ネットワークの設定やルーターのフィルタリングをするときに必要になるのが、MACアドレス。
でも
「そもそもMACアドレスって何?」
「Mac(パソコン)でどうやって調べるの?」
と疑問に思う人も多いですよね。
この記事では、以下のことを初心者にもわかりやすく説明します:
- MACアドレスとは何か(基本概念)
- Mac(macOS)でWi-Fiや有線のMACアドレスを調べる方法
- 実際の使用場面と注意点
ネットワーク設定で困ったときに、ぜひ参考にしてください!
MACアドレスとは?基本を理解しよう

MACアドレスの基本概念
定義と役割
MACアドレス(Media Access Control Address)は、ネットワーク機器に付いている世界で一つだけの識別番号です。
身近な例で表現すると
- 住所や郵便番号のようなもの
- 製造時に機器に刻印される「シリアル番号」
- ネットワーク上での「身分証明書」
MACアドレスの構造
一般的な表示形式
3C:15:C2:4A:8F:12
構成要素
- 12桁の英数字(0-9、A-F)
- 6組のペアをコロン(:)で区切り
- 前半3組:製造元識別番号
- 後半3組:製品固有番号
他の表示形式
3C-15-C2-4A-8F-12 (ハイフン区切り)
3c15c24a8f12 (区切りなし)
3c:15:c2:4a:8f:12 (小文字)
MACアドレスとIPアドレスの違い
MACアドレス
特徴
- 物理的な識別子:機器に固定で付与
- 世界で唯一:同じMACアドレスは存在しない
- 変更困難:通常は製造時に決定される
- ローカルネットワーク内でのみ使用
IPアドレス
特徴
- 論理的な識別子:ネットワーク設定で決定
- 重複可能:異なるネットワークなら同じIPアドレスも存在
- 変更可能:設定により自由に変更
- インターネット全体で使用
MACアドレスが必要になる場面
ルーターの設定
MACアドレスフィルタリング
- 特定の機器のみネットワーク接続を許可
- セキュリティ強化のための設定
- 家庭やオフィスでの接続制限
DHCP予約
- 特定の機器に固定IPアドレスを割り当て
- サーバーやプリンターなどで使用
- ネットワーク管理の効率化
ネットワーク管理
トラブルシューティング
- 接続問題の特定と解決
- ネットワーク上のデバイス識別
- 不正アクセスの検出
監視とログ
- アクセスログの記録
- 使用状況の分析
- セキュリティ監査
企業・学校のネットワーク
デバイス登録
- 会社や学校のWi-Fiに接続する際の事前登録
- セキュリティポリシーの適用
- アクセス権限の管理
MacでWi-FiのMACアドレスを調べる方法
システム設定からの確認(推奨方法)
macOS Ventura(13.0)以降
手順
- システム設定を開く
- 画面左上の Apple メニュー() をクリック
- 「システム設定」を選択
- Wi-Fi設定にアクセス
- 左側のサイドバーで「Wi-Fi」をクリック
- 右側にWi-Fi設定画面が表示される
- 詳細情報を表示
- 現在接続中のネットワーク名の右にある「詳細」ボタンをクリック
- ネットワークの詳細画面が開く
- MACアドレスを確認
- 画面下部に「Wi-Fiアドレス」が表示される
- これがあなたのMacのWi-Fi MACアドレス
macOS Monterey(12.0)以前
手順
- システム環境設定を開く
- Apple メニュー → 「システム環境設定」
- ネットワーク設定にアクセス
- 「ネットワーク」アイコンをクリック
- Wi-Fi詳細設定を開く
- 左側のリストで「Wi-Fi」を選択
- 右下の「詳細…」ボタンをクリック
- MACアドレスを確認
- 「Wi-Fi」タブを選択(通常は最初から選択済み)
- 上部に「Wi-Fiアドレス」が表示される
メニューバーからの簡単確認
Option キーを使った方法
手順
- Option キーを押しながら、メニューバーのWi-Fiアイコンをクリック
- 詳細な接続情報が表示される
- 現在接続中のネットワーク情報に MACアドレス が表示される
メリット
- 非常に素早い確認が可能
- システム設定を開く必要がない
- 接続状況も同時に確認できる
システム情報での確認
詳細な情報が必要な場合
手順
- Apple メニュー → 「この Mac について」
- 「詳しい情報…」をクリック
- 「システム情報」が開く
- 左側の「ネットワーク」→「Wi-Fi」を選択
- 右側に詳細な Wi-Fi 情報が表示される
確認できる情報
- MACアドレス
- 対応している Wi-Fi 規格
- 現在の接続状況
- 信号強度やチャンネル情報
有線(Ethernet)のMACアドレスを調べる方法
システム設定からの確認
macOS Ventura 以降
手順
- システム設定 → 左側メニューの「ネットワーク」
- 右側の接続一覧から Ethernet または USB 10/100/1000 LAN などを選択
- 選択した接続の右側にある「詳細」をクリック
- ハードウェア タブを選択
- 「MACアドレス」が表示される
macOS Monterey 以前
手順
- システム環境設定 → 「ネットワーク」
- 左側のリストで Ethernet を選択
- 「詳細…」をクリック
- 「ハードウェア」タブを選択
- 上部に MACアドレス が表示される
接続方式別のアダプター名
一般的な表示名
USB-Ethernet アダプター
USB 10/100/1000 LAN
AX88179 USB 3.0 to Gigabit Ethernet
Thunderbolt Ethernet
Thunderbolt Ethernet
Apple Thunderbolt to Gigabit Ethernet アダプタ
内蔵 Ethernet(古いMac)
Ethernet
Built-in Ethernet
複数のネットワークアダプターがある場合
識別方法
アクティブな接続を確認
- システム設定/環境設定 → ネットワーク
- 左側のリストで 緑の点 が付いているものが現在アクティブ
- 「接続済み」と表示されているアダプターを選択
使用目的に応じた選択
- 現在使用中: 緑の点が付いているもの
- 特定のアダプター: 製品名で判断
- すべて確認: 一つずつ詳細を開いて確認
ターミナルを使った確認方法(上級者向け)

基本的なコマンド
すべてのネットワークインターフェースを表示
ifconfig
出力例
en0: flags=8863<UP,BROADCAST,SMART,RUNNING,SIMPLEX,MULTICAST> mtu 1500
ether 3c:15:c2:4a:8f:12
inet 192.168.1.100 netmask 0xffffff00 broadcast 192.168.1.255
この場合、ether
の後の 3c:15:c2:4a:8f:12
がMACアドレス
特定のインターフェースのみ表示
Wi-Fi(通常は en0)
ifconfig en0
有線LAN(通常は en1 以降)
ifconfig en1
MACアドレスのみを抽出
Wi-Fi MACアドレスのみ表示
ifconfig en0 | grep ether
出力例
ether 3c:15:c2:4a:8f:12
より詳しいネットワーク情報
networksetup コマンド
すべてのネットワークサービス一覧
networksetup -listallhardwareports
出力例
Hardware Port: Wi-Fi
Device: en0
Ethernet Address: 3c:15:c2:4a:8f:12
Hardware Port: Bluetooth PAN
Device: en2
Ethernet Address: 3c:15:c2:4a:8f:13
system_profiler コマンド
システム情報の詳細取得
ネットワーク情報の詳細
system_profiler SPNetworkDataType
このコマンドは、GUIの「システム情報」と同等の詳細な情報を表示します。
プライベートWi-Fiアドレス(MACランダマイゼーション)について
プライベートアドレス機能とは
背景と目的
プライバシー保護
- 公共Wi-Fiでのトラッキング防止
- 位置情報の推測を困難にする
- 個人識別リスクの軽減
動作の仕組み
- 接続するたびに異なるMACアドレスを生成
- 実際のMACアドレスの代わりにランダムアドレスを使用
- ネットワークごとに異なるアドレスを使用
iOS/macOS での実装
対応バージョン
- macOS Big Sur(11.0)以降
- iOS 14 以降
デフォルト設定
- 新しいネットワークでは自動的に有効
- 既存の保存済みネットワークでは無効のまま
プライベートアドレスの確認と設定
現在の設定確認
手順
- システム設定 → Wi-Fi
- 接続中(または接続したことがある)ネットワークの「詳細」をクリック
- 「プライベートWi-Fiアドレス」の設定を確認
表示される情報
- オン: ランダムなMACアドレスを使用
- オフ: 実際のMACアドレスを使用
- 固定: そのネットワーク専用の固定ランダムアドレスを使用
設定の変更方法
プライベートアドレスを無効にする場合
- 該当ネットワークの詳細画面を開く
- 「プライベートWi-Fiアドレス」をオフにする
- 確認ダイアログで「続ける」をクリック
- ネットワークに再接続
注意点
- 家庭のルーターでMACアドレスフィルタリングを使用している場合は無効にする必要
- 会社や学校のネットワークで事前登録が必要な場合も無効にする
実際のMACアドレス vs プライベートアドレス
確認方法の違い
システム設定で表示されるアドレス
- プライベートアドレスが有効: ランダムアドレスが表示
- プライベートアドレスが無効: 実際のMACアドレスが表示
ターミナルで表示されるアドレス
ifconfig
コマンド: 現在使用中のアドレス(プライベートアドレスの場合はランダムアドレス)system_profiler
コマンド: ハードウェアの実際のMACアドレス
用途に応じた使い分け
実際のMACアドレスが必要な場合
- ルーターのMACアドレスフィルタリング設定
- 社内ネットワークへのデバイス登録
- ライセンス管理でMACアドレスが必要なソフトウェア
プライベートアドレスで十分な場合
- 公共Wi-Fiでの接続
- 一般的なインターネット利用
- プライバシーを重視する環境
トラブルシューティング

MACアドレスが表示されない場合
考えられる原因
ネットワークアダプターの問題
- ドライバーの不具合
- ハードウェアの故障
- USBアダプターの接触不良
macOSの問題
- システムファイルの破損
- 権限の問題
- キャッシュの破損
対処法
基本的な対処
- 再起動: Mac を再起動して再確認
- USBアダプター: 差し直しまたは別のポートで試行
- システム情報: 複数の方法で確認
詳細な対処
- SMCリセット:
- MacBook: Shift + Control + Option (左側) + 電源ボタンを10秒間
- iMac: 電源コードを抜いて15秒待ってから再接続
- NVRAMリセット:
- 起動時に Option + Command + P + R を20秒間押し続ける
プライベートアドレスでルーター設定ができない
問題の症状
接続できない
- MACアドレスフィルタリングで弾かれる
- 事前登録したMACアドレスと一致しない
解決手順
- 実際のMACアドレスを確認:
- system_profiler コマンドを使用
- または古いmacOSバージョンでの確認
- プライベートアドレスを無効化:
- 該当ネットワークの設定でオフにする
- ネットワークを忘れて再接続
- ルーター設定の更新:
- 実際のMACアドレスを登録
- または新しいランダムアドレスを登録
複数のMACアドレスが表示される場合
表示される理由
複数のネットワークアダプター
- Wi-Fi アダプター
- Bluetooth アダプター
- USB-Ethernet アダプター
- Thunderbolt Ethernet
仮想ネットワークアダプター
- VPN接続用のアダプター
- 仮想マシンソフト(VMware、Parallels)
- Docker などのコンテナ技術
必要なアドレスの特定
識別方法
- アダプター名で判断: en0(Wi-Fi)、en1(有線)など
- 接続状況で判断: 実際に使用中のもの
- 用途で判断: 設定したいネットワークに対応するもの
実際の活用場面
家庭でのルーター設定
MACアドレスフィルタリング
設定手順
- Macの Wi-Fi MACアドレスを確認
- ルーターの管理画面にアクセス
- 「MACアドレスフィルタリング」または「アクセス制御」を設定
- 許可するMACアドレスリストに追加
メリット
- 登録した機器のみが接続可能
- 不正アクセスのリスク軽減
- 子供のデバイス使用時間管理
DHCP予約設定
目的
- 特定の機器に固定IPアドレスを割り当て
- ポート転送やアクセス制御の簡素化
設定例
- MacBook: 192.168.1.100
- iPhone: 192.168.1.101
- プリンター: 192.168.1.110
職場・学校でのネットワーク接続
事前登録制ネットワーク
必要な情報
- デバイス名(MacBook Pro など)
- MACアドレス
- 所有者情報
登録手順
- IT部門の指示に従いWebフォームまたはメールで申請
- MACアドレスを正確に記載
- 承認後、ネットワークへの接続が可能
ゲストネットワークの利用
一時的な接続
- MACアドレス登録が不要
- インターネットのみ利用可能
- 社内リソースへのアクセス制限
セキュリティ管理での活用
ネットワーク監視
ログの確認
- どのデバイスがいつ接続したか
- 異常なアクセスパターンの検出
- 帯域使用量の監視
レポート作成
- 定期的な接続デバイス一覧の作成
- セキュリティ監査への対応
- コンプライアンス要件の確認
まとめ
MacでMACアドレスを調べる方法は、用途やmacOSのバージョンに応じて複数の選択肢があります。
推奨する確認方法
一般的な用途
- システム設定: 最も確実で分かりやすい
- メニューバー: Option + Wi-Fiアイコンで素早く確認
上級者・詳細確認
- ターミナル: ifconfig コマンドで詳細情報を取得
- system_profiler: ハードウェア情報の完全な確認
状況別の使い分け
ルーター設定時
- プライベートWi-Fiアドレスの設定を確認
- 必要に応じて実際のMACアドレスを使用
- 設定後の接続テストを実施
企業・学校ネットワーク
- IT部門の要求事項を確認
- プライベートアドレス機能の無効化を検討
- 正確なMACアドレス情報を提供
トラブルシューティング
- 複数の方法でMACアドレスを確認
- ハードウェアとソフトウェア両面から診断
- 必要に応じて専門サポートに相談
セキュリティとプライバシーの配慮
プライベートアドレス機能
- 公共Wi-Fiでは有効のまま使用
- 家庭・職場では必要に応じて無効化
- 定期的な設定見直し
情報の取り扱い
- MACアドレスは個人識別情報として慎重に管理
- 第三者への提供は最小限に
- 記録や共有時のセキュリティ確保
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