パソコンを自作したり、MSI製マザーボードを使っている方なら、「M-Flash」という言葉を見たことがあるかもしれません。
M-Flashは、MSI(Micro-Star International)のマザーボードに搭載されているBIOS更新ツールです。BIOSを安全かつ簡単に更新できる機能として、多くの自作PC愛好家に利用されています。
今回は、M-Flashとは何か、どうやって使うのか、注意点は何かを分かりやすく解説していきます。
そもそもBIOSとは?なぜ更新が必要?

M-Flashを理解する前に、まずBIOSについて簡単に説明しましょう。
BIOSの役割
BIOS(Basic Input/Output System)は、マザーボードに搭載されている基本的なプログラムです。
- パソコンの電源を入れたとき、最初に起動するプログラム
- CPUやメモリ、ストレージなどのハードウェアを認識・初期化する
- OSを起動するための橋渡し役
いわば、パソコンの「起動担当」であり「ハードウェア管理者」なんです。
BIOS更新が必要な理由
BIOSは一度設定したら終わりではなく、時々更新する必要があります。
BIOS更新のメリット
- 新しいCPUへの対応:新世代のCPUを使えるようになる
- 互換性の向上:新しいメモリやストレージデバイスに対応
- 安定性の改善:バグ修正やシステムの安定性向上
- セキュリティ強化:セキュリティ上の脆弱性を修正
- パフォーマンス向上:システムのパフォーマンスが改善されることも
例えば、AMD Ryzen 5000シリーズのCPUを使いたい場合、古いBIOSバージョンでは認識されないことがあります。このようなとき、BIOS更新が必須になります。
M-Flashとは?MSI独自のBIOS更新ツール
M-Flashは、MSIマザーボードに標準搭載されているBIOS更新機能です。
M-Flashの特徴
BIOS画面から直接更新できる
Windowsなどのオペレーティングシステムを起動せずに、BIOS画面から直接BIOS更新ができます。これにより、OS上のトラブルに左右されない安全な更新が可能です。
シンプルな操作
複雑なコマンド入力などは不要。画面の指示に従ってファイルを選ぶだけで更新できます。
Intel 300シリーズ以降のチップセットに対応
比較的新しいMSIマザーボードであれば、ほぼ搭載されています。
M-Flashを使ったBIOS更新の手順
実際にM-Flashを使ってBIOSを更新する方法を解説します。
【準備段階】必要なものを用意する
1. USBフラッシュメモリ
- 容量:8GB程度あれば十分
- フォーマット形式:FAT32(重要!)
注意点
NTFS形式やexFAT形式では認識されません。必ずFAT32でフォーマットしてください。
2. 最新のBIOSファイル
MSI公式サイトから、使っているマザーボードのモデルに対応したBIOSファイルをダウンロードします。
【手順1】USBメモリの準備
ステップ1:フォーマットする
- USBメモリをパソコンに接続
- エクスプローラーでUSBメモリを右クリック
- 「フォーマット」を選択
- ファイルシステムで「FAT32」を選択
- 「開始」をクリック
注意:フォーマットするとUSBメモリ内のデータがすべて消去されます。重要なデータは事前にバックアップしてください。
ステップ2:BIOSファイルをダウンロード
- MSI公式サイト(https://www.msi.com)にアクセス
- 右上の検索アイコンをクリック
- 使っているマザーボードのモデル名を入力(例:MPG Z790 EDGE WIFI)
- 製品ページの「ダウンロード」タブを開く
- 「BIOS」セクションから最新版をダウンロード
ステップ3:ファイルを解凍してコピー
- ダウンロードしたZIPファイルを右クリック
- 「すべて展開」を選択して解凍
- 解凍したフォルダ全体をUSBメモリのルートディレクトリ(最上階層)にコピー
重要:サブフォルダに入れず、USBメモリを開いてすぐの場所にコピーしてください。
【手順2】M-Flashでの更新作業
ステップ1:BIOS画面に入る
- パソコンを起動(または再起動)
- 起動画面が表示されたら、「Delete」キーを連打
- BIOS設定画面が開く
ステップ2:M-Flashを起動
- BIOS画面で「M-FLASH」メニューを探してクリック
- 場所はマザーボードによって異なりますが、多くの場合メイン画面や「Utilities」メニュー内にあります
- 「はい」をクリックして確認
- システムが再起動し、M-Flashモードに入ります
ステップ3:BIOSファイルを選択
- M-Flash画面で、USBフラッシュドライブを選択
- 先ほどコピーしたBIOSファイルを選択
- 「Enter」キーを押して確定
- 更新を開始するか確認されるので、「はい」を選択
ステップ4:更新を待つ
- BIOS更新が開始されます(通常3〜5分程度)
- 進行状況バーが表示されます
- 更新が完了すると、自動的に再起動します
絶対にやってはいけないこと
- 更新中に電源を切る
- 更新中にUSBメモリを抜く
- 更新中にリセットボタンを押す
これらの行為はBIOSチップを破損させ、マザーボードが起動しなくなる可能性があります。
【手順3】更新後の確認
ステップ1:BIOSバージョンを確認
- 再起動後、再び「Delete」キーでBIOS画面に入る
- メイン画面でBIOSバージョンを確認
- 最新バージョンに更新されていることを確認
ステップ2:設定をリセット(推奨)
- BIOS画面で「Save & Exit」メニューへ
- 「Restore Defaults」(初期設定に戻す)を選択
- 保存して再起動
BIOS更新後は、一度初期設定に戻してから使うのが安全です。
ステップ3:必要に応じて再設定
以前カスタマイズしていた設定がある場合は、再設定します。
- 起動順序(SSDを最優先にするなど)
- XMPプロファイル(メモリのオーバークロック設定)
- ファン制御
- その他の詳細設定
Flash BIOS Button:CPUなしでBIOS更新できる便利機能
M-Flashとは別に、MSIの一部マザーボードにはFlash BIOS Buttonという物理ボタンが搭載されています。
Flash BIOS Buttonとは?
マザーボード背面のI/Oパネルに付いている小さなボタンで、CPUやメモリを取り付けずにBIOSを更新できる機能です。
こんな時に便利
- 新しいCPUを買ったが、現在のBIOSでは対応していない
- PC組み立て前にBIOSを最新版にしておきたい
- BIOSが壊れてシステムが起動しなくなった
Flash BIOS Buttonの使い方
準備
- USBメモリをFAT32でフォーマット
- BIOSファイルをダウンロードして解凍
- BIOSファイルの名前を「MSI.ROM」に変更(重要!)
- USBメモリのルートディレクトリにコピー
更新手順
- CPUパワーコネクタと24ピン電源コネクタをマザーボードに接続(CPU本体は不要)
- 「MSI.ROM」ファイルが入ったUSBメモリを、背面I/Oパネルの「BIOS」と書かれたUSBポートに接続
- Flash BIOS Buttonを押す
- LEDインジケーターが点滅を開始
- LEDが消灯したら更新完了(5〜10分程度)
注意点
- 更新中は絶対に電源を切らない
- 必ず専用のUSBポートに接続する
- ファイル名は必ず「MSI.ROM」にする
BIOS更新時の注意点とトラブルシューティング

更新前の確認事項
本当に更新が必要か確認する
「動作に問題がない場合は無理に更新しない」というのも一つの選択肢です。ただし、以下の場合は更新を検討しましょう。
- 新しいCPUを使いたい
- システムの不具合がある
- セキュリティアップデートが含まれている
現在のBIOSバージョンを確認
BIOS画面で現在のバージョンを確認し、ダウンロードしたファイルがより新しいバージョンであることを確認してください。
電源の安定性を確保
停電や突然の電源断は致命的です。可能であればUPS(無停電電源装置)を使用するか、雷雨時は避けましょう。
よくあるトラブルと解決法
問題1:USBメモリが認識されない
- USBメモリがFAT32でフォーマットされているか確認
- 別のUSBメモリを試す
- USBポートを変える(Flash BIOS Buttonの場合は専用ポートのみ)
問題2:BIOSファイルが見つからない
- ファイルがUSBメモリのルートディレクトリ(最上階層)にあるか確認
- ファイル名が正しいか確認(Flash BIOS Buttonの場合は「MSI.ROM」)
- ファイルが解凍されているか確認(ZIPファイルのままではダメ)
問題3:更新が途中で止まった
- 3〜5分待ってみる(見た目が止まっているように見えても処理中の場合がある)
- それでも進まない場合は、MSIのカスタマーサポートに連絡
問題4:更新後に起動しない
- BIOS設定を初期化してみる
- CMOSクリア(マザーボード上のボタン電池を外して数分待つ)を試す
- それでもダメな場合はサポートに連絡
M-Flash以外のBIOS更新方法
MSIマザーボードでは、M-Flash以外にもBIOS更新の方法があります。
MSI Center(MSI Dragon Center)を使う方法
Windows上で動作するMSI純正のユーティリティソフトです。
手順
- MSI Centerをインストール
- 「Live Update」セクションを開く
- 「Scan」をクリック
- 新しいBIOSバージョンがあれば「Update BIOS」をクリック
注意点
Windows上での更新は、OSのクラッシュや停電のリスクがあるため、M-FlashやFlash BIOS Buttonの方が安全です。
MSI Live Update
MSI Live Updateは、BIOS、ドライバー、ファームウェアを更新できるツールです。Windows上で動作しますが、上記と同様の理由で、可能な限りM-Flashを使うことが推奨されます。
まとめ:M-FlashでBIOS更新を安全に
M-Flashは、MSIマザーボードユーザーにとって非常に便利なBIOS更新ツールです。
M-Flashのポイント
- MSIマザーボード専用のBIOS更新機能
- BIOS画面から直接更新できるため安全
- USBメモリにBIOSファイルを入れるだけで使える
- シンプルな操作で初心者でも使いやすい
- Flash BIOS Buttonなら、CPUなしで更新可能
BIOS更新の基本手順
- USBメモリをFAT32でフォーマット
- MSI公式サイトから最新BIOSをダウンロード
- 解凍したファイルをUSBメモリにコピー
- BIOS画面でM-Flashを起動
- BIOSファイルを選択して更新
- 更新中は絶対に電源を切らない
- 完了後、BIOS設定を初期化
安全に更新するためのポイント
- 必要なとき以外は無理に更新しない
- 公式サイトから正しいファイルをダウンロードする
- FAT32フォーマットのUSBメモリを使う
- 更新中は絶対に電源を切らない
- 可能であればUPSを使用する
BIOS更新は少し緊張する作業かもしれませんが、手順をしっかり守れば安全に行えます。新しいCPUへの対応や、システムの安定性向上のために、M-Flashを活用してみてください!

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