Mac(マック)を使っていると、動作が重くなったり、アプリが固まったりすることがあります。
そんなときに試したいのが「再起動」。でも、「どこからやるの?」「データは消えない?」など、意外と知らないことも多いですよね。
この記事では、Macの再起動の基本操作から、不具合解消の実例、さらにトラブル時の注意点まで、初心者でも分かるように詳しく解説します。
Macの再起動について基本を理解しよう

再起動とは何か?
再起動とは、一度Macの電源を完全に切って、再び立ち上げ直すことです。
これにより、メモリの整理や一時的なバグの解消が期待できます。
再起動で起こること
- メモリ(RAM)がすべてクリアされる
- 実行中のプログラムがすべて終了する
- システムファイルが再読み込みされる
- 一時ファイルやキャッシュが整理される
再起動とシャットダウンの違い
多くの人が混同しがちな「再起動」と「シャットダウン」の違いを確認しましょう:
項目 | 再起動 | シャットダウン |
---|---|---|
電源の状態 | 切れた後、自動で起動 | 切れたまま |
作業の継続 | 中断後、すぐに作業再開可能 | 手動で電源を入れる必要 |
効果 | メモリクリア+システム更新 | 省電力+完全停止 |
再起動が必要になる場面
日常的な場面
- 動作が全体的に重くなった
- アプリの反応が悪い
- 新しいソフトをインストールした後
- システムアップデート後
トラブル時
- アプリが応答しなくなった
- Wi-Fiやネットワークの接続が不安定
- 外付け機器が認識されない
- 画面表示がおかしい
Macを再起動する正しい方法

通常の再起動手順
基本の手順
- 作業中のファイルを保存(重要!)
- 画面左上の**Appleマーク(?)**をクリック
- メニューから「再起動…」を選択
- 確認ダイアログが表示される
- 「再起動」ボタンをクリック
確認ダイアログの設定
- **「ログイン時にウィンドウを再度開く」**のチェックを外すと、よりスッキリと再起動
- チェックを入れたままだと、再起動後に同じアプリやウィンドウが自動で開く
キーボードショートカットでの再起動
「control + command + 電源ボタン」
- より高速な再起動方法
- 確認ダイアログが表示される
- 「再起動」を選択して実行
注意点
- 保存していないデータは失われる可能性があります
- 必ず事前にファイルを保存してから実行
ターミナルからの再起動
上級者向けの方法
# すぐに再起動
sudo shutdown -r now
# 指定した時間後に再起動(例:5分後)
sudo shutdown -r +5
# 特定の時刻に再起動(例:午後3時30分)
sudo shutdown -r 1530
使用場面
- リモート操作時
- スクリプトでの自動化
- GUI が応答しない場合
再起動の種類と使い分け
通常の再起動(推奨)
特徴
- システムが正常に動作している時に使用
- すべてのアプリが正しく終了される
- データの保存が確実に行われる
手順
- すべての作業を保存
- Appleメニューから「再起動」
- 確認ダイアログで「再起動」をクリック
強制再起動(最終手段)
使用する場面
- Macが完全にフリーズして操作できない
- マウスカーソルも動かない
- キーボードが全く反応しない
- 画面が固まって変化しない
手順
- 電源ボタンを10秒以上長押し
- 画面が完全に消えるまで待つ
- 数秒待ってから電源ボタンを短く押す
- 起動を確認
注意点
- 保存していないデータは失われます
- ファイルが破損する可能性があります
- 連続して行うとハードディスクに負担
セーフモード再起動
セーフモードとは
- 最小限のシステムのみで起動する特別なモード
- 問題のあるソフトウェアを特定できる
- システムの基本的な修復が行われる
起動方法
Intel Macの場合
- Macの電源を切る
- 電源ボタンを押して、すぐにShiftキーを押し続ける
- Appleロゴが表示されたらShiftキーを離す
- 画面右上に「セーフブート」と表示される
Apple Silicon Mac(M1、M2、M3、M4)の場合
- Macの電源を切る
- 電源ボタンを10秒以上長押し
- 起動オプションが表示されたらShiftキーを押しながら「続ける」をクリック
セーフモードでできること
- システムの基本動作確認
- 問題のあるアプリの特定
- 一時ファイルの自動削除
- ディスクの基本チェック
再起動で解決できるMacの不具合

メモリ関連の問題
症状
- アプリの起動が異常に遅い
- 複数のアプリを開くと動作が重くなる
- 「メモリが不足しています」という警告が出る
なぜ再起動で解決するか
- メモリがすべてクリアされる
- 不要なプロセスが終了される
- メモリリークが解消される
例 Adobe PhotoshopやFinal Cut Proなどの重いアプリを長時間使用した後、他のアプリも含めて全体的に動作が重くなった場合。
ネットワーク接続の問題
症状
- Wi-Fiに接続できない
- インターネットの速度が極端に遅い
- 有線LANが認識されない
なぜ再起動で解決するか
- ネットワークドライバが再初期化される
- IPアドレスが再取得される
- ネットワーク設定がリフレッシュされる
例 ルーターを再起動した後、Macからインターネットに接続できなくなった場合。
アプリケーションの問題
症状
- 特定のアプリが起動しない
- アプリが頻繁にクラッシュする
- アプリの動作が不安定
なぜ再起動で解決するか
- アプリの一時ファイルがクリアされる
- システムリソースが解放される
- 競合していたプロセスが終了される
例 Safariでウェブページが正しく表示されない、Mailアプリでメールが同期されない場合。
システム更新後の問題
症状
- macOSアップデート後に動作が不安定
- 新機能が正しく動作しない
- 一部のアプリが古いバージョンのまま動作
なぜ再起動で解決するか
- システムファイルが完全に更新される
- 新しい設定が有効になる
- 更新されたドライバが読み込まれる
例 macOS Big SurからMontereyにアップデートした後、一部の機能が使えない場合。
外部機器の認識問題
症状
- USB機器が認識されない
- 外付けハードディスクがマウントされない
- プリンタが見つからない
なぜ再起動で解決するか
- USBポートドライバが再初期化される
- 機器の検出プロセスが再実行される
- 競合していたドライバが解除される
再起動前に必ずやるべき準備

データの保存確認
手動保存が必要なアプリ
- テキストエディタ:メモ帳、テキストエディット
- 画像編集ソフト:Photoshop、GIMP
- 動画編集ソフト:Final Cut Pro、iMovie
- プログラミング環境:Xcode、VS Code
自動保存されるアプリの確認
- Pages、Numbers、Keynote:iCloudで自動保存
- Safari:タブやブックマークは自動保存
- Mail:メールは自動で同期
実行中のプロセスの確認
アクティビティモニタでチェック
- 「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「アクティビティモニタ」
- CPUを大量に使用しているプロセスを確認
- 必要に応じて手動で終了
ターミナルでの確認
# 実行中のプロセス一覧
ps aux
# 特定のアプリのプロセス確認
ps aux | grep "アプリ名"
外部機器の安全な取り外し
手順
- Finderのサイドバーで外部機器を選択
- 「取り出し」ボタンをクリック
- 機器が一覧から消えたことを確認
- 物理的にケーブルを取り外し
対象機器
- 外付けハードディスク
- USBメモリ
- SDカード
- Time Machine用ドライブ
再起動で直らない時の対処法
システムの詳細診断
Console アプリでエラーログ確認
- 「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「Console」
- 再起動前後のエラーメッセージを確認
- 特定のアプリやプロセスで問題が起きていないかチェック
システム情報の確認
- Appleメニュー →「このMacについて」
- 「システムレポート」をクリック
- ハードウェアやソフトウェアの詳細を確認
アプリケーションの対処
個別アプリのリセット
- 問題のあるアプリを完全に終了
- 「~/Library/Preferences/」でアプリの設定ファイルを削除
- アプリを再起動して動作確認
アプリの再インストール
- アプリケーションフォルダから該当アプリを削除
- App Store または公式サイトから再ダウンロード
- 新規インストールして動作確認
システムレベルの対処
PRAM・NVRAMリセット(Intel Macのみ)
- Macの電源を切る
- 電源ボタンを押してすぐに「option + command + P + R」を押し続ける
- 起動音が2回鳴るまで(約20秒)キーを押し続ける
- キーを離して通常起動
SMCリセット
MacBook(T2チップ搭載)の場合
- Macの電源を切る
- 「shift + control + option」(左側)+ 電源ボタンを10秒間押し続ける
- すべてのキーを離す
- 電源ボタンを押して起動
デスクトップMac(iMac、Mac mini、Mac Pro)の場合
- 電源を切って電源ケーブルを15秒間抜く
- 電源ケーブルを接続し直す
- 5秒待ってから電源ボタンを押す
macOSの修復
ディスクユーティリティでの修復
- macOSリカバリーモードで起動
- Intel Mac:起動時に「command + R」
- Apple Silicon Mac:電源ボタン長押し→「オプション」
- 「ディスクユーティリティ」を選択
- 起動ディスクを選択して「First Aid」実行
macOSの再インストール
- リカバリーモードで起動
- 「macOSを再インストール」を選択
- 画面の指示に従ってインストール実行
- 個人データは保持される(但しバックアップ推奨)
定期的な再起動のすすめ

再起動の適切な頻度
推奨頻度
- 週に1〜2回:一般的な使用の場合
- 毎日:重い作業を頻繁に行う場合
- 月に数回:軽い作業のみの場合
長時間起動し続けることの問題
- メモリの断片化
- 一時ファイルの蓄積
- システムのパフォーマンス低下
- セキュリティアップデートが適用されない
自動再起動の設定
スケジュール再起動の設定
- 「システム設定」→「一般」→「起動ディスク」
- 「スケジュール」をクリック
- 「起動またはスリープ解除」と「シャットダウンまたはスリープ」を設定
エネルギーセーバーでの設定
- 深夜の時間帯に自動再起動
- 電力の節約と定期メンテナンスを両立
- 業務時間外の実行で作業に影響なし
メンテナンス用のスクリプト
定期実行スクリプトの例
#!/bin/bash
# 定期メンテナンススクリプト
echo "メンテナンス開始: $(date)"
# キャッシュのクリア
sudo rm -rf /System/Library/Caches/*
sudo rm -rf /Library/Caches/*
rm -rf ~/Library/Caches/*
# ログの整理
sudo rm -f /var/log/*.log
sudo rm -f /var/log/system.log.*
# 再起動の実行
echo "再起動を実行します"
sudo shutdown -r +1
トラブル時の注意点と安全対策
データ保護の重要性
バックアップの確認
- Time Machineが最新の状態か確認
- iCloudでの重要データの同期状況確認
- 外部ストレージへの手動バックアップ
クラウド同期の確認
- Dropbox、Google Drive、OneDriveの同期状況
- 未同期ファイルがないかチェック
- 同期エラーの解決
強制再起動の注意点
データ損失のリスク
- 保存していない作業は完全に失われる
- 進行中のダウンロードは中断される
- データベースファイルが破損する可能性
ハードウェアへの影響
- 頻繁な強制再起動はハードディスクに負担
- SSDの寿命に影響する可能性
- 電源回路への負荷
適切な使用頻度
- 強制再起動は月に1回以下に留める
- 通常の再起動を優先的に使用
- 根本的な問題解決を目指す
システム復旧の準備
起動可能な外部ドライブの作成
- 16GB以上のUSBドライブを用意
- 「macOS Big Sur インストーラ」などをダウンロード
- ターミナルで起動可能ドライブを作成
sudo /Applications/Install\ macOS\ Big\ Sur.app/Contents/Resources/createinstallmedia --volume /Volumes/MyVolume
重要なパスワードやライセンス情報の記録
- Apple ID のパスワード
- Wi-Fi のパスワード
- 有料ソフトのライセンスキー
- 重要なアカウント情報
よくある質問と回答

再起動に関するFAQ
Q: 再起動後にアプリが自動で開かないようにしたい
A: 再起動時の確認ダイアログで「ログイン時にウィンドウを再度開く」のチェックを外してください。または「システム設定」→「一般」→「ログイン項目」で調整できます。
Q: 再起動が完了するまでの時間はどのくらい?
A: 通常2〜5分程度です。SSD搭載機種の方が高速です。初回起動や大きなアップデート後は10分程度かかる場合もあります。
Q: 再起動中に電源が切れてしまった場合は?
A: 電源を入れ直して起動してください。ファイルシステムの修復が自動で実行される場合があります。問題があれば「ディスクユーティリティ」でチェックしましょう。
Q: 毎日再起動する必要はある?
A: 毎日は不要です。週に1〜2回程度で十分です。ただし、重い作業を行う場合は作業後の再起動をおすすめします。
トラブルシューティングFAQ
Q: 再起動ボタンが反応しない
A: 「option + command + esc」でアプリの強制終了を試し、それでも改善しない場合は電源ボタンでの強制再起動を実行してください。
Q: 再起動後に設定が元に戻ってしまう
A: システムファイルの権限に問題がある可能性があります。「ディスクユーティリティ」の「First Aid」を実行するか、ユーザーアカウントの再作成を検討してください。
Q: 特定のアプリを使うと必ず再起動が必要になる
A: そのアプリに問題がある可能性があります。アプリの再インストールまたは代替アプリの使用を検討してください。
まとめ
再起動の基本ルール
安全な再起動のために
- 必ず事前にデータを保存
- 通常の再起動を最優先
- 強制再起動は最終手段
- 定期的な実行でトラブル予防
効果的な活用方法
- 動作が重くなったら気軽に実行
- システムアップデート後は必ず実行
- 長時間の作業後はリフレッシュのために実行
- 外部機器の接続トラブル時に試す
Macライフを快適にするコツ
予防保全の考え方
- 問題が起きてから対処するより、定期的なメンテナンス
- 再起動は「お手入れ」の一環として捉える
- バックアップと組み合わせた安全な運用
トラブル時の冷静な対応
- まずは通常の再起動を試す
- データの保存状況を必ず確認
- 複数の解決策を段階的に試す
- 困ったときはAppleサポートに相談
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