「LinuxでもMicrosoft Edgeって使えるの?」
実は、Edgeは2020年からLinux版が正式に提供されているんです。
WindowsやMacだけでなく、Ubuntu、Fedora、Debian、openSUSEなど主要なLinuxディストリビューションで利用できます。
この記事では、Linux初心者でも簡単にEdgeをインストールできる方法を、スクリーンショット付きでわかりやすく解説していきます。
Linux版Microsoft Edgeとは?

Linux版のMicrosoft Edgeは、ChromiumベースのWebブラウザです。
Windows版やMac版と同じエンジンを使っているため、機能や操作性もほぼ同じなんですよ。
Linux版Edgeの特徴
主な機能:
- Microsoftアカウントでの同期(ブックマーク、履歴、パスワード)
- Copilot(AIアシスタント)の利用
- コレクション機能
- イマーシブリーダー
- ダークモード
- Chrome拡張機能の利用
- Drop機能(デバイス間のファイル共有)
Windows版との違い:
初期リリース時には一部機能が制限されていましたが、現在はほとんどの機能が利用可能です。
ただし、一部のWindows専用機能(Windows Helloなど)は使えません。
対応しているLinuxディストリビューション
Microsoft Edge公式がサポートしているディストリビューションは以下の通りです。
Debian系:
- Ubuntu(20.04以降)
- Debian
- Linux Mint
- Pop!_OS
- Zorin OS
Red Hat系:
- Fedora
- Red Hat Enterprise Linux(RHEL)
- openSUSE
その他:
- Arch Linux(AURから)
- Flatpak対応ディストリビューション
基本的に、これらのベースになっているディストリビューションなら問題なく動作します。
インストール方法の選択
Linux版Edgeには、3つの主なインストール方法があります。
それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を選びましょう。
方法1:DEBまたはRPMパッケージを直接インストール
メリット:
- 最も簡単で初心者向け
- グラフィカルな操作のみで完結
- ターミナルを使わなくても大丈夫
デメリット:
- 手動でダウンロードが必要
おすすめ: Linux初心者やターミナルに不慣れな人
方法2:公式リポジトリを追加してインストール
メリット:
- システムの更新プログラムと一緒に自動更新される
- 最新版が常に維持される
- 再インストール時に簡単
デメリット:
- ターミナルでコマンド入力が必要
おすすめ: ターミナル操作に慣れている中級者以上
方法3:Flatpakでインストール
メリット:
- サンドボックス環境で安全
- ディストリビューション依存が少ない
- Flatpak対応なら簡単
デメリット:
- 起動がやや遅い
- システムとの統合が若干弱い
おすすめ: セキュリティ重視の人やFlatpakを既に使っている人
【方法1】DEBパッケージでインストール(Ubuntu/Debian系)
最も簡単な方法から始めましょう。
Ubuntu、Linux Mint、Debianなどを使っている場合はこの方法がおすすめです。
ステップ1:パッケージをダウンロード
- Webブラウザを開いて、Microsoft Edgeの公式ダウンロードページにアクセスします
https://www.microsoft.com/edge
- ページを下にスクロールして「Microsoft EdgeがLinuxで使用可能になりました」というセクションを探します
- 「Linux (.deb)」ボタンをクリックします
- ライセンス条項が表示されるので、内容を確認します
- 「同意してダウンロード」ボタンをクリックします
- ファイルが「ダウンロード」フォルダに保存されます
(ファイル名:microsoft-edge-stable_xxx_amd64.deb)
注意点:
「DEV」と書かれているボタンは開発者向けプレビュー版です。安定版を使いたい場合は、DEVマークのないボタンを選んでください。
ステップ2:パッケージをインストール
方法A:グラフィカルインストール(おすすめ)
- ファイルマネージャーで「ダウンロード」フォルダを開きます
- ダウンロードした
.debファイルをダブルクリックします - 「ソフトウェアのインストール」アプリが自動的に開きます
(Ubuntu 24.04以降の場合は「App Center」) - 「インストール」ボタンをクリックします
- 管理者パスワードを入力して認証します
- インストールが完了するまで待ちます
方法B:ターミナルでインストール
ターミナルを開いて以下のコマンドを実行します。
cd ~/Downloads
sudo dpkg -i microsoft-edge-stable_*_amd64.deb
もし依存関係のエラーが出た場合は、以下のコマンドで修正できます。
sudo apt install -f
ステップ3:Edgeを起動
- アプリケーションメニューを開きます
- 検索ボックスに「Edge」または「Microsoft Edge」と入力します
- Microsoft Edgeのアイコンをクリックして起動します
初回起動時には、初期設定ウィザードが表示されます。
【方法2】公式リポジトリからインストール(Ubuntu/Debian系)
この方法では、Microsoftの公式リポジトリを追加してインストールします。
一度設定すれば、システム更新時に自動的にEdgeも最新版に更新されるのが便利です。
Ubuntu/Debian/Linux Mintの場合
ターミナルを開いて、以下のコマンドを順番に実行します。
ステップ1:Microsoftの署名キーをダウンロード・インストール
curl https://packages.microsoft.com/keys/microsoft.asc | gpg --dearmor > microsoft.gpg
sudo install -o root -g root -m 644 microsoft.gpg /etc/apt/trusted.gpg.d/
ステップ2:Edgeのリポジトリを追加
sudo sh -c 'echo "deb [arch=amd64] https://packages.microsoft.com/repos/edge stable main" > /etc/apt/sources.list.d/microsoft-edge.list'
ステップ3:一時ファイルを削除
sudo rm microsoft.gpg
ステップ4:パッケージリストを更新
sudo apt update
ステップ5:Microsoft Edgeをインストール
sudo apt install microsoft-edge-stable
ベータ版や開発版をインストールしたい場合:
# ベータ版
sudo apt install microsoft-edge-beta
# 開発版
sudo apt install microsoft-edge-dev
インストールが完了したら、アプリケーションメニューからEdgeを起動できます。
【方法3】RPMパッケージでインストール(Fedora/Red Hat系)
Fedora、openSUSE、RHELなどを使っている場合はこの方法です。
直接RPMパッケージをインストール
ステップ1:パッケージをダウンロード
- Microsoft Edgeの公式ダウンロードページにアクセスします
- 「Linux (.rpm)」ボタンをクリックします
- ライセンス条項に同意してダウンロードします
ステップ2:インストール
ダウンロードフォルダに移動して、以下のコマンドを実行します。
cd ~/Downloads
sudo rpm -i microsoft-edge-stable-*.rpm
公式リポジトリを追加(Fedora)
Fedora 42/43の場合(DNF5使用):
# Microsoftの署名キーをインポート
sudo rpm --import https://packages.microsoft.com/keys/microsoft.asc
# リポジトリを追加
sudo dnf config-manager addrepo --from-repofile https://packages.microsoft.com/yumrepos/edge
# Edgeをインストール
sudo dnf install microsoft-edge-stable
Fedora 41以前の場合(DNF4使用):
sudo rpm --import https://packages.microsoft.com/keys/microsoft.asc
sudo dnf config-manager --add-repo https://packages.microsoft.com/yumrepos/edge
sudo dnf install microsoft-edge-stable
openSUSEの場合
sudo rpm --import https://packages.microsoft.com/keys/microsoft.asc
sudo zypper ar https://packages.microsoft.com/yumrepos/edge microsoft-edge-stable
sudo zypper refresh
sudo zypper install microsoft-edge-stable
【方法4】Flatpakでインストール

Flatpakを使ってインストールする方法です。
どのディストリビューションでも統一された手順で使えます。
前提条件:
システムにFlatpakがインストールされている必要があります。
インストール手順
ステップ1:Flathubリポジトリを追加(初回のみ)
flatpak remote-add --if-not-exists flathub https://flathub.org/repo/flathub.flatpakrepo
ステップ2:Microsoft Edgeをインストール
flatpak install flathub com.microsoft.Edge
ステップ3:起動
flatpak run com.microsoft.Edge
アプリケーションメニューからも起動できます。
初回起動と初期設定
Edgeを初めて起動すると、ウェルカム画面が表示されます。
基本設定のステップ
1. プライバシー設定
最初に、診断データの送信について選択を求められます。
- 「Help improve Microsoft products」のチェックを外すと、診断データの送信を停止できます
- プライバシーを重視する場合はチェックを外しましょう
2. 新しいタブページのカスタマイズ
新しいタブを開いた時の表示内容を選択できます。
- Focused(シンプル)
- Inspirational(画像付き)
- Informational(ニュース表示)
好みに応じて選択してください。
3. ブックマークのインポート
他のブラウザ(Firefox、Chromeなど)からブックマークをインポートできます。
必要に応じて選択しましょう。
4. Microsoftアカウントでサインイン(オプション)
サインインすると、以下の機能が使えます:
- デバイス間での同期
- Copilotの利用
- パスワードの保存と同期
- 閲覧履歴の同期
必須ではないので、スキップしても大丈夫です。
Copilotの利用
2025年5月リリースのバージョンから、新しいタブに直接Copilotボタンが表示されるようになりました。
Copilotでできること:
- 文章の作成や要約
- コーディングのサポート
- 画像の生成
- ウェブ検索の支援
- アイデアのブレインストーミング
試しに「Linux初心者におすすめのコマンド5つを教えて」などと質問してみると良いでしょう。
アップデートの方法
インストール方法によって、アップデート手順が異なります。
DEBまたはRPMパッケージでインストールした場合
インストール時に自動的にMicrosoftのリポジトリが追加されるため、システムの通常の更新プロセスで自動的にアップデートされます。
Ubuntu/Debian系:
sudo apt update
sudo apt upgrade
Fedora/Red Hat系:
sudo dnf upgrade
Flatpakでインストールした場合
flatpak update com.microsoft.Edge
GUIの「ソフトウェア」アプリからも更新できます。
アンインストール方法
必要なくなった場合のアンインストール手順です。
Ubuntu/Debian/Linux Mintの場合
sudo apt remove microsoft-edge-stable
完全に削除したい場合(設定ファイルも削除):
sudo apt purge microsoft-edge-stable
Fedora/openSUSEの場合
# Fedora
sudo dnf remove microsoft-edge-stable
# openSUSE
sudo zypper remove microsoft-edge-stable
Flatpakの場合
flatpak uninstall com.microsoft.Edge
ユーザーデータの削除
アンインストールしてもユーザーデータは残ります。
完全に削除したい場合は、以下のフォルダを手動で削除してください。
rm -rf ~/.config/microsoft-edge
rm -rf ~/.cache/microsoft-edge
トラブルシューティング
インストールや使用時によくある問題と解決方法です。
問題1:依存関係のエラーが出る
症状:
The following packages have unmet dependencies
解決方法:
sudo apt install -f
このコマンドで不足している依存パッケージが自動的にインストールされます。
問題2:GLIBCバージョンエラー
症状:
GLIBC_2.29 not found
解決方法:
システムが古い可能性があります。アップデートを実行してください。
sudo apt update
sudo apt upgrade
それでも解決しない場合は、ディストリビューションのバージョンアップが必要かもしれません。
問題3:日本語入力ができない
症状:
テキストボックスに日本語が入力できない
解決方法:
- システムのIME設定を確認してください
- Edgeの設定から言語設定を確認します
- 環境変数を設定する:
# .bashrcまたは.profileに追加
export GTK_IM_MODULE=ibus
export QT_IM_MODULE=ibus
export XMODIFIERS=@im=ibus
問題4:起動しない
症状:
アイコンをクリックしても何も起こらない
解決方法:
ターミナルから起動してエラーメッセージを確認します。
microsoft-edge-stable
エラーメッセージに応じて対処してください。
問題5:動画が再生できない
症状:
YouTubeなどの動画サイトで動画が再生されない
解決方法:
必要なコーデックをインストールします。
# Ubuntu/Debian
sudo apt install ubuntu-restricted-extras
# Fedora
sudo dnf install ffmpeg
Linux版Edge活用のヒント

より快適にEdgeを使うためのTipsを紹介します。
Chrome拡張機能を使う
EdgeはChromiumベースなので、Chromeウェブストアから拡張機能をインストールできます。
- Chrome Web Storeにアクセス
- 「Chromeに追加」ボタンが「Edgeに追加」と表示されます
- クリックしてインストール
PDFビューアーとして使う
Edge内蔵のPDFビューアーは高機能です。
- 注釈の追加
- ハイライト
- 手書き入力
- 検索
日本語PDFも問題なく表示できます。
Dropで複数デバイス間でファイル共有
WindowsやスマートフォンとLinuxの間で簡単にファイルを送受信できます。
- Edgeの「…」メニューから「Drop」を選択
- ファイルをドラッグ&ドロップ
- 他のデバイスで受信
VirtualBoxなどの仮想環境でも便利に使えますよ。
コレクション機能で情報整理
Webページやメモをまとめて管理できる機能です。
- 右上の「コレクション」アイコンをクリック
- 「新しいコレクション」を作成
- ページを追加して整理
リサーチやプロジェクト管理に便利です。
よくある質問
Q1:Linux版EdgeはWindows版と同じ機能が使えますか?
ほとんどの機能は同じですが、Windows Hello認証など一部のOS固有機能は使えません。通常のブラウジング、拡張機能、同期、Copilotなど主要機能はすべて利用可能です。
Q2:Netflixを高画質で見られますか?
残念ながら、Linux版EdgeではNetflixのフルHD/4K再生には対応していません。これはLinux全体の制限で、現状ではSD画質での再生となります。
Q3:メモリ使用量はChromeと比べてどうですか?
一般的に、EdgeはChromeより若干メモリ使用量が少ないと言われています。ただし、開いているタブ数や拡張機能の数によって変わるため、個人差があります。
Q4:安定版、ベータ版、開発版の違いは?
- 安定版(Stable):最も安定、月1回程度の更新
- ベータ版(Beta):新機能をいち早く試せる、月1回更新
- 開発版(Dev):最新ビルド、毎週更新
初心者は安定版がおすすめです。
Q5:Edgeをデフォルトブラウザに設定できますか?
はい、可能です。Edgeの「設定」→「既定のブラウザー」から設定できます。ディストリビューションによっては、システム設定からも変更できます。
Q6:仕事でMicrosoft 365を使っていますが、Linuxでも連携できますか?
はい、問題なく連携できます。Office Online、OneDrive、Teamsなどのサービスは、Linux版Edgeでも快適に利用できます。
まとめ
Linux環境でMicrosoft Edgeを使うのは、思っているより簡単です。
インストール方法のおさらい:
- DEBパッケージ(Ubuntu系):初心者向け、ダブルクリックで完了
- 公式リポジトリ追加:中級者向け、自動更新が便利
- RPMパッケージ(Fedora系):Red Hat系ユーザー向け
- Flatpak:セキュリティ重視の人向け
Linux版Edgeのメリット:
- Chromiumベースで動作が軽快
- Microsoftサービスとの連携が良好
- Copilot AIアシスタントが使える
- Chrome拡張機能が利用可能
- デバイス間での同期が便利
- 定期的なアップデートで最新機能が使える
WindowsやMacとLinuxを併用している人にとって、Edgeはブラウザ環境を統一できる便利な選択肢です。
特に、仕事でMicrosoft 365を使っている場合は、Linux上でもシームレスに作業できるのが大きなメリットですね。
ぜひ一度試してみてください!

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