Linuxを使い始めたばかりの方にとって、ターミナル(コマンドライン)からのファイル操作は最初は難しく感じるかもしれません。
しかし、基本的なコマンドさえ覚えれば、GUIよりも素早く効率的に作業できるようになります。
この記事では、主要なLinuxディストリビューション(Ubuntu、CentOS、Debian、Fedoraなど)で共通して使えるファイル・フォルダ作成の基本コマンドを解説します。
ターミナルの起動方法

まずはターミナルを開きましょう:
- Ubuntu/Debian系: Ctrl + Alt + T、または「アプリケーション」→「アクセサリ」→「ターミナル」
- CentOS/RHEL/Fedora: 「アプリケーション」→「システムツール」→「ターミナル」
- その他のディストリビューション: デスクトップ環境によって異なりますが、メニューから「ターミナル」や「コンソール」を探してください
ファイルを作成する:touch コマンド
ファイルを作成する最も基本的な方法は、touch
コマンドを使うことです。
基本構文:
touch ファイル名
単一ファイルの作成例
touch report.txt
これで現在のディレクトリに「report.txt」という空のファイルが作成されます。
複数ファイルの一括作成
touch file1.txt file2.txt file3.txt
スペースで区切って複数のファイル名を指定すれば、一度に複数のファイルを作成できます。
特定の場所にファイルを作成
touch /home/username/documents/notes.txt
絶対パスを指定して、任意の場所にファイルを作成することも可能です。
注意点
touch
コマンドは空のファイルを作成します- 既に存在するファイル名を指定した場合、内容は変更されず、最終更新日時だけが更新されます
- この特性を利用して、ファイルのタイムスタンプを更新するのにも使われます
フォルダ(ディレクトリ)を作成する:mkdir コマンド

ディレクトリ(フォルダ)を作成するには、mkdir
(make directory)コマンドを使います。
基本構文:
mkdir フォルダ名
単一フォルダの作成例
mkdir projects
これで現在のディレクトリに「projects」というフォルダが作成されます。
複数フォルダの一括作成
mkdir folder1 folder2 folder3
ファイルと同様に、スペースで区切って複数のフォルダを一度に作成できます。
階層構造のフォルダを一気に作成
mkdir -p projects/website/images
-p
(parents)オプションを使うと、指定したパスの途中のディレクトリが存在しない場合でも、それらも含めて一気に作成できます。これは非常に便利な機能で、階層の深いディレクトリ構造を簡単に作れます。
作成したファイル・フォルダを確認する:ls コマンド

ファイルやフォルダを作成したら、ls
(list)コマンドで確認しましょう:
ls
このコマンドで、現在のディレクトリ内のファイルとフォルダの一覧が表示されます。
詳細情報を表示
ls -l
-l
(long)オプションを使うと、ファイルの詳細情報(権限、所有者、サイズ、日時など)が表示されます。
隠しファイルも表示
ls -a
-a
(all)オプションを使うと、ドット(.)で始まる隠しファイルも表示されます。
詳細情報と隠しファイルを同時に表示
ls -la
これはとても一般的な組み合わせで、すべてのファイル(隠しファイルを含む)の詳細情報を表示します。
作成したファイルを編集する

ファイルを作成した後、内容を編集するにはテキストエディタを使います。
Linuxには多くのテキストエディタがありますが、初心者には以下がおすすめです:
nanoエディタ(初心者向け)
nano hello.txt
基本操作:
- テキストを入力:通常のテキスト入力
- 保存:Ctrl + O → Enter
- 終了:Ctrl + X
nanoは直感的で使いやすいエディタです。多くのディストリビューションに標準でインストールされていますが、ない場合はパッケージマネージャでインストールできます:
- Ubuntu/Debian系:
sudo apt install nano
- CentOS/RHEL/Fedora系:
sudo yum install nano
またはsudo dnf install nano
viエディタ(ほぼすべてのLinuxにプリインストール)
vi hello.txt
または:
vim hello.txt
viは強力ですが、操作方法が独特なので慣れが必要です:
- 編集モードに入る:
i
キーを押す - テキストを入力
- 編集モードを終了:Escキーを押す
- 保存して終了:
:wq
と入力してEnter - 保存せずに終了:
:q!
と入力してEnter
GUIエディタ(X環境がある場合)
gedit hello.txt
または:
xed hello.txt # Linux Mintの場合
よくあるエラーと対処法
エラー | 原因 | 解決方法 |
---|---|---|
Permission denied | 書き込み権限がない場所で操作しようとした | sudo コマンドを使うか、権限のある場所(ホームディレクトリなど)で作業する |
No such file or directory | 指定したパスの親ディレクトリが存在しない | mkdir -p を使って階層構造を一括作成する |
touch: command not found | 非常にまれですが、基本コマンドがインストールされていない | 必要なパッケージをインストールする(例:sudo apt install coreutils ) |
Command not found: nano | nanoエディタがインストールされていない | パッケージマネージャでインストールする |
まとめ|Linuxでのファイル・フォルダ作成はこの4つでOK!
やりたいこと | コマンド例 | 説明 |
---|---|---|
空ファイルを作る | touch myfile.txt | 指定した名前の空ファイルを作成 |
フォルダを作る | mkdir myfolder | 指定した名前のフォルダを作成 |
階層フォルダを作る | mkdir -p parent/child | 親ディレクトリも含めて一括作成 |
ファイルを編集する | nano myfile.txt | nanoエディタでファイルを編集 |
これらの基本コマンドは、ほぼすべてのLinuxディストリビューションで共通して使えます。まずはご自身のホームディレクトリで実際に試してみて、コマンドラインでのファイル・フォルダ作成に慣れていきましょう。
ターミナル操作に慣れると、GUIよりも素早く効率的に作業できるようになり、Linuxの真の力を実感できるはずです。
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