PostgreSQL(ポストグレスキューエル)は、高機能・高性能・完全無料のリレーショナルデータベースです。
多くのWebサービスやアプリの裏側で使われており、世界中の開発者に愛用されています。
Macで開発やデータ管理をするなら、ローカルにPostgreSQLをインストールしておくととても便利です。
この記事では、初心者でも安心してできるように、Homebrewを使ったPostgreSQLのインストール手順と基本的な使い方をやさしく解説します。
PostgreSQLとは?なぜおすすめなのか

PostgreSQLの特徴
特徴 | 詳細 |
---|---|
完全無料 | オープンソースで商用利用も無料 |
高性能 | 大量のデータでも高速処理 |
高機能 | JSON、配列、地理情報などにも対応 |
安定性 | エンタープライズレベルの信頼性 |
標準準拠 | SQL標準にしっかり準拠 |
よく使われる場面
- Webアプリケーション開発
- データ分析・機械学習
- 業務システム開発
- プロトタイプ作成
- SQL学習・練習
ポイント: PostgreSQLは学習にも実業務にも使える、とても実用的なデータベースです。
事前準備|Homebrewをインストールしよう
Homebrewとは?
Homebrew(ホームブルー)は、Mac用のパッケージ管理システムです。
PostgreSQLだけでなく、Python、Node.js、MySQLなども簡単にインストールできます。
Homebrewがインストール済みかチェック
まず、ターミナルを開いて以下のコマンドを実行してください:
brew --version
バージョン情報が表示された場合: すでにインストール済みなので、次の章に進んでください。
「command not found」と表示された場合: Homebrewをインストールする必要があります。
Homebrewのインストール方法
ターミナルを開く:
- Spotlight検索(⌘ + Space)で「ターミナル」と入力
- または Finder → アプリケーション → ユーティリティ → ターミナル
インストールコマンドを実行:
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
処理の流れ:
- パスワードの入力を求められたら、Macのログインパスワードを入力
- 「Press RETURN to continue」と表示されたら Enterキーを押す
- インストールが自動で進行(数分かかります)
- 完了メッセージが表示されたら終了
Apple Siliconの場合の追加設定:
M1・M2・M3 Macの場合、以下のコマンドも実行してください:
echo 'eval "$(/opt/homebrew/bin/brew shellenv)"' >> ~/.zprofile
eval "$(/opt/homebrew/bin/brew shellenv)"
インストール確認:
brew --version
バージョン情報が表示されればインストール完了です!
ポイント: Homebrewがあれば、複雑な設定なしにPostgreSQLを簡単に導入できます。
PostgreSQLをHomebrewでインストール

インストールコマンド
ターミナルで以下のコマンドを実行してください:
brew install postgresql
処理の内容:
- 最新版のPostgreSQLを自動ダウンロード
- 必要な依存関係も自動インストール
- 基本設定も自動で完了
所要時間: ネット環境にもよりますが、通常3〜10分程度で完了します。
インストール確認
PostgreSQLのバージョンを確認:
postgres --version
出力例:
postgres (PostgreSQL) 16.1
インストール詳細情報を確認:
brew info postgresql
このコマンドで、インストール場所やサービス管理の方法も確認できます。
インストール時によくある問題と対処法
問題① 権限エラーが出る場合:
sudo chown -R $(whoami) /opt/homebrew/var/postgresql
問題② 古いバージョンが残っている場合:
brew uninstall postgresql
brew install postgresql
ポイント: コマンド1行で最新版のPostgreSQLが入ります。すぐに使える環境が整いました!
PostgreSQLを起動・停止する方法
サービスとしての起動(推奨)
起動:
brew services start postgresql
この方法の利点:
- Macの起動時に自動でPostgreSQLも立ち上がる
- バックグラウンドで常時動作
- 安定した動作が期待できる
停止:
brew services stop postgresql
再起動:
brew services restart postgresql
一時的な起動方法
開発時のテストなど、一時的に使いたい場合:
pg_ctl -D /opt/homebrew/var/postgresql start
停止:
pg_ctl -D /opt/homebrew/var/postgresql stop
注意: パスはPostgreSQLのバージョンによって異なる場合があります。
起動状態の確認
サービス状態の確認:
brew services list | grep postgresql
プロセス確認:
ps aux | grep postgres
接続テスト:
pg_isready
「accepting connections」と表示されれば正常に動作しています。
ポイント: Homebrew経由ならサービスとしての起動・停止もシンプルです。
PostgreSQLに接続してみよう
初期設定について
Homebrewでインストールすると、以下が自動で設定されます:
- ユーザー名:Macのユーザー名と同じ
- パスワード:なし(初期状態)
- データベース:
postgres
(デフォルト)
psqlコマンドでログイン
基本的な接続:
psql postgres
または、詳細指定:
psql -U $(whoami) -d postgres
成功すると以下のような画面になります:
psql (16.1)
Type "help" for help.
postgres=#
この状態になれば、PostgreSQLに正常に接続できています!
基本的なpsqlコマンド
データベース一覧表示:
\l
現在のデータベース情報:
\conninfo
テーブル一覧(データベースに入ってから):
\dt
スキーマ一覧:
\dn
ヘルプ表示:
\?
psqlを終了:
\q
実際にデータベースを作ってみよう
新しいデータベースを作成:
CREATE DATABASE my_first_db;
作成したデータベースに接続:
\c my_first_db
簡単なテーブルを作成:
CREATE TABLE users (
id SERIAL PRIMARY KEY,
name VARCHAR(100),
email VARCHAR(100)
);
データを挿入:
INSERT INTO users (name, email) VALUES
('Alice', 'alice@example.com'),
('Bob', 'bob@example.com');
データを確認:
SELECT * FROM users;
結果:
id | name | email
----+-------+--------------------
1 | Alice | alice@example.com
2 | Bob | bob@example.com
(2 rows)
ポイント: PostgreSQLではpsql
コマンドで操作開始。慣れると非常に強力なツールです。
GUIで操作したい方へ|おすすめツール

ターミナルが苦手な方や、視覚的に操作したい方にはGUIツールがおすすめです。
pgAdmin(公式・無料)
特徴:
- PostgreSQL開発元が提供する公式ツール
- 完全無料
- 全機能にアクセス可能
- 少し重めだが高機能
インストール方法:
- https://www.pgadmin.org/ からダウンロード
- dmgファイルをインストール
- アプリケーションから起動
接続設定:
- Host name/address:localhost
- Port:5432
- Username:Macのユーザー名
- Password:(空欄)
TablePlus(有料・軽量)
特徴:
- モダンで美しいUI
- 軽快な動作
- PostgreSQL以外のデータベースにも対応
- 有料(無料体験版あり)
インストール方法:
- https://tableplus.com/ からダウンロード
- App Storeからも入手可能
- 無料体験版で試用可能
DBeaver(無料・多機能)
特徴:
- 完全無料のオープンソース
- 多数のデータベースに対応
- SQLエディターが充実
- プラグインで機能拡張可能
インストール方法:
brew install --cask dbeaver-community
Postico(Mac専用・有料)
特徴:
- Mac専用設計で操作性が良い
- シンプルで直感的
- PostgreSQL専用
- 有料(試用版あり)
ポイント: psqlに慣れるのがベストですが、GUIを使えばより直感的にデータベース管理ができます。
トラブルシューティング
よくある問題と解決法
問題① PostgreSQLが起動しない
確認事項:
- ポート5432が他のプロセスで使用されていないか確認
lsof -i :5432
- データディレクトリの権限を確認
ls -la /opt/homebrew/var/postgresql
解決法:
# データベースクラスターを再初期化
rm -rf /opt/homebrew/var/postgresql
initdb -D /opt/homebrew/var/postgresql
問題② 接続できない
確認事項:
- PostgreSQLが起動しているか
brew services list | grep postgresql
- 接続設定が正しいか
psql -h localhost -p 5432 -U $(whoami) postgres
問題③ パスワードを求められる
解決法:
# パスワードなしでアクセスできるよう設定
echo "local all all trust" > /opt/homebrew/var/postgresql/pg_hba.conf
brew services restart postgresql
ログの確認方法
PostgreSQLのログを確認:
tail -f /opt/homebrew/var/postgresql/server.log
完全アンインストール
PostgreSQLを完全に削除したい場合:
brew services stop postgresql
brew uninstall postgresql
rm -rf /opt/homebrew/var/postgresql
セキュリティと運用のベストプラクティス
パスワード設定
開発環境でもパスワードを設定:
ALTER USER your_username PASSWORD 'secure_password';
データベースのバックアップ
データベース全体をバックアップ:
pg_dump my_database > backup.sql
リストア:
psql my_database < backup.sql
定期メンテナンス
データベースの最適化:
VACUUM ANALYZE;
統計情報の更新:
ANALYZE;
まとめ
今回の手順のまとめ:
- Homebrewでのインストールが簡単&安全
brew services
で起動・停止もラクラクpsql
で即アクセス、GUIツールでもOK- トラブル時の対処法も確認済み
PostgreSQLの利点:
- 学習・開発・本番まで使える信頼性の高いデータベース
- 無料で高機能
- 豊富な学習リソースとコミュニティサポート
Macに導入すれば、ローカル環境でデータベースの基礎から応用までしっかり学べます!
今すぐできること:
- この記事の手順でPostgreSQLをインストール
- 簡単なテーブルを作成してデータ操作を体験
- GUIツールも試してみる
- 実際のプロジェクトでPostgreSQLを活用
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