Linuxを使っていて、こんな困りごとはありませんか?
- 「このファイルを編集したいのに、権限がないと言われる」
- 「他の人が作ったファイルを自分のものにしたい」
- 「Webサイトのファイルをサーバー用に設定したい」
そんなときに使うのが chown
(チェンジオーナー)コマンドです。
chownとは
- ファイルやフォルダの「持ち主」を変える命令
- change owner(チェンジオーナー)の略
- Linuxの基本的で重要なコマンドの一つ
この記事では、chownの使い方を初心者にも分かりやすく説明します。
ファイルの持ち主とは?

Linuxでは、すべてのファイルやフォルダに「持ち主」が決まっています。
持ち主の確認方法
ls -l ファイル名
実行すると、こんな感じで表示されます:
-rw-r--r-- 1 yamada staff 1024 6月 4 12:00 sample.txt
この例では:
- yamada がファイルの持ち主(所有者)
- staff がグループ名
- 1024 がファイルサイズ
chownの基本的な使い方
基本の書き方
chown 新しい持ち主 ファイル名
実際の例
# sample.txtの持ち主をtaroに変更
chown taro sample.txt
実行後に ls -l sample.txt
で確認すると、持ち主が「taro」に変わります。
持ち主とグループを同時に変更
chown taro:family sample.txt
この例では:
- taro が新しい持ち主
- family が新しいグループ
- 間に「:」(コロン)を入れる
よく使うパターン
フォルダの中身をまとめて変更(-Rオプション)
chown -R taro myfolder
-Rは「Recursive(再帰的)」の意味で、フォルダの中にあるすべてのファイルとサブフォルダの持ち主も一緒に変更されます。
持ち主だけ変更(グループはそのまま)
chown taro: sample.txt
コロンの後ろを空にすると、グループは変更されません。
グループだけ変更(持ち主はそのまま)
chown :family sample.txt
コロンの前を空にすると、持ち主は変更されません。
よくある使い道

Webサーバーのファイル設定
sudo chown www-data:www-data /var/www/html/index.html
Webサーバー(Apache、Nginxなど)がファイルを読み込めるように設定します。
自分で作ったファイルを他の人に渡す
chown hanako document.txt
「hanako」さんがファイルを編集できるようになります。
sudoで作ったファイルを普通のユーザーに戻す
管理者権限(sudo)でファイルを作ると、持ち主が「root」になってしまいます:
# 普通のユーザーに戻す
sudo chown yamada report.txt
注意点とよくあるエラー
sudo(管理者権限)が必要
他の人のファイルの持ち主を変更するときは、管理者権限が必要です:
sudo chown taro sample.txt
sudoを忘れると:
chown: 操作が許可されていません
存在しないユーザー名を指定した場合
chown ghost sample.txt
エラー:
chown: 不正なユーザーです: 'ghost'
確認方法:
# ユーザーが存在するか確認
id ghost
ファイルが存在しない場合
chown taro nothing.txt
エラー:
chown: 'nothing.txt' にアクセスできません: そのようなファイルやディレクトリはありません
実践的な例
ホームフォルダ全体の持ち主を変更
sudo chown -R taro:taro /home/taro
新しいユーザーを作ったときに使います。
Webサイトのファイルをサーバー用に設定
sudo chown -R www-data:www-data /var/www/mysite
ログファイルの持ち主を変更
sudo chown syslog:adm /var/log/myapp.log
シンボリックリンクの扱い
シンボリックリンク(ショートカットのようなもの)がある場合は注意が必要です。
リンク先のファイルを変更(通常)
chown taro mylink
リンクそのものではなく、リンクが指しているファイルの持ち主が変わります。
リンク自体の持ち主を変更
chown -h taro mylink
-hオプションを使うと、リンク自体の持ち主が変わります。
確認方法とトラブルシューティング

現在の持ち主を確認
ls -l ファイル名
詳しい情報を確認
stat ファイル名
ファイルの詳しい情報(持ち主、グループ、権限など)が表示されます。
ユーザーの存在確認
# ユーザーが存在するか確認
getent passwd ユーザー名
# グループが存在するか確認
getent group グループ名
よくある質問
Q: chownとchmodの違いは?
A: chownは「持ち主」を変更、chmodは「権限」を変更します。
Q: 一般ユーザーでもchownは使える?
A: 自分のファイルなら使えますが、他人のファイルはsudoが必要です。
Q: 間違って変更してしまった場合は?
A: 元の持ち主が分かれば、再度chownで戻せます。
Q: ファイルの持ち主を削除されたユーザーにしてしまった場合は?
A: 存在するユーザーに変更し直す必要があります。
まとめ
chownコマンドは、Linuxでファイルの管理をするための重要なツールです。
覚えておくべきポイント
- 基本形:
chown 新しい持ち主 ファイル名
- フォルダ全体:
chown -R 持ち主 フォルダ名
- 持ち主とグループ:
chown 持ち主:グループ ファイル名
- 他人のファイルは:
sudo chown ...
よく使う場面
- Webサーバーの設定
- ファイルの共有
- 開発環境の構築
- システム管理
基本コマンド一覧
コマンド例 | 説明 |
---|---|
chown taro file.txt | 持ち主をtaroに変更 |
chown taro:family file.txt | 持ち主をtaro、グループをfamilyに変更 |
chown -R taro folder/ | フォルダ全体を再帰的に変更 |
sudo chown root file.txt | 管理者権限で実行 |
ls -l file.txt | 現在の持ち主を確認 |
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