「LinuxでもMicrosoft Edgeって使えるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
実は、Microsoft EdgeはWindowsだけでなく、Linux環境でも正式に利用できるんです!
ChromiumベースのEdgeはLinuxユーザーにも開放されており、Windows版と同じような快適なブラウジング体験ができます。しかも、Copilot(AI搭載アシスタント)も使えるため、仕事の効率化や学習支援にも役立ちますよ。
この記事では、Linux版Microsoft Edgeのインストール方法から使い方まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
Linux版Microsoft Edgeとは

まず、Linux版Edgeの特徴を理解しておきましょう。
Chromiumベースのブラウザ
Microsoft EdgeはChromiumをベースに開発されています。
Chromiumとは、Google Chromeの基盤となっているオープンソースのブラウザエンジンです。つまり、ChromeとEdgeは「兄弟」のような関係なんですね。
そのため、以下のメリットがあります:
- Google Chromeと同じような操作感
- Chrome拡張機能が使える
- ウェブサイトの互換性が高い
- 高速なページ表示
Windows版との違い
基本的な機能はWindows版とほぼ同じです。
ただし、一部の機能には違いがあります:
利用できる機能
- 基本的なブラウジング機能
- タブグループ化
- お気に入り同期
- 拡張機能のインストール
- Copilot(AIアシスタント)
- コレクション機能
- 垂直タブ表示
制限がある機能
- 一部のMicrosoftサービス連携
- Windows固有の機能(一部)
それでも、日常的なブラウジングには十分な機能が揃っています。
Linux版のメリット
Linux環境でEdgeを使うメリットをいくつか紹介します。
マルチプラットフォーム同期
WindowsやAndroid、iOSのEdgeと設定やブックマークを同期できます。仕事でWindowsを使い、自宅でLinuxを使っている方には特に便利ですね。
Copilotの利用
AI搭載のCopilot機能が使えるため、文章作成やアイデア創出、調べ物などが効率的に行えます。
Chrome拡張機能の互換性
Chrome Web Storeの拡張機能がそのまま使えるので、Chromeユーザーも移行しやすいです。
Netflixの高画質対応(期待)
将来的には、EdgeでのみフルHD・4K配信が利用できる可能性があります(現時点では一部制限あり)。
対応しているLinuxディストリビューション
Linux版Edgeは、主要なディストリビューションに対応しています。
公式サポート対象
Microsoft公式がサポートしているディストリビューションは以下の通りです:
Debian系
- Ubuntu 18.04 LTS以降
- Linux Mint 19以降
- Debian 9以降
- Pop!_OS
- Zorin OS
- elementary OS
Red Hat系
- Fedora(最新版)
- Red Hat Enterprise Linux (RHEL)
- CentOS Stream
- Alma Linux
- Rocky Linux
SUSE系
- openSUSE Leap
- openSUSE Tumbleweed
その他のディストリビューション
Arch LinuxやManjaro、Gentooなどでも、コミュニティリポジトリ(AUR等)を通じてインストールできる場合があります。
ただし、公式サポート外なので、動作の保証はありません。
インストール方法の選択肢
Linux版Edgeのインストール方法は、大きく2つあります。
GUI(グラフィカルインターフェース)方式
初心者の方におすすめの方法です。
Webブラウザでダウンロードして、ダブルクリックでインストールできます。Windowsでソフトをインストールする感覚に近いですね。
メリット
- 分かりやすい
- コマンド不要
- 視覚的に確認できる
デメリット
- 手動でダウンロードが必要
- 複数台への一括インストールには不向き
CLI(コマンドライン)方式
ターミナルでコマンドを実行してインストールする方法です。
慣れている方やサーバー環境では、こちらの方が効率的ですね。
メリット
- スクリプト化できる
- リモートインストールが可能
- 複数台への展開が簡単
デメリット
- コマンドに慣れていないと難しい
- タイプミスのリスク
以下では、両方の方法を詳しく解説します。
GUI方式でのインストール(Ubuntu/Debian系)

最も簡単なインストール方法から説明します。
手順1:公式サイトにアクセス
Firefoxなど、現在使っているブラウザで以下の公式サイトにアクセスします:
https://www.microsoft.com/edge/download
手順2:Linux版を選択
ページを下にスクロールすると「Linux用のダウンロード」という項目があります。
Ubuntu/Debian/Linux Mintの場合
「Linux (.deb)」をクリックします。
Fedora/RHEL/CentOSの場合
「Linux (.rpm)」をクリックします。
手順3:利用規約に同意
小さなダイアログが表示されます。
Microsoftの利用規約が表示されるので、確認してから「同意してダウンロード」ボタンをクリックしましょう。
手順4:ダウンロード完了を待つ
ファイルがダウンロードされます。
通常は「ダウンロード」フォルダに保存されます。ファイル名は「microsoft-edge-stable_xxx_amd64.deb」のような形式です。
手順5:インストーラーを開く
ダウンロードフォルダに移動して、ダウンロードしたファイルをダブルクリックします。
UbuntuやLinux Mintでは、自動的にソフトウェアセンター(または「ソフトウェアのインストール」)が起動します。
手順6:インストール実行
「インストール」ボタンをクリックします。
パスワードの入力を求められる場合があります。これは管理者権限が必要なためです。パスワードを入力してインストールを続けましょう。
手順7:インストール完了
インストールが完了すると、アプリケーションメニューからEdgeを起動できるようになります。
「アクティビティ」や「アプリケーション」メニューで「Edge」と検索してみてください。
CLI方式でのインストール(Ubuntu/Debian系)
コマンドラインでインストールする方法を説明します。
ターミナルを開く
Ctrl + Alt + T キーを押してターミナルを開きます。
手順1:GPGキーをインポート
Microsoftのパッケージを検証するための鍵をインポートします。
以下のコマンドを1行ずつ実行してください:
curl https://packages.microsoft.com/keys/microsoft.asc | gpg --dearmor > microsoft.gpg
sudo install -o root -g root -m 644 microsoft.gpg /etc/apt/trusted.gpg.d/
sudo rm microsoft.gpg
これで、Microsoftの公式パッケージであることを確認できるようになります。
手順2:リポジトリを追加
Edgeのリポジトリをシステムに登録します:
sudo sh -c 'echo "deb [arch=amd64] https://packages.microsoft.com/repos/edge stable main" > /etc/apt/sources.list.d/microsoft-edge-dev.list'
手順3:パッケージリストを更新
sudo apt update
このコマンドで、追加したリポジトリを含めた最新のパッケージ情報を取得します。
手順4:Edgeをインストール
安定版(Stable)をインストールする場合:
sudo apt install microsoft-edge-stable
開発版(Dev)をインストールする場合:
sudo apt install microsoft-edge-dev
ベータ版(Beta)をインストールする場合:
sudo apt install microsoft-edge-beta
通常は安定版をおすすめします。
インストール確認
インストールが完了したら、以下のコマンドで起動できます:
microsoft-edge-stable
または、アプリケーションメニューから「Microsoft Edge」を検索して起動しましょう。
CLI方式でのインストール(Fedora/RHEL系)
Red Hat系ディストリビューションでのインストール方法です。
手順1:GPGキーをインポート
sudo rpm --import https://packages.microsoft.com/keys/microsoft.asc
手順2:リポジトリを追加
sudo dnf config-manager --add-repo https://packages.microsoft.com/yumrepos/edge
手順3:リポジトリファイルの移動
sudo mv /etc/yum.repos.d/packages.microsoft.com_yumrepos_edge.repo /etc/yum.repos.d/microsoft-edge-dev.repo
手順4:Edgeをインストール
安定版の場合:
sudo dnf update && sudo dnf install microsoft-edge-stable
開発版の場合:
sudo dnf update && sudo dnf install microsoft-edge-dev
CLI方式でのインストール(openSUSE系)
openSUSEでのインストール方法です。
手順1:GPGキーをインポート
sudo rpm --import https://packages.microsoft.com/keys/microsoft.asc
手順2:リポジトリを追加
開発版の場合:
sudo zypper ar https://packages.microsoft.com/yumrepos/edge microsoft-edge-dev
手順3:リポジトリを更新
sudo zypper refresh
手順4:Edgeをインストール
sudo zypper install microsoft-edge-dev
初回起動と初期設定
インストールが完了したら、実際にEdgeを起動してみましょう。
起動方法
アプリケーションメニューから「Microsoft Edge」を検索して起動します。
または、ターミナルから以下のコマンドで起動できます:
microsoft-edge-stable
プライバシー設定
初回起動時に、プライバシーに関する設定画面が表示されます。
「Microsoftに診断データを送信する」というオプションがありますが、これはオフにしても問題ありません。プライバシーを重視する場合は、チェックを外しておきましょう。
Microsoftアカウントでのサインイン
サインイン画面が表示されます。
サインインするメリット
- ブックマークや設定の同期
- 他のデバイスとのタブ共有
- パスワードの同期
- Copilot機能の完全な利用
サインインしない場合
- ローカルアカウントとして利用
- 基本的なブラウジング機能は使える
- 同期機能は利用不可
必要に応じて選択してください。後からでもサインインできますよ。
テーマとスタイルの選択
明るいテーマ、暗いテーマ、システム設定に従うテーマから選べます。
お好みのテーマを選びましょう。これも後から変更可能です。
日本語環境の設定

Linux版Edgeで日本語を快適に使うための設定です。
日本語表示の確認
初回起動時、メニューやインターフェースが英語表示になっている場合があります。
これは、システムのロケール設定が英語になっているか、日本語フォントが不足しているためです。
日本語フォントのインストール
Ubuntu/Debian系の場合:
sudo apt install fonts-noto-cjk
Fedora系の場合:
sudo dnf install google-noto-sans-cjk-fonts
これで、日本語が正しく表示されるようになります。
日本語ロケールの設定
システム全体を日本語化する場合:
sudo apt install task-japanese locales-all
sudo localectl set-locale LANG=ja_JP.UTF-8
設定後、一度ログアウトして再ログインすると、Edgeのメニューも日本語になります。
ブラウザ内の言語設定
Edge内で言語を変更することもできます。
- 設定(⋯)→「Settings」→「Languages」
- 「Add languages」をクリック
- 「Japanese – 日本語」を検索して追加
- 日本語を一番上に移動
- Edgeを再起動
これで、メニューやインターフェースが日本語になります。
Copilot(AIアシスタント)の使い方
Linux版EdgeでもCopilotが使えます!
Copilotとは
Microsoft製のAIアシスタントで、ChatGPTと同様の機能を持っています。
文章作成、コード生成、調べ物、アイデア創出など、さまざまな作業を支援してくれます。
Copilotの起動方法
方法1:新しいタブから
新しいタブを開くと、画面右上に「Copilot」ボタンが表示されます(バージョン136以降)。これをクリックすれば起動します。
方法2:サイドバーから
画面右上のサイドバーアイコンをクリックして「Copilot」を選択します。
方法3:ショートカットキー
Ctrl + Shift + . (ピリオド)でも起動できます。
Copilotの活用例
文章作成
「『Linuxの基礎知識』という記事のタイトル案を5つ考えて」
コード作成
「Pythonでファイルを読み込むコードを書いて」
調べ物
「量子コンピュータの仕組みを分かりやすく教えて」
アイデア創出
「ブログのネタを10個提案して」
Copilotを使いこなせば、日々の作業効率が大幅に向上しますよ。
便利な機能と設定
Edgeの便利な機能をいくつか紹介します。
タブグループ化
複数のタブをグループにまとめて整理できます。
- タブを右クリック
- 「タブをグループに追加」を選択
- グループ名と色を設定
これで、作業ごとにタブを整理できます。
垂直タブ表示
タブを画面左側に縦に表示できます。
- 左上のタブバーアイコンをクリック
- 「垂直タブをオンにする」を選択
多くのタブを開く場合、こちらの方が見やすいですよ。
コレクション機能
ウェブページやメモをコレクションとして保存できます。
- 画面右上の「⋯」→「コレクション」
- 新しいコレクションを作成
- ページを追加したり、メモを取ったりできる
リサーチや資料整理に便利です。
拡張機能の追加
Chrome Web Storeから拡張機能を追加できます。
- Chrome Web Storeにアクセス
- 好きな拡張機能を検索
- 「Chromeに追加」をクリック
Edgeでも問題なく動作します。
よくある問題と対処法
Linux版Edgeでよくある問題の解決方法です。
日本語フォントが中華フォントになる
症状
日本語が中華フォント(明朝体)で表示される。
解決策
日本語フォントをインストールします:
sudo apt install fonts-noto-cjk
または:
sudo apt install fonts-takao
メニューが英語のまま
症状
日本語フォントはインストールしたが、メニューが英語のまま。
解決策
システムロケールを日本語に設定します:
sudo localectl set-locale LANG=ja_JP.UTF-8
source /etc/default/locale
その後、ログアウトして再ログインしてください。
ファイルアップロードができない
症状
GmailやGoogleドライブでファイルアップロードができない、または選択が面倒。
解決策
これはChromeOS上のLinux環境など、特定の環境で発生する既知の問題です。残念ながら完全な解決策はありませんが、ブラウザを再起動すると改善することがあります。
Edgeが起動しない
症状
クリックしても何も起こらない。
解決策
ターミナルから起動してエラーメッセージを確認します:
microsoft-edge-stable
エラーメッセージが表示されたら、それを基に対処しましょう。
依存関係のエラー
症状
インストール時に「依存関係が満たされていません」というエラー。
解決策
以下のコマンドで依存関係を修復します:
sudo apt-get install -f
その後、再度インストールを試してください。
動作が重い・遅い
症状
EdgeがChromeやFirefoxより遅く感じる。
解決策
- キャッシュをクリアする(Ctrl + Shift + Delete)
- 不要な拡張機能を無効化
- ハードウェアアクセラレーションを有効化
- 設定→システム→「ハードウェアアクセラレーションが使用可能な場合は使用する」をオン
アンインストール方法
Edgeが不要になった場合のアンインストール方法です。
GUI方式(Ubuntu/Debian系)
- ソフトウェアセンター(またはアプリセンター)を開く
- 「インストール済み」タブをクリック
- 「Microsoft Edge」を探す
- 「削除」または「アンインストール」ボタンをクリック
CLI方式(Ubuntu/Debian系)
sudo apt remove microsoft-edge-stable
完全に削除する場合(設定ファイルも含む):
sudo apt purge microsoft-edge-stable
CLI方式(Fedora/RHEL系)
sudo dnf remove microsoft-edge-stable
CLI方式(openSUSE系)
sudo zypper remove microsoft-edge-dev
まとめ
Linux版Microsoft Edgeのインストールと使い方をまとめます。
インストール方法:
- GUI方式:公式サイトからダウンロードしてダブルクリック
- CLI方式:リポジトリを追加してapt/dnf/zypperでインストール
対応ディストリビューション:
- Ubuntu、Linux Mint、Debian(.deb)
- Fedora、RHEL、CentOS(.rpm)
- openSUSE(.rpm)
主な機能:
- Chromiumベースの高速ブラウジング
- Chrome拡張機能が使える
- Copilot(AIアシスタント)搭載
- タブグループ、垂直タブ、コレクション機能
- クロスプラットフォーム同期
日本語環境:
- fonts-noto-cjkをインストール
- ロケールをja_JP.UTF-8に設定
- ブラウザ内で言語設定を変更
アンインストール:
- apt remove / dnf remove / zypper removeで削除可能
Linux環境でもMicrosoft Edgeを快適に使えます。WindowsとLinuxを併用している方や、Copilotを活用したい方には特におすすめです。
ChromeやFirefoxと併用して、自分に合ったブラウザを見つけてくださいね!

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