「Macの動作がおかしい…」「外付けドライブが認識されない…」
こんな時に役立つのが、Macに標準搭載されている「First Aid」という機能です。
First Aidは、ディスクやドライブのエラーをチェックして、自動で修復してくれる便利なツール。まるでMacのお医者さんのような存在なんです。
この記事では、First Aidの使い方から、エラーメッセージの意味、解決できない時の対処法まで、初心者の方にも分かりやすく詳しく解説していきます。
First Aidとは?

まずは、First Aidがどんな機能なのか理解しておきましょう。
ディスクユーティリティのFirst Aid機能
First Aidは、Macのディスクユーティリティに含まれる診断・修復ツールです。
主な役割
- ディスクのエラーをチェック
- ファイルシステムの問題を検出
- 見つかったエラーを自動修復
- ディレクトリ構造の整合性を確認
無料で使えて、特別な知識も不要です。
First Aidが解決できる問題
解決できる主な問題
- ファイルシステムの破損
- ディレクトリの不整合
- パーミッション(権限)の問題
- ボリューム構造のエラー
- カタログファイルの問題
軽度から中度のディスクトラブルに対応できます。
First Aidで解決できない問題
万能ではありません。以下の問題は解決できません。
対応できない問題
- 物理的な故障(HDD/SSDの破損)
- 削除されたファイルの復元
- 重度のデータ破損
- ハードウェアの不具合
こうした問題は、別の対処法が必要になります。
First Aidを使うべきタイミング
どんな時にFirst Aidを実行すべきか、確認しておきましょう。
症状1:Macの動作が遅い
具体的な症状
- アプリの起動が遅い
- ファイルを開くのに時間がかかる
- システム全体がもっさりしている
- 虹色のカーソル(ビーチボール)が頻繁に出る
ディスクのエラーが原因かもしれません。
症状2:予期せぬシャットダウンがあった
こんな時に
- 停電でMacが突然落ちた
- バッテリー切れで強制終了した
- フリーズして強制再起動した
- システムアップデート中に問題が起きた
突然のシャットダウン後は、必ずFirst Aidを実行しましょう。
症状3:ファイルやフォルダが開けない
具体的な症状
- 特定のファイルが開けない
- フォルダにアクセスできない
- 「操作を完了できませんでした」エラー
- ファイルが見えたり消えたりする
ディレクトリの破損が疑われます。
症状4:外付けドライブが認識されない
こんな時に
- 外付けHDDをつないでもマウントされない
- USBメモリが読めない
- 「マウントできませんでした」エラー
外付けドライブにFirst Aidを実行してみましょう。
症状5:定期的なメンテナンス
問題がなくても、予防的に実行するのも良いです。
推奨頻度
- 月に1回程度
- システムアップデート後
- 重要な作業の前
- バックアップ前
定期的なチェックで、トラブルを未然に防げます。
First Aidの実行方法
それでは、実際にFirst Aidを使ってみましょう。
準備:実行前にすべきこと
First Aidを実行する前に、いくつか準備があります。
1. 重要なファイルをバックアップ
念のため、Time Machineなどでバックアップを取っておきましょう。
2. 開いているアプリを終了
すべてのアプリを終了させてください。特に以下は必ず終了:
- 編集中のドキュメント
- ブラウザ
- メールアプリ
3. 十分な時間を確保
First Aidには時間がかかります。
- 小容量(100GB以下):10〜30分
- 中容量(500GB):30分〜1時間
- 大容量(1TB以上):1〜3時間
時間に余裕がある時に実行しましょう。
手順1:ディスクユーティリティを開く
開き方は3通り
方法1:Spotlightから
- Command + Spaceでスポットライト検索を開く
- 「ディスクユーティリティ」と入力
- Returnキーを押す
方法2:Finderから
- Finderを開く
- 「アプリケーション」→「ユーティリティ」を開く
- 「ディスクユーティリティ」をダブルクリック
方法3:Launchpadから
- Launchpadを開く
- 「その他」フォルダを開く
- 「ディスクユーティリティ」をクリック
手順2:対象のディスクを選択
選択方法
- 左側のサイドバーを確認
- 上部の「表示」メニュー→「すべてのデバイスを表示」を選択
- チェックしたいディスクを選択
選択のポイント
- 内蔵ドライブの場合:通常「Macintosh HD」
- 外付けドライブの場合:接続しているドライブ名
- ボリュームではなく、物理ディスク全体を選択するのが基本
表示の見方
ディスクは階層構造で表示されます。
▼ APPLE SSD(物理ディスク)
▼ Container disk3(コンテナ)
- Macintosh HD(ボリューム)
- Macintosh HD - Data(データボリューム)
最上位の物理ディスクを選ぶのが一般的です。
手順3:First Aidを実行
実行手順
- ディスクを選択した状態で、上部の「First Aid」ボタンをクリック
- 確認ダイアログが表示される
- 内容を確認
- 「First Aidでディスクエラーを確認します」
- 「エラーが見つかった場合は修復します」
- 「実行」ボタンをクリック
手順4:検証と修復を待つ
プロセスの流れ
- 検証フェーズが始まる
- プログレスバーが表示される
- 各種チェック項目が表示される
- ボリューム構造の確認
- カタログファイルの確認
- マルチリンクファイルの確認
- カタログ階層の確認
- エクステントオーバーフローの確認
- エラーが見つかれば自動修復
- 完了メッセージが表示される
所要時間の目安
- 128GB SSD:10〜15分
- 500GB SSD:20〜40分
- 1TB HDD:1〜2時間
- 2TB HDD:2〜4時間
ディスクの種類と容量によって大きく変わります。
手順5:結果を確認
実行後、以下のいずれかのメッセージが表示されます。
成功パターン
「操作が成功しました」
または
「このボリュームは問題ないようです」
→ ディスクは正常です。
修復完了パターン
「〇〇を修復しました」
「ファイルシステムが修正されました」
→ エラーが見つかり、修復されました。
失敗パターン
「ディスクの修復を完了できませんでした」
「基になるタスクが失敗しました」
→ 追加の対処が必要です。
詳細を確認する方法
手順
- First Aid完了後、「詳細を表示」をクリック
- ログが表示される
- エラーメッセージや修復内容を確認できる
技術的な内容も含まれますが、エラーの種類を把握できます。
起動ディスクでFirst Aidを実行する方法

Macが起動しているディスク(Macintosh HD)には、通常の方法でFirst Aidを実行できません。
macOS復旧からの実行
手順
- Macをシャットダウン
- 電源を入れる
- すぐに以下のキーを押し続ける
Intel Mac:Command + R
Apple Silicon Mac(M1/M2/M3):電源ボタンを長押し
- 復旧画面が表示されるまで待つ
- 「ディスクユーティリティ」を選択
- 「続ける」をクリック
- 通常と同じ手順でFirst Aidを実行
この方法なら、起動ディスクも修復できます。
外部起動ディスクからの実行
Time Machineのバックアップや、別の起動可能なドライブから起動する方法もあります。
手順
- 外部起動ディスクを接続
- Macを再起動
- 起動時にOptionキーを長押し
- 起動ディスクを選択
- ディスクユーティリティでFirst Aidを実行
First Aidで表示されるエラーメッセージ
よく見られるエラーメッセージと、その意味を解説します。
エラー1:「ボリュームを修復できませんでした」
意味
ディスクに重度の問題があり、First Aidでは修復できない状態です。
対処法
- macOS復旧から再度実行
- 複数回実行してみる(3回まで)
- データをバックアップ
- ディスクを再フォーマット
エラー2:「基になるタスクが失敗しました」
意味
First Aidのプロセス自体に問題が発生しました。
対処法
- Macを再起動
- もう一度First Aidを実行
- macOS復旧から実行
- 外付けドライブの場合は、別のMacで試す
エラー3:「ディスクが破損しているようです」
意味
物理的な故障の可能性があります。
対処法
- すぐにバックアップを取る
- S.M.A.R.T.ステータスを確認
- ディスクの交換を検討
- 重要データは専門業者に依頼
エラー4:「マップの不一致」
意味
ファイルシステムの管理情報に矛盾があります。
対処法
通常はFirst Aidで自動修復されます。修復できない場合:
- macOS復旧から再実行
- fsck コマンドを使う(上級者向け)
エラー5:「パーミッションの問題」
意味
ファイルやフォルダのアクセス権限に問題があります。
対処法
- First Aidで自動修復されることが多い
- 手動で権限をリセット(後述)
First Aidで解決できない時の対処法
First Aidで修復できなかった場合の次のステップです。
対処法1:Safe Modeで起動
セーフモードでは、自動的にディスクチェックが行われます。
起動方法
Intel Mac
- シャットダウン
- 電源を入れる
- すぐにShiftキーを押し続ける
- ログイン画面が出るまで待つ
Apple Silicon Mac
- シャットダウン
- 電源ボタンを長押し
- 起動ディスクが表示されたらShiftキーを押す
- 「セーフモードで続ける」を選択
セーフモードで正常に動けば、再起動して通常モードで確認してください。
対処法2:fsckコマンドを使う
ターミナルから直接ディスクチェックを実行します。
手順
- macOS復旧で起動
- メニューバーから「ユーティリティ」→「ターミナル」を開く
- 以下のコマンドを実行
fsck -fy
- 「FILE SYSTEM WAS MODIFIED」と表示されたら、もう一度実行
- 「The volume appears to be OK」が出るまで繰り返す
コマンドの意味
- -f:強制実行
- -y:すべての質問に「yes」で答える
対処法3:Time Machineから復元
バックアップがある場合は、以前の状態に戻せます。
手順
- macOS復旧で起動
- 「Time Machineバックアップから復元」を選択
- バックアップディスクを選択
- 復元日時を選択
- 復元を実行
数時間かかることがあります。
対処法4:macOSを再インストール
クリーンインストールで解決することもあります。
手順
- macOS復旧で起動
- 「macOSを再インストール」を選択
- 指示に従ってインストール
注意点
- データは消えません(上書きインストール)
- 念のためバックアップ推奨
- 2〜3時間かかる
対処法5:ディスクを初期化(最終手段)
すべての方法が失敗した場合の最終手段です。
警告:すべてのデータが消えます。
手順
- Time Machineでバックアップ
- macOS復旧で起動
- ディスクユーティリティを開く
- ディスクを選択
- 「消去」をクリック
- フォーマットを選択(APFS推奨)
- 「消去」を実行
- macOSを再インストール
- Time Machineから復元
S.M.A.R.T.ステータスの確認

ディスクの健康状態を確認する方法です。
S.M.A.R.T.とは
Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technologyの略で、ディスクの自己診断機能です。
確認できること
- ディスクの健康状態
- 故障の兆候
- 寿命の予測
確認方法
手順
- ディスクユーティリティを開く
- ディスクを選択
- 右側の情報エリアを確認
- 「S.M.A.R.T.ステータス」の欄を見る
表示される内容
「確認済み」:正常
→ ディスクは健康です
「不合格」:問題あり
→ ディスクの交換が必要
「未対応」:確認不可
→ S.M.A.R.T.に非対応のディスク
「不合格」が表示されたら、すぐにバックアップを取りましょう。
予防とメンテナンス
ディスクトラブルを防ぐための日常的な対策です。
予防策1:定期的なFirst Aid実行
推奨スケジュール
- 月に1回:通常使用
- 週に1回:ヘビーユーザー
- 問題を感じたら:すぐに実行
カレンダーにリマインダーを設定しておくと良いです。
予防策2:Time Machineバックアップ
設定方法
- システム設定→「一般」→「Time Machine」を開く
- 外付けHDDを接続
- 「バックアップディスクを選択」
- 「自動バックアップ」をオンに
1時間ごとに自動バックアップされます。
予防策3:十分な空き容量を確保
推奨される空き容量
- 最低:10GB
- 推奨:20GB以上
- 理想:総容量の15〜20%
空き容量が不足すると、ディスクエラーが起きやすくなります。
予防策4:安全なシャットダウン
やってはいけないこと
- 電源ボタン長押しで強制終了
- バッテリーが切れるまで放置
- システム更新中の強制終了
突然のシャットダウンは、ディスク破損の主な原因です。
予防策5:ディスクの物理的な保護
注意すること
- 衝撃を与えない
- 高温多湿を避ける
- ホコリの多い場所で使わない
- 通気を確保する
特にHDDは衝撃に弱いので、丁寧に扱いましょう。
よくある質問
Q: First Aidはどれくらいの頻度で実行すべき?
A: 問題がなければ月に1回程度で十分です。ただし、予期せぬシャットダウンの後は必ず実行してください。
Q: First Aid実行中にMacを使える?
A: 外付けドライブの場合は使えますが、起動ディスクの場合は使えません。余裕のある時間に実行しましょう。
Q: First Aidで削除されたファイルは復元できる?
A: いいえ、できません。First Aidはディスク構造の修復のみで、ファイルの復元機能はありません。
Q: First Aidが何時間も終わらない
A: 大容量ディスクでは数時間かかることがあります。一晩待っても終わらない場合は、一度キャンセルしてmacOS復旧から試してください。
Q: 「検証に失敗しました」と表示される
A: ディスクが使用中の可能性があります。すべてのアプリを終了するか、macOS復旧から実行してください。
Q: SSDとHDDで違いはある?
A: SSDの方が高速に完了します。HDDは機械的な動作が必要なため、時間がかかります。
まとめ
MacのFirst Aid機能について詳しく解説しました。
重要なポイントをおさらいしましょう。
- First Aidはディスクエラーを検出・修復する無料ツール
- Macの動作が遅い、ファイルが開けないなどの症状に有効
- ディスクユーティリティから簡単に実行できる
- 起動ディスクはmacOS復旧から実行が必要
- 解決できない場合はfsck、セーフモード、再インストールを試す
- 定期的な実行とバックアップで予防が可能
First Aidは、Macのメンテナンスに欠かせない重要なツールです。
定期的に実行して、ディスクを健康な状態に保ちましょう。万が一トラブルが起きても、この記事の手順に従えば解決できるはずです。
快適なMacライフをお楽しみください!

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