Androidアプリを作ってみたいけれど、LinuxにAndroid Studioをインストールする方法がわからない、という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、初心者でも安心してインストールできるよう、3つの方法を詳しく解説します。
Android Studioってなに?

Android Studioとは、Googleが公式に提供しているAndroidアプリ開発用のソフトウェアです。
アプリの作成から、テスト、デバッグまで、Androidアプリ開発に必要な機能がすべて含まれています。
なぜLinuxでAndroid Studioを使うの?
Linuxを使ってAndroid Studio開発をする理由は以下の通りです:
- 軽快な動作:Windowsよりも軽く動くことが多い
- 開発環境の自由度:カスタマイズしやすい
- サーバー環境との親和性:本格的な開発に適している
- コスト削減:ライセンス料が不要
インストール前の準備

どの方法を選んでも、以下の条件を満たしている必要があります。
システム要件
必須条件
- Linux 64bit版(32bit版は非対応)
- Ubuntu 20.04以降(または同等の他ディストリビューション)
- glibc 2.31以上
- 8GB以上のメモリ(16GB推奨)
- 5GB以上の空きディスク容量
推奨環境
- Intel Core i5以上のCPU
- SSD(起動やビルドが高速になる)
- 安定したインターネット接続
事前に確認すること
システム情報の確認
# OSバージョンの確認
lsb_release -a
# メモリ容量の確認
free -h
# ディスク容量の確認
df -h
Java開発環境の確認
# Javaがインストールされているか確認
java -version
# JDKがインストールされているか確認
javac -version
Javaがインストールされていない場合は、先にインストールしておきましょう:
# OpenJDK 11のインストール(推奨)
sudo apt update
sudo apt install openjdk-11-jdk
方法1:Snapを使った簡単インストール(初心者におすすめ)

最も簡単で確実な方法です。初心者の方には、この方法をおすすめします。
Snapとは?
Snapとは、パッケージとその依存関係をまとめて管理できるLinuxのパッケージ管理システムです。複雑な設定が不要で、常に最新版を使えるという特徴があります。
インストール手順
ステップ1:Snapの準備
# システムを最新に更新
sudo apt update
# Snapがインストールされているか確認
snap version
# Snapがない場合はインストール
sudo apt install snapd
ステップ2:Android Studioのインストール
# Android Studioをインストール
sudo snap install android-studio --classic
ステップ3:起動確認
# Android Studioを起動
android-studio
Snap方式のメリット・デメリット
メリット
- 一発でインストール完了
- 依存関係を自動解決
- 自動アップデート機能
- アンインストールも簡単
デメリット
- ファイルサイズが大きい
- 起動が少し重い場合がある
方法2:公式サイトから手動インストール
より自由度の高い方法です。カスタマイズにこだわりたい方や、特定のバージョンを使いたい方におすすめです。
インストール手順
ステップ1:公式サイトからダウンロード
- Android Studio公式サイトにアクセス
- 「Download Android Studio」をクリック
- Linux版の
.tar.gz
ファイルをダウンロード
ステップ2:ファイルの解凍
# ダウンロードフォルダに移動
cd ~/Downloads
# appsフォルダを作成(なければ)
mkdir -p ~/apps
# ファイルを解凍(ファイル名は実際のものに合わせてください)
tar -xzvf android-studio-*.tar.gz -C ~/apps/
ステップ3:必要なライブラリのインストール
# 32bit互換ライブラリをインストール
sudo apt install libc6:i386 libncurses5:i386 libstdc++6:i386 lib32z1 libbz2-1.0:i386
ステップ4:起動スクリプトの実行
# Android Studioを起動
~/apps/android-studio/bin/studio.sh
ステップ5:デスクトップショートカットの作成(任意)
毎回コマンドで起動するのは面倒なので、ショートカットを作成しましょう:
# デスクトップエントリファイルを作成
cat > ~/.local/share/applications/android-studio.desktop << EOF
[Desktop Entry]
Version=1.0
Type=Application
Name=Android Studio
Comment=Android development environment
Exec=/home/$(whoami)/apps/android-studio/bin/studio.sh
Icon=/home/$(whoami)/apps/android-studio/bin/studio.png
Categories=Development;IDE;
Terminal=false
StartupWMClass=jetbrains-studio
EOF
手動インストール方式のメリット・デメリット
メリット
- インストール場所を自由に選べる
- 複数バージョンの共存が可能
- システムへの影響が最小限
デメリット
- 手順が複雑
- 依存関係を手動で解決する必要
- アップデートも手動
方法3:PPAを使ったインストール(上級者向け)

APTパッケージマネージャーでAndroid Studioを管理したい方向けの方法です。
PPAとは?
PPAとは、Personal Package Archiveの略で、Ubuntu向けの非公式パッケージリポジトリです。通常のaptコマンドでソフトウェアを管理できるようになります。
インストール手順
ステップ1:PPAの追加
# PPAリポジトリを追加
sudo add-apt-repository ppa:maarten-fonville/android-studio
# パッケージリストを更新
sudo apt update
ステップ2:Android Studioのインストール
# Android Studioをインストール
sudo apt install android-studio
ステップ3:起動確認
# Android Studioを起動
android-studio
PPA方式のメリット・デメリット
メリット
- aptコマンドで統一管理
- システム統合が良い
- アンインストールが簡単
デメリット
- PPAの更新が止まるリスク
- 最新版の提供が遅れることがある
- 依存関係の問題が起きる可能性
インストール後の初期設定

どの方法でインストールしても、初回起動時には以下の設定が必要です。
初期セットアップウィザード
ステップ1:ライセンス同意
- ライセンス条項を読んで「Accept」をクリック
ステップ2:インストールタイプの選択
- 初心者は「Standard」を選択
- カスタマイズしたい場合は「Custom」を選択
ステップ3:UIテーマの選択
- 「Darcula」(ダーク)または「Light」から選択
ステップ4:SDK Components Setup
- Android SDKのダウンロードとインストール
- 数GB〜10GB程度のダウンロードが発生(時間がかかります)
Android SDKの設定
SDK Managerでの追加設定
- Android Studio起動後、「Tools」→「SDK Manager」を開く
- 必要なAPIレベルを選択してインストール
- 推奨:API 33(Android 13)、API 30(Android 11)
仮想デバイス(エミュレータ)の作成
AVD Managerでの設定
- 「Tools」→「AVD Manager」を開く
- 「Create Virtual Device」をクリック
- 端末タイプを選択(Pixel 4など)
- システムイメージをダウンロード
- 設定を確認して「Finish」
トラブル対処法
インストールや起動でよくある問題と解決方法を説明します。
Java関連のエラー
症状:「JAVA_HOME is not set」エラー
解決方法:
# 現在のJavaパスを確認
which java
# JAVA_HOMEを設定(.bashrcに追加)
echo 'export JAVA_HOME=/usr/lib/jvm/java-11-openjdk-amd64' >> ~/.bashrc
source ~/.bashrc
メモリ不足エラー
症状:起動が遅い、フリーズする
解決方法:
# Android Studioのメモリ設定を変更
# ~/apps/android-studio/bin/studio.vmoptions を編集
-Xms2048m
-Xmx4096m
32bitライブラリエラー
症状:「lib32stdc++6 not found」エラー
解決方法:
# 不足している32bitライブラリをインストール
sudo apt install gcc-multilib lib32stdc++6
どの方法を選ぶべき?
それぞれの方法の特徴をまとめると:
初心者におすすめ:Snap方式
- 簡単:コマンド1つでインストール完了
- 安全:依存関係を自動解決
- 最新:常に最新版を使用可能
カスタマイズ重視:手動インストール
- 自由度:インストール場所を選択可能
- 軽量:必要最小限のインストール
- 複数バージョン:同時利用が可能
システム統合重視:PPA方式
- 統一管理:aptコマンドで管理
- クリーン:システム統合が良い
- 注意:更新リスクあり
まとめ
LinuxへのAndroid Studioインストールは、適切な方法を選べば決して難しくありません。重要なポイントをまとめると:
事前準備
- システム要件を満たしているか確認
- Java環境の準備
- 十分なディスク容量の確保
インストール方法の選択
- 初心者:Snap方式がおすすめ
- 中級者以上:手動インストールで自由度重視
- システム管理重視:PPA方式
初期設定のポイント
- セットアップウィザードに従って進める
- 必要なSDKバージョンをインストール
- 仮想デバイスの作成
トラブル時の対処
- Java環境の確認
- メモリ設定の調整
- 32bitライブラリの追加インストール
Android Studioを使って、素晴らしいAndroidアプリを開発してください!
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