「MacのディスプレイをテレビやApple TVに映したい」「Macの音楽をワイヤレススピーカーで聴きたい」
MacにはAirPlay(エアプレイ)という機能があり、ケーブル不要で画面や音声を別のデバイスに送信できます。
会議でのプレゼンテーション、映画鑑賞、音楽鑑賞など、さまざまな場面で便利に使える機能です。
この記事では、MacのAirPlay機能の使い方から、トラブル対処まで詳しく解説していきます。
AirPlay(エアプレイ)とは

まず、AirPlayの基本を理解しておきましょう。
AirPlayの定義
AirPlayは、Apple が開発したワイヤレスストリーミング技術で、Mac、iPhone、iPadなどのAppleデバイスから、映像や音声をテレビやスピーカーに送信できる機能です。
正式名称は「AirPlay」で、以前は「AirTunes」と呼ばれていた音楽ストリーミング機能が進化したものです。
簡単に言うと
AirPlayを使えば、Macの画面や音をワイヤレスで別のデバイスに飛ばせるようになります。
身近な例え:
スマホとBluetoothイヤホンを繋ぐように、Macとテレビやスピーカーをワイヤレスで繋ぐイメージです。
ただし、Bluetoothより高品質で、映像も送れるのが特徴です。
AirPlayでできること
主な機能:
- 画面ミラーリング:Macの画面をそのままテレビに表示
- ビデオストリーミング:動画だけをテレビで再生
- 音楽ストリーミング:音声をスピーカーやホームポッドに送信
- デュアルディスプレイ:テレビを2台目のモニターとして使用
- 複数デバイスへの同時配信:複数のスピーカーで同時再生
AirPlayの対応デバイス
AirPlayを使うには、受信側のデバイスが対応している必要があります。
AirPlay対応デバイス
Apple純正デバイス:
- Apple TV(第2世代以降)
- HomePod、HomePod mini
- AirPods、AirPods Pro、AirPods Max
- Beats製ヘッドフォン・スピーカー(一部)
サードパーティ製品:
- AirPlay 2対応スマートテレビ
- Samsung、LG、Sony、Vizio、TCLなど
- AirPlay対応スピーカー
- Sonos、Bose、JBL、B&O、Denon、Yamahaなど
- AirPlay対応AVレシーバー
- Denon、Yamaha、Marantzなど
対応機種の確認方法
テレビやスピーカーがAirPlay対応か確認:
- 製品の公式サイトで仕様を確認
- 設定メニューで「AirPlay」または「Apple AirPlay」の項目を探す
- パッケージに「Works with Apple AirPlay」のロゴがあるか確認
Macの対応機種
システム要件:
- macOS Monterey(12.0)以降を推奨
- 2012年以降のMacモデル(一部例外あり)
- Wi-Fi接続が必要
AirPlayで画面をミラーリングする方法
Macの画面をテレビやApple TVに表示する手順です。
手順1:同じWi-Fiネットワークに接続
重要:
MacとAirPlay受信デバイス(Apple TVやスマートテレビ)は、同じWi-Fiネットワークに接続している必要があります。
確認方法:
- MacのメニューバーでWi-Fiアイコンをクリック
- 接続中のネットワーク名を確認
- Apple TVやテレビ側も同じネットワークに接続
手順2:AirPlayアイコンから接続
手順(macOS Monterey以降):
- Macのメニューバーでコントロールセンター(2つの切り替えスイッチアイコン)をクリック
- 「ディスプレイ」セクションを探す
- 表示されるデバイス一覧から、接続したいデバイス(Apple TVやスマートテレビ)を選択
- 接続が確立されるまで数秒待つ
手順(古いmacOS):
- メニューバーのAirPlayアイコン(テレビと三角形のマーク)をクリック
- 接続したいデバイスを選択
手順3:ミラーリングモードを選択
接続後、2つのモードから選べます:
ディスプレイをミラーリング:
- Macの画面がそのままテレビに表示される
- Mac側と全く同じ内容が映る
- プレゼンテーションに最適
別々のディスプレイとして使用:
- テレビを2台目のモニター(拡張ディスプレイ)として使う
- Macとテレビで異なる内容を表示
- 作業領域が広がる
手順4:解像度の調整
設定方法:
- システム設定→「ディスプレイ」
- AirPlayで接続したディスプレイを選択
- 解像度を調整
推奨設定:
- 4Kテレビの場合:3840×2160
- フルHDテレビの場合:1920×1080
音声をAirPlayで再生する方法
Macの音をスピーカーやHomePodで再生する手順です。
手順1:出力先を選択
手順:
- メニューバーのコントロールセンターをクリック
- 「サウンド」セクションを開く
- 「出力」の下に表示されるデバイス一覧から、AirPlay対応スピーカーを選択
または:
- システム設定→「サウンド」
- 「出力」タブを開く
- AirPlay対応デバイスを選択
手順2:音量調整
Macから調整:
- メニューバーの音量スライダーで調整
- キーボードの音量キー(F11、F12など)で調整
スピーカー側から調整:
- HomePodやスマートスピーカーの物理ボタン
- スピーカーのリモコン
複数のスピーカーで同時再生(マルチルームオーディオ)
AirPlay 2の機能:
複数のAirPlay 2対応スピーカーで同時に音楽を再生できます。
手順:
- コントロールセンター→「サウンド」
- 複数のスピーカーにチェックを入れる
- すべてのスピーカーから同じ音楽が流れる
用途:
- リビングと寝室で同じ音楽を楽しむ
- パーティーで家中に音楽を流す
特定のアプリだけをAirPlayで再生
画面全体ではなく、特定のアプリの映像だけをテレビに送る方法です。
Safari(動画再生)
手順:
- Safariで動画サイト(YouTube、Netflix など)を開く
- 動画再生画面のAirPlayアイコンをクリック
- 送信先のデバイスを選択
動画だけがテレビに表示され、Mac側では他の作業ができます。
Apple TV app(映画・TV番組)
手順:
- Apple TV appで映画やTV番組を開く
- 再生画面のAirPlayアイコンをクリック
- デバイスを選択
Apple Music
手順:
- Apple Musicで音楽を再生
- 再生コントロールのAirPlayアイコンをクリック
- スピーカーを選択
AirPlayの便利な使い方
実用的な活用シーンを紹介します。
活用法1:プレゼンテーション
会議室での使い方:
- 会議室のApple TVやAirPlay対応テレビに接続
- KeynoteやPowerPointのスライドを表示
- ケーブル不要で素早くプレゼン開始
メリット:
- HDMIケーブルが不要
- 席を移動しながらプレゼンできる
- 複数人で交代してプレゼン可能
活用法2:映画鑑賞
家での使い方:
- MacのNetflixやAmazon Prime VideoをAirPlayでテレビに送信
- 大画面で映画を楽しむ
- Macで字幕や音量を調整
活用法3:写真のスライドショー
家族や友人と写真を共有:
- 写真アプリでアルバムを開く
- AirPlayでテレビに接続
- スライドショーを再生
活用法4:ゲームプレイ
Macのゲームを大画面で:
- Steam、Apple Arcadeなどのゲームを起動
- AirPlayで画面をテレビにミラーリング
- ワイヤレスコントローラーで操作
注意:
AirPlayには若干の遅延があるため、アクション性の高いゲームには不向きです。
活用法5:デュアルディスプレイ
作業効率アップ:
- テレビを拡張ディスプレイとして設定
- Macで資料を見ながら、テレビで動画を再生
- 作業領域が倍増
AirPlayとBluetoothの違い
似た機能との違いを理解しましょう。
比較表
項目 | AirPlay | Bluetooth |
---|---|---|
主な用途 | 映像・高音質オーディオ | 音声、小型機器接続 |
音質 | 高品質(ロスレス可) | 標準的(圧縮あり) |
遅延 | やや低い | 低い |
対応デバイス | Apple製品、AirPlay対応機器 | ほぼすべてのデバイス |
接続方法 | Wi-Fi経由 | 直接無線接続 |
映像伝送 | ○ | ✕ |
複数デバイス同時接続 | ○(AirPlay 2) | △(限定的) |
使い分けのポイント
AirPlayが適している場合:
- 映像をテレビに表示したい
- 高音質で音楽を楽しみたい
- 複数のスピーカーで同時再生したい
- Apple製品同士で使う
Bluetoothが適している場合:
- 外出先でヘッドフォンを使う
- Windows PCやAndroidと接続したい
- Wi-Fiがない環境
トラブルシューティング
AirPlayがうまく動かない時の対処法です。
問題1:デバイスが見つからない
症状:
AirPlayアイコンをクリックしても、Apple TVやスピーカーが表示されない
対処法:
手順1:Wi-Fi接続を確認
- MacとAirPlay受信デバイスが同じWi-Fiネットワークに接続しているか確認
- 5GHz帯と2.4GHz帯が混在している場合は、同じ帯域に接続
手順2:デバイスを再起動
- Apple TVやスピーカーを再起動
- Macを再起動
- Wi-Fiルーターも再起動(必要に応じて)
手順3:AirPlayが有効になっているか確認
- Apple TVの設定→「AirPlayとHomeKit」で有効になっているか確認
- スマートテレビの設定でAirPlay機能がオンになっているか確認
問題2:映像や音声が途切れる・カクカクする
原因:
Wi-Fiの電波が弱い、または干渉を受けている
対処法:
手順1:Wi-Fi環境を改善
- ルーターとMac、Apple TVの距離を近づける
- 5GHz帯のWi-Fiを使用(2.4GHz帯より高速で干渉が少ない)
- 他のデバイスのWi-Fi使用を一時停止
手順2:有線LAN接続を検討
- Apple TVやスマートテレビを有線LANで接続
- Wi-Fiの負荷を軽減
手順3:解像度を下げる
- システム設定→「ディスプレイ」で解像度を下げる
- 4K→フルHDに変更など
問題3:音声と映像がずれる(リップシンク問題)
対処法:
- Apple TVの設定→「ビデオとオーディオ」
- 「ワイヤレスオーディオ同期」を調整
- または、AirPlay接続を一度切って再接続
問題4:「このMacではAirPlayを使用できません」エラー
原因:
- macOSが古い
- Macの機種が対応していない
対処法:
- macOSを最新版にアップデート
- Mac の機種と対応状況を確認(2012年以前のモデルは非対応の場合あり)
問題5:AirPlayアイコンが表示されない
対処法:
メニューバーに追加:
- システム設定→「コントロールセンター」
- 「ディスプレイ」の設定を「メニューバーに常に表示」に変更
セキュリティとプライバシー
AirPlay使用時の安全性について。
パスワード保護
Apple TVのAirPlay設定:
- 設定→「AirPlayとHomeKit」
- 「Aクセスを許可」を「パスワードが必要」に設定
- 接続時に4桁のコードが必要になる
同じネットワーク内のみ
AirPlayは基本的に、同じWi-Fiネットワーク内でのみ動作します。
外部から勝手にアクセスされる心配はありません。
暗号化
AirPlayのストリーミングは暗号化されているため、Wi-Fi上で盗聴されるリスクは低いです。
よくある質問
Q. AirPlayにはインターネット接続が必要?
A. 基本的には不要です。
MacとAirPlay受信デバイスが同じWi-Fiネットワークにあれば、インターネットに接続していなくてもAirPlayは動作します。
ただし、NetflixやYouTubeなどのストリーミングサービスを視聴する場合は、インターネット接続が必要です。
Q. Windowsと画面共有できる?
A. 直接はできません。
AirPlayはApple独自の技術なので、Windows PCとは直接使えません。
代替手段として、以下があります:
- サードパーティ製アプリ(AirServer、Reflectorなど)
- Miracast(Windows標準のワイヤレスディスプレイ)
- HDMI接続
Q. AirPlayとApple TVの違いは?
A. AirPlayは機能、Apple TVはデバイスです。
- AirPlay:ワイヤレスストリーミング技術(機能)
- Apple TV:AirPlayを受信できるセットトップボックス(ハードウェア)
Apple TV以外にも、AirPlay対応のスマートテレビやスピーカーがあります。
Q. AirPlayの遅延はどれくらい?
A. 通常0.1~0.3秒程度です。
動画視聴や音楽鑑賞では気にならないレベルですが、リズムゲームやFPSなどのアクション性の高いゲームでは遅延を感じることがあります。
Q. 複数のMacから同時にAirPlayできる?
A. 1台のApple TVには1台のMacのみ接続できます。
複数のMacが同時に1つのApple TVに接続することはできません。
接続を切り替えて使う必要があります。
まとめ:AirPlayで快適なワイヤレス環境を
MacのAirPlay機能を使えば、ケーブル不要で映像や音声を楽しめます。
AirPlayの要点:
- ワイヤレスストリーミング技術:映像・音声を無線で送信
- 対応デバイス:Apple TV、HomePod、AirPlay対応テレビ・スピーカー
- 同じWi-Fiネットワークが必須
基本的な使い方:
- MacとAirPlay受信デバイスを同じWi-Fiに接続
- コントロールセンター→「ディスプレイ」または「サウンド」
- 接続したいデバイスを選択
活用シーン:
- プレゼンテーション(会議)
- 映画鑑賞(大画面で)
- 写真共有(家族・友人と)
- デュアルディスプレイ(作業効率アップ)
- マルチルームオーディオ(複数スピーカー同時再生)
トラブル対策:
- デバイスが見つからない→Wi-Fi確認、再起動
- 映像が途切れる→Wi-Fi環境改善、解像度調整
- 音ズレ→ワイヤレスオーディオ同期調整
Bluetoothとの違い:
- AirPlay:高音質・映像対応・Wi-Fi経由
- Bluetooth:汎用性高い・直接接続・音声のみ
AirPlayを活用すれば、Macでの作業や娯楽がより快適になります。
この記事を参考に、ワイヤレスな環境を楽しんでくださいね!
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