Macの電源を入れたら、りんごマークが表示されて、また消えて、またりんごマーク…。こんな「再起動ループ」に陥って焦った経験はありませんか?
大切な仕事のデータが入っているのに、Macが正常に起動しない。そんな状況は本当に困りますよね。
でも、安心してください。再起動ループには原因があり、多くの場合は自分で解決できる方法があるんです。この記事では、Mac特有のトラブルシューティング方法を、初心者の方にも分かりやすく、段階的に解説していきます。
焦らず、順番に試していけば、きっとMacは復活しますよ。
再起動ループとは?症状を確認しよう

まず、あなたのMacがどんな状態なのか確認しましょう。
典型的な症状
起動時のループ
- 電源ボタンを押す
- Appleロゴ(りんごマーク)が表示される
- 進捗バーが少し進む、または全く進まない
- 突然画面が消える
- また最初からAppleロゴが表示される
- これが延々と繰り返される
カーネルパニック
画面に複数言語で「コンピュータを再起動する必要があります」というメッセージが表示されることもあります。これは「カーネルパニック」と呼ばれる深刻なエラーです。
音や動作の確認
起動音
正常な起動音(ジャーン)が鳴りますか?音が鳴らない、または異音がする場合は、ハードウェアの問題かもしれません。
ファンの音
ファンが異常に高速で回り続けていませんか?これも重要な手がかりです。
画面の明るさ
画面がまったく映らないのか、うっすら何か見えるのか。これによって原因が絞り込めます。
再起動ループの主な原因
なぜ再起動ループが起きるのでしょうか。
ソフトウェア的な原因
macOSアップデートの失敗
最も多い原因です。アップデート中に電源が切れたり、不完全なインストールになったりすると起こります。
システムファイルの破損
重要なシステムファイルが壊れると、macOSが正常に起動できなくなります。
互換性のないアプリケーション
古いアプリや、macOSとの互換性がないソフトウェアが原因になることがあります。
ディスクエラー
起動ディスクにエラーがあると、読み込みに失敗して再起動を繰り返します。
ハードウェア的な原因
RAMの問題
メモリ(RAM)が故障していたり、しっかり装着されていなかったりする場合。
ストレージの故障
ハードディスクやSSDが物理的に壊れている可能性。
過熱
内部に埃が溜まって冷却が不十分になり、保護のために再起動を繰り返すケース。
電源関連
バッテリーやSMC(システム管理コントローラー)の問題。
最初に試すべき基本対処法
いきなり難しい作業をする前に、簡単な方法から試しましょう。
外部機器をすべて取り外す
手順:
- Macの電源を完全に切る
- すべての外部機器を取り外す
- USB機器
- 外付けハードディスク
- プリンター
- SDカード
- 外部ディスプレイ
- 電源ケーブルだけ接続して起動してみる
理由:
外部機器との相性問題や、外部機器から起動しようとしてエラーになっている可能性があります。
電源の完全リセット
デスクトップMacの場合:
- 電源ボタンで終了(または強制終了)
- 電源ケーブルを抜く
- 15秒待つ
- 電源ケーブルを接続し直す
- さらに5秒待つ
- 電源を入れる
ノートMacの場合:
- 完全に終了させる
- MacBook本体を閉じる
- 30秒待つ
- 開いて電源を入れる
セーフモード起動:問題を切り分ける
セーフモードは、最小限の機能だけでmacOSを起動する特別なモードです。
セーフモードとは?
セーフモードの特徴:
- 必要最小限のシステムファイルだけで起動
- ログイン項目(自動起動アプリ)を無効化
- フォントキャッシュやカーネルキャッシュをクリア
- ディスクの簡易チェックと修復を自動実行
セーフモードで起動できれば、問題はソフトウェアにあると判断できます。
セーフモードの起動方法
Intel Macの場合:
- Macの電源を入れる
- すぐにShiftキーを押し続ける
- Appleロゴが表示されたらShiftキーを離す
- ログイン画面の右上に「セーフブート」と表示される
Apple Silicon(M1/M2/M3)Macの場合:
- Macの電源を完全に切る
- 電源ボタンを長押しする
- 「起動オプションを読み込み中」と表示されるまで押し続ける
- 起動ディスクを選択
- Shiftキーを押しながら「セーフモードで続ける」をクリック
セーフモードで起動できた場合
おめでとうございます!問題はソフトウェアにある可能性が高いです。
次のステップ:
- 重要なデータをバックアップ
- ディスクユーティリティでディスクを修復(後述)
- 不要なログイン項目を削除
- 問題のありそうなアプリをアンインストール
- 通常モードで再起動してみる
セーフモードでも起動しない場合
より深刻な問題の可能性があります。次の対処法に進みましょう。
ディスクユーティリティで修復

ディスクにエラーがある場合、専用ツールで修復できることがあります。
macOS復元モードの起動
Intel Macの場合:
- Macの電源を入れる
- すぐにCommand(⌘)+ Rを同時に押し続ける
- Appleロゴまたは地球儀のアイコンが表示されたら離す
Apple Silicon Macの場合:
- Macの電源を完全に切る
- 電源ボタンを長押し
- 「オプションを読み込み中」と表示されたら離す
- 「オプション」を選択
ディスク修復の手順
復元モードが起動したら:
- 「ディスクユーティリティ」を選択
- 「続ける」をクリック
- 左側のサイドバーから起動ディスクを選択
- 通常「Macintosh HD」という名前
- 上部の「First Aid」ボタンをクリック
- 「実行」をクリック
処理時間:
ディスクのサイズにもよりますが、数分から数時間かかることがあります。
修復結果の確認
「操作が成功しました」と表示された場合:
ディスクは正常です。他の原因を探りましょう。
「ディスクを修復できませんでした」と表示された場合:
ディスクに深刻な問題があります。データ救出を優先し、専門業者への相談を検討してください。
NVRAM/PRAMリセット
NVRAM(エヌブイラム)には、起動に関する設定情報が保存されています。
NVRAMリセットの方法
Intel Macの場合:
- Macの電源を入れる
- すぐにOption + Command(⌘)+ P + Rを同時に押す
- 約20秒間押し続ける(起動音が2回鳴るまで、または2回目のAppleロゴが表示されるまで)
- キーを離す
Apple Silicon Macの場合:
NVRAMリセットは自動的に行われるため、手動での操作は不要です。
リセット後の確認事項
NVRAMリセット後、一部の設定が初期化されます。
再設定が必要な項目:
- 画面解像度
- 音量設定
- 起動ディスクの選択
- タイムゾーン
SMCリセット
SMC(システム管理コントローラー)は、電源管理を担当しています。
SMCリセットの方法
ノートMac(バッテリー取り外し不可)の場合:
- Macをシステム終了
- Shift + Control + Option + 電源ボタンを10秒間押し続ける
- すべてのキーを離す
- 電源ボタンを押してMacを起動
デスクトップMacの場合:
- Macをシステム終了
- 電源ケーブルを抜く
- 15秒待つ
- 電源ケーブルを接続
- 5秒待つ
- 電源ボタンを押す
Apple Silicon Macの場合:
SMCがないため、この手順は不要です。代わりに、電源を完全に切って30秒待ってから再起動してください。
macOSの再インストール
他の方法で解決しない場合、macOSを再インストールする必要があるかもしれません。
再インストールの種類
上書きインストール
データを残したまま、macOSだけを再インストール。最も安全な方法です。
クリーンインストール
ディスクを完全に消去してから再インストール。最終手段です。
再インストールの手順
- macOS復元モードで起動(前述の方法)
- 「macOSを再インストール」を選択
- 「続ける」をクリック
- 指示に従ってインストールを進める
所要時間:
インターネット接続の速度により、1時間から数時間かかります。
注意点:
- 安定したインターネット接続が必要
- 電源が切れないようにする
- データのバックアップがあることを確認
データのバックアップと救出
再起動ループに陥っても、データは残っている可能性があります。
ターゲットディスクモードを使う
方法:
- 正常に動く別のMacを用意
- 両方のMacをThunderboltケーブルで接続
- 問題のあるMacの電源を入れる
- すぐにTキーを押し続ける
- 問題のあるMacが外付けディスクとして認識される
- 正常なMacからデータをコピー
外付けケースを使う
SSDやハードディスクを取り出せる場合:
- Macからストレージを取り出す
- 外付けケースに入れる
- 別のコンピュータに接続
- データを救出
注意:
Mac本体の開封は、保証対象外になる可能性があります。自信がない場合は専門業者に依頼しましょう。
ハードウェア診断を実行
ハードウェアに問題がないか確認できます。
Apple診断の起動方法
Intel Mac:
- すべての外部機器を取り外す
- Macの電源を入れる
- すぐにDキーを押し続ける
Apple Silicon Mac:
- Macの電源を完全に切る
- 電源ボタンを長押し
- 「オプション」が表示されたら、Command(⌘)+ Dを押す
診断結果の見方
「問題は見つかりませんでした」
ハードウェアは正常です。ソフトウェアの問題を疑いましょう。
参照コード(例:ADP000)が表示された場合
ハードウェアに問題がある可能性があります。コードをメモして、Appleサポートに連絡してください。
よくある再起動ループのパターンと対処法

特定の状況に応じた解決法を紹介します。
アップデート後の再起動ループ
対処法:
- セーフモードで起動
- システム設定から再度アップデートを試みる
- または、復元モードからmacOSを再インストール
特定のアプリインストール後
対処法:
- セーフモードで起動
- 問題のアプリをアンインストール
- 「アプリケーション」フォルダと「ライブラリ」フォルダから関連ファイルを削除
カーネルパニックのメッセージが出る
よくある原因:
- RAMの問題
- 互換性のないカーネル拡張(kext)
- ハードウェアの故障
対処法:
- 外部機器をすべて外す
- RAMを増設している場合は、元に戻す
- セーフモードで起動してみる
専門家に相談すべきタイミング
自分で対処できない場合は、無理をせず専門家に相談しましょう。
こんな時はAppleサポートへ
症状:
- 上記の方法をすべて試しても解決しない
- ハードウェア診断でエラーコードが出た
- 物理的な損傷や異音がある
- データが非常に重要で、絶対に失いたくない
連絡先
Apple公式サポート
- サポートウェブサイト:support.apple.com
- 電話サポート
- Apple Store直営店のGenius Bar(予約制)
データ復旧専門業者
ディスクが物理的に故障している場合、データ復旧サービスの利用も検討しましょう。費用はかかりますが、大切なデータを救える可能性があります。
予防策:再起動ループを防ぐには
トラブルを事前に防ぐための対策です。
定期的なバックアップ
Time Machineを活用
macOS標準のバックアップ機能。外付けハードディスクに自動バックアップできます。
- 外付けHDDを接続
- システム設定 > Time Machine
- バックアップディスクを選択
- 自動バックアップをオン
システムアップデートは慎重に
推奨手順:
- 重要なデータをバックアップ
- バッテリー残量を確認(80%以上推奨)
- 安定した電源環境で実行
- 時間に余裕がある時に行う
ディスクの空き容量を確保
ディスクがいっぱいだと、システムが不安定になります。
推奨:
最低でも10〜15%の空き容量を確保しましょう。
互換性のないソフトに注意
古いアプリケーションは、新しいmacOSとの互換性がないことがあります。
アプリをインストールする前に、macOSのバージョンに対応しているか確認しましょう。
まとめ:落ち着いて段階的に対処しよう
Mac の再起動ループは焦る状況ですが、多くの場合は解決できる問題です。
この記事のポイント:
- 再起動ループには様々な原因がある(ソフトウェア/ハードウェア)
- まずは外部機器を外し、電源リセットを試す
- セーフモードで起動できるか確認
- ディスクユーティリティでディスクを修復
- NVRAM/PRAMリセットとSMCリセットを実施
- 必要ならmacOSを再インストール
- データのバックアップを最優先に考える
- ハードウェア診断で物理的な問題をチェック
- 解決しない場合は専門家に相談
- 日頃からTime Machineでバックアップを取る
対処の基本原則:
- 簡単な方法から試す
- 各手順の後に正常起動を確認
- データの安全を最優先
- 分からない時は無理をしない
大切なデータを守りながら、焦らず一つずつ試していけば、きっとMacは復活します。この記事が、あなたのMac復旧の助けになれば幸いです!


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