のデバイスは注意が必要です。
- 外付けハードディスク(使用後は安全な取り外しを実行)
- USBハブ(たくさんのデバイスを接続している場合)
- 充電中のスマートフォンやタブレット
USB電源設定の変更
- 「システム設定」→「バッテリー」→「オプション」
- 「USB アクセサリへの電源供給を停止」にチェック
Bluetooth デバイスの設定
スリープ解除を防ぐ設定
- 「システム設定」→「Bluetooth」
- 問題のあるデバイスの「i」ボタンをクリック
- 「このデバイスでMacのスリープを解除することを許可」のチェックを外す
Bluetooth を完全に無効にする(一時的)
- メニューバーのBluetoothアイコンをクリック
- 「Bluetooth を切にする」を選択
ネットワーク機器の影響を減らす
Wake on LAN を無効にする
- 「システム設定」→「ネットワーク」
- 使用している接続方法を選択
- 「詳細」→「ハードウェア」
- 「Wake on LAN」のチェックを外す
原因3:暴走しているアプリケーション

アプリが暴走する理由
- メモリリークの発生
アプリが使用したメモリを正しく解放せず、だんだんメモリを消費し続ける状態です。 - 無限ループの発生
プログラムのバグで、同じ処理を永遠に繰り返してしまう状態です。 - ファイルアクセスの問題
壊れたファイルを読み込もうとして、エラーを繰り返している状態です。 - ネットワーク接続の問題
サーバーに接続できずに、何度も再試行を繰り返している状態です。
問題のあるアプリを見つける方法
アクティビティモニタでの詳しいチェック
- 「アクティビティモニタ」を開く
- 「CPU」タブで「%CPU」の列をクリックして降順に並べ替え
- 以下の数値に注意
警戒すべき数値
- CPU使用率が継続的に30%以上
- メモリ使用量が1GB以上(大型アプリ以外)
- エネルギー影響が「高」
問題のあるアプリの強制終了
安全な強制終了の手順
- アクティビティモニタで問題のアプリを選択
- 「×」ボタンをクリック
- 「強制終了」を選択
キーボードショートカットでの強制終了
Command + Option + Esc
を押す- 問題のアプリを選択
- 「強制終了」をクリック
よく問題を起こすアプリの種類
ウェブブラウザ
- Safari、Chrome、Firefox など
- タブを開きすぎている場合に特に問題になりやすい
Adobe Creative Suite
- Photoshop、Illustrator、Premiere Pro など
- 大きなファイルを扱った後に問題が起きやすい
Microsoft Office
- Word、Excel、PowerPoint など
- 自動保存機能が暴走する場合がある
ゲームアプリ
- Steam、Epic Games Launcher など
- バックグラウンドでアップデートを続ける場合がある
原因4:macOSやハードウェアの不具合

システムレベルの問題
macOS の不具合
- アップデート後の互換性問題
- システムファイルの破損
- ドライバーの問題
ハードウェアの故障
- ファンの動作不良
- 温度センサーの故障
- 電源管理チップ(SMC)の問題
システムのリセット方法
PRAM/NVRAM リセット
実行手順
- Mac の電源を切る
- 電源ボタンを押してすぐに
Command + Option + P + R
を押し続ける - 20秒ほど経ったらキーを離す
- Mac が正常に起動することを確認
リセットされる設定
- 音量設定
- 画面解像度
- 起動ディスクの選択
- 時間帯設定
SMC(システム管理コントローラー)リセット
MacBook の場合
- Mac の電源を切る
- 電源ボタンを10秒間押し続ける
- ボタンを離して5秒待つ
- 電源ボタンを押して起動
外部キーボード使用時
- Mac の電源を切る
Shift + Control + Option
+ 電源ボタンを10秒間押し続ける- すべてのキーを離して電源ボタンを押して起動
macOS のアップデート
安全なアップデート手順
- 重要なデータをバックアップ
- Time Machine でフルバックアップ
- 重要ファイルを外部ストレージにコピー
- 十分な空き容量を確保
- 最低でも20GB以上の空き容量が必要
- 不要なファイルを削除またはクラウドに移動
- 電源アダプターを接続
- アップデート中の電池切れを防ぐ
- アップデートの実行
- 「システム設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」
- 表示されたアップデートを「今すぐ更新」
Apple サポートに相談する場合
以下のような症状が続く場合は、Apple サポートに相談することをおすすめします。
ハードウェア故障の可能性が高い症状
- リセットを試しても改善しない
- ファンが常に最大速度で回っている
- 異常に高温になる(60度以上)
- バッテリーが急速に消耗する
- 起動に時間がかかる
サポートに連絡する前の準備
- Mac のモデル名とシリアル番号
- macOS のバージョン
- 問題が起きるようになった時期
- 試した対処法のリスト
今すぐできる予防策

日常的なメンテナンス
定期的な再起動
推奨頻度
- 週に1〜2回は完全に再起動
- アップデート後は必ず再起動
- 動作が重くなったと感じたら再起動
正しい再起動の方法
- すべてのアプリを正常に終了
- 「Apple メニュー」→「再起動」
- 開いている書類を保存するか確認
- 完全に起動するまで待つ
不要なファイルの整理
削除すべきファイル
- ダウンロードフォルダの古いファイル
- ゴミ箱の中身
- 古いスクリーンショット
- 使わなくなったアプリ
おすすめの整理アプリ
- CleanMyMac X(有料)
- DaisyDisk(有料)
- AppCleaner(無料)
ストレージ容量の管理
空き容量の確認
- 「Apple メニュー」→「このMacについて」
- 「ストレージ」タブで使用状況を確認
- 各カテゴリーの使用量をチェック
推奨空き容量
- SSDの容量の20%以上を空けておく
- 最低でも10GB以上の空きを維持
スリープ前のチェックリスト
毎回のスリープ前
- [ ] 使わないアプリを終了
- [ ] 外部デバイスを取り外し
- [ ] ファンの音が止まっているか確認
- [ ] 充電が必要なら電源アダプターを接続
外出前の特別チェック
- [ ] バッテリー残量を確認(80%以上推奨)
- [ ] 重いファイルのダウンロードが完了しているか確認
- [ ] Time Machine バックアップが動いていないか確認
- [ ] 本体が室温程度まで冷えているか確認
環境面での注意点
適切な保管方法
バッグに入れるとき
- 通気性の良いケースを使用
- 他の機器や書類で圧迫しない
- 直射日光の当たる場所に置かない
デスク周りの環境
- 通気口を塞がない
- 布団やクッションの上に置かない
- エアコンの風が直接当たらない場所に設置
トラブルが起きたときの応急処置

異常に熱くなっている場合
即座に行うべき対応
- すぐに電源を切る
- シャットダウン。出来れなければ電源ボタンを10秒間長押しして強制終了
- 決して蓋を閉じただけで済ませない
- 冷却する
- 風通しの良い場所に置く
- 冷房の効いた部屋に移動
- 扇風機で風を当てる(直接ではなく周辺に)
- 電源アダプターを外す
- 追加の熱源を除去
- バッテリーの温度上昇を防ぐ
やってはいけないこと
- 冷蔵庫や冷凍庫に入れる(結露の危険)
- 濡れタオルで直接冷やす(水分が入る危険)
- ドライヤーの冷風を直接当てる(静電気の危険)
バッテリーに異常がある場合
警戒すべき症状
- バッテリーが膨らんでいる
- トラックパッドが浮いている
- キーボードが盛り上がっている
- 本体に隙間ができている
対応方法
- 即座に使用を中止
- 電源アダプターを外す
- Apple Store または正規サービスプロバイダーに連絡
- 自分で分解しようとしない
余談:投稿主の場合
余談ですが、私もスリープしてたのにすっごくMacが熱いってことがありました。
色々試してみたんですが、原因はパワーナップと音楽アプリでした。
それでパワーナップを無効化し、音楽アプリは閉じて、スマホから音楽を流すようにしたら改善しました。
Macで音楽を聴く方は注意してみてください。
まとめ:大切なMacを長く使うために
Macがスリープ中に熱くなる問題は、多くの場合、適切な対処で解決できます。重要なのは、問題を放置せずに早めに対応することです。
今日からできること
すぐに実行できる対策
- Power Nap機能を無効にする
- 不要な外部デバイスを取り外す
- アクティビティモニタで問題のあるアプリをチェック
- 定期的な再起動を習慣にする
定期的に行うメンテナンス
- 週1回のファイル整理
- 月1回のシステム全体チェック
- 四半期ごとのクリーンアップ
- 年1回のプロフェッショナル診断
長期的なMacの健康管理
バッテリー寿命を延ばすコツ
- 0%まで放電させない
- 100%で充電を続けない
- 高温環境での使用を避ける
- 長期間使わない場合は50%程度で保管
パフォーマンスを維持する方法
- 不要なアプリは定期的にアンインストール
- ストレージの空き容量を20%以上キープ
- macOS は定期的にアップデート
- 物理的な掃除も定期的に実行
いつサポートに相談すべきか
- 自分で試した対処法が効果なし
- ハードウェア故障の疑いがある
- 保証期間内で異常な症状が続く
- データの安全性に不安がある
Macは適切にメンテナンスすれば、長年にわたって快適に使い続けることができます。
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