Web制作やブログカスタマイズをしていると、必ず使うことになるのがChromeの開発者ツール(DevTools)。
MacでもWindowsでもほぼ同じ操作ですが、ショートカットが少し違うので、Macユーザー向けに使い方をまとめます。
この記事では、以下のことを初心者にもわかりやすく解説します:
- Macで開発者ツールを開く方法
- よく使う基本機能と活用場面
- 作業をもっと効率化できる便利なテクニック
- 実際のWeb制作での具体的な活用例
これを読めば、Web制作やサイトのカスタマイズがぐっと効率的になりますよ!
MacでChromeの開発者ツールを開く方法
ショートカットキーで開く(最速)
Macならこれが一番速い方法です。
⌘(Command) + Option(⌥) + I
キーの位置
- ⌘キー:スペースバーの両隣
- Optionキー:⌘キーの隣
- Iキー:英字のアイ
これで画面右側(または下)に開発者ツールが表示されます。
要素を指定して開く(便利)
右クリックから開く
調べたい部分を右クリック(またはControl + クリック)して「検証」を選ぶと、その要素にフォーカスした状態で開発者ツールが立ち上がります。
使う場面
- 特定の要素のCSSを確認したい
- どのHTMLタグが使われているか知りたい
- デザインの崩れの原因を調べたい
要素選択モードのショートカット
⌘ + Shift + C
このショートカットを押すと、マウスカーソルが選択モードになり、クリックした要素の詳細がすぐに表示されます。
メニューから開く
Chrome のメニューから
- Chrome右上の「⋮(縦の3点)」をクリック
- 「その他のツール」を選択
- 「デベロッパーツール」をクリック
Mac のメニューバーから
- メニューバーの「表示」をクリック
- 「開発 / 管理」を選択
- 「デベロッパーツール」をクリック
開発者ツールの表示位置
表示位置の変更
開発者ツール右上の「⋮」→「Dock side」で表示位置を変更できます:
- Right:画面右側に表示(デフォルト)
- Bottom:画面下部に表示
- Left:画面左側に表示
- Separate window:別ウィンドウで表示
推奨設定
- 大きなモニター:Right(右側)が便利
- 小さなモニター:Bottom(下部)が見やすい
- デュアルモニター:Separate window で別画面に表示
開発者ツールの主要機能
Elements(要素)タブ
HTML構造の確認と編集
基本機能
- HTMLタグの構造をツリー表示
- リアルタイムでHTML/CSSを編集・確認
- 要素の削除や追加も可能
実際の使い方
- 要素の特定:左側のHTMLから調べたい要素をクリック
- CSS確認:右側のStylesパネルでCSSプロパティを確認
- ライブ編集:CSSの値を直接変更してリアルタイムプレビュー
CSS編集の実践例
色を変更する場合
/* 元のCSS */
.title {
color: #333;
}
/* 開発者ツールで直接編集 */
.title {
color: #ff0000; /* 赤色に変更 */
}
レイアウトを調整する場合
/* マージンの調整 */
.content {
margin: 10px; /* 元の値 */
margin: 20px; /* 新しい値を入力 */
}
Computed(計算済み)タブ
確認できる情報
- 最終的に適用されたCSSの値
- ボックスモデル(margin、border、padding)
- 継承やカスケードの結果
Console(コンソール)タブ
JavaScriptエラーの確認
エラーの種類
- 構文エラー:コードの書き方が間違っている
- 実行時エラー:動作中に発生する問題
- 警告:動作するが推奨されない書き方
エラーの見方
Uncaught TypeError: Cannot read property 'textContent' of null
at script.js:15:20
この例では:
- エラータイプ:TypeError
- 内容:null要素のtextContentにアクセスしようとした
- 場所:script.jsの15行目20文字目
JavaScriptコードの実行
簡単なコード実行
// ページタイトルを変更
document.title = 'テストページ';
// 要素の内容を変更
document.querySelector('h1').textContent = '新しいタイトル';
// 画面をスクロール
window.scrollTo(0, 500);
便利な確認コマンド
// 現在のURL
location.href
// 画面サイズ
window.innerWidth + ' x ' + window.innerHeight
// 読み込まれているjQueryのバージョン
$.fn.jquery
Network(ネットワーク)タブ
ページ読み込み時間の分析
確認できる項目
- Name:読み込んだファイル名
- Status:HTTPステータスコード
- Type:ファイルの種類(HTML、CSS、JS、画像など)
- Size:ファイルサイズ
- Time:読み込み時間
パフォーマンス改善の指標
重要な指標
- DOMContentLoaded:HTMLの解析完了
- Load:すべてのリソース読み込み完了
- First Paint:最初に何かが描画された時点
大きなファイルの特定
- Size列をクリックしてサイズ順にソート
- 大きなファイルを特定(通常100KB以上は要注意)
- 圧縮や最適化を検討
Sources(ソース)タブ
JavaScriptのデバッグ
ブレークポイントの設定
- 調べたいJavaScriptファイルを開く
- 行番号をクリックしてブレークポイントを設定
- ページを操作して該当コードが実行されると処理が停止
変数の確認
- Scope:現在のスコープ内の変数
- Watch:監視したい変数を追加
- Call Stack:関数の呼び出し履歴
ファイルの検索
ファイル名で検索
⌘ + P
コード内容で検索
⌘ + Shift + F
Macならではの便利ショートカット
基本操作のショートカット
操作 | ショートカット | 説明 |
---|---|---|
開発者ツールを開く | ⌘ + Option + I | 最も基本的な操作 |
要素選択モード | ⌘ + Shift + C | マウスで要素を選択 |
コンソールを表示/非表示 | Esc | 他のタブにいてもコンソールを表示 |
ハードリロード | ⌘ + Shift + R | キャッシュを無視して再読み込み |
開発者ツールを閉じる | ⌘ + Option + I | 再度押すと閉じる |
高度なショートカット
操作 | ショートカット | 説明 |
---|---|---|
ファイル検索 | ⌘ + P | ソースファイルを素早く開く |
コマンドパレット | ⌘ + Shift + P | 機能を名前で検索 |
全体検索 | ⌘ + Shift + F | 全ファイルから文字列検索 |
次のタブ | ⌘ + ] | 右のタブに移動 |
前のタブ | ⌘ + [ | 左のタブに移動 |
レスポンシブデザインモード
デバイスモードの起動
⌘ + Shift + M
このショートカットで、スマートフォンやタブレットの表示をシミュレートできます。
確認できるデバイス
- iPhone:各サイズ(SE、12、12 Pro Max など)
- iPad:標準サイズとPro
- Android:Pixel、Galaxy など
- カスタム:任意のサイズを指定
実践的な活用テクニック
CSSのライブ編集とコピー
リアルタイムでのデザイン調整
手順
- Elements タブで要素を選択
- Styles パネルでCSSを編集
- 結果をリアルタイムで確認
- 決定したらコードをコピー
注意点
- 開発者ツールでの変更は一時的
- ページを再読み込みすると元に戻る
- 確定した内容は必ず実際のCSSファイルに反映
変更したCSSの保存
Changed(変更済み)の確認
- Elements タブの Styles パネル
- 変更したプロパティには印が付く
- 右クリックで「Copy rule」や「Copy all declarations」
パフォーマンス分析
ページ読み込み速度の改善
Lighthouse の活用
- 開発者ツールの「Lighthouse」タブ
- 「Generate report」をクリック
- パフォーマンス、アクセシビリティ、SEOなどを総合評価
改善項目の例
- 画像の最適化:WebP形式への変換
- CSSの最小化:不要なスタイルの削除
- JavaScriptの遅延読み込み:async/defer属性の活用
ネットワーク使用量の確認
通信量の監視
- Network タブを開く
- ページを再読み込み
- 下部に総データ量と読み込み時間が表示
セキュリティ関連のチェック
Console でのセキュリティ警告
よくある警告
- Mixed Content:HTTPSページでHTTPリソースを読み込み
- CORS Error:異なるドメイン間の通信エラー
- CSP Violation:Content Security Policy違反
Application タブでの確認
確認できる項目
- Local Storage:ブラウザに保存されたデータ
- Session Storage:セッション中のみ有効なデータ
- Cookies:サイトが設定したクッキー
- Service Workers:オフライン対応の仕組み
困ったときのトラブルシューティング
よくある問題と解決方法
開発者ツールが表示されない
原因と対策
- ショートカットキーが無効
- 他のアプリとのショートカット競合
- システム環境設定で確認
- Chromeの設定問題
- Chrome を再起動
- プロフィールの再作成
- 画面外に表示されている
⌘ + Shift + P
でコマンドパレット- 「dock」で検索して表示位置を変更
CSS の変更が反映されない
チェックポイント
- キャッシュの問題
- ハードリロード(
⌘ + Shift + R
) - 無効化して再読み込み
- ハードリロード(
- CSS の優先順位
- より具体的なセレクタが適用されている
!important
の有無を確認
- 構文エラー
- CSS の書き方に間違いがないか
- Console でエラーメッセージを確認
開発者ツールの設定カスタマイズ
ダークテーマの適用
手順
- 開発者ツールの「⚙️ Settings」をクリック
- 「Preferences」→「Appearance」
- 「Theme」を「Dark」に変更
パネルレイアウトの調整
便利な設定
- Console drawer:常にコンソールを下部に表示
- Network conditions:ネットワーク速度のシミュレート
- Sensors:位置情報やデバイスの向きをシミュレート
応用的な活用例
A/Bテストのシミュレーション
異なるデザインの比較
// ボタンの色を変更
document.querySelectorAll('.button').forEach(btn => {
btn.style.backgroundColor = '#ff0000';
});
// フォントサイズを変更
document.body.style.fontSize = '18px';
アクセシビリティの確認
コントラスト比の確認
手順
- Elements タブで文字要素を選択
- Styles パネルで color プロパティを確認
- カラーピッカーでコントラスト比をチェック
スクリーンリーダーのシミュレート
Lighthouse での確認
- アクセシビリティスコア
- 改善が必要な項目の具体的な指摘
- WAI-ARIA の適用状況
動的コンテンツのデバッグ
Ajax通信の監視
Network タブでの確認
- XHR フィルターを適用
- Ajax リクエストの詳細を確認
- レスポンスデータの内容をチェック
イベントリスナーの確認
Elements タブでの確認
- 要素を選択
- Event Listeners タブを開く
- 登録されているイベントを確認
まとめ
Mac版Chromeの開発者ツールは、Web制作における最も重要なツールの一つです。
重要なポイントの再確認
基本操作
⌘ + Option + I
で開発者ツールを起動- 右クリック「検証」で要素を直接調査
⌘ + Shift + C
で要素選択モード
主要機能の活用
- Elements:HTML/CSS の確認と編集
- Console:JavaScript のエラー確認とコード実行
- Network:パフォーマンス分析
- Sources:JavaScript のデバッグ
実践的なテクニック
- ライブ編集でのデザイン調整
- レスポンシブデザインのテスト
- パフォーマンス問題の特定と改善
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