Macを使っていて、
「大事なダウンロード中にスリープして中断されてしまった」
「プレゼン中に画面が消えて困った」
「長時間の作業中に何度もMacを起こすのが面倒」
といった経験はありませんか?
Macは電力節約のために、一定時間操作がないと自動的にスリープ(休眠状態)に入ります。
普段は便利な機能ですが、時には邪魔になることもありますよね。
この記事では、Mac初心者の方でも簡単にできる、スリープを防止する方法を複数ご紹介します。
システム設定の変更から専用アプリの活用まで、状況に応じて最適な方法を選べるよう詳しく解説します。
Macのスリープについて理解しよう
スリープとは?
スリープとは、Macが省電力モードに入ることです。
画面が暗くなり、ほとんどの動作が停止しますが、メモリの内容は保持されるため、キーボードやマウスを操作するとすぐに復帰できます。
スリープが起こるタイミング
自動スリープの条件:
- 一定時間(通常5-15分)操作がない
- バッテリー残量が少なくなった
- 手動でスリープを実行した
- スケジュール設定による自動スリープ
スリープのメリット・デメリット
メリット:
- バッテリーの節約:特にノートブックで重要
- ハードウェアの保護:過熱や消耗を防ぐ
- プライバシー保護:離席時の画面保護
デメリット:
- 作業の中断:ダウンロードや処理の停止
- 接続の切断:ネットワーク接続が切れることがある
- 復帰の手間:頻繁な復帰操作が必要
スリープを防止したい場面
よくある使用場面
長時間の作業:
- 大容量ファイルのダウンロード
- 動画の変換やレンダリング
- バックアップ作業
- データの同期作業
プレゼンテーション:
- 会議や講演中の画面表示
- 展示会やデモンストレーション
- 教育現場での授業
メディア再生:
- 映画や動画の連続視聴
- 音楽の長時間再生
- ライブストリーミングの視聴
リモートワーク:
- ビデオ会議中の画面維持
- 画面共有中の表示継続
- 在席表示の維持
方法1: システム設定でスリープを制御する(基本設定)
最も基本的で安全な方法です。システム全体のスリープ設定を変更します。
macOS Ventura以降の設定方法
ステップ1: システム設定を開く
- 画面左上のAppleメニュー → 「システム設定」
ステップ2: バッテリー設定に移動
- 左側のメニューから**「バッテリー」**をクリック
ステップ3: 電源アダプタの設定
- **「電源アダプタ」**をクリック
- 「電源アダプタ接続時」の設定画面が表示される
ステップ4: スリープ設定を変更
- 「次の時間以降ディスプレイをオフにする」:画面のスリープ時間
- 「次の時間以降Macをスリープさせる」:システムのスリープ時間
- それぞれを**「しない」**に設定するか、十分長い時間に設定
macOS Monterey以前の設定方法
ステップ1: システム環境設定を開く
- Appleメニュー → 「システム環境設定」
ステップ2: 省エネルギー設定
- **「省エネルギー」または「バッテリー」**アイコンをクリック
ステップ3: 電源アダプタタブを選択
- **「電源アダプタ」**タブをクリック
ステップ4: スリープ設定を調整
- **「コンピュータのスリープ」スライダーを「しない」**に設定
- **「ディスプレイのスリープ」**も必要に応じて調整
バッテリー駆動時の設定
注意点: バッテリー駆動時にスリープを無効にすると、バッテリーが急速に消耗します。
推奨設定:
- 電源アダプタ接続時:スリープを無効または長時間に設定
- バッテリー駆動時:適度なスリープ時間を設定(10-30分程度)
方法2: ターミナルコマンドで一時的にスリープ防止
プログラマーやパワーユーザーに人気の方法です。柔軟で細かい制御が可能です。
caffeinateコマンドの基本
caffeinateとは:
- macOSに標準で搭載されているコマンド
- 「カフェイン」のように眠気を覚ます効果から命名
- 一時的にスリープを防止する機能
基本的な使用方法
ステップ1: ターミナルを開く
- Spotlight検索(Cmd + Space)で「ターミナル」と入力
- ターミナル.appを選択
ステップ2: 基本コマンドを実行
caffeinate
ステップ3: 動作確認
- コマンド実行中はMacがスリープしなくなる
- ターミナルを閉じるかCtrl+Cで停止
caffeinateの詳細オプション
システム全体のスリープを防止:
caffeinate -s
ディスプレイのスリープのみ防止:
caffeinate -d
時間指定でスリープ防止:
caffeinate -t 3600
# 3600秒(1時間)スリープを防止
特定のプロセスが終了するまで防止:
caffeinate -w 1234
# プロセスID 1234が終了するまで防止
アプリケーションと一緒に実行:
caffeinate -i make
# makeコマンドの実行中はスリープを防止
実用的な使用例
大容量ファイルのダウンロード:
caffeinate -d curl -O https://example.com/largefile.zip
長時間の動画変換:
caffeinate ffmpeg -i input.mp4 output.mp4
バックアップ作業:
caffeinate -s rsync -av /source/ /destination/
方法3: 専用アプリケーションを使う
より使いやすいGUIでスリープを制御したい場合におすすめです。
Amphetamine(おすすめ無料アプリ)
特徴:
- App Storeから無料でダウンロード可能
- 豊富な設定オプション
- メニューバーから簡単操作
- 時間指定、条件指定が可能
インストール方法:
- App Storeを開く
- 「Amphetamine」で検索
- **「入手」**をクリックしてインストール
基本的な使い方:
- アプリを起動すると、メニューバーにアイコンが表示
- アイコンをクリックして**「Start Session」**
- スリープ防止が開始される
- 再度クリックして**「End Session」**で終了
高度な設定:
- 時間指定:1時間、2時間、無制限など
- 条件指定:特定のアプリが動いている間のみ
- 画面設定:ディスプレイのスリープは許可
- スケジュール:定期的な自動実行
KeepingYouAwake(シンプル無料アプリ)
特徴:
- 非常にシンプルで軽量
- GitHubでオープンソース公開
- 余計な機能がない分、動作が軽い
ダウンロード方法:
- ブラウザで「KeepingYouAwake GitHub」を検索
- 公式GitHubページからダウンロード
- アプリケーションフォルダにコピー
使用方法:
- アプリを起動
- メニューバーのアイコンをクリック
- 起動中はスリープが防止される
Theine(高機能有料アプリ)
特徴:
- より細かい制御が可能
- プロファイル機能で複数の設定を保存
- 統計機能でスリープ防止時間を記録
価格:
- App Storeで数百円程度
方法4: ディスプレイのみのスリープ制御
システム自体は動作させつつ、画面だけをスリープさせたい場合の設定です。
用途と利点
適用場面:
- 音楽再生中の画面節電
- バックグラウンド処理中の画面保護
- サーバー的な用途での使用
利点:
- 処理は継続、画面だけ節電
- バッテリーの適度な節約
- プライバシーの保護
設定方法
システム設定での調整:
- システム設定 → バッテリー
- 「次の時間以降ディスプレイをオフにする」:短時間(5-15分)
- 「次の時間以降Macをスリープさせる」:「しない」
ホットコーナーの活用:
- システム設定 → デスクトップとDock
- **「ホットコーナー」**をクリック
- 任意の角に**「ディスプレイをスリープさせる」**を設定
- マウスを角に移動させると即座に画面がスリープ
状況別の使い分けガイド
短時間の作業(1-2時間)
おすすめ方法:
- Amphetamineで時間指定
- またはcaffeinate -t 7200(2時間)
理由:
- 設定が簡単
- 時間が来れば自動で元に戻る
- バッテリーへの影響を最小限に抑制
長時間の作業(半日以上)
おすすめ方法:
- システム設定でスリープ時間を長時間に設定
- caffeinate -sをバックグラウンドで実行
注意点:
- 電源アダプタの接続を確認
- 定期的な休憩で熱対策
プレゼンテーション
おすすめ方法:
- Amphetamineの**「プレゼンテーションモード」**
- またはcaffeinate -dでディスプレイスリープのみ防止
追加設定:
- 通知をオフにする
- ホットコーナーで緊急時の画面スリープ
ダウンロード・アップロード
おすすめ方法:
caffeinate -i curl -O https://example.com/file.zip
- 処理と連動したスリープ防止
- 処理完了と同時に制御終了
よくある問題と解決法
問題1: 設定したのにスリープしてしまう
原因と対策:
他のアプリによる制御:
- スリープ防止アプリが複数動いていないか確認
- アプリ同士の競合を避ける
システムの強制スリープ:
- バッテリー残量が極端に少ない場合は強制スリープ
- 電源アダプタを接続
省エネルギー設定の確認:
- 他の省エネルギー機能がオンになっていないか確認
- 「電源ナップ」などの設定も確認
問題2: バッテリーの減りが早い
対策:
画面の明度を下げる:
- F1キーまたは輝度調整で明度を下げる
- 自動調整機能を活用
不要なアプリを終了:
- アクティビティモニタで重いプロセスを確認
- 不要なバックグラウンドアプリを終了
ディスプレイのみスリープ:
- システムは起動、画面のみスリープに設定
- ホットコーナーで手動画面スリープ
問題3: caffeinateコマンドが効かない
確認事項:
コマンドの実行状態:
ps aux | grep caffeinate
- caffeinateプロセスが動いているか確認
オプションの確認:
caffeinate -s
# システム全体のスリープ防止を明示的に指定
管理者権限:
sudo caffeinate -s
- 必要に応じて管理者権限で実行
問題4: アプリが動作しない
Amphetamineの問題:
- App Storeから最新版を再インストール
- macOSとの互換性を確認
権限の問題:
- システム設定 → プライバシーとセキュリティ
- 「アクセシビリティ」でアプリの権限を確認
セキュリティとプライバシーへの配慮
離席時の注意
自動ロック機能の併用:
- システム設定 → プライバシーとセキュリティ
- **「画面をロックするまでの時間」**を短時間に設定
- スリープは防止、ロックは有効にする
ホットコーナーの活用:
- 角にマウスを移動で即座にロック
- 緊急時のプライバシー保護
企業環境での使用
ポリシーの確認:
- 会社のセキュリティポリシーを確認
- IT部門の許可を得る
監視ソフトとの競合:
- 企業の監視ソフトがスリープを制御している場合がある
- IT部門に相談して適切な設定を確認
パフォーマンスと熱管理
長時間起動時の注意点
熱対策:
- 通気の良い場所で使用
- ラップトップスタンドの使用
- 定期的な休憩で冷却時間を確保
パフォーマンス監視:
- アクティビティモニタでCPU使用率を確認
- 重いプロセスが動いている場合は注意
最適化のコツ
必要最小限の防止:
- 全システムではなく、必要な機能のみ防止
- 時間指定で自動解除
定期的な再起動:
- 週に1-2回は完全な再起動を実行
- メモリリークやシステムの最適化
まとめ
Macのスリープ防止は、用途や状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。
方法の使い分け
用途 | おすすめ方法 | 設定の複雑さ |
---|---|---|
日常的な長時間作業 | システム設定の変更 | 簡単 |
一時的なスリープ防止 | caffeinate コマンド | 中級 |
頻繁な切り替え | Amphetamine アプリ | 簡単 |
プレゼンテーション | 専用アプリ + ホットコーナー | 簡単 |
覚えておきたいポイント
- バッテリー消費の注意:電源アダプタ接続時の使用を推奨
- セキュリティ対策:自動ロック機能との併用
- 熱管理:長時間使用時の通気と冷却
- 元に戻す方法:設定変更後の復旧方法も把握
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