「Macを使いすぎて、気づいたら夜中まで作業していた…」
macOSには、スクリーンタイムという機能があり、その中の「休止時間(Downtime)」を設定することで、特定の時間帯にアプリの使用を制限できます。
仕事とプライベートのメリハリをつけたり、夜間のデジタルデトックスを促したりと、健康的なデジタルライフを送るための便利な機能です。
この記事では、Macのスクリーンタイムと休止時間機能の使い方を、詳しく解説していきます。
スクリーンタイムとは

まず、macOSのスクリーンタイム機能について理解しておきましょう。
スクリーンタイムの定義
スクリーンタイム(Screen Time)は、macOS Catalina(10.15)以降に搭載された機能で、デバイスの使用状況を把握し、管理できる機能です。
もともとiOSで導入された機能が、Macにも搭載されました。
簡単に言うと
スクリーンタイムは、「Macをどれだけ使っているか」を可視化し、使いすぎを防ぐための機能です。
身近な例え:
健康管理アプリが歩数や消費カロリーを記録するように、スクリーンタイムはMacの使用時間やアプリの利用状況を記録します。
スクリーンタイムでできること
主な機能:
- 使用状況レポート:どのアプリをどれだけ使ったか確認
- App使用時間の制限:特定のアプリの使用時間を制限
- 休止時間:指定した時間帯にアプリの使用を制限
- 常に許可:休止時間でも使えるアプリを指定
- コミュニケーションの制限:連絡先の制限(主にiOS向け)
- コンテンツとプライバシーの制限:不適切なコンテンツのブロック
休止時間(Downtime)とは
スクリーンタイムの中でも、特に重要な「休止時間」機能について詳しく解説します。
休止時間の定義
休止時間(Downtime)は、指定した時間帯に、ほとんどのアプリの使用を制限する機能です。
目的:
- 就寝前のデジタルデトックス
- 仕事とプライベートの区切り
- 家族との時間を確保
- 集中したい時間の確保
どんな制限がかかる?
休止時間中は、以下のような制限がかかります:
制限されること:
- 許可していないアプリが使えなくなる
- 通知が制限される(重要な通知のみ)
- アプリアイコンがグレーアウト表示
制限されないこと:
- 「常に許可」に設定したアプリは使える
- 電話や緊急連絡は受けられる(iPhone連携の場合)
- システム設定やFinder(ファイル管理)は通常通り使える
集中モード(Focus)との違い
macOSには「集中モード」という似た機能もあります。
休止時間:
- 特定の時間帯にアプリ使用を制限
- デジタルデトックス目的
- 長期的な習慣作り
集中モード:
- 必要な時にすぐオン/オフできる
- 通知の制限が中心
- 仕事中、睡眠中など状況に応じて切り替え
両方を併用することで、より効果的にデジタル環境を管理できます。
休止時間の設定方法
Macで休止時間を設定する手順を詳しく解説します。
手順1:スクリーンタイム設定を開く
手順:
- 画面左上のAppleメニュー()をクリック
- 「システム設定」(または「システム環境設定」)を選択
- サイドバーから「スクリーンタイム」をクリック
手順2:休止時間をオンにする
手順:
- スクリーンタイム画面で「休止時間」をクリック
- 「休止時間」のトグルスイッチをオンにする
- 休止時間の設定画面が表示される
手順3:時間帯を設定
毎日同じ時間に設定する場合:
- 「毎日」を選択
- 開始時刻と終了時刻を設定(例:22:00~翌7:00)
曜日ごとに異なる時間を設定する場合:
- 「曜日別にカスタマイズ」を選択
- 各曜日ごとに開始・終了時刻を設定
- 例:
- 平日:22:00~翌6:00
- 週末:23:00~翌8:00
手順4:休止時間終了前の通知設定
オプション設定:
- 「休止時間の終了5分前に通知」にチェックを入れると、休止時間が終わる前に通知が届きます
- 作業の切り上げ時間を把握するのに便利
手順5:設定を保存
すべての設定が完了したら、ウィンドウを閉じるだけで自動的に保存されます。
常に許可するアプリの設定

休止時間中でも使えるアプリを指定できます。
「常に許可」の設定方法
手順:
- スクリーンタイム設定で「常に許可」をクリック
- 「連絡先」と「App」の2つのセクションがある
Appセクション:
- 休止時間中も使いたいアプリの横にある「+」ボタンをクリック
- または、リストからアプリを選択して追加
どのアプリを許可すべき?
推奨する許可アプリ:
- メール:緊急の連絡を確認するため
- カレンダー:予定を確認するため
- メモ:アイデアをメモするため
- リマインダー:翌日のタスクを確認するため
- 電話(FaceTimeなど):緊急連絡用
許可しない方が良いアプリ:
- SNSアプリ(Twitter、Instagram、Facebookなど)
- 動画サービス(YouTube、Netflixなど)
- ゲーム
- ブラウザ(SafariやChromeなど)
休止時間の目的に応じて、柔軟に設定しましょう。
App使用時間の制限
特定のアプリの1日の使用時間を制限する機能です。
設定方法
手順:
- スクリーンタイム設定で「App使用時間の制限」をクリック
- 「制限を追加」をクリック
- 制限したいアプリのカテゴリーまたは個別アプリを選択
- 1日あたりの使用時間を設定(例:1時間)
- 「追加」をクリック
カテゴリー別の制限
アプリを個別ではなく、カテゴリーごとに制限できます。
主なカテゴリー:
- ソーシャルネットワーキング:SNSアプリ全般
- エンターテインメント:動画、音楽、ゲームなど
- クリエイティビティ:写真編集、動画編集など
- 仕事効率化:メール、カレンダー、文書作成など
- その他:上記以外のアプリ
例えば、「エンターテインメント」カテゴリーを1日2時間に制限すれば、YouTubeやNetflixなどの合計使用時間が2時間に制限されます。
制限時間に達したら
制限時間に達すると、以下のようになります:
- アプリアイコンに砂時計マークが表示される
- アプリを開くと「使用制限時間」の画面が表示される
- 「制限を無視」を選択すれば、15分間または今日一日使用可能
自制心を促す仕組み:
完全にブロックするのではなく、「本当に必要?」と自問させる設計になっています。
使用状況レポートの確認
自分がMacをどれだけ使っているか確認できます。
レポートの見方
手順:
- スクリーンタイム設定を開く
- 画面上部に使用状況のグラフが表示される
確認できる情報:
- 1日の平均使用時間
- 最もよく使うアプリ(トップ10)
- カテゴリー別の使用時間
- 通知の回数
- デバイスを手に取った回数(iOSデバイスの場合)
期間の切り替え
表示期間:
- 今日
- 過去7日間
過去1週間のデータを見ることで、使用パターンを把握できます。
レポートの活用方法
気づきを得る:
- 「思った以上にSNSを使っている」
- 「週末は使用時間が増える」
- 「夜遅くまで作業している」
このような気づきから、休止時間や使用制限の設定を見直せます。
Apple IDでの同期
iPhoneやiPadと使用状況を共有できます。
デバイス間での同期
同じApple IDでサインインしている全デバイスで、スクリーンタイムのデータが同期されます。
同期される情報:
- 使用時間レポート
- 休止時間の設定
- App使用時間の制限
- 常に許可の設定
ファミリー共有との連携
家族のデバイス(子供のiPhoneなど)のスクリーンタイムを管理することもできます。
保護者向け機能:
- 子供のデバイスの使用状況を確認
- 休止時間を遠隔設定
- App使用時間を制限
- 承認なしでアプリをインストールできないようにする
休止時間を一時的に解除する方法
「今日だけは夜遅くまで作業したい」という場合の対処法です。
方法1:設定から無効化
手順:
- システム設定→スクリーンタイム
- 「休止時間」をオフにする
- 作業完了後、再度オンにする
方法2:「1日制限を無視」を選択
休止時間中にアプリを開こうとすると、「制限を無視」のオプションが表示されます。
選択肢:
- 15分後に再通知:15分間だけ使える
- 今日は制限を無視:今日いっぱい使える
- キャンセル:アプリを開かない
注意:
頻繁に「制限を無視」を使うと、休止時間の効果が薄れるため、本当に必要な時だけにしましょう。
効果的な休止時間の活用方法

休止時間を最大限に活用するためのコツです。
活用法1:就寝前のデジタルデトックス
設定例:
- 休止時間:22:00~翌7:00
- 常に許可:電話、時計、メモのみ
効果:
- ブルーライトの影響を減らし、睡眠の質が向上
- SNSやニュースで不安になることを防ぐ
- リラックスした状態で就寝できる
活用法2:仕事時間とプライベートの区切り
設定例:
- 平日の休止時間:19:00~翌9:00
- 常に許可:個人的なメッセージアプリのみ
効果:
- 仕事のメールやSlackから離れられる
- 家族との時間を確保
- ワークライフバランスの改善
活用法3:集中時間の確保
設定例:
- 休止時間:9:00~12:00(午前中の集中タイム)
- 常に許可:仕事に必要な最低限のアプリのみ
効果:
- SNSなどの誘惑を排除
- ディープワークに集中
- 生産性の向上
活用法4:週末のデジタルデトックス
設定例:
- 土日の休止時間:終日または午後のみ
- 常に許可:カメラ、マップ、音楽など外出用アプリのみ
効果:
- 仕事のことを考えない時間を確保
- アウトドア活動や趣味に集中
- リフレッシュして週明けを迎えられる
トラブルシューティング
休止時間機能でよくある問題と解決法です。
問題1:休止時間が機能しない
症状:
設定しているのに、アプリが制限されない
原因と対処法:
原因1:スクリーンタイムが無効
- システム設定→スクリーンタイムで、機能が有効になっているか確認
原因2:そのアプリが「常に許可」に含まれている
- 「常に許可」の設定を確認し、不要なアプリを削除
原因3:システムの日付・時刻がずれている
- システム設定→「日付と時刻」で、自動設定を有効にする
問題2:「制限を無視」を頻繁に押してしまう
対処法:
スクリーンタイムパスコードを設定:
- スクリーンタイム設定で「オプション」をクリック
- 「スクリーンタイムパスコードを使用」を選択
- 4桁のパスコードを設定
- 「制限を無視」する際にパスコードが必要になる
これにより、無意識に制限を解除することを防げます。
注意:
パスコードを忘れると、Apple IDでの本人確認が必要になるため、覚えやすいものにしましょう。
問題3:通知が多すぎる・少なすぎる
対処法:
休止時間中の通知設定を調整:
- システム設定→「通知」
- アプリごとに通知設定を確認
- 「集中モード中は通知を許可」の設定を調整
よくある質問
Q. 休止時間中でも緊急連絡は受けられる?
A. はい、受けられます。
FaceTimeやメッセージアプリを「常に許可」に設定しておけば、休止時間中でも連絡を受け取れます。
また、iPhoneと連携している場合、緊急連絡(家族や特定の連絡先)は自動的に許可されます。
Q. 休止時間を設定すると、仕事のメールが見られない?
A. 設定次第です。
メールアプリを「常に許可」に設定すれば、休止時間中でも使えます。
ただし、仕事とプライベートを分けたい場合は、あえて制限するのも一つの方法です。
Q. 休止時間は強制力がある?
A. ある程度の強制力はありますが、完全ではありません。
「制限を無視」を選択すれば使えるため、完全なブロックではありません。
ただし、パスコードを設定することで、無意識的な使用を防ぐ効果があります。
Q. スクリーンタイムのデータは削除できる?
A. はい、削除できます。
- スクリーンタイム設定→「オプション」
- 「スクリーンタイムをオフにする」を選択
- すべてのデータが削除される
再度オンにすると、新しくデータの記録が始まります。
Q. 家族のMacの休止時間も管理できる?
A. ファミリー共有を使えば可能です。
子供のApple IDをファミリー共有に追加すれば、保護者のデバイスから子供の休止時間を管理できます。
ただし、大人のデバイスを遠隔管理することはできません。
まとめ:休止時間でデジタルウェルビーイングを実現
Macの休止時間(スクリーンタイム)機能を活用すれば、健康的なデジタルライフを送れます。
休止時間の要点:
- 指定した時間帯にアプリ使用を制限
- 就寝前のデジタルデトックスに最適
- 「常に許可」で必要なアプリは使える
- 完全なブロックではなく、自制心を促す仕組み
設定のポイント:
- 自分のライフスタイルに合わせた時間帯を設定
- 必要最低限のアプリを「常に許可」に追加
- パスコード設定で無意識の使用を防ぐ
- 使用状況レポートで振り返り
効果的な活用法:
- 就寝前のリラックスタイム確保
- 仕事とプライベートの明確な区切り
- 集中時間の確保で生産性向上
- 週末のデジタルデトックス
他の機能との併用:
- App使用時間の制限で特定アプリの使いすぎ防止
- 集中モードで一時的な通知制限
- ファミリー共有で子供のデバイス管理
デジタルツールは便利ですが、使いすぎは心身の健康に影響します。
この記事を参考に、Macの休止時間機能を活用して、バランスの取れたデジタルライフを送ってくださいね!
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